増田勇一のNY取材日記(3)
▲恐るべき満腹メニュー。海鮮かた焼きそばと、ワンタンスープという名の大盛り水餃子。しかしここで摂取したカロリーはすべてAC/DCの全力投球ライヴによって消費されることになった。 |
そして夕刻、ふたたび会場へ。AC/DCのライヴ・レポートはこれから某誌に書くことになっているので、ライヴ自体の話はあまりせずにおこうと思うのだが、とにかく素晴らしかった。場内が暗転し、巨大な機関車が火花を散らしながらステージに登場すると、いきなり飛び出したのは最新アルバム『悪魔の氷』からの「暴走/列車」。それから約100分間にわたって繰り広げられた“世界でいちばん強烈な王道ロック”のライヴは、“間延び”とか“無駄”とはまったく無縁の、みっちりと具の詰まった餃子のような充実感をもたらしてくれた。
いかん。どうやらチャイナタウンでの過食が脳にまで影響を及ぼしてしまったようだ。しかし冗談はともかく、“誰もが聴きたいはずの定番曲”をきっちりと網羅しつつ、『悪魔の氷』からの楽曲も随所に散りばめられた演奏内容のバランスも絶妙だったし、このバンドの完全燃焼型ライヴ・パフォーマンスには、やはり観る側も完全燃焼させられる。しかも彼らのライヴには、“おやじ”を“キッズ”に変えてしまう力がある。で、素直に思った。「AC/DCは人類が失ってはいけないバンドだ!」と。
▲終演後のMSG。とにかくデカい。ちなみに筆者は今回、入国審査のときに「AC/DCを観に来た」と言ったら、「チケットは確保できてるのか? 羨ましいなあ」と管理官に言われた。さらに彼は「だけどあそこは正面のスタンド席だとステージから遠いんだよなあ」とぼやいていたのだが、幸運にも筆者はアリーナ席で観ることができたのだった。 |
ちょっと余談が長くなったが、こうして11月12日の夜は終わった。会場からの帰り道、歩道はAC/DCのファンだらけで、しばらくは歩きながらの合唱が続いていた。そんなとき、たまたま携帯に日本の某レコード会社の人から原稿催促の電話がかかってきたのだが、こちらがあまりに騒がしいものだから、相手は「宴会中か何かですか?」と言っていた。うん、確かにそれも、間違いではないかもしれない。
増田勇一
<AC/DC@ニューヨークMSG演奏曲目 2008年11月12日>
・暴走/列車 ※
・地獄は楽しい所だぜ
・バック・イン・ブラック
・爆弾ジャック ※
・悪事と地獄
・サンダーストラック
・悪魔の氷 ※
・ジャック
・地獄の鐘の音
・スリルに一撃
・戦闘マシーン ※
・恋の発電所 ※
・狂った夜
・T.N.T.
・ホール・ロッタ・ロージー
・ロック魂
《アンコール》
・地獄のハイウェイ
・悪魔の招待状
※=最新アルバム『悪魔の氷』収録曲
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