【インタビュー】RAZORS EDGE、結成30周年と『SUPER RED』に溢れ出る“軽い!楽しい!”「メンバーみんなでエンタメをポンと出す、それが今回の作品」

「速い!美味い!短い!」というのがニューアルバムにまつわる惹句だが、付け加えるならば「軽い!楽しい!」、そして「これで30周年ってどういうこと?」になるのだろう。1996年、今から30年前に大阪で産声を上げたレイザーズ・エッジは、奇跡的な身軽さと明るさを失うことなく、またメンバーチェンジの苦労や加齢による衰えを感じさせることもなく、今なおハイテンションなスラッシュハードコアで走り続ける。本当にいい意味で、ここまで重みも貫禄も出てこないバンド、どこを探してもいないんじゃないかとすら思う。
7枚目、11年ぶりのフルアルバム『SUPER RED』のリリースを記念して、リーダーでありバンドの頭脳であるケンジ・レイザーズ(Vo)にたっぷりと語ってもらった。

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■やっぱ雰囲気は変わる
■大学生のサークルみたいな感じ
──まずはメンバーが変わった話からお聞きします。ツインギター体制になったのが2019年です。
KENJI RAZORS:はい。まぁTAKAくん(G / BURL)といい時代を築かせてもらって、楽しく4人でバンドやってた時期があったんですけど。TAKAくん抜けて、SATOJI(G)がヘルプで入って『THRASH e.p.』(2017年)を作って。そのSATOJIも辞めるって決まって……まぁギターを探しましょうってことになるんですけど、その前にまず「続ける?」って話をしたんですよ。俺とMISSILE(B)とKRASH(Dr)で。
──もう終わっても致し方なし、という気分だった?
KENJI:うん。俺はもう、8年くらいカレー屋さんじゃないですか(注:自身が経営するスパイスカリー店『ハルモニア』)。おかげさまで忙しくしてるし、みんながやる気ないんやったら辞めてもいいかなって。人間性も含めていいギター見つからないと、みっともなく続けるのもアレやしなと思ってた。でもきっちゃん(KRASH)はライブハウス運営してるんで、いろんなコネクションを持ってるんですよ。「いや、見つけてくる。まだやりたい」って言うし、MISSILEも「続けましょう」って言ってくれたんで。じゃあやろうか、と。

──そこで白羽の矢が立ったのがToshikiさんとHATAKENさん。
KENJI:そう。一回ずつスタジオ入って「どっちにする?」って話になるんですけど、どっちにもよさがあって、どっちにもやる気があったから。どっちかを断ることに心が傷む。「じゃあ2人入れよっか!」ってことになって(笑)。
──2人はどういうルーツのギタリストなんですか。
KENJI:HATAKENは俺の10コ下で。ロック系のバンドをずっとやってて、パンク/ハードコアのシーンとはまたちょっと違うところにいてる奴。でも俺らのことも知ってるような、いろんなところに目を向けてる人間で。それできっちゃんの目に留まったんですね。人間性もいいし、真面目やけど天然でもあって。
──Toshikiさんは。
KENJI:Toshikiはメタル系でめちゃ弾けるタイプ。俺の20コ下で、言うたら子供みたいな年齢やけど、若いだけあって感覚がすごく鋭くて。それまでの音源もギターダビングしてツインにしてる箇所もあったから、いざツインでライブしてみるとすげぇ面白いなと思って。音も分厚くなるし、2人ともギターの音作りに関しては試行錯誤を続けてくれたから。
──フレーズは彼らに任せてます?
KENJI:そうですね。俺も細かく言わなくなってる。「Toshiki、ここなんかピロピロ弾いといて」みたいな。出てきたものに対しても「あ、いいね」って。


──昔、ケンジさんが細かいところまでひとりで作り込んでたじゃないですか。
KENJI:はい。がっつりね。今はだいぶ手を離れてて「こう弾け、ドラムこう叩け」とか言わなくなってる。もちろん気になるところはある程度指示してるけど、けっこうメンバーに任せてるかな。
──作曲に対する感覚が変わってきたんですか。
KENJI:自分がそこにそんなに時間を使えない。スタジオに入れる時間もそんなに作れなかった。カレー屋さんのせいで(笑)。その中でどういうふうにやるかって言うと、やっぱ任す。で、任すと面白いフレーズが出てくるからね。
──バンドの空気も変わるんじゃないですか?
KENJI:あ、やっぱ雰囲気は変わる。4人のバンドでひとりギターが変わるのと、3人の中に新しい2人が入ってくるのではバランスが全然違って。なんか大学生のサークルみたいな感じになってる。
──ウェイウェイする感じ?
KENJI:もともといる3人ってもう熟年夫婦みたいなノリで、いちいちいらんこと言わへんように過ごしてるから。そこにいい意味でワチャワチャした感じが出てきた。だからもっと早く作品を出せばよかったんでしょうけど、まぁコロナもあったし。コロナ中はほんとスタジオも入らず、バンド活動は完全に止まってましたから。


──潔いなと思いましたよ。ほとんどのバンドが配信なんかで試行錯誤してる時期、レイザーズはなんでこんなキッパリと「何もしない」って言い切れるのか。
KENJI:あぁ……そっか。
──しかもきっちゃんは一億円の借金背負って。それも笑い飛ばしてるから、ちょっと信じられなかった。
KENJI:いや、そこはね、レイザーズならではですよね?
──……そういうもんですか?
KENJI:バンドで食うっていう頭がもともとないんですよね。コロナ来て「じゃあどうする?」ってなった時に「モッシュもダイヴもないとこでライブしても楽しくないよね」「それはもうレイザーズ・エッジじゃないからやめよ。ライブせんとこ」って。それで<STORMY DUDES FESTA>(主催サーキットイベント)も止めて。だから、コロナが明けだした頃に、きっちゃんがやってる<新世界フェス>でむちゃくちゃやったんですよね。板を持ってきて、その上に俺が乗って、めちゃくちゃダイヴするみたいな。コロナじゃありえへんかったことばっかりやって「これがレイザーズ解禁、俺たちの証やで!」みたいな。やるからには以前と変わらないようにしたかった。
──コロナ中、ライブができないのが苦しいと思うことは?
KENJI:なかったですね。ライブをしたいっていう欲求、若い時はめちゃくちゃあったけど。年取って来ると、モノを作りたいとか、なんか表現したいっていう方向に変わってくるじゃないですか。もちろんライブが楽しいのは当然やけど、この状況でライブやっても絶対楽しくねぇだろうなってわかってたから。そこはもうドライに割り切れた。で、そのぶんモノを作る喜びっていうのは、カレー作ってることで満たされてたのかな。個人的なクリエイティヴな欲は。
──あぁ、スパイスの調合を日々変えたりして。
KENJI:そうそう。そうなんですよ。で、コロナが収まった頃に「じゃあこの欲求をレイザーズの曲にボーンと出していこうぜ!」ってなったかというと、まったく書いてないんですよ(笑)。

──ケンジさんのレイザーズ・スイッチはいつ入るんですか?
KENJI:いい質問ですねぇ。
──AIみたいな言い方を(笑)。
KENJI:ははは! 言うたら今年が30周年じゃないですか。遡ること2〜3年前くらいからきっちゃんにはめちゃくちゃ言われてたんですよ。「30周年、ちゃんとなんかやったほうがいいですよ!」って。俺は「うーん、そやなぁ」って逃げ続けてたけど、去年の年明けか、ようやく「あ、来年出さなアカンってことはあと1年か」って気づいて。そこから急にスケジュール考えて、スタジオ押さえるとか、レコーディングの日程も決めていった。
──決めてしまえば積極的にできました?
KENJI:うん。ずーっと事あるたびに「30周年、30周年」って言われてたから。わかってる、わかってるから、そんな嫁みたいなこと言うなと思ってて(笑)。きっちゃんが言ってくれなかったら、30周年っていう記念的な年もスルーしてたかもしれない。だからきっちゃんのおかげです。







