増田勇一の試写会潜入報告『アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~』
10月24日、いよいよ劇場公開を迎える『アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~』。映画自体の概要については、これまでにもたびたび報じられてきたので改めて詳しくお伝えするまでもないはずだが、今回はそれに先駆けて去る10月20日に開催された、かなりスペシャルな一般試写会の模様についてお伝えしておきたい。
◆増田勇一の試写会潜入報告『アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~』 ~写真編~
まず会場となったのはZEPP TOKYO。開演は午後7時。ほとんどライヴみたいな設定だが、実際、この試写会の招待状には『スペシャル・ライヴ付き試写会のご案内』という文字が。ドキュメンタリー映画とライヴ・パフォーマンス双方を通じて、まさにアンヴィルを体感することができるイベントというわけだ。
めずらしく椅子が並べられたフロアは、開演前から「もしかしてこれは<LOUD PARK 09>の続きなのか?」といった雰囲気。Gジャンの背中にフェイヴァリット・バンドのパッチをたくさん縫い付けた軍団(僕もかつて似たようなことをしていたが)もいれば、アンヴィルのTシャツに身を包んだファンの姿も目につく。そんなライヴさながらの観衆を前に、まずはサーシャ・ガバシ監督が登場。さすがに自身が根っからのアンヴィル・ファンというだけあって、ツボを心得た舞台挨拶でファンを沸かせてくれた。
その後、場内が暗転すると、巨大なスクリーン上に映し出されたのは、この作品を観て大いに感銘を受けたという長瀬智也による応援コメント映像。アメリカでのプレミア試写会ではキアヌ・リーヴスが応援団長を買って出たという逸話もあるだけに、日本でも同じような趣向を用意しようという意向があったのだろう。ちなみに壇上での監督の発言によれば「キアヌも日本に来たがっていたのだが、他の映画の撮影が始まっていたため叶わなかった」のだとか。
長瀬智也の応援コメントをイントロダクションに据えながら、それからの約80分間は当然ながら肝心の『アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~』をフル上映。僕はこの夜が3度目の鑑賞となったのだが、それでも笑うべき場面では笑わずにいられず、感涙をいざなう場面ではホロリとさせられた。周辺の席からも爆笑や失笑に混じり、鼻をすする音がときおり聞こえてきた。これはやはり、何度観ても「笑えて、泣けて、考えさせられる」映画なのだ。
そして約80分後、エンドロールも終わると、それまでステージ上を覆っていたスクリーンがゆっくりと巻き上げられ、そこにはすでに戦闘態勢の整ったメンバーたちの姿が。しかしリップスだけが見当たらない…と思ったら、彼は最初からフロアに降りていた! 気がつけば、それまで大人しく椅子に座っていたオーディエンスはステージ前へと押し寄せ、まるで往年の来日公演のような様相に。そこに炸裂したのはアンヴィルの看板曲であり、この映画のテーマ曲的存在でもある「Metal On Metal」。場内は、とても試写会とは思えない熱気に包まれることになった。
その後、ステージ上に残ったメンバーたちにガバシ監督を交えてのトーク・セッションが繰り広げられ、ことに監督の「日本はこの映画にとって重要な役割を果たしている。いわば日本のオーディエンスがこの作品のなかでのヒーローだ」という発言には、通訳女史の言葉を待つまでもなく大歓声が。しかし当然ながら、オーディエンスが求めていたのは言葉よりも演奏。アンコールを求める声はなりやまず、メンバーたちも関係者たちも困惑気味の表情だった。が、結果、その熱い声援に応え、彼らは最新アルバム『THIS IS THIRTEEN』のなかから「Flying Blind」を演奏してくれた。「本当は最初からそういう設定だったんでしょ?」という声も聞こえてきそうだが、これは本当に予定外のハプニング。そして興奮冷めやらぬなか、メンバーたちは「2010年の再会」を約束してステージを去った。
映画が世界的に話題を集め、そのストーリーの起点と着地点となった日本への凱旋をこうして果たしたアンヴィル。彼らが次に果たすべきことといえば、やはり単独でのジャパン・ツアー実現ということになるだろうし、ほぼ間違いなく、その約束は実践されることになるはずだ。が、その日が訪れる前に、まずは1人でも多くの人たちに、このバンドがこれまで歩んできた道程を知っていただきたい。あなたが「Metal On Metal」を知らないどころか、仮に「音楽ジャンルのなかでヘヴィ・メタルがいちばん嫌い」というような人であろうと、この映画は絶対に何かを語りかけてくれるはず。そして結果、あなた自身がこのアンヴィルというバンドに、いつのまにか感情移入していることに気付かされるに違いないし、この『アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~』をもう一度観たくなることだろう。
というわけで僕は、懲りもせず次回は劇場で観る予定だ。何度も繰り返しこの映画を観たくなってしまう僕自身もまた、夢を諦めきれずにいるのかもしれない。ひとつだけ補足しておくと、最新アルバム『THIS IS THIRTEEN』はこのイベントの翌日にあたる10月21日、日本でも無事にリリースを迎えており、同作には「Metal On Metal」もボーナス・トラックとして収録されている。映画だけじゃなくアルバムもよろしく。メンバーたちに代わり、最後にそうお伝えしておきたい。
増田勇一
◆増田勇一の試写会潜入報告『アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~』 ~写真編~
まず会場となったのはZEPP TOKYO。開演は午後7時。ほとんどライヴみたいな設定だが、実際、この試写会の招待状には『スペシャル・ライヴ付き試写会のご案内』という文字が。ドキュメンタリー映画とライヴ・パフォーマンス双方を通じて、まさにアンヴィルを体感することができるイベントというわけだ。
めずらしく椅子が並べられたフロアは、開演前から「もしかしてこれは<LOUD PARK 09>の続きなのか?」といった雰囲気。Gジャンの背中にフェイヴァリット・バンドのパッチをたくさん縫い付けた軍団(僕もかつて似たようなことをしていたが)もいれば、アンヴィルのTシャツに身を包んだファンの姿も目につく。そんなライヴさながらの観衆を前に、まずはサーシャ・ガバシ監督が登場。さすがに自身が根っからのアンヴィル・ファンというだけあって、ツボを心得た舞台挨拶でファンを沸かせてくれた。
その後、場内が暗転すると、巨大なスクリーン上に映し出されたのは、この作品を観て大いに感銘を受けたという長瀬智也による応援コメント映像。アメリカでのプレミア試写会ではキアヌ・リーヴスが応援団長を買って出たという逸話もあるだけに、日本でも同じような趣向を用意しようという意向があったのだろう。ちなみに壇上での監督の発言によれば「キアヌも日本に来たがっていたのだが、他の映画の撮影が始まっていたため叶わなかった」のだとか。
そして約80分後、エンドロールも終わると、それまでステージ上を覆っていたスクリーンがゆっくりと巻き上げられ、そこにはすでに戦闘態勢の整ったメンバーたちの姿が。しかしリップスだけが見当たらない…と思ったら、彼は最初からフロアに降りていた! 気がつけば、それまで大人しく椅子に座っていたオーディエンスはステージ前へと押し寄せ、まるで往年の来日公演のような様相に。そこに炸裂したのはアンヴィルの看板曲であり、この映画のテーマ曲的存在でもある「Metal On Metal」。場内は、とても試写会とは思えない熱気に包まれることになった。
その後、ステージ上に残ったメンバーたちにガバシ監督を交えてのトーク・セッションが繰り広げられ、ことに監督の「日本はこの映画にとって重要な役割を果たしている。いわば日本のオーディエンスがこの作品のなかでのヒーローだ」という発言には、通訳女史の言葉を待つまでもなく大歓声が。しかし当然ながら、オーディエンスが求めていたのは言葉よりも演奏。アンコールを求める声はなりやまず、メンバーたちも関係者たちも困惑気味の表情だった。が、結果、その熱い声援に応え、彼らは最新アルバム『THIS IS THIRTEEN』のなかから「Flying Blind」を演奏してくれた。「本当は最初からそういう設定だったんでしょ?」という声も聞こえてきそうだが、これは本当に予定外のハプニング。そして興奮冷めやらぬなか、メンバーたちは「2010年の再会」を約束してステージを去った。
というわけで僕は、懲りもせず次回は劇場で観る予定だ。何度も繰り返しこの映画を観たくなってしまう僕自身もまた、夢を諦めきれずにいるのかもしれない。ひとつだけ補足しておくと、最新アルバム『THIS IS THIRTEEN』はこのイベントの翌日にあたる10月21日、日本でも無事にリリースを迎えており、同作には「Metal On Metal」もボーナス・トラックとして収録されている。映画だけじゃなくアルバムもよろしく。メンバーたちに代わり、最後にそうお伝えしておきたい。
増田勇一
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