【速報】対米同時多発テロにまつわる音楽情報 Vol.15
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【速報】同時多発テロにまつわる音楽情報 Vol.15 大変、痛ましい事件が起こりました。それに伴い、現在アメリカでのコンサート・イベント等のほとんどは、中止、あるいは延期となっています。日本来日公演などに関しましても、情報が入り次第、掲載いたします。 ※ニュースが入り次第、リアルタイムに更新いたします |
●トゥールのニューヨーク・ライヴ、滞りなくスタート |
Madison Square GardenでのToolの2デイズ・ライヴの初日である10月1日、ニューヨークとワシントンD.C.でのテロ事件を受けて厳重な警備の下、ライヴが行なわれた。観客は荷物チェックを受け、会場内やその周辺には多数の警官が待機していた。 Toolのヴォーカリスト、Maynard Keenanは観客に対しあまり話をしなかったが、同会場でToolとともに共有したフィーリングを持ち続けて、ニューヨーク周辺の家へ帰っていってほしい、と励ました。これは、9月11日のテロ事件以降、彼が観客に対して掲げているメッセージだ。 Toolはワシントン州のタコマでのライブが予定されている。さらに、ハワイ、ロサンゼルスでのライヴも計画中。 |
●ウィーザーがヨーロッパ・ツアーをキャンセル、12月まで米国ツアー |
9月の米同時多発テロ事件の影響で、またひとつツアーがキャンセルされた。今回キャンセルされたのはWeezerのヨーロッパ・ツアーで、10月9日のコペンハーゲンから全16公演を行なう予定だった。 しかし、Weezerが公式ウェブサイト(Weezer.com)に掲載しているコメントは、詳細は明かしていないものの、他の複数の要因も中止決定の大きな理由となったことを伝えている。 「最近の悲劇的事件で、海外渡航、航空機移動がより高額かつ困難に、そして(多くの人が忠告してくれたように)よりリスクを伴ったものになってしまい、そのことは当然、今回のツアーの運命を決めた要因となってはいます」「先週ぐらいから様々な問題が発生しはじめ、ツアー敢行が困難で、実行が現実的ではないものへと急激に変わっていきました」 結果としてWeezerは、“不本意ながら、ヨーロッパ・ツアーは来年まで待つことに同意しました”ということだ。 ウェブサイトに記された言葉を借りれば、この“非常に予想外でショックな”決定で、代わりに米国でのコンサート日程が年末まで追加されることになった。米国ツアーは11月から開始され、サンディエゴやサンノゼなどの延期となっていたカリフォルニア公演の振替公演や、年頭に発表された“Midget”ツアーのスケジュールには入っていなかった都市での公演も追加される。 一方でWeezerは、自分たちの分身を再び活動させるようだ。全曲カヴァー・バンド、Goat Punishmentとして“新曲のみ”で“5~10公演程度”のライヴを行なうという。 シングル“Hash Pipe”“Island In The Sun”が収録されているWeezerの3rdアルバム『Weezer』は、今年5月に発売された。 |
●ソニック・ユース、パール・ジャムのEddieらが出演する米国版“オール・トゥモローズ・パーティ”が来年3月に延期 |
10月19、20日にカリフォルニア州ウエストウッドのUCLAで開催が予定されていた音楽フェスティヴァル“All Tomorrow's Parties(ATP)”の延期が決定した。英国の人気フェスティヴァルの米国ヴァージョン第1回目となるはずだったが、テロ事件の影響を考慮して、ホストを務めるSonic Youthがイベント延期という決断を下した。 Sonic Youthは次のようにコメントしている。 「9月11日の事件と現在の不安定な世界情勢を考慮し、ATPの開催を'02年初期まで延期することにしました」 フェスティヴァルにはSonic Youth、Pearl JamのEddie Vedder、Stereolab、Television、元PavementのヴォーカルであるStephen Malkmusなどが出演することになっていた。新しい開催日程は'02年3月15日から17日となっているが、出演アーティストに変更があるかどうかについては、現在のところなにも発表されていない。 Sonic Youthはコメントの中でこうも記している。 「個々の旅行に対する心配があり、チケット売上も完璧にストップしている。そして、予測のつかないブッシュ/タリバンの対立状況における全般的に漂っている不安な空気というものが、延期を決めた大きな理由です。また、今は子供たちに安定した環境や精神的な支えを与えてあげるという責任を最優先すべきだと考えています」 メンバーがNY出身のSonic Youthは、テロ事件の影響を受けた人たちのためのチャリティ・ライヴを10月7日にNYで行なう予定だ。現在のところ、会場はまだ発表されていない。 Sonic Youthの新アルバム制作もテロ事件の影響を受けている。作業を行なっていたスタジオはNYの“グラウンド・ゼロ(爆心地)”の近くだった。 「ほとんどの場所が近づくこともできず、何人かは自宅から避難させられていて、何人かは直接、攻撃による爆風などの被害を受けている」 しかしSonic Youthは、それでもくよくよせずフェスティヴァル開催をずっと前向きに考えていたのだった。 「そのままATPを開催するつもりで準備していた。関わっている人たちはみんな、イベントでこの危機に向き合い、収益を寄付する準備をしていたんだ」 |
●トレイス・アドキンス、テロ事件現場を訪問 |
Trace Adkinsは10月2日(火)、救助隊と共にNY市のテロ事件現場を訪れる。Adkinsは米海軍一般事業部の職員から依頼を受け、作業員の士気を高めるために現場に姿を見せることになっている。 米海軍のスポークスパーソン、David Waterman少佐は次のように語っている。 「忙しいスケジュールの合間をぬって、彼のようなアーティストが現場を訪れて士気を高めてくれれば、救助活動をしている作業員の心も暖まるだろう」 Adkinsによれば、その依頼は問題なく承諾するとのこと。Adkinsはこう語る。 「僕は軍隊に入るには年をとりすぎてる」「自分にできることは現場で懸命に作業をしている人々に、支援と感謝の気持ちを贈ること。実際に現場に立ち寄ってそうした感謝の気持ちを贈ってくれないかと言われれば、迷うことなく答えは“イエス”だ」 9月11日の米同時多発テロ事件の影響で、最近発売されたAdkinsのシングル“I'm Tryin'”が米チャートを急上昇している。この曲は人々に歩み続けるようにメッセージを送っている。Adkinsは、この恐ろしい事件によって業績を伸ばしたとは思いたくないと言う。 「人からよく“I'm Tryin'”が今、すごいじゃないかって言われるよ。だってこの曲は何かその……痛烈なんだって。つまり、これは今現在のみんなの気持ちと関係しているんであって、僕も同じように感じている。“あぁ、いいんだけど、ダメなんだ”っていう感じ。テロ事件で成功したなんてことになってほしくないよ。全て出し切ってしまおうと思う。恐ろしいことになるよ」 “I'm Tryin'”はBillboard Hot Country Singles & Tracksチャートで16位。同曲は10月9日発売予定のAdkinsのニューアルバム『Chrome』からの1stシングル。 |
●ジャネット・ジャクソンがヨーロッパ・ツアーをキャンセル |
10月1日(月)、Janet Jacksonは“All For You”ツアーのヨーロッパ・ツアーのキャンセルを正式に発表した。理由としては、9月の米同時多発テロ事件および、その結果としての海外渡航者に対する米政府の注意勧告などを挙げている。Jacksonは次のようにコメントしている。 「私のヨーロッパのファンは、もっとも忠実に支持し続けてくれている人たちでもありますし、コンサートで時を共有することを大変楽しみにしていました。ですから今回の結論を下すまで、私はとても悩みました。多くの人たちと同様、9月11日の出来事に私も大きなショックを受けていますし、しばらくはそのことが私の頭を離れることはないでしょう」 Jacksonは、大所帯であるツアー・スタッフの身の安全を心配したうえでもあると明かした。 「もし、ツアー・スタッフの誰かになにかあるようなことがあれば、私は一生、悔やんでも悔やみきれないでしょう」 このコメントによれば、Jacksonは改めて来年にヨーロッパを訪れるかもしれないということである。“All For You”ヨーロッパ・ツアーは10月31日のスウェーデンのストックホルムから開始され、12月17日の英国のバーミンガムまで行なわれる予定だった。Jacksonが現在行なっている北米ツアーは、予定通り最後まで続けられる。10月3日はロサンゼルスのStaples Centerでライヴを行なう。 Janet Jackson北米ツアー 今後の日程(変更の可能性あり): 10月2、3日 - カリフォルニア州ロサンゼルス - Staple Canter 10月5、6日 - ネバダ州ラスベガス - MGM Grand Garden Arena 10月8日 - カリフォルニア州サンノゼ - Compaq Center 10月9日 - カリフォルニア州オークランド - Oakland Arena 10月10日 - カリフォルニア州サンノゼ - Compaq Center 10月12日 - ユタ州ソルトレイクシティ - Delta Center 10月13日 - コロラド州デンバー - Pepsi Center 10月16日 - ウィスコンシン州ミルウォーキー - Bradley Center 10月18日 - インディアナ州インディアナポリス - Conseco Fieldhouse 10月20日 - ペンシルベニア州ピッツバーグ - Mellon Arena 10月26日 - フロリダ州タンパ - Ice Palace 10月28、29日 - フロリダ州フォートローダデール - National Car Rental Center |
●へヴィーDが映画『Big Trouble』公開延期について語る |
9月11日の米同時多発テロ事件の影響で、Tim Allen、Rene Russo出演の新作コメディ映画『Big Trouble』の公開が延期となった。公開延期となった理由は、飛行機に仕掛けられた爆弾に関連するシーンが不適切だろうという判断である。 この映画でFBI捜査官のAlan Seitzを演じているラップ・スターのHeavy Dは、延期は被害者と遺族の気持ちを考慮したうえの決定だとLAUNCHに語った。 「テロリストの映画ではないんだ。テロリストとかは一切関係ないんだよ。ただ、やはりシーンによっては、若干、人に不快感を与える可能性もあるということなんだ。正直に言えば、今週公開だったら、問題にさえなってなかったと思うよ。ただ、(公開日は)ちょうど事件のあったその週だったからね」 Heavy Dは過去にも『Cider House Rules/サイダーハウス・ルール』『Life/エディ&マーティンの逃亡人生』などの映画に出演しており、TVドラマ『Boston Public』にも何度も登場している。 |
●3 Doors DownのBrad Arnoldがテロ事件を語る |
テロ攻撃があった9月11日の日、3 Doors Downはツアー中だった。バンドのシンガーソングライター、Brad Arnoldは攻撃によって深く当惑したとLAUNCHに語った。彼はまた、自爆テロでツインタワーは崩壊したが、テロリストたちは米国を分裂させ集団ヒステリーを起こさせることには失敗したと言い、事件によって国が団結したと語る。 「奴らは一か八かの自爆テロに賭け、米国を恐怖に陥れてカオスを作り出そうとした」「だけど、全く正反対のことが起きたと思う。今までの人生で、バカげたつまらない事にあまり大騒ぎせず、このように多くの人々が皆ひとつとなっているのは見たことがない。わめき散らしたり、喧嘩をするんじゃなくて、みんなががんばっていけるかどうかは僕たち次第なんだ」 Arnoldはさらにこう付け加えている。 「この事件で国がもっと良くなれば、犠牲となった命には代えられないけど、完全に無駄になるよりはずっとましだろう」 3 Doors Downのツアーは10月13日のミシガン州カラマズーまで続く。 |
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