【ライブレポート】G-FREAK FACTORY、全36本の全国ツアー<HAZE>ファイナルZepp DiverCityワンマンで「見ての通り今が一番最高です」

2025.05.23 12:00

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2024年9月4日にリリースした4年ぶりのアルバム『HAZE』を引っ提げて、10月19日の千葉LOOKから開幕した全国ツアー<HAZE TOUR 2024-2025>が、2025年5月17日、東京・Zepp DiverCityにてファイナルを迎えた。同公演のライブレポートをお届けしたい。

◆G-FREAK FACTORY 画像

「なあ、Zepp DiverCity。遠慮は要らねえよ。やるかやらないか、できるかできないか。 <“HAZE” TOUR>のファイナル。Zepp DiverCityソールドアウト。G-FREAK FACTORY、始めます!」

茂木洋晃(Vo)が誇らしげに言ったとおり、見事、ソールドアウトとなった<“HAZE” TOUR 2024-2025>のツアーファイナルとなる東京・お台場Zepp DiverCity公演。サポートキーボーディストの多畠幸良とともにダビーなジャムセッションから繋げた「アメイロ」の冒頭で“水色に浮かんだ寂れた日の本”とノスタルジックなメロディーに乗せ、歌い上げる茂木の歌声に満員の観客が躊躇することなくシンガロングを重ねた瞬間、アルバムとしては4年ぶりのリリースとなる『HAZE』をひっさげ、8ヶ月に及んだツアーの成功を確信する。それと同時に胸が空くようなと言うか、溜飲が下がるような気がしたのは、今回のツアーの成功が、タイアップを含めメディアにおける露出に頼らずに全国のライブハウスを回ることを自らの本分と考えるロックバンド本来の戦い方の勝利でもあるように思えたからだ。

さあ、あとはその時々に胸に去来するさまざまな感情を曝け出しながら、渾身の演奏を繰り広げるだけでいい。それはG-FREAK FACTORYが最も得意とするところ。彼らはそうやって、キャパ2,400人のライブハウスをいっぱいにできる熱烈な支持を確かなものにしてきたのだし、しかも、ここまで35本、盟友と言えるバンド達と対バンしながらバンドアンサンブルに磨きをかけてきたのだ。よほどのことがないかぎり、その成功が覆ることはない。

「来い! まだ始まっちゃいねえぞ!」

茂木が観客に挑むように声を上げながら、「YAMA」「FOUNDATION」「WHO UNCONTROL」「REAL SIGN」とたたみかけるように繋げていく。“Yeah! Oh!”と茂木と掛け合うように観客がシンガロングした「YAMA」は原田季征(G, Cho)が奏でる緊張感に満ちたリフも聴きどころ。「FOUNDATION」では岩本“leo”怜王(Dr, Cho)が轟かせるトライバルなビートを軸にバンドの演奏は、ひと塊のグルーブになる。観客のダイヴ心に火をつけた「WHO UNCONTROL」はメロディックパンクと思わせ、変拍子も交えながら、ジャジーにもレゲエにもなるところがG-FREAKならではだ。そして、もはやG-FREAKのライブに欠かせないと言ってもいい「REAL SIGN」は三味線の音色を同期で鳴らしながら、茂木と原田が掛け合う呪文のような歌とヒプノティックなグルーヴが観客を陶酔の境地に誘っていく。

アップテンポの曲をたたみかけるように繋げていった、そんな序盤もライブバンドとしての瞬発力を見せつけるという意味で、もちろん見どころだったと思う。しかし、このツアーファイナルの一番の見どころは、やはり「ある日の夕べ」から「HARVEST」まで、「コロナ禍の前から作っていた曲、コロナ禍の渦中に作った曲、コロナ禍が明けてから作った曲が集約されている」という『HAZE』からの7曲を、テンポを落としてじっくりと聴かせた中盤にこそあったんじゃないか。

スウィンギーなイントロとフォーキーな味わいを持つ「ある日の夕べ」、レゲエのみならず、ブルースとプログレも飲み込んだ「RED EYE BLUES」、タイトなバンドアンサブルにキャッチーな歌メロを落とし込んだ「STAY ON YOU」、器の大きさを見せつけたバラード「HARVEST」。それらの曲が豊かなバックグラウンドを持つバンドの、さらなる成熟を印象づけたことは言うまでもないが、曲間のMCでコロナ禍のさなかの、自分が正しいと信じてやっていることさえ悪なんじゃないかと疑わざるを得なかった苦悩を包み隠さずに語った茂木の言葉に胸を打たれたという人も少なくなかったはずだ。

「タンポポの綿毛みたいに風に吹かれ、飛んでいっちまうけど、飛んでいったその先で種になって、花を咲かせたい。このバンドはあそこで一度死んでます。だからもう何も怖くない。ここからまた花を咲かせていこうぜ。そういう曲。それがコロナ禍を経た、俺達の収穫だ」

中でもバンドの起死回生の軌跡を再現するように演奏した「Dandy Lion」と「HARVEST」は、前掲の茂木の言葉と合わせて、この日のハイライトだったと言っておきたい。

「G-FREAK FACTORY、活動28年。見ての通り今が一番最高です!」という茂木の言葉は決して伊達でも何でもない。

「声を出していこうか、ライブハウス!」とライブの流れを変えるように茂木が声を上げ、吉橋“yossy”伸之(B, Cho)が印象的なベースフレーズを奏でながら「Too oLD To KNoW」からなだれこんだ後半戦は、これまでG-FREAK FACTORYのライブで幾度となく熱狂や一体感を作り出してきたライブアンセムの数々とともに「今が一番最高です!」と胸を張るバンドの雄姿を見せつけていく。

「行こうかDiverCity! 来いよ来いよ! 声を聞かせてくれ。<“HAZE” TOUR>に来たって証の声を!」と茂木が求めると、満員の観客が一つになって、“オー!”と声を上げる。そして、「聞こえたぜ!」と茂木は破顔一笑。スライドフレーズを交えながら原田が奏でるギターリフとともに「らしくあれと」に繋げていく。

「疲れたら、俺達のライブに来ればいい。俺達で足りなかったら、10-FEETでもいいし、叱られたくなったら、筋肉に叱られに行けばいい(もちろんTOSHI-LOWのことだ)。それでもダメだったら四星球のライブに行けばいい。きっと何とかなる。今を一生懸命生きていたら、もうちょっとハッピーになれるのかな。助け合ってさ、張り切ってさ。一緒に歌おう」──茂木洋晃

冒頭からフルコーラスを観客が茂木と一緒に歌ったバラードの「ダディ・ダーリン」もまた、彼らのライブを象徴するアンセムの一つだが、そこから「SOMATO」「乞え~KOE~」「BREAK ADDICTION」「Unscramble」とアップテンポのロックナンバーをほぼノンストップ、かつハイテンションで繋げながら、一瞬たりとも集中力が途切れない演奏に改めてバンドの絶好調を感じたことを忘れずに記しながら、もう一度繰り返しておきたい。茂木が言った「今が一番最高です!」は決して伊達などではない、と。

そして、「一緒に燃えていこう!」と茂木が言いながら、本編最後を飾ったのは、胸を打つメロディーを持つアンセミックなロックナンバー「Fire」だった。胸の底から溢れる熱い思いとともに言葉をたたみかけるように歌う茂木の歌は、まさに絶唱という言葉がふさわしい。そして、その絶唱を支え、際立たせるように一音一音に魂を込めながら、タイトな演奏に徹するバンドアンサンブルが美しい。そんなメンバー達を、茂木は「自分の中の一番のライバル」と言った。

「バンドってモチベーションが命なんだけど、それが折れる時がある。その時に誰かが燃えてくれるからここにいる。こいつらが出す音に負けない声を出せるかどうかの勝負。ずっとそうやってきた。自分が燃えていれば、必ず周りも燃えていく。自分が腐ったら、自分の周りも必ず腐る。全部経験してきた。寂しい時代、暗い時代だけど、どうか燃えていてください!」

茂木が語る言葉が胸に染みる。もちろん、自分達にも向けているのだとは思うが、茂木が語った「2年後に迎える30周年は何かやりたいと思っています。それまでみんなどうか達者で。もちろん、俺達もスタッフも誰一人欠くことなく走っていけたらいいなと思ってます」をはじめ、振り返ってみると、ツアーファイナルと謳いながら、バンドの将来を語る瞬間が多かったところが頼もしい。

「<“FLARE/Fire” TOUR>のファイナルをSpotify O-EASTで、<“VINTAGE” TOUR>のファイナルをZepp DiverCityでやって、すげえいい感じだったけど、コロナ禍になったせいで完全燃焼できなかった(前回のZepp DiverCity公演は座席有りのライブだった)。その時からずっと考えていて、<“RED EYE BLUES” TOUR>はO-EASTで、そして今回、ここでやるっていう。これで完全に乗り越えた。これから、もっと上に行くためにやっていくからよろしくお願いします」

吉橋が言う「もっと上」はどこなのか興味は尽きないが、それはさておき、そんな言葉も印象的だったアンコールは、『HAZE』収録の「Parallel Number」に加え、「EVEN」「日はまだ高く」の3曲を披露した。「Parallel Number」は茂木が「地元の仲間」と呼ぶサッカー元日本代表、現ザスパ群馬代表取締役兼GMの細貝萌をインスピレーションに作ったというエピソードもさることながら(この日、茂木は細貝から借りてきたユニフォームにキャプテンC(腕章)を付け、この曲を歌った)、ダンサブルなキックの4つ打ちと同期で鳴らしたストリングスが新境地とも言える洗練を印象づけるバラードという意味でも聴きどころだった。しかし、それ以上に聴きどころ、いや、見どころだったのがポップなレゲエナンバー「日はまだ高く」だ。

「子供達いるか?」と茂木が客席にいる子供達を十数人、ステージに上げ、「大人達の笑顔も捨てたもんじゃないだろ」と観客達がフロアで踊る姿を見せたのは、将来は決してしんどいことばかりじゃないと言外に伝えたかったからなんじゃないか。

自分達のバンドの未来はもちろんだが、この国の在り方に辛辣な言葉で疑問を投げかけながら、G-FREAK FACTORYはこの国の未来を決してあきらめてはいない。ちょっと大袈裟かもしれないけれど、そんなことも思った大団円。「<“HAZE” TOUR>大成功!」という茂木の声が弾んだのだった。

取材・文◎山口智男
撮影◎上坂和也

■<“HAZE” TOUR 2024-2025>5月17日(土)@東京・Zepp DiverCity セットリスト

01. アメイロ
02. YAMA
03. FOUNDATION
04. WHO UNCONTROL
05. REAL SIGN
06. ある日の夕べ
07. voice
08. RED EYE BLUES
09. STAY ON YOU
10. ALL FOR SMILE
11. Dandy Lion
12. HARVEST
13. Too oLD To KNoW
14. らしくあれと
15. ダディ・ダーリン
16. SOMATO
17. 乞え -KOE-
18. BREAK ADDICTION
19. Unscramble
20. Fire
encore
21. Parallel Number
22. EVEN
23. 日はまだ高く

■G-FREAK FACTORY主宰<山人音楽祭 2025 ~10th Anniversary~>

9月20日(土) 群馬・日本トーターグリーンドーム前橋
9月21日(日) 群馬・日本トーターグリーンドーム前橋
〒371-0035 群馬県前橋市岩神町1-2-1
open9:30 / start11:00 / 終演20:00※予定
▼出演者 ※五十音順
Age Factory / 片平里菜 / かりゆし58 / 氣志團 / KOTORI / G-FREAK FACTORY / J-REXXX BAND / SHANK / JUN SKY WALKER(S) / 四星球 / 竹原ピストル / 10-FEET / TOTALFAT / バックドロップシンデレラ / 花冷え。 / ハルカミライ / HAWAIIAN6 / Hump Back / BRAHMAN / HEY-SMITH / The BONEZ / 山嵐 / locofrank / ROTTENGRAFFTY / …and more!!
▼チケット
・1日券:9,500円(税込)
・駐車場付 1日券(9/20):11,500円(税込)
・駐車場付 1日券(9/21):11,500円(税込)
・2日券:18,000円(税込)
・駐車場付 2日券:22,000円(税込)
※駐車場付チケットは先行受付のみの取り扱い
【オフィシャルHP3次先行】
受付期間:5月17日(土) 12:00~6月4日(水) 23:59
受付URL:https://w.pia.jp/t/yamabito25/
受付対象券種:2日券/駐車場付2日券
(問)DISK GARAGE https://info.diskgarage.com
主催:DISK GARAGE/BADASS/上毛新聞社
企画・制作:DISK GARAGE/BADASS

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