【ライブレポート】ヴィジュアル系の祭典<MASKED 2026>day1。MUCC、キズら全29組が火花を散らす「これが今を生きるヴィジュアルロックだ!」

2026.05.29 23:02

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ヴィジュアル系を世界に発信していくプロジェクトとして、2025年に始動した「MASKED」。

大成功に終わった初のサーキットフェス<MASKED 2025>を皮切りに、<MASKED HALLOWEEN>などの企画を通して、令和のヴィジュアル系シーンを活性化させてきた。そして2026年、第2回となるサーキットフェス<MASKED 2026>は2日間開催に進化を遂げる。より幅広いキャリアのバンドが集まり、出演数は昨年の29組から57組に倍増。その告知に合わせて公開されたのは、昨年も大きな話題を呼んだ「MASKED」オリジナルのアーティスト写真だった。

出演する全バンドのボーカリスト57名を写真家・宮脇進氏が撮り下ろしたアーティスト写真は、それぞれ意匠を凝らしたヘアメイクはもちろん、表情や目線すべてを駆使してバンドの世界観を表現したもの。ダークなテイストに限らず、モードやストリート、ポップなものまで1枚として似通っていない写真から、「ヴィジュアル」に懸ける美学が伝わってくる。撮影の裏側を映したドキュメンタリー映像やカメラサイン動画がSNSを通じて世界に公開され、フェスに向けての起爆剤となった。

チケットは2日間とも即ソールドアウトし、オリジナルアーティスト写真を使ったグッズなどを扱う「MASKED 2026 POPUP STORE」はSHIBUYA109を始め中国、アメリカでも大盛況。昨年を超える勢いで「MASKED」旋風が吹き荒れた。

迎えた2026年5月22日。あいにくの雨模様となったが、肌寒い気温に負けない熱意を持った観客が会場一帯に集結していた。メイン会場となるSpotify O-EAST/Spotify O-WEST/duo MUSIC EXCHANGEのほか、渋谷REXでの「MASKED mini」、clubasiaでのトークライブに加え、今年は渋谷REXでのアフターパーティも完備。まる2日間かけて、ヴィジュアル系の祭典が始まる。

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ティザー映像が流れ、「Visual kei: unbound, unlimited, free.(ヴィジュアル系は自由だ)」という言葉が宣誓のように響き、開演。早くも超満員のオーディエンスが待つO-EASTのステージに、トップバッターを務めるXANVALAが登場した。

昨年はduo MUSIC EXCHANGEに出演していた彼らが、満を持してO-EASTへ。黒で揃えた衣装に気合を漲らせ、4月にリリースした「災」で、さっそくフロアを激しくも美しい世界に変える。巽(Vo)の艶やかな歌声に包まれるバラード「後悔に咲く花」など多彩な楽曲で「MASKED」の開幕を飾った。

耽美な残り香をかき消すように、雨天を味方につけたザアザアがヘヴィかつシニカルなパフォーマンスで会場を深い闇へと誘っていく。3番手の甘い暴力は、なんと咲(Vo)が2階席から姿を現すというサプライズでスタート。強気な言葉で観客全員を巻き込んで大暴れしつつ、リアルな痛みに寄り添う「傷口」や、最新曲「咲桜(さくら)」の切ないメロディでしっかり心を掴んだ。

続くCODOMODRAGONが、EDM×ラウドな「RIGHT EVIV」「嗤死」でまたガラリとムードを切り替えてみせる。カラフルなリングライトが輝く光景も新鮮で、こうしてバンドごとに空気が変わるのが「MASKED」の醍醐味だと実感する。フェスや共演者にリスペクトを持ちながら、いざライブが始まれば「俺たちが一番」というプライドが激しく火花を散らすのだ。

自身もオーガナイザーとして<バグサミ>を主催してきたBugLugは、まさにフェスの相乗効果を知り尽くしているバンド。和風ホラーな「ENMA」で幕を開けると、スピードナンバー「BUKIMI」やダンサブルな「排水溝で一気して」を畳みかけ、オーディエンスを極彩色のBugLugワールドに招き入れる。一聖(Vo)の熱唱と映像演出が胸に刺さった「TIME MACHINE」など、スケールの大きなステージを展開した。ここから、初の東名阪開催に挑む<バグサミ2026>に向けて、ますます加速していくに違いない。

O-WESTでも、色とりどりのバンドたちが個性をぶつけ合っていた。トップバッターのCHAQLA.は、ヒップホップを取り入れたグルーヴィなミクスチャーを投下。「去年はDuo、今年はWEST、来年はEAST!」とフリースタイルラップに野心を込め、会場をポジティブなパワーで満たした。その後、2番手の“アゲみ集団”ビバラッシュのエネルギーが加わり、O-WESTにさらなるパーティ空間が生まれたのは言うまでもない。

この日のO-WESTのもうひとつの特徴は、ソロプロジェクトのラインナップである。現在活動休止中のバンド・己龍のギタリスト酒井参輝は、同じく己龍のドラマー・遠海准司をスペシャルサポートに迎えて登場。バンドの絆を背負い、力強い歌声と華麗なギタープレイで魅了した。

SuGとしての活動を経てソロワークを続けてきた武瑠は、ドラムレスという挑戦的なスタイルでのステージ。幅広いジャンルを昇華した音楽性と表現力で存在感を示しつつ、vistlipの海(G)が飛び入りするサプライズも会場を沸かせていく。

さらに、鬼ヶ島はダウトのボーカリスト・幸樹のソロプロジェクト。翌日にダウトとしての出演が控える中、扇子を手に踊るように現れ、バンドとはまた違うエンタメ性満載の和風ロックを披露した。幸樹は、演歌歌謡歌手・花見桜こうきとしての活躍も目覚ましい。バンドという美学を踏襲する一方で、そこにとらわれないスタイルもどんどん自由に花開いているのが、現在のヴィジュアル系シーンの面白いところだ。

進化し続けるヴィジュアル系シーンの最前線を感じられるのが、duo MUSIC EXCHANGE。4回に渡っておこなわれたオーディションを勝ち抜いた若手を始め、シーンの新たな台風の目となるバンドたちが刺激的な競演を繰り広げた。

ジャジーな「B面の女」などレトロな世界観にオーディエンスを誘った曇りのち、、ツインテールの1号(Vo)がキャッチーな振付けで盛り上げたRorschach.incなど、サウンドも魅せ方も千差万別だ。

群雄割拠の中6番手を担ったDAMNEDは、重厚なメタルコアと一音(Vo)の歌唱力で会場を揺らした。彼らが掲げるヴィジュアル系×メタルのアプローチも、今ではシーンを支える太い柱のひとつ。その系譜という意味で、O-WESTの後半に並んだDEXCORE、NOCTURNAL BLOODLUST、DEATHGAZEの名前に興奮した人も多いだろう。それぞれ革新的なサウンドでジャンルの壁を越え、海外公演も経験している猛者たちが、MASKEDの一角に強烈なカオスを生み出していた。

DEATHGAZEを含め、20年以上のキャリアを持つバンドの出演が大きな特徴となった<MASKED 2026>。後半戦にさしかかるO-EASTには、昨年20周年イヤーを駆け抜けたlynch.が姿を現した。1曲目の「GALLOWS」から鉄壁のアンサンブルを解き放ち、一気にクライマックス級の一体感を作りあげていく。レザーのコートを翻してステージを闊歩する葉月(Vo)は、怒濤のシャウトで煽るだけでなく、「みなさんを一番楽しませる自信があります。EAST、ぶっ壊すぞ!!」とMCでも気合十分。「MIRRORS」「OBVIOUS」と容赦ないヘヴィ&ファストナンバーを連投し、休ませる隙を与えない。メンバー全員がまだまだ攻めの姿勢で突き進む意思を音に刻み、キラーチューン「PULSE_」「ADORE」で堂々締め括った。

その熱を引き継ぐのは、今年10周年を迎えるRAZOR。猟牙(Vo)は結成当初からのlynch.ファンを公言しているうえ、MASKEDアンバサダーを担う身として、このステージに懸ける想いはひときわ強かったはずだ。「MASKED」オリジナルアーティスト写真と同じスキンヘッドのウィッグで登場すると、般若心経を取り入れた「HUMAN ANALOGY」で木魚を叩いて歌うというパフォーマンスでオーディエンスの度肝を抜いてみせる。ギターリフがうねる「BAD EVIDENCE」や歌って踊れる「UNION」など濃密な楽曲を届けながら、「DAMIAN FLY」でフロアにダイブするなど、自らがリスペクトするヴィジュアル系に挑戦状を叩きつけるような破天荒っぷりが見事だった。

そして、「MASKED」最年長となるMUCCがステージへ。YUKKEのベースから「大嫌い」に突入するやいなや、逹瑯(Vo)の「自由に楽しんで!」という言葉どおり、モッシュやリフトが発生するお祭り騒ぎに。インディーズ時代の名曲「娼婦」から、最新アルバム『1997』収録の「不死鳥」など、時代問わずエモーショナルなナンバーで誰しもの感情を揺さぶっていった。「MASKED」オリジナルアーティスト写真と同じポニーテール姿の逹瑯が、「みんなアー写のヘアメイクで出てくるんだと思ってた。猟牙がいなかったら、はりきりおじさんになるところだった……(笑)」と照れ笑いするシーンも挟みつつ、ライブはもちろん手加減ナシ。ラストの「蘭鋳」まで、さまざまなフェスで鍛え上げた歴戦のサウンドで圧倒し続けた。

多種多様な熱演を経て、初日のトリを務めるのはキズ。4月に全国ツアー<鳳凰焔巡>を終えたばかりのライブモードで<MASKED 2026>に降臨した。来夢(Vo)が「いくぞ、MASKED!!」と一喝し、「地獄」でO-EASTをまさしく地獄に引きずり込む。ツアーに先駆けてリリースされた新曲「鳳凰」では、4人一体となって練り上げるグルーヴとドラマチックなアレンジが圧巻。「魅つけてくれ 紡ぎ散る この命の欠片も」と来夢が狂おしく歌い上げる最後まで、張り詰めた緊張感に息を呑んだ。そこから「平成」「傷痕」とアグレッシブに畳みかけるバンドに煽られ、オーディエンスも今日1日のピークに達するべくヘッドバンギングや拳で応えていく。高まり続ける中、エンディングとして贈られたのは「R/E/D/」。来夢は、シーンへの愛憎を生々しく刻んだリリックを、膝をつき、声を振り絞って全身全霊で歌い叫んだ。そして、「これが今を生きるヴィジュアルロックだ!」と宣言してステージを降りたのだった。

確実に昨年を上回る熱量とともに、初日の全アクトを終えた<MASKED 2026>。ビバラッシュが出演するアフターパーティを経て、この熱は翌日へ繋がっていく。