【インタビュー2/3】活動休止、ソロ挑戦、pugcat’s…そしてT-Pistonzは再び「イナズマイレブン」へ

紆余曲折を経ながらも、T-Pistonzが「イナズマイレブン」の音楽を担当することとなり、その熱血な歌声は、2008年「リーヨ~青春のイナズマイレブン~」というニンテンドーDSゲームソフト『イナズマイレブン』オープニングテーマでメジャーデビューを果たし、その後も、アニメ『イナズマイレブン』オープニングテーマ「立ち上がリーヨ」「マジで感謝!」、ニンテンドーDSゲームソフト『イナズマイレブン2 脅威の侵略者 ブリザード』オープニングテーマ「つながリーヨ」と精力的に作品を発表していく。
19枚目のシングルとなった『イナズマイレブン オンライン』主題歌「王者の魂」まで、4枚のアルバムと2枚のベストアルバム、2つの映像作品をリリースするという怒涛の活躍を見せてきたT-Pistonzだったが、2014年11月に活動を休止してしまう。
メンバーはそれぞれ音楽活動・エンターテイメント活動は続けるものの、一旦T-Pistonzの音楽から離れ、個々の可能性を探る時期に来たというコメントを残し、人気を博したファンクラブも閉鎖となってしまった。

左から、トン・ニーノ、DJ DRAGON、イン・チキータ(ラッキー池田)
◆ ◆ ◆
──2014年に活動休止になったわけですが、ファンにとっても大きな衝撃でした。当時、どのような気持ちと背景があったんでしょうか。
トン・ニーノ:T-Pistonzの活動休止の発表を2014年9月にしたんですけど、自分たちが思っている以上にリアクションがあったというか、「寂しい」「悲しい」「やっぱまだ続けてよ」という声をたくさん聞くことになって、「T-Pistonzって、こんなにみんなから愛されていたんだ、みんなの人生の一部になってたんだな」って、ありがたい気持ちを確認させてもらいました。解散とは言ってないんで、だからこそ活動再開するときは、その期待に応えられるような、もっと凄いやつになって戻ってこようと気合いが入りました。別れは寂しかったですけど。
イン・チキータ:あの頃はライブも頑張っていて、当時の子供たちも年齢を重ねたんだけど、まだライブハウスに来るっていうような年齢でもなくて、でもライブをやると前の方には小学生がいたりして、後ろの方はコアな女性のファンがいたりとかっていう状況だったんですよね。
トン・ニーノ:ステージの真正面にキッズコーナーを作っていたからね。そこにちっちゃいお子さんがいて。
Tプロデューサー:簡単に言っちゃえば、いろんな業務が忙しくなってきてT-Pistonzに手が回らなくてね。T-Pistonzがお休みしている間に、豚骨ピストンズを演るっていう手もあったけど、メンバーの何人かはもう福岡に帰っちゃったからね。
トン・ニーノ:1日だけ一夜限りのライブをやりましたけどね。
──T-Pistonz休止中は、どんな活動をしていたんですか?
トン・ニーノ:海外に行ってピラミッドとか見に行きたいなとも思ったけど、でももう少し音楽をやりたいなと思って、自分だけでやり始めたりしました。会場を借りたりグッズを作ったり、そういうことを始めてそこでTプロデューサとかスタッフの皆さんにどれだけお世話になっていたのかを実感しましたね。
──音楽感とか、ステージに立つことへの変化みたいなものも生まれてきましたか?
トン・ニーノ:アレンジャーもディレクターもプロデューサーもいない中で、自分で作詞作曲して、初心を思い出してコツコツ作った曲を、100人ぐらいのライブハウスで演っていました。「イナズマイレブン」の曲に頼らずに、自分たちの曲だけで気合い入れてやっている時に、またTプロデューサから呼ばれるんですよ。それでpugcat’sが生まれるんです。
──そういうタイミングだったんですね。
トン・ニーノ:「イナズマイレブン」のアニメが復活したんですね(2018年4月スタートのイナズマイレブン新シリーズ『イナズマイレブン アレスの天秤』)。T-Pistonzを活動休止して2年後にpugcat’sとしてみんなの前に現れて、その時に「イナズマイレブン」の新しいゲームが出るって発表されたのが2016年ですね。その2年後の2018年に、pugcat’sが『イナズマイレブン アレスの天秤』テーマソング「てっぺんへダッシュ!」でまたデビューさせてもらって。

──pugcat’sはツインボーカルで、T-Pistonzとはまた違ったスタイルでしたよね。
Tプロデューサー:まず、T-Pistonzとの差をつけなくちゃいけないでしょ?同じタイトルなんだけど、形を変えてどうやって斬新に見せるか。今までと同じサウンドじゃダメだから、あえてすべてを正反対にぶち込んだの。
──T-Pistonz復活ではなく、pugcat’s結成にしたのはなにか意図があったんですか?
Tプロデューサー:トン・ニーノの声はどうしても欲しい、青春パッションにはどうしても必要だ、と。だけど新しさが欲しいというリクエストがあったんですよ。これね、難しいんです。トン・ニーノの声って何をやっても新しくならないんですよ。
トン・ニーノ:ぶわっはっは(笑)。
Tプロデューサー:これはもうどうにもなんないから、周りに何かを足したり引いたりするしかねえのか…それで「ハイトーンを組み合わせよう」と岡本幸太とツインボーカルにした。あともうひとつ、かっちりリズムの縦が合っている打ち込みで、ヘヴィメタルまではいかないんだけど、ハードにドコドコやるというのをテーマにした。
トン・ニーノ:幸太(岡本幸太)と初めて会った時はめっちゃさわやかで。
Tプロデューサー:甘いマスクで正反対。トン・ニーノは脂っこいじゃん(笑)。
トン・ニーノ:T-Pistonzの曲って、実はキーが高いんですけど、その曲をハイトーンで上にハモってくるていうのでびっくり。すげえなと思いました。
Tプロデューサー:ずいぶん爽やかになったよね。
──そんなpugcat’sの活動があって、2023年の<東京ゲームショウ>でまさかのT-Pistonz復活発表が行われるという。
Tプロデューサー:これも結局ね、日野社長が「次の作品でも、やっぱ歌はトン・ニーノだ。でも作品は進化させたい」って。またかよ、と。
──そのpugcat’sから、さらなる進化を求めてきたわけだ。
Tプロデューサー:また違うものをね。であれば、T-Pistonzに戻してサウンド感をシンプルに重くしようと考えました。ファンクっていっても色々あるけど、本格的になると軽やかになるんだよね。そうじゃなくて、あえてブリティッシュのロックンロールっぽい重たさにブラスを組み合わせようかな、と。そこにトン・ニーノの声がハマるのは分かっているから、あとは周りの組み立てで聴かせるようにする。トン・ニーノの声だけで斬新に聴かせるのは不可能だから(笑)。
──で、pugcat’sの幸太をT-Pistonzの新メンバーに迎え入れたわけですね。
Tプロデューサー:T-Pistonzのサウンドに戻しつつ、ちょっと太くして、そこに幸太の清涼感を足す。以前のT-Pistonzでは割と細かいことをやりすぎたんで、できるだけ太くシンプルにしつつも、ちゃんとプラスが乗っかるアレンジにしようと。マニアックな話なんであんまりわからないと思うけど。
──2023年には、T-Pistonz名義の新曲「笑顔がゴール!」が発表されましたが、これは2025年発売予定のゲームソフト『イナズマイレブン 英雄たちのヴィクトリーロード』の主題歌なんですよね?
Tプロデューサー:日野社長が納得するまでゲームが完成しないから、予定通りの日程ではゲームが発売されないんですよ。途中途中の締切で作った曲を提出するんですけど「なんか違うな」という感じで、何曲も作り直すんです。もう随分発売が遅れているから、お客さんに対してちゃんとしたものを出したいという気持ちと、遅れていることの焦りもあるし、多分俺も日野社長も長いことやり続けているから、正解がわかんなくなっちゃうんですよね。なんで「なんか違うなんか違う」といいながら、10数曲を作り続けてきたんだよね。
──それは大変ですね。
Tプロデューサー:ゲーム作品のテーマを訊いて我々はそれを咀嚼して曲にするわけですけど、「笑顔がゴール!」は、歌詞の「待たせたなっ」ってところが引っかかったのかもしれない(笑)。
──復活して再始動した新生T-Pistonzですが、活動が始まっていかがですか?
トン・ニーノ:いや、やっぱ嬉しいですね。この20年間、全部プロデュースしてもらってきていますから、今回はその集大成のような気がしているんですよ。
Tプロデューサー:今の時代、もう音楽が溢れ返っているじゃないですか。今の子たちって長い曲は聴かないんですよね。曲もありとあらゆる方向にメロディが飛びますよね。それが当たり前の中で、いかにシンプルにリフを聴かせるか。洋楽の基本に戻りたいというか、方向性としてはわざとメロディもあまり動かさないし、ひとつの言葉でもいいからフレーズだけで押せるような作り方ですね。今っぽいことはやらない、そういうコンセプトですね。
…続く
取材◎DJ DRAGON
文・編集◎烏丸哲也(BARKS)

<T-Pistonz リリースイベント>
※ミニライブは観覧無料
2025年8月21日(木) イオンモール大高
出演:トン・ニーノ 18:00スタート
特典:2Shot撮影+サイン会(私物 or 商品)
2025年8月26日(火) イオンレイクタウンmori
出演:T-Pistonz 18:00スタート
特典:握手+サイン会(私物 or 商品)
2025年8月27日(水) イオンモール幕張新都心
出演:トン・ニーノ 18:00スタート
特典:2Shot撮影+サイン会(私物 or 商品)
2025年8月28日(木) タワーレコード新宿店 9F店内イベントスペース
出演:トン・ニーノ、コータ 19:30スタート
特典:3Shot撮影+サイン会(私物 or 商品)
2025年8月29日(金) タワーレコード横浜ビブレ店 店内イベントスペース
出演:トン・ニーノ 18:30スタート
特典:握手+サイン会(私物 or 商品)
2025年9月4日(木) タワーレコード川崎店 店内イベントスペース
出演:トン・ニーノ、コータ 18:30スタート
特典:3Shot撮影+サイン会(私物 or 商品)
<T-Pistonz「俺達のヴィクトリーロード」>
【東京公演】
2025年9月20日(土)
@豊洲PIT
開場 14:15/開演 15:00
【大阪公演】
2025年10月13日(月)
@LIVE HOUSE バナナホール
開場 14:15/開演 15:00
T-Pistonz Blu-ray+CD 17Song 2ndシーズン『観せます!ヒストリーヨ!』
2025年8月20日(水)発売
8,800円(税込)
Blu-ray(ライブ映像)
●2024年12月28日@1000CLUB『イナソン・ベスト!2024総決算』
●2025年4月5日@有楽町アイマショウ『17 Song(イナソン)物語』
「立ち上がリーヨ」「マジで感謝!」「つながリーヨ」「勝って泣こうゼッ!」「GOODキター!」ほか
CD(新作ゲーム『イナズマイレブン 英雄たちのヴィクトリーロード』テーマソング)
1.世界に刻め!イナズママーク
2.勇者の魂
3.笑顔がゴール!
4.ガンガンガガン!
5.炸裂俺らの青い春
6.ビビルなっ!
7.ザ・ヴィクトリーヨ!
8.大・団・円(T-Pistonz with 健太)
ボーナストラック:「リーヨ~青春のイナズマイレブン~’24」「立ち上がリーヨ’24」



