アイアン・メイデン「2枚組になったのは、あくまで偶然の結果だ」
9月4日、アイアン・メイデンの通算16作目にあたる新作オリジナル・アルバム『魂の書~ザ・ブック・オブ・ソウルズ~』が世界同時リリースを迎えた。前作、『ザ・ファイナル・フロンティア』の発表から丸5年を経ているわけだが、実はこの新作アルバムの音源自体は、昨年末の時点においてほぼ完成状態にあったのだという。それがすぐさま世に出ることがなかったのは、フロントマンであるブルース・ディッキンソンに咽頭がんが見つかり、彼がその治療に専念しなければならなくなったからだった。
◆アイアン・メイデン画像
そのブルースが8月下旬のある日、日本のファンに向けてのインタビューに応えてくれた。そのなかで彼は、次のように語っている。
「こうしてニュー・アルバムを出すというのはとてもエキサイティングなことだ。昨年の12月に完成して以来、俺自身もずっと待っていたわけだからね。12月の時点ですでに興奮していたけれど、なにしろそれから9ヵ月も待ち続けてきたんだ。もちろんそうして待たなければならない理由は、咽喉がんと診断されたことにあったわけだよ。この記事を目にすることになる皆さん以上に俺はこの作品について熟知しているわけだけど、そんな俺がいまだに興奮しているし、こうして発売できることになってとても嬉しく思っている。アルバム・カヴァーも素晴らしいし、素晴らしい楽曲の数々が入っているよ」
今作はアイアン・メイデン史上初となる2枚組スタジオ作品であり、全11曲の収録曲のなかには10分を超える長さの楽曲が3曲も含まれている。そうした作品像やアートワークなどからはコンセプト・アルバム的な匂いも漂ってくるが、ブルースによれば、こうした作品形態になったのはむしろ偶然だったのだという。
「このアルバムが2枚組になったのは、あくまで偶然のことだったんだ。4曲を除いてはレコーディングのプロセスのなかで書かれたものだったんだが、6曲目までが出揃った段階で、すでにCD1枚相当の長さになっていた。曲の長さがどれくらいになるかなんて、事前にはわからなかったからね。で、その段階で“ここで曲作りを止めるか、2枚組にするか?”ということになった。結果、2枚組というのは今までにやったことがなかったし、やらない手はないという判断になった。実際、クールだと思ったよ。ごく自然な流れだった。たまたま曲が揃ったらトータル92分になっていた、ということなんだ」
このインタビューのなかで、ブルースは他にも自身の書いた楽曲の背景や、現在も続いている治療に関することなど、熱っぽく語っている。それについてはまた機会を改めて、その時点での最新ニュースと共にお届けすることにしよう。
すでにバンドのオフィシャル・サイト上には、今作に伴う2016年のワールド・ツアーの概要についての記述があり、それによると待望の日本公演は来年の4月頃になる可能性が高そうだとのこと。ブルース自身も「前回は震災(東日本大震災)の問題もあり、残念ながら予定通りツアーをすることができなかった。次回の日本への帰還はものすごくエキサイティングなものになるはずだ」と語っているが、その帰還を待つまでの間に、この『魂の書~ザ・ブック・オブ・ソウルズ~』をじっくりと味わい尽くしておきたいところだ。
増田勇一
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