【ライブレポート】DOOM、幻の1stアルバム再臨ライヴ

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去る1月11日、東京・下北沢シェルターにて<NO MORE DEMOCRACY>と銘打たれたDOOMのライヴが行なわれた。2014年に14年ぶりの再始動を果たしている彼らだが、今回の公演は、昨年12月16日に発売された『NO MORE PAIN~COMPLETE EXPLOSION WORKS SESSION』のリリースを記念してのもの。改めて説明するまでもなく、『NO MORE PAIN』は1987年にインディーズ盤として発売された彼らの1stアルバムで、長きにわたり廃盤の状態が続いていたもの。LPとCDで内容に差異があることでも知られているこのアルバムが、今回は初期音源を完全網羅した形で2枚組としてリイシューされ、古くからのファン、この伝説的バンドの起点に触れることができずにいた音楽リスナーを喜ばせている。そしてこの夜のライヴは、このアイテムの登場を記念してのものであり、フロアは熱心な聴き手たちでぎっしりと埋め尽くされることになった。

◆DOOM画像

そうした性質のライヴであるだけに、演奏プログラムは当然ながら『NO MORE PAIN』からの楽曲を中心に組まれており、ことに「Death To Wimp!」「Body No Body」「I’m Your Junky Doll」と、アルバムの収録順通りに楽曲が連射された序盤の展開は、この作品に深い愛着を抱いているはずの観衆を即座に轟音の渦に巻き込んでいたし、同作以外のアルバムからの「Rocking Russian」といったマスト・チューンも組み込みながらの展開は、まさに圧巻といえるものだった。いまどきのライヴハウスにつきもののモッシュやダイヴとは無縁でありながらも(ぎっしりとフロアが埋め尽くされているために誰にも無駄に動くことができない、というのもあったはずだが)、藤田タカシ(Vo、G)、PAZZ(Dr)、そして古平(B、Cho)によるきわめて緊張感の高い演奏には、誰もが内なる興奮とでもいうべきものを呼び起こされるような極上の刺激を味わっていたはずだ。同時に、このDOOMが“今”のバンドであるということ、そして現在になっても古さを感じさせない『NO MORE PAIN』がいかに画期的な作品だったかを筆者自身も痛感させられた次第だ。


そしてこの夜、終演後にはめずらしい出来事が。すべての演奏終了後、なんとその場でビデオ・クリップの撮影が実践されたのだ。これは3月2日に発売される、実に16年ぶりとなるオリジナル・フル・アルバム『Still Can’t The Dead』に伴うもの。その場で撮影されたのは、9分を超えるサイズの同作の表題曲。それがどのような映像に仕上がることになるのかも楽しみにしていたいところだ。

が、何よりも期待していて欲しいのは、そのニュー・アルバム自体の内容である。『Still Can’t The Dead』はいわば、あくまでDOOMらしいたたずまいをしていながら、過去のDOOMの歴史上には存在し得なかったアルバム。その全貌に触れる日を楽しみにしていて欲しいところだし、同作発売に合わせて行なわれる『DOOM///S/C/T/D TOUR 2016』にも注目していて欲しい。また、新作アルバム自体の詳細については、また機会を改めて詳しくお伝えすることをお約束しておく。




文:増田勇一
撮影:松島 幹

待望の新作 再始動後初のフル・アルバム『Still Can’t The Dead』
13th REAL RECORDINGS 13RR-1003(released & distributed by diskunion)
3月2日発売 2,916円(税込)

<DOOM///S/C/T/D TOUR 2016>

3/6(日)千葉・LOOK
3/20(日)札幌・KLUB COUNTER ACTION
4/3(日)仙台・BIRDLAND
5/1(日)名古屋・APPOLO BASE
5/3(火・祝)福岡・KIETH FLACK(イベント出演)
5/4(水・祝)広島・MUGEN5610(イベント出演)
5/5(木・祝)大阪・KING COBRA
5/29(日)東京・新代田FEVER

◆DOOMオフィシャルサイト
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