【連載】いま、聴きたい演歌・歌謡曲 vol.20(本人歌唱指導付き)キム・ヨンジャ、Natsumi、大江裕、木村徹二、山本和恵

世代を超えて愛される「うた」がある。歌唱したい「うた」がある──。
演歌・歌謡曲シーンから注目の作品を毎月紹介する連載企画「いま、聴きたい演歌・歌謡曲(本人歌唱指導付き)」の第20回目。
今回はキム・ヨンジャ「女の荒波」、大江裕「十勝秋冬」、木村徹二「雪唄」【特別盤】、山本和恵「わかれ言葉を聞かせて」、Natsumi「恋する夏みかん」を本人の歌唱アドバイス動画とともに紹介する。
(協力:日本クラウン)
■キム・ヨンジャ「女の荒波」

77年に日本デビューした韓流の大物。2009年頃から10年ほどは韓国をベースに活動し、トロット(韓国版歌謡曲)の 大御所でありながら新しいことにも積極的に挑戦し、「アモール・ファティ」のようなEDMアレンジのヒット曲も出している。2019年からは再び日本での活動も積極化させている。
そんな韓国での影響もあってか、近年は演歌以外の曲も歌うことが多かったが、新曲の「女の荒波」は2023年の「港酒」から2年ぶりの演歌。とはいえ、リズムアレンジは少しアッパーでダンサブル。日本語のオリジナル曲を韓国で定番のトロット風に作ったという感じで、歌詞にあるような頑張った先の明るい未来が見えるような楽しい仕上がりだ。カップリングの「天使の梯子」はゆったりした歌謡曲タイプの楽曲。楽曲に合わせてか、歌い方に少しシャンソンぽさが感じられるところがいい。
「女の荒波」
2025年7月30日リリース
CRCN-8762 定価:¥1,500(税抜価格 ¥1,364)
1. 女の荒波
作詩:麻 こよみ / 作曲:水森英夫 / 編曲:竹内弘一
2. 天使の梯子
作詩:麻 こよみ / 作曲:水森英夫 / 編曲:竹内弘一
3. 女の荒波 [オリジナル・カラオケ]
4. 天使の梯子[オリジナル・カラオケ]
■Natsumi「恋する夏みかん」

川野夏美がNatsumi名義で配信限定のシングルをリリース。Natsumi名義ではこれまでも2004年と2007年にシングルをリリースしているが、いつもの演歌・歌謡曲とは違ったポップス路線のときにこの名前を使っているようだ。
今回の「恋する夏みかん」はまるで80年代のアイドルポップスのような可愛らしい曲で、いつものコブシは捨てて、喋る時と同じような可愛らしい声で歌っている。歌詞はつかもとひろあきとNatsumiの共作によるもので、作詞を手がけるのはこれが初めて。なぜ「夏みかん」なのかといえば、もちろん夏美という名前にかけたところもあるが、出身地の大分県津久見市は津久見みかんが名物で、Natsumiは子供の頃からおじいちゃんとおばあちゃんが作ったみかんを食べて育ったという、そういう思い出の風景を歌った一面もあるのだろう。今でも若々しくルックスも可愛いNatsumiだが、実はデビュー27年目。この曲をどんなテンションで歌ってくれるのか楽しみでもある。なお、通常の新曲のリリースもすぐ後に控えている。
「恋する夏みかん」
2025年7月30日配信リリース
1. 恋する夏みかん
作詩:つかもと ひろあき・Natsumi / 作曲:吉岡聖治 / 編曲:吉岡聖治
■大江裕「十勝秋冬」

昨年でデビュー15周年を迎え、100キロ級の巨体は変わらずだが、気がつけばデビュー当時のやんちゃ坊主的な面影からグッと大人の洗練された表情を見せるまでに成長した大江裕。30代半ばという本当に油の乗った歌を聴かせる年齢となった。
新曲は昨年の「北海ながれ旅」に続き、今回も北海道を舞台とした歌。大阪生まれの大江であるが、北海道は師匠の北島三郎の故郷。それだけで気合が入るだろう。「十勝秋冬」は、夏のリリース曲であるがタイトル通り冬の歌。故郷の十勝に戻り、故郷と母親を守りながら生きる男の歌。カップリングの「北の縄のれん」は故郷を思い出しながら酒を酌み交わす男たちの歌。どちらも徳久広司らしい伸びやかなメロディが素晴らしく、大江も実に気持ちよさそうに歌っており、楽曲との相性の良さがわかる。どちらもA面級の仕上がりなので、カップリングにしたのはもったいなかったかもしれない。
「十勝秋冬」
2025年7月23日リリース
CRCN-8761 定価:¥1,500(税抜価格 ¥1,364)
- 十勝秋冬
作詩:たきのえいじ / 作曲:徳久広司 / 編曲:佐藤和豊 - 北の縄のれん
作詩:たきのえいじ / 作曲:徳久広司 / 編曲:佐藤和豊 - 十勝秋冬 [オリジナル・カラオケ]
- 北の縄のれん[オリジナル・カラオケ]
- 十勝秋冬 [一般用カラオケ]
- 北の縄のれん [一般用カラオケ]
■木村徹二「雪唄」【特別盤】

デビューからまだシングルは3枚だが、リリースを重ねるごとにランキングを上げ、存在感を増してきた木村徹二。30歳を過ぎての演歌デビューだったが、その声の強さと、ポップス出身らしい新しいスタイルも新鮮で、これからのシーンを担っていく存在として期待が高まる。
今回リリースされるのは、今年2月にリリースされた「雪歌」のカップリング曲を変えた特別盤。「湯呑み酒」は「雪歌」と同じく、実兄の木村竜蔵の作詞・作曲によるもの。爺ちゃんの思い出をテーマにした曲で、柔らかく優しい心温まるメロディの曲は、男らしい強さを前面に押し出してきた徹二にとっては新境地。もう1曲、新たに収録された「鯱」は、父親である鳥羽一郎のカバー曲。徹二自身が好きだった曲ということだ。歌詞には《鯱って奴は 自分より でっかい獲物に 喰らいつく》とあるが、まさに演歌の巨人の一人である父親に挑みかかるようでもあり、圧巻の力強い歌を聴かせてくれる。
「雪唄」【特別盤】
2025年7月9日リリース
CRCN-8760 定価:¥1,500(税抜価格 ¥1,364)
- 雪唄
作詩:木村 竜蔵 / 作曲:木村 竜蔵 / 編曲:遠山 敦 - 湯呑み酒
作詩:木村 竜蔵 / 作曲:木村 竜蔵 / 編曲:遠山 敦 - 鯱
作詩:新本 創子 / 作曲:三原 綱木 / 編曲:丸山 雅仁 - 雪唄[オリジナル・カラオケ]
- 湯呑み酒[オリジナル・カラオケ]
■山本和恵「わかれ言葉を聞かせて」

今年でデビュー25周年。演歌だけでなく、ジャズやシャンソンなど、様々な楽曲を歌うベテランの、クラウン移籍第3弾。移籍以降、ビジュアルも垢抜けて大人の魅力を伝える歌手として、順調に活動を続けている。
移籍後はラテンタッチの曲が多かったが、今回はアダルトなポップス。「わかれ言葉を聞かせて」は、仕事仲間同士の恋愛という秘密の関係を切々と歌う。「過去」も、恋愛の傷を歌った曲で、拭い去れない古い記憶が人生の年輪を感じさせる。「OLD TIME JAZZ」は山本が敬愛するという高橋真梨子の1982年のアルバム『After Hours』に収録されていたジャズソングで、ファンには人気の隠れ名曲のカバー。こういった影のある大人の世界を歌える歌手もだいぶ少なくなってきた。
「わかれ言葉を聞かせて」
2025年7月30日リリース
CRCN-8763 定価:¥1,500(税抜価格 ¥1,364)
【収録曲】
1. わかれ言葉を聞かせて
作詩:朝比奈 京仔 / 作曲:井上 慎之介 / 編曲:周防 泰臣
2. 過去
作詩:朝比奈 京仔 / 作曲:井上 慎之介 / 編曲:周防 泰臣
3. OLD TIME JAZZ
作詩:佐藤 三樹夫 / 作曲:佐藤 三樹夫 / 編曲:古田 伸一
4. わかれ言葉を聞かせて [オリジナル・カラオケ]
5. 過去 [オリジナル・カラオケ]
6. OLD TIME JAZZ [オリジナル・カラオケ]
関連リンク
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