【ライブレポート】The BONEZ、会場限定CDをひっさげ、とてつもない熱を放出
The BONEZが今、とにかく熱い。そもそもはJESSEのソロ・プロジェクトから派生する形で、JESSE and The BONEZとして始まったこのバンドだが、そこからの経緯については改めてこの場で説明するまでもないだろう。重要なのはJESSE(Vo、G)、NAKA(G)、T$UYO$HI(B)、ZAX(Dr)という顔ぶれによるこのバンドが、今現在、とてつもない熱をはらみ、同時にそれを放出しているという事実だ。
◆The BONEZ画像
そのThe BONEZが12月4日、東京・恵比寿リキッドルームにてワンマン・ライブを敢行した。これは<Astro Tour“ONE MAN SHOW”>と銘打たれた東名阪を巡るショート・ツアーの幕開けとなるもの。今回のツアーはそのタイトルが示唆しているように、去る2月から4月にかけて全国展開された<Astro Tour 2014>(当然ながら同1月にリリースされたアルバム『Astronaut』に伴うものである)の続編ともいうべきもの。とはいえ単なるアンコール的なものではなく、前回のツアーや夏フェス出演等により各地で共鳴の声を集めてきたこのバンドの進化のあり方が提示され、改めてその真価が問われるべき機会となるわけである。
そして結果、この夜のThe BONEZは、このバンドが生まれ持った閃きのようなものをまったく失わないまま、バンドとしての強固さと柔軟性の双方を増し、さらに刺激度を高めている現在の姿を、フロアを埋め尽くしたオーディエンスの前に示すことに成功していた。「準備してる時間ねえぞ!」というJESSEらしい煽りに導かれて始まったライブは、前述の『Astronaut』からの楽曲を軸に据えながらも、同作以降に生まれた楽曲や、まだタイトルすら正式決定していないふたつの真新しいナンバーなども随所に散りばめながら、過熱状態の場内の温度を一瞬たりとも下降させることがなかった。
そして特筆すべきは、今回のツアーにおいて、会場限定のCDが販売されているという事実だ。『When ever Where Ever』と題されたこの音源は、全5曲が収録されたもので、もちろんすべてが新録音。この夜も演奏され、すでにライブにおけるマスト・チューンになりそうな気配の「BOSSMAN」も、KINKSとスティーヴィ・ワンダーの名曲を合体させた超斬新な「All day I just…」も収められている。しかも価格は¥1,000。これは何がなんでも手に入れておきたいところだ。すでに来年リリース予定の新作に向けての準備も進みつつあるというThe BONEZだが、まずは今のうちにこの5曲のホットな音源に触れておくべきだろう。
この夜、ステージ上のJESSEは客席に向かい、「今日から、おまえらのためにバンドやるから!」と宣言した。そもそもThe BONEZが正式にバンドとして動き始めることになったのは、T$UYO$HIとZAXにとっての永遠のホームであるPay money To my Painが活動継続不能な状態に陥ったことと無関係ではない。JESSE自身、彼のなかに、そうした状況に追い込まれた仲間たちのため、そして2012年末に他界した同バンドのフロントマンKのため、という気持ちが確実にあったことを認めているし、それがThe BONEZを“ホンモノのバンド”として転がし始めていくうえでの最初の動機のひとつだったともいえる。しかし今や彼にとっても、それぞれのメンバーにとっても、このバンドは彼ら自身のため、そしてこの音と心意気に共鳴する者たちのためのバンドになっているだ。
ふと振り返ってみれば、The BONEZが初めてこの4人でステージに立ったのは2013年10月なかば、今回と同じリキッドルームでのイベントに出演した際のことだった。それから丸1年と2ヵ月ほど。その経過を短いとみるか長いと感じるかは人それぞれだろうが、この時間がえらく濃密なものだったこと、これからこのバンドが終わりのないストーリーを綴っていくうえできわめて重要なものになったはずだということは、疑う余地もない。
そんなThe BONEZの“今”に、確実に触れて欲しい。今回のショート・ツアーは、12月11日には名古屋、そして同21日には大阪へと舞台を移していく。2015年、ネクスト・ステージへと歩みを進めようとしている彼らが、二度と味わうことのできない“今”をそこで体験させてくれるはずだから。
文:増田勇一
photo by Yoshifumi Shimizu
The BONEZ<Astro Tour“ONE MAN SHOW”>
12月21日(日)大阪・梅田クラブクアトロ
http://thebonez.com/
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