【ライヴレポート】LUNA SEA主催<LUNATIC FEST. 2025>二日目、「絆とリスペクトが、絶対にフェスには重要だなと改めて思いました」

2025.11.16 12:56

Share

LUNA SEA主催ロックフェス<LUNATIC FEST. 2025>が11月8日(土)および9日(日)の2日間、幕張メッセ国際展示場9-11ホールにて開催された。<LUNATIC FEST.>は2015年、2018年に続き、7年半ぶり3度目。初開催から10周年のアニバーサリーとなる。その節目に相応しく各日10組×2日間に錚々たるラインナップが集結した同フェスの両日レポートをお届けしたい。先ごろ公開した初日レポートに続いて、二日目もハイライトシーンの連続となった。

   ◆   ◆   ◆

11月8日の初日から、LUNA SEAがこれまでの活動で繋いできた縁を軸に、日本のロックシーンに名を刻むバンドが集結。ラストには、脳腫瘍で療養中のLUNA SEAの真矢が元気な姿を見せ、12月23日に東京・有明アリーナでの<LUNATIC X’MAS 2025 -OUR JOURNEY CONTINUES->開催を発表するという嬉しいサプライズもあった。その日に向けてリハビリに専念するという真矢が告げたのは、「LUNA SEAは決して止まらない」という力強い言葉。その想いを5人が共有しているがゆえに、唯一無二のロックの狂宴<LUNATIC FEST. 2025>が7年ぶりに実現したのかもしれない。最終日9日のステージでも、LUNA SEAの強い想いが呼び寄せた数々の奇跡を目撃することとなった。

初日と同様、LUNA SEAのRYUICHIによるオープニングセレモニーからスタート。ゆっくりと歩み出て、「I for you」の一節をアカペラで歌い上げたあと、「LUNATIC FEST. 2025、開幕!」と宣言した。さながら国際試合の国歌斉唱のような、厳かに始まるフェスというのも<LUNATIC FEST.>ならではである。

 

【NEMOPHILA】


トップバッターとしてMOTHER STAGEに登場したのは、初出演のNEMOPHILA。彼女たちを、出演者の中で紅一点と説明するのはナンセンスだろう。“和 × メタル”なSEに合わせて勢いよくステージに現れるや否や、1曲目の「鬼灯」から気迫に満ちたヘヴィなサウンドで会場を威圧した。

裸足でお立ち台に立ち、「暴れていけますか!?」と強烈なシャウトを轟かせるmayuの全身からひしひしと気合が伝わってくる。コール&レスポンスより始まるメタルコアナンバー「アナタダレ」で観客を巻き込んだあとは、事前に動画でも披露していたLUNA SEA「TONIGHT」のカバーへ。ポップなメロディとポジティヴな歌詞はNEMOPHILAサウンドと相性抜群。

ラストは、疾走チューン「OIRAN」で、ハラグチサン&むらたたむが繰り出す高速ビートと葉月の速弾きギターソロが炸裂。初見のオーディエンスも含め、“地獄のゆるふわバンド”の地獄を存分に食らわせた。

 

【ROTTENGRAFFTY】


その熱をSTYLE STAGEから迎え撃つのは“古都のドブネズミ”ことROTTENGRAFFTY。<LUNATIC FEST.>初回に出演していた彼らは、昨年に結成25周年の節目を迎え、このステージに帰ってきた。

「重要なのは今! ここを切り拓くこと!」とN∀OKIが宣誓し、「ハレルヤ」へ。MASAHIKOの鋭いギターリフから、鍛え抜かれたミクスチャーサウンドを解き放つ。待ち構えていたオーディエンスも早速ダイヴやモッシュで応戦し、まだ午前中とは思えないカオスが生まれていた。

「この10年間、ROTTENGRAFFTYもLUNA SEAも、いろんなことがありました。でも、歩みを止めず突き進んでいくバンドが一番カッコいいということを証明しに来ました!」とNOBUYAが叫び、その誇りと決意を込めて叩きつけたのは「金色グラフティー」。ROTTENGRAFFTYのエンジンを担ってきたキラーチューンの威力はますます強まるばかりだ。

続く「秋桜」でフィニッシュかと思いきや、始まったのはLUNA SEAの1stアルバム『LUNA SEA』オープニングナンバーにして最短の曲「FATE」。音に最大のリスペクトを込め、演奏後、何も語らずステージを去った5人の背中を大歓声が讃えた。

 

【9mm Parabellum Bullet】


続いても、<LUNATIC FEST.>初回以来の出演となる9mm Parabellum Bullet。ステージに現れた4人の表情には、紆余曲折を乗り越えて帰ってきたステージへの強い想いと喜びが滲んでいる。かみじょうちひろのタイトなビートに中村和彦のドライヴ感溢れるベースが重なり、研いだ刃のような滝 善充のギターリフが乗って「Baby, Please Burn Out」でスタート。菅原卓郎は「完全燃焼 一片の悔いも残すなよ」と語りかけるように歌い、オーディエンスの心に火をつけた。

「19年前に9mmの運命を決定づける超重要な人と出会って。それからずっとライヴでみんなに、魔法の言葉“いけるか!?”って聞いてきたんですよ」と卓郎。そしてその超重要人物であるJがステージに呼び込まれた。「19年も経った? 大人になったな!」と破顔するJに、メンバーもオーディエンスも心にさらなる火が点けられる。そこから、本家Jの「いけるか!?」で始まった「新しい光」は、過去最高の輝きを放っていた。

その後も、「太陽が欲しいだけ」の“ツキに見放されて”という歌詞を“月に見守られて”に変更するなど、愛情をエネルギーに変えてハイスピードで駆け抜けた。

 

【MUCC】


<LUNATIC FEST.>3回連続出演を誇るMUCCがSTYLE STAGEに登場だ。キーボードとサポートドラムを擁する5人編成で、ディープなヘヴィロック「愛の唄」、長尺ギターソロを盛り込んだメタルナンバー「KILLEЯ」、ダンサブルな「G.G.」と畳みかけ、ジャンルにとらわれない多彩な音楽性と表現力を見せつけていく。

アレンジの隅々にLUNA SEAを含む出演バンドからの影響を匂わせながら、逹瑯が「みんなそう思ってるかもしれないけど、俺もこのフェスを一番楽しんでる自信があります。どっちが楽しめるか勝負しようか?」とニヤリ。逹瑯の横でYUKKEが「俺も俺も!」とジェスチャーしていたところも微笑ましい。

「ニルヴァーナ」の爽やかなメロディでシンガロングを巻き起こしたあと、赤い照明に切り替わり、戦闘モードへ。ミヤが「おい夢烏(=MUCCのファン)、SLAVEに見せつけてやれよ!!」と焚きつけて「蘭鋳」のリフを掻き鳴らす。しっかり「俺もSLAVEだけど!」と添えつつ、遠慮のない極悪ヘヴィネスで会場を飲み込んだ。リリース前の新曲「Never Evergreen」でエモーショナルに締め括り、逹瑯は「じゃ、そっち行くわ!」と笑顔でステージをあとにした。

 

【凛として時雨】


凛として時雨は<LUNATIC FEST.>初回以来の出演となる。ノイズミュージックのSEで場内の空気をガラリと変え、ゆっくりと3人が定位置に着いた。TKがギターを弾きながら「abnormalize」を歌い始めると、大きな歓声が湧く。まったく隙のない緻密なアンサンブルとせめぎ合う高音ボーカルに耳を奪われ、一気に凛として時雨の世界にとらわれた。

10月にリリースされたばかりの最新EP『Lost God of SASORI』からの「Loo% Who%」では、高度なテクニックはもちろん、より前衛的になったアレンジとキャッチーなメロディの訴求力が凄まじい。時代を超えてなお、独自の進化を遂げ続ける彼らのロックがここにある。

暴れ回る音楽とは対称的に、TKが穏やかな声で「奇跡の最狂の夜にまた参加できて光栄です。すべて出し尽くしますので、最後までよろしくお願いします」と語り、静かな闘志を覗かせた。その言葉どおり、初期のナンバー「Telecastic fake show」で凛として時雨の狂気がさらに覚醒。<LUNATIC FEST. 2015>でも演奏された「感覚UFO」は、渦を巻くような3人のグルーヴと攻撃力が当時を遥かに凌駕していたように思う。

圧巻のパフォーマンスに面食らい、演奏が終わった瞬間に一瞬の静寂が訪れ、直後に割れんばかりの大喝采が贈られた。

 

【黒夢】


<LUNATIC FEST. 2025>の開催が発表された時、多くのファンから最も出演が望まれていたアーティストのひとつが彼らだったのではないだろうか。奇しくも2025年、10年ぶりに再始動を果たした黒夢だ。90年代にLUNA SEAとともに時代を築いたほか、SUGIZOと清春のコラボレーションなど、メンバー同士の交流もある。2025年はさまざまなロックフェスに出演しながら、型にハマらない黒夢らしいステージを繰り広げてきた。さて<LUNATIC FEST.>ではどう出るか。

期待に胸を膨らませた観客が待ちわびる中、サポートメンバーに続き、人時と清春がラフなムードで登場。清春の合図で始まったのは、なんとLUNA SEAの「BLUE TRANSPARENCY 限りなく透明に近いブルー」だった。フレーズ自体はほぼ原曲のままだが、清春の声と人時のベースによってパンキッシュに変貌し、驚くほどに黒夢の曲として届けられる。想定外の展開にオーディエンスも大熱狂の中、続けてLUNA SEAの「Déjàvu」のカバーへ。こちらも完全に黒夢バージョンと化しており、逆説的にふたりの圧倒的な個性を噛み締めた。兎にも角にも、90年代は決して交わることのなかった両者であり、黒夢がLUNA SEAの楽曲をカバーしたという事実に驚かされた。

それらカバー2曲を終えたところで、清春のMCタイムへ。「いろいろな夏フェスにも出ましたが、LUNATIC FEST.が一番安心できるんじゃないかなと。敬意を込めてカバーを、一生懸命、三日三晩寝ずに、トイレも入らずに必死に我慢して、やっとひねり出しました」と笑いを取り、「MCも1曲分だからね」とさらに笑いを重ねながら、「Spray」に突入するなど、どこまでもマイペースだ。

清春がアコースティックギターを抱えての「少年」では、SUGIZOがギターでゲスト参加。清春と肩を組んだり、人時と背中合わせで弾んだり、ステージに華を添えた。その後もゆるいトークを挟みつつ、ROTTENGRAFFTYのNOBUYAとN∀OKIが飛び入りした「後遺症-after effect-」から、ラストは「Like@Angel」。色褪せない不朽のメロディを大合唱するオーディエンスと、それをにこやかに眺める清春と人時という光景が眩しい。最後に清春は「We are Rock’n Roll !!」という言葉を残し、颯爽とステージを去っていった。

 

【UVERworld】


転換中に「さっさと歌わせろー!!」とTAKUYA∞の声が響き、登場のジングルすらカットして飛び出してきたUVERworld。黒夢とTHE YELLOW MONKEYというレジェンドに挟まれたステージは、彼らにとってプレッシャーどころかエネルギー源となったようだ。

「最高のライヴ見せたるわ! いこうぜ!!」とオーディエンスに発破をかけ、TAKUYA∞のブルースハープから「NO MAP」でスタート。重量感のあるバンドサウンドとヒップホップのビートが混ざり合ったハイブリッドロックでオーディエンスを踊らせていく。TAKUYA∞がラップを畳みかける「PHOENIX AX」で炎の特効が上がるなど、名実ともにスタジアムバンドとしての凄みで幕張メッセを圧倒した。

先輩とか後輩とか関係ないと反骨心を剥き出しにしながらも、TAKUYA∞は「LUNATIC FEST.が、俺たちを温かく迎えてくれるフェスなのか、アウェイなのかわからないけど。ちゃんといつも通り、いいところも悪いところもさらけ出して、そのままの自分たちを愛されにきました。UVERworld、よろしくどうぞ!」と胸を張って宣言。そのまっすぐな生き様と信念を「PRAYING RUN」「Eye’s Sentry」といった楽曲に乗せて届けた。

そして、「今日しか見られないものを見せてやるよ!」とTAKUYA∞が呼び込んだのが、今回の<LUNATIC FEST.>で初のゲスト参加となるRYUICHI。LUNA SEAの「ROSIER」カバーを一緒に歌うという貴重なコラボが実現した。かつてLUNA SEAの楽曲をコピーしていたメンバーもいるそうで、演奏は完璧。深く響くRYUICHIの声と、空へ突き抜けるようなTAKUYA∞の声が、刺激的なハーモニーを奏でた。

「オーガナイザーを呼びつけといて、中途半端なライヴできねえよな!」と、後半はさらに加速。「一番大切にしている曲」と紹介した「EN」から「七日目の決意」に繋ぎ、会場にいる全員の心に熱い想いを深く刻みつけてライヴを締め括った。

 

【THE YELLOW MONKEY】


黒夢と同じくLUNA SEAと同時代に第一線を駆け抜けたTHE YELLOW MONKEYも<LUNATIC FEST.>初出演。遡れば、1994年に開催されたLUNA SEA、SOFT BALLET、BUCK-TICKによる伝説的ツアー<L.S.B.>のゲストアクトのひとつがTHE YELLOW MONKEYだった。つまり、THE YELLOW MONKEY、BUCK∞TICK、LUNA SEAと続く<LUNATIC FEST. 2025>最終日の流れは、伝説の復刻とも言えるだろう。よもや30年以上先の未来で邂逅するとは、当時誰も想像していなかったに違いない。

序盤のMCで「L.S.B.」に言及した吉井和哉は、特別な思い入れがあるからこそ、自ら「今夜だけのセットリストを考えた」と語っていた。近年幾つかのフェスにも出演しているTHE YELLOW MONKEYだが、たしかに<LUNATIC FEST.>でしか見られないTHE YELLOW MONKEYがそこにいた。

メモリアルなステージの始まりは、EMMAこと菊地英昭がひとりステージに出てきて妖艶なギターソロを響かせ、そこにLOVINこと吉井和哉、HEESEYこと廣瀬洋一、ANNIEこと菊地英二が合流して「楽園」から。いきなりのヒットナンバーに大歓声が湧き、「SPARK」が投下されると文字通り爆発的な盛り上がりを見せた。この4人にサポートキーボードの鶴谷崇を加えた編成で生み出されるロックは、洗練された美しさと同時に、ギラギラと野性的なきらめきを放っている。ボリューミーなファーコートを着こなす吉井を中心に、それぞれの華やかなスタイリングにも目を奪われた。

「俺は個人的にこのLUNATIC FEST.を、“月の祭典”と名付けております。そして我々は黄色い猿、黄色い太陽とも言えます。今日はロックの皆既月蝕を堪能してください!」という吉井らしい表現で、新旧を織り交ぜたTHE YELLOW MONKEYの濃密でディープな世界がへ。

エロティックなビートで踊らせる「A HENな飴玉」、EMMAのギターリフとHEESEYのベースラインが絡み合う「Chelsea Girl」は90年代前半の楽曲。そこから、“月”という言葉で始まる2024年の楽曲「ソナタの暗闇」へ。時代を大きくまたぎながらも、現在のグルーヴで調理された楽曲たちはいずれも極上。吉井がSTYLE STAGEから反対側のMOTHER STAGEステージの端まで出向いたり、HEESEYとEMMAが向き合って弾いたり、メンバーもフェスの空気を心から楽しんでいるのが伝わってくる。フロアは言うまでもなく狂喜乱舞のロックパーティと化していた。

メンバーが猫に扮するMVが話題になった「CAT CITY」で最新モードも示したのち、「歳もとって、丸くなったり、いろいろ昔と違うところもあると思うんだけど。反骨精神みたいなものはずっと持って、最後までロックしたいと思います!」と吉井がラストに選んだのは「WELCOME TO MY DOGHOUSE」。世の中に牙を剥き続ける4人の音を浴び、やはり彼らは日本が誇るロックスターだった。

 

【BUCK∞TICK】


MOTHER STAGEのトリを務めるのは、2024年に4人体制で第二期を始動させたBUCK∞TICK。精力的に活動を続ける彼らだが、まだ第二期BUCK∞TICKを体験していないオーディエンスもいたはず。緊張感が若干漂う会場に4人が姿を現した。ステージの中央には、スチームパンクテイストの装飾が施された機材テーブル。その両サイドに今井寿と星野英彦、後方ひな壇に樋口豊とヤガミ・トールというステージレイアウトだ。

今井と星野がツインボーカルを務める「雷神 風神 – レゾナンス #rising」「冥王星で死ね」が披露された瞬間、まったく新しい第二期BUCK∞TICKサウンドが放たれた。積み重ねた歴史と音楽が永遠に愛され続けることは間違いないが、4人は新たな宇宙に飛び込んでいる。この日のは第二期以降の曲のみというセットリストも痛快だ。「闘っているLUNA SEAのフェス、LUNATIC FEST.。みんなで一緒に盛り上がりましょう」と告げた今井だが、BUCK∞TICKも誰よりも闘っている。

“まったく新しい”と記したのは、バンドという定義すらも揺るがしていたから。今井と星野のふたりがギターを降ろし、今井がラップ、星野が機材を操る「スブロサ SUBROSA」。シュールレアリスム的映像とともに披露されたアンビエント×インダストリアルなインスト曲「神経質な階段」。エレクトロミュージック黎明期からの今井の実験性と、歌うことを選んだ今井と星野の存在感、ふたりの楽曲を根底から支えて膨らませる樋口とヤガミ。何が欠けても成立しない。

盛り上がりの最高潮は、LUNA SEAのJがゲストで登場した「TIKI TIKI BOOM」。兄弟のような関係性の今井とお揃いのメイクを施し、満面の笑顔で「盛り上がっていこうぜ! イカれていこうぜ!」とJ。灼熱のベースとコーラスが加わった「TIKI TIKI BOOM」をBUCK∞TICKメンバーも笑顔で楽しんだ。

Jを見送ったBUCK∞TICKは、「ガブリエルのラッパ」で再び孤高の世界観を確立。有無を言わさぬ余韻を置き土産に、静かにライヴを終えた。

 

【LUNA SEA】


黒夢、THE YELLOW MONKEY、BUCK∞TICK、そして後輩バンドたち。出演者全員がそれぞれの魅せ方と闘い方で全力を尽くした<LUNATIC FEST. 2025>を締め括るのは、LUNA SEAだ。

初日と同じく「月光」をSEに、SUGIZO、J、INORAN 、RYUICHIに続いて、療養中の真矢に代わりサポートを務める淳士がステージに立った。淳士のカウントから「STORM」で口火を切り、アグレッシヴなスタイルで会場を揺らしていく。声を上げ、手を掲げて応えるオーディエンスとの一体感は1曲目から出来上がっていた。そのまま「TONIGHT」に繋ぐと、どんどん熱量がヒートアップ。もうすぐ<LUNATIC FEST. 2025>が終わってしまうという寂しさの反動か、観客のテンションは留まるところを知らない。

「真矢くんの想いを受け継いだ、最強の後輩助っ人」とRYUICHIに紹介された淳士は、初日よりもやや緊張が解けていたようだ。もちろん凄まじいプレッシャーだろうが、真矢が託した淳士のドラムがLUNA SEAのエンジンとして機能している。「END OF SORROW」「SHINE」とキラーチューンを惜しみなく連投したあと、近年の壮大な代表曲「宇宙の詩 〜Higher and Higher〜」から、珠玉のバラード「gravity」へ。天高く舞い上がるようなサウンドから、海の底のような重厚なグルーヴまで、LUNA SEAの世界の広さを体感した。

「この2日間、俺たちに共鳴して絆を結んでくれた先輩たち、仲間たち、後輩たち、かけがえのない仲間が集ってくれて。みんなも、たくさんの想いを抱えてこの会場に来てくれたと思います。絆とリスペクトが、絶対にフェスには重要だなと改めて思いました」──RYUICHI

「gravity」の前にそう語り、続く「I for you」にもその想いを込めて届けたRYUICHI。同時に、初日の開幕宣言から動き続けてきた影響が喉のダメージとして表れてしまったようだ。そのたびに立て直して歌い続けるRYUICHIを見守っていたJが、RYUICHIの肩を抱き寄せながらオーディエンスにこう語った。

「RYUICHI、喉、大丈夫? これだけすげえバンドが集まってライヴやってるから、やっぱりくるよね! ここからはさ、RYUICHIをみんなで助けてくんねえかな!」──J

この呼びかけに大声援で応えるオーディエンス。この場所にいる全員で歌うことを提案したJに会場中が賛同し、2日間で最も大きな歓声とRYUICHIコールが湧き起こる。声援を受け止めたRYUICHIは「今日は二度と来ないから、今日来てくれたみんなにしっかりとしたものを届けたいと思います」と語って、「LUNATIC FEST.、飛ばしていくぞ! 「TIME IS DEAD」!」と叫んだ。

INORANがいつも以上に熱くコーラスを担い、SUGIZOはギターを掻き鳴らしながらRYUICHIに寄り添う。オーディエンスの歌声は、続く「ROSIER」でますますパワフルに響き亘る。まさに全員で作り上げるライヴだった。見事に歌い切ったRYUICHIが、「ラストの曲でもあるんですが、始まりの曲でもあります。今日集まってくれたみんなと一緒に、上り詰めたいと思います」と告げ、最後に「UP TO YOU」が届けられた。光に向かって一歩ずつ進んでいくような温かい音。優しく包み込むようなメロディ。「LUNA SEAは決して止まらない」という約束が楽曲を通して心に染み渡り、淳士の一打で圧巻のフィナーレを迎えた。

 

【encore session】


アンコールは<LUNATIC FEST.>恒例の大セッションタイム。RYUICHIに呼び込まれて本日の出演者が集まる中、なんと今夜も真矢が登場。昨日よりも元気そうな真矢を大歓声が迎え入れた。真矢や昨日同様、淳士の横にスタンバイ。全員で演奏するのはアンセム「WISH」だ。錚々たるメンバーが入り交じる光景はすべてがレアだが、RYUICHIを支えるように吉井和哉と清春が並んで歌うシーンは格別。オーディエンスのみならず、ステージ上のLUNA SEA世代なバンドマンたちにとっても忘れられないシーンとなったはずだ。

セッションを終えてLUNA SEAの5人が残り、マイクを渡された真矢が改めて「決して止まらないからね! みんな愛してるよ!」と挨拶。自然と巻き起こる真矢コールに応えて真矢がエアドラムを披露すると、ドラムソロと同じコール&レスポンスが発生する展開に。ステージ上にもフロアにも満場の笑顔が広がる、多幸感に満ちたエンディングとなった。

「2日間で、新しい奇跡が生まれたと思います。真矢が証明してくれたように、奇跡は自分たちで起こすもの。待つものじゃない。これからも、みんなと俺たちで新しい奇跡を作っていきましょう。そしてまた、LUNATIC FEST.で会おうぜ! LUNA SEAが存続する限り、LUNATIC FEST.は続くから。本当にありがとう。最高でした」──SUGIZO

今年頭の東京ドーム公演<LUNATIC TOKYO 2025>、そして今回の<LUNATIC FEST. 2025>と、自分たちが築いた伝説を自ら塗り替えてみせたLUNA SEA。数々の困難の乗り越えて進む5人の未来には、まだまだ無限の可能性がある。最後にSUGIZOが残した言葉どおり、その可能性のなかに<LUNATIC FEST.>の4回目があることを夢見ながら、しばらくは2日間の余韻に浸っていたい。

なお、<LUNATIC FEST. 2025>二日間は、8台の水素カーによる水素電源でステージ上の全出演アーティストの楽器電源を賄うことにより、高音質なサウンドが届けられた。

取材・文◎後藤寛子
撮影◎田辺佳子/橋本塁/上溝恭香/岡田裕介

 


■LUNA SEA主催<LUNATIC FEST. 2025>11月9日(日)@千葉・幕張メッセ国際展示場9-11ホール SETLIST
【NEMOPHILA】
01 鬼灯
02 RISE
03 アナタダレ
04 TONIGHT (LUNA SEAカバー)
05 開花宣言
06 REVIVE
07 OIRAN
【ROTTENGRAFFTY】
01 ハレルヤ
02 夢幻獄
03 D.A.N.C.E.
04 THIS WORLD
05 金色グラフティー
06 秋桜
07 FATE (LUNA SEAカバー)
【9mm Parabellum Bullet】
01 Baby, Please Burn Out
02 踊る星屑
03 The Revolutionary
04 新しい光 w/ J
05 Black Market Blues
06 太陽が欲しいだけ
07 Punishment
【MUCC】
01 愛の歌
02 KILLEЯ
03 G.G.
04 ニルヴァーナ
05 蘭鋳
06 Never Evergreen
【凛として時雨】
01 abnormalize
02 Loo% Who%
03 DISCO FLIGHT
04 Telecastic fake show
05 感覚UFO
【黒夢】
01 BLUE TRANSPARENCY 限りなく透明に近いブルー (LUNA SEAカバー)
02 Déjàvu (LUNA SEAカバー)
03 C.Y.HEAD
04 Spray
05 少年 w/ SUGIZO
06 後遺症 -aftereffect- w/ N∀OKI, NOBUYA (ROTTENGRAFFTY)
07 Like @ Angel
【UVERworld】
01 NO MAP
02 PHOENIX AX
03 PRAYING RUN
04 Eye’s Sentry
05 ROSIER (LUNA SEAカバー) w/ RYUICHI
06 IMPACT
07 EN
08 7日目の決意
【THE YELLOW MONKEY】
01 楽園
02 SPARK
03 A HENな飴玉
04 Chelsea Girl
05 ソナタの暗闇
06 太陽が燃えている
07 CAT CITY
08 LOVE LOVE SHOW
09 WELCOME TO MY DOGHOUSE
【BUCK∞TICK】
01 雷神 風神 – レゾナンス #rising
02 冥王星で死ね
03 スブロサ SUBROSA
04, From Now On
05 神経質な階段
06 渋谷ハリアッパ!
07 風のプロローグ
08 TIKI TIKI BOOM w/ J
09 ガブリエルのラッパ
【LUNA SEA】
01 STORM
02 TONIGHT
03 END OF SORROW
04 SHINE
05 gravity
06 宇宙の詩 ~Higher and Higher~
07 I for You
08 TIME IS DEAD
09 ROSIER
10 UP TO YOU
▼encore session
11 WISH

 

<LUNATIC X’MAS 2025 -OUR JOURNEY CONTINUES->
12月23日(火) 東京・有明アリーナ
open17:30 / start18:30
詳細:https://www.lunasea.jp/news/LUN_news_20251108

 

関連リンク
◆LUNATIC FEST. 2025 特設サイト
◆LUNA SEA オフィシャルサイト
◆LUNA SEA オフィシャルTwitter
◆LUNA SEA オフィシャルInstagram
◆LUNA SEA オフィシャルFacebook
◆LUNA SEA オフィシャルYouTubeチャンネル