榎本くるみ、「未来記念日」特集内インタビュー

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──でも小説って、作詞とは勝手がかなり違うでしょ?

榎本くるみ:全然違いますね。だから、生まれて最初の記憶から10代ぐらいまでのことはわりとサラッと書けたんですけど、そっから先が結構……歳をとればとるほど、あんまり思い出したくない記憶もあるし、そのまま書くと説明っぽくなっちゃったりもするので。今はまだ書きかけなんですけど、どんどん行き詰まってます(笑)。ただ、そうやって新しいことにチャレンジすることで、音楽にフィードバックするものがあると思うし、フィードバックさせたいと思って始めた部分もあるので、ちゃんと頑張って書いていこうって思ってますね。

──カップリングの「昨日の未来」ですけど。これがまた、格好いいロックナンバーで。

榎本くるみ:ありがとうございます。私もこの曲、かなり気に入ってて。なんか70年代っぽい雰囲気があるなぁって。で歌詞的には、いろいろ言いつつも結局最後になってみると、何も言ってなかった、みたいな感じにしたかったんですよね。

──とはいえ、詞の中には“今が私の作れるただ唯一の未来だ”とか、強い言葉が点在していて、それが意思表示やメッセージにもなってますよね。

榎本くるみ:そうですね。まぁメッセージっていうか。自分が思ってる以上に、たくさんの人がいろんなことを思って聴いてくれてるってことに最近気がついたんです。なので、これも聴いた人がそれぞれいろいろ感じてくれたらなって思いますね。

──それにしても、今回は1曲目が「未来記念日」で2曲目が「昨日の未来」。去年出した1stアルバムのタイトルも『NOTEBOOK~未来の記憶~』だし……くるみちゃんにとって “未来”というのは、かなり重要なテーマなのかな。

榎本くるみ:未来……うん、それがいちばんの悩みでもあるんでね。やっぱり未来がわからないから悩んできたし、未来があるから希望を持ったり、夢を持ったり、絶望しそうにもなったし。未来があるから恐いんですよね、生きてくことが。でも、どうなっていくかわからないにしても、生きていくしかないっていうのもあるし(微笑)。一生懸命歌うしかないんだなって思ってるんです、最近。で、歌ってるとやっぱりうまくいかないこともいっぱいあって。だから今は、バーンと落ちてバーンと上がる……そのバーンと上がれるバネを自分の中に貯えようと思ってるんですよね。昨日があって今日があって明日がある……のかどうか、どこまで行くのかわからないけれど、とにかくそういう覚悟だけは決めていこうかなって。

取材・文●赤木まみ

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