【速レポ】<中津川 WILD WOOD 2026>Hump Back、「今日はアンタに 歌いに来たぜ!」

2026.09.19 17:57

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「家事! 育児! ロックンロール!」、ライブ中盤にそう林萌々子(Vo, G)が叫んだ。メンバー3人とも一児の母。これほどまでに痛快な二つ名はないような気がする。その言葉通り凄まじい熱量を飛ばし、観客と大いなる共鳴を起こしたのがHump Backだ。

サウンドチェックの段階から飛ばしていくと宣言してから、置いていかれないように、と投げかけるのもまた良し。ロックバンドたるもの、どうですか、と探る素振りは無用。これでどうだ、と突き刺してくるのがたまらないのだ。

ステージ中央でメンバー3人が拳を合わせ、「シルバーウィーク、ライヴハウスとかこういうところに来るヤツにマトモなヤツはひとりもおりません! どうあがいてもしゃあないんで、みんな今日は踏み外していきましょうー!」と林が叫び、まずは「番狂わせ」を繰り出していく。やっちまおうぜ、という号令から「God Saves The Queen」がよぎるイントロというのもいい。ぴか(B, Cho)も飛び跳ね、走り回り、フロント2人を支える美咲(Dr, Cho)が叩き出すリズムもパワフルだ。初っ端から炸裂する3人を見せようと、小さな娘を担ぎ上げるお父さんも目に入る。強くあれよ、と願いを込めたのかはわからないが、どうしようもなく惹きつけられるモノがそこにあるのだ。

甘美でしなやかなハイトーンボーカルを響かせた「恋をしよう」を鳴らせば、後方にいる観客もどんどん吸い寄せられて前方へ。何かが起こっている、遠くからでもそこが伝わっているのだろう。

そんな客席へ「調子どうですか? ウチらは絶好調! 遊ぼうぜ!」と焚きつける言葉を林が投げかけつつも、次にセレクトしたのは「ボイーズ・ドント・クライ」。勢いよく突っ走るのかと思いきや、音ひとつひとつを深く響かせるスローナンバーだ。ガラッと色味は変われど、その移行が何ともナチュラルでシームレス。違和感などなく、スッと入っていく。現場で磨き抜いたタイム感やニュアンスが成せる技に違いない。

林が「こんな最高なフェスが毎年開催されてたなんて、知らなかったんだけど! やっと出会えた!」と駄々っ子のように話した後、幅広い年齢層が集まる<中津川 WILD WOOD>ということで「ずっと若者の方に向かって歌ってたんですけど、自分たちの世代や少し上の先輩、もっともっと上の先輩の歌も歌いたいと思って。今日はピッタリかな、と」と言葉を続けてプレイしたのが「明るい葬式」だった。タイトルで誤解を招きたくないと、死ぬまで最高に遊ぼうぜ、死に方は生き方や、という曲だと説明を付け加えたこともあり、その混じりっけのない想いが見る見るうちに観客へ浸透。初めて彼女たちと触れたであろう観客もリズムに合わせて足を踏み鳴らし、いいじゃないか、と手を挙げる。心が温かくなる光景でもあった。

「大人がしけたツラしてたらダメなんでね。オモロい大人ですよ、と言って歯を食いしばって若者にええかっこしましょうね」と林が語りかけ、そのままギターを軽く鳴らしながらフリースタイルで改めての挨拶を続ける。この日出会ったことの感謝、ライヴハウスへの誘い、つぶやくように染み込ませるように自然体で歌っていった最後、核となる部分を林が叫んだ。

「今日は中津川……じゃなく! アンタに、アンタに、 歌いに来たぜ!」

この言葉を浴びて以降、何だかさっきよりも会場の気温が上がったようにも感じたが、それは気の所為ではなかったのかもしれない。小気味よい「オーマイラブ」、まっすぐ飛び込んでくるロックンロールナンバー「ティーンエイジサンセット」と続く中、「ライブハウスで観るHump Backがいちばんカッコいいんですよ。なので、今からここをライブハウスに変えちゃいたいと思います」と林が叫び、さらに踏み込まれるアクセル。観客もこれでもか、と声と汗を飛ばし、その密度の高まった客席へ投下された「僕らの時代」も大盛況。

そこへ「ロックンロールは勘違いなんで、ここにある歌全部、自分たちの為だけにあるって勘違いして帰ってください」と林が伝え、なだれ込んだのが「拝啓、少年よ」だ。この曲はどれほど折れそうな心を支えてきたのか、拳をギュッと握りしめる力をくれたのか──それぞれが自分の歌として皆々が大合唱。フェスだからこその人数で生まれるパワーも凄かった。

弾き語りスタイルで林がポエトリーリーディングのように改めて想いを伝えてから、ラストナンバーとして披露したのは「橙光」。どっしりとゆったりと、これが好きでしょ、と差し出すのではなく、あくまで自分たちの信念を貫くスタイル。ライヴハウスの彼女たちはもちろん最高だが、木々に囲まれ風に吹かれながら、魂の共鳴を求める彼女たちも本当にカッコよかった。

取材・文◎ヤコウリュウジ
撮影◎ハタサトシ

■セットリスト 【Fools Gold】
1.番狂わせ
2.恋をしよう
3.ボーイズ・ドント・クライ
4.明るい葬式
5.オーマイラブ
6.ティーンエイジサンセット
7.僕らの時代
8.拝啓、少年よ
9.橙光

◆【特集】<中津川 WILD WOOD>クイックレポート

 

■<中津川 WILD WOOD 2026>
9月19日(土) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
9月20日(日) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
〒509-9132 岐阜県中津川市茄子川1683-797
open10:00 / start11:00 / 21:00終演予定
▼出演アーティスト ※A-Z順
【9/19(土)】
10-FEET / dustbox / GLIM SPANKY / Hump Back / JUN SKY WALKER(S) / 神はサイコロを振らない / KREVA / 黒夢 / Lucky Kilimanjaro / Omoinotake / Original Love & CADEJO / Penthouse / 礼賛 / レトロリロン / スガ シカオ / 水曜日のカンパネラ / 東京スカパラダイスオーケストラ / ユニコーン / 水平線(Opening Act)
【9/20(日)】
浅井健⼀ / THE BAWDIES / THE CHERRY COKE$ / FLYING KIDS / HEY-SMITH / 黒木渚 / moon drop / ねぐせ。 / 日食なつこ / Nothing’s Carved In Stone / OKAMOTO’S / サバシスター / 聖飢魔II /ストレイテナー / 竹内アンナ / 土岐麻子×和田唱×川口大輔 / w.o.d. / ヤバイTシャツ屋さん / ヤングスキニー / 板歯目(Opening Act)