芸能生活15周年記念! つんく♂インタヴュー(後編)
つんく♂の作品へのこだわりに迫った芸能生活15周年記念インタヴュー。前編では、ベストアルバム『つんく♂ベスト作品集㊤「シャ乱Q~モーニング娘。」』の話 や、プロデュースということについて、松浦亜弥の楽曲を例に語ってもらった。後編ではさらにモーニング娘。ブレイクの仕掛けや、彼がよく口にする “ロック” について迫る ─── 。
─── モーニング娘。でも、「抱いてHOLD ON ME!」や「LOVEマシーン」で世間は同じような反応をしたと思うのですが、そこもやはり狙いはそういうところにあった?
つんく♂: モーニングの場合は、デビュー曲の「モーニングコーヒー」で、タートルネックに赤いスカートはいて、どっちかというとダサめのイメージで出た子達が「抱いてHOLD ON ME!」で急に都会っぽくなったっていう、そういう驚きがあった。「この子らはこんな曲も歌うんや」もしくは「つんく♂はこんな曲も作るんや」って引っ掛けたんですね。それで今度は「LOVEマシーン」で、また違う方にひっくり返した。今度は徹底的にディスコサウンドに仕上げて、つんく♂はまだこんなの作るんだと。しかもそれを、太陽とシスコムーンじゃなくて、モーニング娘。が歌うんだぞ、と。で、当時、SPEEDやMAXみたいに、かっこいいダンスを踊る子達がたくさんいた中で、そこに対抗してもしゃあない。なので、幼稚園の子も踊れるような、サラリーマンも宴会で踊ってくれるような曲に仕上げていったのが「LOVEマシーン」なんです。
─── ディスコもあり、クラブサウンドもありと音楽の幅も広いですが、それぞれにアレンジャーやミュージシャンを効果的に起用されているのが印象深いです。
つんく♂: ちょうど僕らの世代が、生バンドを分かってる上でシーケンスも使うギリギリの世代なんです。ミュージシャンも、その辺の世代のやつらが一番、機械も使えて演奏もできて。そこから若くなって、30代前半から20代ぐらいのアレンジャーになってくると、生楽器はほとんど使いこなせずに打ち込み中心になってくる。どっちがいいとは言えないけど、グルーヴが出て奇跡が起こるのは、生でレコーディングです。ただ、そんな奇跡は早々起こらない。だったら、確実に打ち込みでピシッとアレンジされてるのもひとつの良さなんで、それはものによって変えてます。
─── ところで、つんく♂さんは“ロック”というキーワードをよく使いますが、つんく♂さんにとって“ロック”とはどういった概念でしょうか?
つんく♂: 心がロックしていると、失敗も成功に転べるんですよ。たとえば、レコーディングで歌を間違えてしまっても、そのテイクが「ロックだな」と思えたらOKなんですね。たとえばそれって、ビートルズ「ア・ハード・デイズ・ナイト」のオープニングに鳴る“ガ~ン”とオープンコードみたいな音。実際はオープンコードであの音は鳴らないんですよ。たまたまギターをひっくり返した時にいい感じの音が鳴ったから、それを使ってみただけだと思うんですね。そういう、本来は失敗なんだけど、そのノイズを面白いなって思わせた人の勝ちであって、僕のレコーディング方法とか生き様も「結果ロックにしてしまえばええんちゃう」っていうのがあります。「LOVEマシーン」で、失敗したときの笑い声を入れたりとか、矢口が曲の途中で「LOVEマシーン」って呟いてたのを最後に使ってみたりとか。福田明日香がああいうノってる時に辞めたいって言い出すのもロックやなあと思うし。でも全部の失敗がロックかと言えば、もちろんタダの失敗もたくさんある。初めから歪ませればいいのかといえば、それは単なるノイズになってしまう。この差がね、難しいんです。
─── そこのサジ加減も、プロデューサーの仕事というわけですね。
つんく♂: そうですね。「あれ、ちょっと失敗したかな?」と思うこともある。でもそれが、結果としてロックになればいい。失敗作も5年後、10年後にひっくり返って、そこからロックが生まれればいいんですよ。
─── それでは、そろろ締めの質問に入らせていただきます。デビューから15周年記念だったわけですが、今後、20周年、30周年と続けていくにあたっての抱負をお聞かせ願えますか?
つんく♂: 時代が求めてるものがあれば、その声になるべく応えていきたいなと思ってます。世の中に足りてないものに応えていく、それがエンターテインメントの仕事だと思うんです。
─── 今後、こんなプロデュースをやってみたいという希望はありますか?
つんく♂: これまでも、自分から「これやりたい」ってやった覚えはあまりないんです。仕事が来て、だったらこうしようかと対応していく。あんまり1つにがっつくと、それ以外のことができなくなる。たくさんやれるのは、僕の性格なんですよ。万遍なくいろんなものを愛してしまうので。
─── それでは、今後もたくさんのアーティストをプロデュースしていかれると。
つんく♂: そうですね。こだわりなく、結果を出していきたいなと思います。
●取材・文 小板橋 英一
●協力 グランドプリンスホテル新高輪
■ つんく♂からのコメント映像も公開!
https://www.barks.jp/watch/?id=1000019634
■ 『つんく♂ベスト作品集㊤「シャ乱Q~モーニング娘。」』CD情報はこちら!
https://www.barks.jp/cdreview/?id=2000450707
■ TNX
■ つんく♂オフィシャル ウェブサイト
─── モーニング娘。でも、「抱いてHOLD ON ME!」や「LOVEマシーン」で世間は同じような反応をしたと思うのですが、そこもやはり狙いはそういうところにあった?
つんく♂: モーニングの場合は、デビュー曲の「モーニングコーヒー」で、タートルネックに赤いスカートはいて、どっちかというとダサめのイメージで出た子達が「抱いてHOLD ON ME!」で急に都会っぽくなったっていう、そういう驚きがあった。「この子らはこんな曲も歌うんや」もしくは「つんく♂はこんな曲も作るんや」って引っ掛けたんですね。それで今度は「LOVEマシーン」で、また違う方にひっくり返した。今度は徹底的にディスコサウンドに仕上げて、つんく♂はまだこんなの作るんだと。しかもそれを、太陽とシスコムーンじゃなくて、モーニング娘。が歌うんだぞ、と。で、当時、SPEEDやMAXみたいに、かっこいいダンスを踊る子達がたくさんいた中で、そこに対抗してもしゃあない。なので、幼稚園の子も踊れるような、サラリーマンも宴会で踊ってくれるような曲に仕上げていったのが「LOVEマシーン」なんです。
─── ディスコもあり、クラブサウンドもありと音楽の幅も広いですが、それぞれにアレンジャーやミュージシャンを効果的に起用されているのが印象深いです。
つんく♂: ちょうど僕らの世代が、生バンドを分かってる上でシーケンスも使うギリギリの世代なんです。ミュージシャンも、その辺の世代のやつらが一番、機械も使えて演奏もできて。そこから若くなって、30代前半から20代ぐらいのアレンジャーになってくると、生楽器はほとんど使いこなせずに打ち込み中心になってくる。どっちがいいとは言えないけど、グルーヴが出て奇跡が起こるのは、生でレコーディングです。ただ、そんな奇跡は早々起こらない。だったら、確実に打ち込みでピシッとアレンジされてるのもひとつの良さなんで、それはものによって変えてます。
─── ところで、つんく♂さんは“ロック”というキーワードをよく使いますが、つんく♂さんにとって“ロック”とはどういった概念でしょうか?
つんく♂: 心がロックしていると、失敗も成功に転べるんですよ。たとえば、レコーディングで歌を間違えてしまっても、そのテイクが「ロックだな」と思えたらOKなんですね。たとえばそれって、ビートルズ「ア・ハード・デイズ・ナイト」のオープニングに鳴る“ガ~ン”とオープンコードみたいな音。実際はオープンコードであの音は鳴らないんですよ。たまたまギターをひっくり返した時にいい感じの音が鳴ったから、それを使ってみただけだと思うんですね。そういう、本来は失敗なんだけど、そのノイズを面白いなって思わせた人の勝ちであって、僕のレコーディング方法とか生き様も「結果ロックにしてしまえばええんちゃう」っていうのがあります。「LOVEマシーン」で、失敗したときの笑い声を入れたりとか、矢口が曲の途中で「LOVEマシーン」って呟いてたのを最後に使ってみたりとか。福田明日香がああいうノってる時に辞めたいって言い出すのもロックやなあと思うし。でも全部の失敗がロックかと言えば、もちろんタダの失敗もたくさんある。初めから歪ませればいいのかといえば、それは単なるノイズになってしまう。この差がね、難しいんです。
─── そこのサジ加減も、プロデューサーの仕事というわけですね。
つんく♂: そうですね。「あれ、ちょっと失敗したかな?」と思うこともある。でもそれが、結果としてロックになればいい。失敗作も5年後、10年後にひっくり返って、そこからロックが生まれればいいんですよ。
─── それでは、そろろ締めの質問に入らせていただきます。デビューから15周年記念だったわけですが、今後、20周年、30周年と続けていくにあたっての抱負をお聞かせ願えますか?
つんく♂: 時代が求めてるものがあれば、その声になるべく応えていきたいなと思ってます。世の中に足りてないものに応えていく、それがエンターテインメントの仕事だと思うんです。
─── 今後、こんなプロデュースをやってみたいという希望はありますか?
つんく♂: これまでも、自分から「これやりたい」ってやった覚えはあまりないんです。仕事が来て、だったらこうしようかと対応していく。あんまり1つにがっつくと、それ以外のことができなくなる。たくさんやれるのは、僕の性格なんですよ。万遍なくいろんなものを愛してしまうので。
─── それでは、今後もたくさんのアーティストをプロデュースしていかれると。
つんく♂: そうですね。こだわりなく、結果を出していきたいなと思います。
●取材・文 小板橋 英一
●協力 グランドプリンスホテル新高輪
■ つんく♂からのコメント映像も公開!
https://www.barks.jp/watch/?id=1000019634
■ 『つんく♂ベスト作品集㊤「シャ乱Q~モーニング娘。」』CD情報はこちら!
https://www.barks.jp/cdreview/?id=2000450707
■ TNX
■ つんく♂オフィシャル ウェブサイト
この記事の関連情報
後藤真希、つんく♂と15年ぶりの再会「次はモー娘。30周年を楽しみに」
つんく♂楽曲網羅したガイド本『ALL THE SONGS OF つんく♂』発売。つんく♂仮歌CD付きLIMITED EDTIONも展開
【対談】つんく♂ vs AI研究者、人工知能は音楽制作の夢を見るか?
寺嶋由芙、新曲は念願のつんく♂提供曲。今夏リリース&生誕ライブ決定
【対談インタビュー】OnlyOneOf「ズルい女」カバーに寄せて。つんく♂×チョン・ビョンギ プロデューサー対談
つんく♂×ボカロP×VTuber、8曲入りAL『でっかい宇宙に歌がある!』リリース決定
つんく♂、小川紗良との対談を2日間連続公開
KEIKO、新曲はつんく♂書き下ろし
坂本龍一×つんく♂、小児がん治療支援チャリティーライヴのテーマソングを共同制作。21組のアーティストが歌唱