──デビュー10周年である昨年は、さまざまなことがあったと思います。
「自分から神輿に乗っちゃった一年というか。ツアーとか、東京ドームでの<Ken's Bar>とか、それぞれ一つ一つは感慨深かったんですが、年が明けてみるとすべてが夢のようで。すっかり遠い昔のことというか。ツアーのこととかも、ある種テンションの高い状態をキープしていたので、記憶が曖昧というか、あまり覚えてないんです。」
──それだけ集中していたんでしょうね。
「そうですね、すごく緊張したり緊迫したり。ぼくは自分を追い込むタイプなので、それが終わると、一気に脱力してしまって。ポカーンと忘れて、空白という感じですね。で、緊張の糸が切れたのか、体調を崩してしまい……。インフルエンザとか、気管支炎とかで、寝込んでは良くなり、寝込んでは良くなりの連続(苦笑)。今回のシングルは、寝込んで起き上がって、レコーディングした2曲といった感じですね。」
──なるほど。でも、今回のシングルは非常にバランスが良いというか、平井さんの魅力がギュっと詰まった作品ですね。
「2曲とも、僕の核となる、いわゆるど真ん中王道ポップスで、一番自分らしくて、書きやすいタイプの曲ではありますね。」
──表題曲の「バイマイメロディー」は、“再出発”をイメージさせられました。
「いや、まったくそういうつもりもなかったんですが、色んな人からそう言われてるので、だんだんそうだったのかなと思い始めています(笑)。“生まれ変わる旅の始まり”というフレーズは、毎回新人の気持ちというか、毎シングルごとにリスタートという思いで。僕はキャリアとか積み上げていくという感覚を、いい意味で信じないところがあるんです。」
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