【インタビュー】パク・ユチョン、『slide』に今だから辿り着いた等身大の思い「迷いながらも選択をして進んでいくことが人生の魅力」

パク・ユチョンが7月1日、約1年ぶりとなる日本3rdミニアルバム『slide』をリリースした。収録曲は全10曲。ユチョン本人が作詞作曲した「ためらい」「Free Tonight」をはじめ、ダンスナンバー「153cm」「Butterfly」「ZONE」といった5曲ほか、それぞれのインストを収録。そのどれもが、恋が始まる瞬間の高揚感や、人生につきまとう迷いさえも前向きに受け止める価値観など、今だからこそ辿り着いた等身大の思いが詰まっている。
人生の移り変わりや自然な流れ、一歩ずつ進んでいくという意味が込められた『slide』だが、注目すべきは、バラエティーに富んだ5曲を表情豊かに歌いこなしたパク・ユチョンのヴォーカルにもある。彼が本来持つ、エモーショナルな歌声や躍動的なラップ、それらが掛け合いのように交錯していくシーンなど、変幻自在なスタイルはこのミニアルバムの聴きどころのひとつだ。
今回のインタビューは、各地でリリースイベントが続く中、その合間を縫って実施した。終始穏やかな笑顔を絶やさず、一つひとつの質問に丁寧に耳を傾けながら、楽曲の制作秘話はもちろん、ファンへの感謝や現在の充実した心境を素直な言葉で明かしてくれたロングインタビューをお届けしたい。
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■全曲ジャンルは違うけれど
■不思議とつながってひとつの作品に
──3rdミニアルバム『slide』は、どのようなテーマで作り始めた1枚ですか?
パク・ユチョン:前作の『Metro Love』よりもさらにいいアルバムにしたかったし、もっと自分の世界観や考えていることを入れたいなと思っていました。スタッフさんとも最初からそういう話をしながら楽曲を作っていきました。
──2曲の作詞・作曲をされていますが、まず、「Free Tonight」はミディアムテンポのラブソングですね。
パク・ユチョン:自分で曲を作るときは、今まで自分の話を書くことが多かったんですけど、「Free Tonight」はそうではなくて。誰が聴いても“ああ、そういう時期もあったな”と感じられるような曲にしたかったんです。ただ…作詞は苦労しましたね。“恋愛の最初の頃”の感覚が、なかなか思い出せなかったんです(笑)。

──Zepp Tour (<PARK YUCHUN ZEPP TOUR 2026 “Yesterday i Tomorrow”>) 東京公演のMCでも、「作詞するときに昔の気持ちを必死に思い返した」とお話されていました。
パク・ユチョン:はい。一目惚れをして、“今、話しかけないと絶対後悔する”っていう、そういう気持ちを表現したかったんですけど……はぁ~っ(笑)。
──確かに、大人になるとその感覚はもう思い出せないですね(笑)。
パク・ユチョン:ですよね(笑)。僕も制作を始めてから“え、どういう気持ちだったっけ?”ってなって、思い出せない自分にびっくりしました。だから、ワンちゃんの散歩で公園に行ったときに、そこにいるカップルを見たりして“ああ、そういう表情をするんだ~”とか思いながら。自分なりに想像したりもして、恋の始まりのワクワクする気持ちを曲に込めました。
──作詞と作曲はどちらが先だったのでしょうか?
パク・ユチョン:まずピアノを弾きながらメロディーを作って、その後に歌詞を書きました。この曲は音程がちょっと低めなのですが、理由は、男性としてのカッコよさを演出するためで。気になる人に勇気を出して話しかけるときって、ちょっと声が低くなるんじゃないかなと思ったんです。
──どこかカッコつけるじゃないですけど。
パク・ユチョン:そうです。それを想像しながら。曲の構成が、いわゆるバース1、バース2…といった分かりやすい展開になっていないのにも理由があって、好きな人の前だと、内容がまとまらないまましゃべっちゃうじゃないですか。気持ちが溢れて、整理ができていない感じを曲構成で表現しました。
──甘いセリフのパートもありますが、こちらは実際にお客さんの前で歌ってみていかがですか?
パク・ユチョン:みんな目をキラキラさせながら笑顔で見守ってくれていて…僕はとても恥ずかしいです(笑)。今の時代って、ストレートな表現が昔より減っている気がするんですよね。だからあえて、その言葉を入れてみたのですが…“好きだよって”と言うのは、やっぱり恥ずかしいです(笑)。

──もう一方の自作曲「ためらい」は、じんわりと心に沁みるバラードです。
パク・ユチョン:この曲は、僕がもともとピアノで作ったときは3分もない短い曲だったんです。でも今回のアルバムで唯一のバラードだから、「しっかりと深く聴かせるバラードにするのはどう?」という意見をスタッフさんからいただいて、他のパートもそれを受けて作り始めました。過去から現在までの自分を見つめて、“昔があるから今や未来がある”という思いを曲に綴っています。
──特にサビの《人に与えられた ためらい まるで プレゼントみたいだよ》というフレーズが印象的です。
パク・ユチョン:“ためらい”って、人間にしかない感情じゃないですか。その時々を本気で生きているからこそ生まれるもので、そう考えるとなんか、プレゼントみたいなものじゃないかなって。
──これまでの人生で、ユチョンさんは“ためらい”も自分に必要なことだったと思いますか?
パク・ユチョン:思います。それがないとちょっとつまらないというか。迷いながらも選択をして進んでいくことが、人生の魅力なのかなと思います。
──ポジティヴな考え方ですね。
パク・ユチョン:たぶん、“自分の人生をちゃんと歩んでいきたい”とか“前に進みたい”という気持ちがあるからこそ悩むんだと思うんです。どうでもいいことなら迷わない。だから僕は今もずっと、何かためらうときは“これはプレゼントだ”というふうに思っています。

──そしてリード曲「153cm」は、色気のあるダンスナンバーです。なぜこのナンバーをリード曲にしようと思われたのですか?
パク・ユチョン:今回のアルバムの中では「Butterfly」という曲を最初にレコーディングして、そのときに「Butterfly」を作ってくれた(芦田)菜名子さんとお話をしながら、菜名子さんの持っている楽曲のストックを聴かせてもらっていたんです。そこで出会ったのが「153cm」で。最初はラップが多めに入っていたんですけど、“普通のメロディーの曲も聴いてみたい”と思ってアレンジしてもらったんですね。それを聴いた瞬間に“あ、この曲をリードにしたい”と強く思いました。前作のリード曲「MOON」とは少し違う夏を表現したくて、「MOON」が昼なら、「153cm」は夜の香りのイメージ。そのセクシーさがいいなと思って、“じゃあCDジャケットはこんな感じがいいな”とか、僕の中でどんどんつながっていきました。
──ちなみに、ファンの皆さんはタイトルの「153cm」の意味がとても気になっているようです。
パク・ユチョン:そうですよね~。実は最初、歌詞にある《Head to toe》をタイトルにしていたんです。“君のすべてが大好き”という歌だから、“頭からつま先まで”という意味にしようかと思ったのですが、ちょっと覚えづらいかなと。それで《Head to toe》の言い換えというわけではないんですが、女性の身長をタイトルにしようと思いました。
──なるほど。でも、なぜ153cmに?
パク・ユチョン:スタッフさんとも相談する中で、「ちょっと小柄な女性のイメージ=153cmだよね」って。僕が結構ギャップが好きなのもあって、曲自体のセクシーさとはすぐに結びつかないのが、それくらいかなと思ったんです。背が高いと普通に想像しやすいし、それだとちょっと面白くないなって。
──リリースイベントでは、多くの人が“153cm”になっているという話も聞きました(笑)。「はーい!」と手を上げて。
パク・ユチョン:はい、みんな153cmです。見た感じ、結構デコボコなんですけど(笑)。

──「153cm」のMVもご自身のプロデュースだそうですね。
パク・ユチョン:これは本当にチームのみんなで頑張って、10バージョンくらいまで修正して、やっと完成しました。現場入りしてからも、監督さんやスタッフさんといろんな相談をしてブラッシュアップを重ねて。楽曲自体は“今現在、愛している”感じなんですけど、MVは“過去の人をずっと考えている”というイメージなんです。ストレートすぎない、どこか仕掛けのあるような作品が個人的に好きなのでそうしました。昔の動画を見返しているシーンは、撮影が一旦終わった後に“こういうのもあったほうがいいんじゃないか”と思って、別で撮った素材を映像に加えてもらいました。
──大胆に胸元がはだけたダンスシーンも見どころですね。
パク・ユチョン:ちょっと恥ずかしいです。サビのダンスシーンは上下デニムの衣装なんですけど、撮影の直前に「中にシャツを着るか着ないか」という話になり。結局、素肌も見えるような状態で撮って。僕はずっと“これ、大丈夫?”と思っていました(笑)。
──改めて、今作『slide』が完成してみての手応えはいかがですか?
パク・ユチョン:前々作の『Where I Walk』からこれまで、どんどん完成度を高められていると思います。楽曲はもちろん、MVやCDジャケットの制作も含めて、すごく成長できたし、勉強になった期間でした。全曲ジャンルは違うけれど、不思議とつながってひとつの作品になっている感じがしたのも、なんだかすごくうれしかったです。







