【インタビュー】Purple Stone、新曲「回転木馬」が描く「時間の流れと変わらぬ記憶」

■“浮世”はもともと“鬱世”という書き方だったそうで
■それが現代、ポジティヴな気持ちが込められた言葉に変わった
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| ▲風麻(B) |
──通常盤Bに収録されている「浮キ世ニ咲ケ」は、ヒリヒリした味わいのロックチューンです。
Keiya:この曲は地獄の合宿中に全員で作りました(笑)。僕たちは結成当初に“いつ寝とんねん?”という過酷な合宿をしたことがあって、その時にできた数曲の中の1曲です。
──それで、ヒリヒリしているとか?
風麻:そうかもしれない(笑)。本当にみんなピリピリしていたから(笑)。
Keiya:あはは。その時からストックしてあった曲で、今回入れたいねと。そのときから少しアレンジを変えたり、歌詞を書き替えたりしたけど、当時の勢いや切迫感みたいなものを反映できた仕上がりになったと思います。
GAK:確かに、とにかく曲を作らないといけないという当時の焦りやギリギリ感がリフとかに出ていますね。今聴くと勢いで弾いたなと自分でも思う(笑)。
──でも、すごくカッコ良いです。それにこういう激しい曲でアコースティックギターをかき鳴らしていることも要チェックです。
GAK:ああ、気づいてくれましたか(笑)。アコギを入れたのは単なる思いつきだったけど、良かったですね。ただ、あのアコギは仮テイクなんですよ。後で弾き直せば良いやと思っていたんですけど、そのまま忘れていて、気づいたら完パケに入ってました(笑)。でも、肩の力が抜けた感じがこの曲には合っているかなと思います。
風麻:この曲はあまりメロディーが動かないので、ベースフレーズはどうしようかなと考えましたね。僕は黒夢の人時さんのベースが大好きなんですけど、この曲にはダーティーなイメージがあったので、黒夢っぽくすることにしました。1990年代後半のパンキッシュな黒夢の感じですね。特にAメロは歪ませた音で機械的なニュアンスを出したかったんです。最初は他のパートを邪魔しないようにクリーンな音でルートを弾いていたけど、メロディーも歌自体もスーッとしているから、楽器陣もシンプルだと流れてしまうんですよ、イントロはあんなに悪そうなのに(笑)。それでベースで悪さを出せないかなと思ってああいうフレーズにしたし、音もいつもより歪ませてます。
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| ▲「回転木馬」通常盤B |
Keiya:ボーカルは今回の3曲の中で一番最後に録ったんです。だから、「回転木馬」のときの“何もしない感じ”を採り入れたいなと。ただ、何もしないと物足りない感じになるんじゃないかという気がして、何度か歌ってみたんですけど、どうもピンと来なかったんですね。僕は歌詞を書き上げた後に、いつも仮歌というか歌の原形みたいなものを録って、そこから詰めていくんですけど、この曲は結局その仮歌テイクを採用しました。
──えっ、本当に?
Keiya:はい。この歌を録った時は言葉をどうやってハメたら一番響きが良いかなということを探しながら歌っていったんです。そういう感じだったから、肩の力が抜けていた。それに、歌詞には結構時間を掛けていたんです。1ヶ月くらいいろいろ考えて、その後1週間くらい掛けて仕上げたから、自分の思っているということが染みついていて。そういう状態で歌ったから、自然と一番楽曲に合う歌い方をした気もします。
──音楽というのは本当に面白いですね。
Keiya:そうなんですよ。元々は全然違う歌詞がハマっていたんですけど、いろいろ考えていたら、“浮世”という言葉が浮かんで。僕は以前から浮世という言葉が気になっていたんです。浮世は元々、“鬱世”という書き方だったそうで、辛いことの多い世の中を表していたものだったらしいんです。それが現代になって浮世に変わって、“定めのない世の中”という意味になった。
──そうなんですね。
Keiya:昔は辛いことが多いという見方をしていた世の中が、現代は辛い時もあれば楽しい時もあるという解釈に変わった。すごく前向きな見方じゃないですか。僕もしんどいことがあった時とかは鬱っぽくなったりするけど、「これは一時のことやで」と自分に言い聞かせたりするから。浮世という言葉には、辛い時期がずっと続くわけじゃないというポジティヴな気持ちが込められていることを感じて、いつか使いたいと思っていたんです。今回は“浮世”をテーマに、“誰かのために強くなりたい”とか“誰かのためにがんばりたい”という気持ちを歌詞に描きました。僕にとっての“誰か”は、ファンだったり、バンドを支えてくれるスタッフだったりするんですけど、そういう感情はいろんなことにリンクするんじゃないかなと思います。









