【インタビュー】aiko「音楽の中で好きなことをやりたいし、思う存分、余白も楽しみたい」

2026.01.27 19:00

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aikoの47thシングル「Cry High Fly」。オフィシャルインタビューにて「音楽の中でいろんなことに挑戦したくなる気持ちが強くなっているんですけど、それがちゃんと詰め込めた作品」だという。

グルーヴィーなサウンドが特徴の表題曲「Cry High Fly」、ロマンチックな仕上がりの「大切だった人」、リズムが象徴的で自然と乗ってしまう「消しゴム」が収録されており、そのどれもが“身近でどこか知っている感情”をaiko節で描写している。つまり、新たな音楽的挑戦を詰め込みつつ、いつも通り感情に寄り添ってくれる充実した楽曲群だ。

今回、そんな本作より、収録曲についてaikoに語ってもらうことができた。

   ◆   ◆   ◆

──新曲「Cry High Fly」は、どんな流れで生まれたんですか?

aiko:歌詞自体は少し前からあったんですよ。《ひとつひとつやっつけて消えてしまおう》っていう頭から全部書いていった感じで。それを曲にしたのは去年の9月でした。どこのメロディから出てきたかはちょっとあいまいではあるんですけど、でも言葉にすごく引っ張られる作曲だったことを覚えています。《Cry High Fly》の部分はもうあのメロディしかなかったというか。「このメロディで歌いたい!」ってすごく思いながら作っていました。

──タイトルでもある《Cry High Fly》のフレーズはかなりインパクトがありますよね。

aiko:それもすごく自然に出てきたんですよ。昔は英語とか英単語を使うことに少し抵抗があったんですけど、活動を続けてきた中でそれがだいぶなくなってきて。だから今回もふわっと出てきました。

──リリースが発表された後、aikoさんはこの曲について「泣きすぎて自暴自棄になってしまったときの曲です」とライブのMCでお話されていましたよね。

aiko:そうですね。自分の中ではすごく泥臭い感情というか、ちょっと演歌みたいな感覚があるんです。ただ、それをそのまま恨み節みたいな曲にしてしまうと超痛い女子みたいになってしまうので(笑)、サウンドは華やかにしました。

──今おっしゃった「泥臭い感情」の表現の仕方に、すごくaikoさんらしさを感じたところもあったんです。自暴自棄になってやりきれない感情はもちろんしっかり伝わってくるんですけど、でも1曲としてめちゃくちゃやさぐれた表現にはなっていないじゃないですか。そこがすごく心地いいところでもあって。

aiko:確かにドロッとした感情って、そのまま書いても自分の中で消化されないんです。例えば「ばいば──い」のようにそういう感情をグワーッと書いた曲もあるんですが、ああいう形で1曲になるのって自分の中では奇跡のようなものだったりもして。基本的には、ドロッとした感情をそのまま書くと、自分の中にある泥は洗い流されない。だから、その感情を自分なりに変換して言葉にしていくんですよね。

──今、シーンの中には病んだ感情をストレートに吐き出す曲も多いけど、でもaikoさんはそういうタイプではないですよね。

aiko:私の場合、あんまり細かく説明したくないんだと思います。細かく説明することで刺さりやすい部分はもちろんあるとは思うんですけど、それよりは聴いてくれた人ごとに感じたことを重ねて欲しいんです。だからあまり言いすぎないようにしてるんですよね。

──聴き手が想いを重ねられる余白を大事にしているとも言えますね。

aiko:そうですね。最近、スタッフさんとも「余白って大事だよね」って話をよくするんです。今の世の中、ほんとにいろんなことが厳しくなってますよね。 言ったら“冗談”だって余白だと思うんですが、それさえも「ここまでしかダメです」みたいな感じになってるわけで。でも、音楽の中にはそういう制限は一切ないと自分では思っているんです。だから、音楽の中で好きなことをやりたいし、思う存分、余白も楽しみたいんですよね。

──曲に関しては、平メロとサビでノリが変わるのが印象的ですよね。

aiko:デモの段階では全部、跳ねたシャッフルのリズムで作ってたんですけど、ちょっと雰囲気を変えたいな、もうちょっと気持ちを上げたいなと思ってアレンジャーの島田(昌典)さんに相談して。そこでAメロとBメロをエイトビートにするアイデアをいただいて。それによってサビに向かっていく流れがより素敵になったと思います。リズムのノリを変えたことで、メロディに対してのアクセントのつけ方も変わってきたりするのがすごく楽しかったです。

──ボーカルレコーディングはどうでしたか?

aiko:メロディの高低差がけっこうあって。それがかなり大変でした。レコーディングで1回歌い終わると、「はあああー歌ったな!」って噛みしめる感じでした(笑)。ほんまに大変やったけど、その大変が楽しかったです。難しい曲ですがライブでもみんなと楽しい景色を見たいからしっかり頑張りたいです!

──ちなみにaikoさんは歌詞のように気持ちが《ぺしゃんこ》になってしまうときってあったりするんですか?

aiko:めちゃくちゃあります。そうやってぺしゃんこになったときは自分自身で解決するしかないので、どうにか頑張るんですけど。でも超底辺まで落ちるくらいダメになることはけっこうあります。

──自暴自棄にならず、その状況からどう抜け出すのかが気になるところですが。

aiko:ぺしゃんこな気持ちを乗り越えるために何かを書くことが多いかもしれないです。絵を描いたりとか、自分のダメなところを文字にして手帳に書いたりとか。とりあえず頑張って、で、《帰ったら寝よう》っていう(笑)。

──歌詞の通りに(笑)。あとは曲に感情を落とし込むことも救いになっているところがありそうですよね。

aiko:それもめっちゃあります。音楽があってよかったなって本当に思います。人によって気持ちの発散のためにやることっていろいろあるじゃないですか。編み物を無心でやるとか、いっぱい食べるとか、わーっと声を出すとか。私の場合は曲に想いをぶつけるのが一番かもしれないです。そうやって作った「Cry High Fly」が、今まさにツラい想いをしている人にとっての何かの発散になってくれたらいいなって思います。曲を聴き終えた後に、ちょっとすっきりするみたいな感じになってくれたら本当に嬉しいです。

──シングルの2曲目には「大切だった人」が収録されています。

aiko:これも《思い出してる頃だといいな》っていう頭のフレーズからできて。まずワンコーラス分、歌詞を書いた後にちょっと時間を置いて、去年の夏くらいに1曲にしました。本当は何もかも忘れてしまっているかもしれないけど、でもふとした瞬間の景色や匂いで自分のことを思い出してくれているかもしれないなっていう、自分本位に勘違いをしている気持ちを僕目線で曲にしました。

──誰しもこういう感情になることってありますよね。《泣き止んでる頃だといいな》とか思ってしまいがち。実際はまったく泣いていないかもしれないのに(笑)。

aiko:そうですね。「誰目線やねん!」っていう(笑)。でも私は、相手の人にはそう思ってていて欲しいというか。自分の願いでもあるんですよね。私が書く“僕目線”の曲は、自分がそうだったらいいなと思っていることを書くことが多いんですよね。

──aikoさん自身が《思い出してる頃だといいな》と思うことはないんですか?

aiko:それがね、曲を書いていくうちにちょっと変わっていくんですよ。最初は相手が自分に対して抱く「思い出していてくれたらいいな」という気持ちで書いてるんですが、徐々に自分がそう思っているみたいな気持ちになっているというか。今もまだ好きでいて欲しい、私のことをすごく思っていて欲しいっていう気持ちに変わっていくんです。2コーラス目のAとBはまさにそういう気持ちで書いたような気がします。

──へえ! その感覚はおもしろい。この曲の“僕”にはまだ未練がありそうだけど、でも“大切だった人”と自覚することで前へ進もうとしている印象がありますよね。

aiko:“大切だった人”にすることで、自分の中にある気持ちを収めている、整理しようとしているんやと思います。

──なるほど。aikoさんのレパートリーには女性目線で紡がれた「大切な人」(2014年リリースのアルバム『泡のような愛だった』収録)という曲がありますよね。あれも言わば“大切だった人”への想いを歌った曲でしたけど、“大切な人”と歌われることで今もなお想いが募っている印象があって。でも「大切だった人」は過去形になっているから多少は吹っ切れているのかなと想像したんですよね。

aiko:そうですね。実際のところはわからないですけど、自分の中ではそこが女子と男子の違いなのかなっていう気がします。「大切だった人」は男子目線で書いたので、そういうニュアンスが出たんじゃないかなって。そんな感覚で書きました。

──アレンジは川嶋可能さん。すごくムードのあるサウンドが曲にマッチしていますね。

aiko:すごくロマンチックな仕上がりにしていただきました。川嶋さんの場合、「こう来たか!」っていうアレンジがすごく多いんですよ。今回もまさにそうで、ブラスや大サビ後のピアノのアレンジにすごく川嶋さんらしさを感じました。この曲のピアノは渡辺シュンスケさんが弾いてくださったんですけど、その音色がまたほんとにステキで。寒い冬の雰囲気があって、凛としたイメージが浮かびました。

──そして3曲目に収録されているのが「消しゴム」。めちゃくちゃ楽しい曲ですね。

aiko:やった。嬉しい! 曲作りを始めたとき、イントロでニューオーリンズのリズムがパッと浮かんだんですよ。そこから一気に作っていきました。曲の中でいろいろわちゃわちゃ遊びたいなと思いながら。

──サビでロカビリーな雰囲気になるのもおもしろいですよね。

aiko:それも作ってて自然と浮かびました。《消しゴムの角を使って良いのは あなただけ》っていうフレーズが呼んでくれたのかもしれないです。家でデモを作ってるときから1人でめっちゃ楽しんでましたね。

──クラップや“フー!”というガヤも入っていますよね。

aiko:クラップはアレンジャーの島田さんが入れて “フー!”に関しては、一人でちょっと遠くにいるバージョンとか、グッと近いバージョンとか、いろんな“フー!”を入れました。ライブではぜひみんなに言って欲しいです!

──サウンド同様、aikoさんの歌声にも楽しさが満ち溢れてますね。

aiko:めちゃくちゃ楽しかった……楽しかったんですけど、テンポが速いから“消しゴム”が“きしゴム”になっちゃいがちなんですよ。でもそれ以外はほんまに楽しいしかなかったですね。歌詞の内容に気持ちを押してもらいながら歌えたところもありましたし。だって、普段の生活の中で《このメロディーは止まらない》とか言わないじゃないですか(笑)。でも曲の中では自分の背中を押したくて、そういうフレーズを使ったので、思いきり気持ちよく歌いました。

──この曲にマッチしてますしね。しかも、この“メロディー”というワードは、自分にとっての大事なものの象徴としても聴けますよね。“恋”というものに置き換えられる気もしますし。

aiko:そうですね。言ったら、自分自身みたいなことでもありますよね。“自分を止めたくない”みたいな想いを込めて書いたところはあったと思います。

──しかし、身近なものから普遍的で他にない楽曲を紡ぎ出すaikoさんのクリエイティビティには唸らされるばかりです。

aiko:“消しゴム”って、SNSとかでたまにある“aikoの歌詞のタイトルでありそうなやつ”で出がちなイメージですよね(笑)。でも実際にはまだ使ったことがなかったので、今回曲にしました。

──消しゴムの角を他人に使われたくない気持ちって、絶対みんな一度は抱いたことがあると思うんですよ。それを曲として引き出せる感性がほんと素晴らしい。

aiko:たぶん、頭の中がずっと中学生なんやと思います(笑)。昔、腕に好きな人の名前を書いてバンドエイドを貼って、3日間消えなかったら両想いになれるとかあったじゃないですか。そんなん実際はなれるわけないんやけど(笑)、でもそういうのがずっと好きですし、そういう気持ちが今も大事なんですよね。「このゲーム、1回でクリアできたら絶対いいことがある!」とか、未だにやってますから(笑)。

──最高です(笑)。「消しゴム」のラストには超絶ロングトーンも待ち構えていて。全編通して楽しい高揚感に包まれる1曲だと思います。

aiko:ありがとうございます。この曲はほんとにひょうきんな曲にしたかったので、あのロングトーンもデモの段階からやってたんです。レコーディングでもカラダの中にある息を全部使い切る感じで歌い切りました。その後のフェイクも、リズム録りのときに仮でやったものが上手くハマったので、それを本番のレコーディングでもいい形で落とし込むことができました。最初から最後までずっと楽しかったです(笑)。

◾️47thシングル「Cry High Fly」
2026年1月14日(水)リリース
購入:https://aiko.lnk.to/47thSG

初回限定仕様盤
通常仕様盤

▼オフィシャルインタビュー
https://www.aiko.com/discography/?id=110

○初回限定仕様盤A(CD+Blu-ray)
品番:PCCA-15043 価格:3,960円(税込)
○初回限定仕様盤B(CD+DVD)
品番:PCCA-15044 価格:3,960円(税込)
○通常仕様盤(CD Only)
品番:PCCA-15045 価格:1,320円(税込)

▼CD収録内容
M1,Cry High Fly
M2,大切だった人
M3,消しゴム
M4, Cry High Fly (instrumental)

▼Blu-ray/DVD収録内容
aiko Live Tour「Love Like Rock vol.10」
1.beat
2.アンコール
3.ジェット
4.舌打ち
5.あたしのせい
6.鮮やかな街
7.ぶどうじゅーす
8.ホーム
9.ガラクタ
10.願い事日記
11.星の降る日に
12.微熱
13.サイダー
14.キラキラ
15.好き嫌い
16.あたしの向こう
17.skirt
18.相合傘
19.好きにさせて
20.相思相愛
21.果てしない二人
22.シネマ
-ending-

特典映像:「Love Like Rock vol.10」behind the scenes
福音声:aiko

▼47th Single「Cry High Fly」初回限定仕様盤
予約購入先着特典:「Love Like Rock vol.10」パスステッカー
※通常仕様盤には上記特典はつきませんのでご注意ください。
※全国のCDショップ、WEBショップにて2026年1月14日(水)発売「Cry High Fly」初回限定仕様盤をご予約・ご購入のお客様に、先着で上記オリジナル特典をプレゼント。
※特典は数に限りがございますので、発売前でも特典プレゼントを終了する可能性がございます。
※一部取り扱いの無い店舗やウェブサイトがございます。ご予約・ご購入の際には、各店舗の店頭または各サイトの告知にて、特典の有無をご確認ください。

▼aiko『Cry High Fly』発売記念 × タワーレコード渋谷店移転30周年記念施策
https://www.aiko.com/topics/?id=7947

◾️<aiko Live Tour「Love Like Pop vol.25」>
2026年1月15日(木) 東京:J:COMホール八王子
2026年1月16日(金) 東京:J:COMホール八王子
2026年1月21日(水) 静岡:アクトシティ浜松 大ホール
2026年1月24日(土) 広島:上野学園ホール
2026年1月25日(日) 広島:上野学園ホール
2026年1月30日(金) 愛媛:松山市民会館 大ホール
2026年1月31日(土) 香川:レクザムホール
2026年2月8日(日) 茨城:水戸市民会館 グロービスホール
2026年2月10日(火) 埼玉:大宮ソニックシティ
2026年2月11日(火祝) 埼玉:大宮ソニックシティ
2026年2月27日(金) 福岡:福岡サンパレス ホテル&ホール
2026年2月28日(土) 福岡:福岡サンパレス ホテル&ホール
2026年3月4日(水) 東京:東京ガーデンシアター
2026年3月5日(木) 東京:東京ガーデンシアター
2026年3月12日(木) 滋賀:滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール
2026年3月14日(土) 兵庫:アクリエひめじ 大ホール
2026年3月15日(日) 兵庫:アクリエひめじ 大ホール
2026年4月5日(日) 鳥取:米子コンベンションセンター
2026年4月8日(水) 大阪:フェスティバルホール
2026年4月9日(木) 大阪:フェスティバルホール
2026年4月19日(日) 秋田:あきた芸術劇場ミルハス 大ホール
2026年4月23日(木) 愛知:Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール
2026年4月24日(金) 愛知:Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール
2026年5月3日(日) 大阪:フェスティバルホール
2026年5月4日(月祝) 大阪:フェスティバルホール
2026年5月9日(土) 宮城:仙台サンプラザホール
2026年5月10日(日) 宮城:仙台サンプラザホール
2026年5月14日(木) 北海道:札幌文化芸術劇場 hitaru
2026年5月16日(土) 北海道:函館市民会館
2026年5月23日(土) 京都:ロームシアター京都 メインホール
2026年5月24日(日) 京都:ロームシアター京都 メインホール
2026年6月6日(土) 東京:東京ガーデンシアター
2026年6月7日(日) 東京:東京ガーデンシアター
2026年6月12日(金) 石川:本多の森 北電ホール
2026年6月16日(火) 新潟:新潟県民会館
2026年6月29日(月) 大阪:フェスティバルホール
2026年6月30日(火) 大阪:フェスティバルホール

チケット料金:8,200円(税込)
※未就学児入場不可、小学生以上はチケット必要
※公演日によって開場/開演時間が異なりますのでご注意ください。
※開場/開演時間は変更になる可能性がございます。予めご了承ください。