| ──3枚の違うテーマのミニ・アルバムを1枚のアルバムにまとめることに、難しさを感じましたか? OLIVIA:ちょっと感じたかな。「Sea me」と「Into the Stars」のシングル楽曲2曲を入れるのも迷ったので。「Space Halo」と「Dreamcamp」もテイストが違うので大丈夫かなぁ?って。でも聴いてみたらあんまり浮いてなかった。 ──アルバム全体でのテーマというのは? OLIVIA:いや、とくになかったです。去年出した3枚のアルバムはそれぞれにテーマがあったんだけど、その3枚のアルバムのベスト盤みたいのが2ndアルバムです。 ──アルバム・タイトル『The Lost Lolli』の意味を教えて下さい。 OLIVIA:去年はずっと仕事。最後はこうパッションが下がって、エネルギーもなくて、アイディアもドライだった。ロリポップ、甘さがないフィーリングだったんですよね。でもいい音楽を作ったと思います。 ──今回のアルバムは全て歌詞が英語でしたが、なぜ英語で書いたのですか? OLIVIA:最初『Internal Bleeding Strawberry』を初めて英語で歌ったとき、みんなが全部英語でいいんじゃないの?って。 ──詩は英語の方が書きやすい? OLIVIA:全然日本語書けない。1回書いたことあるんですけど、もう無理。すごい難しい。 ──リスナーは日本人で日本語しか分からないという部分で、心配はありませんでしたか? OLIVIA:あります。ありますけど、結構いろんな海外アーティストのライヴも行くんだけど、ファンとちゃんとコネクションできてる。みんな歌詞も覚えてるし、好きな人は歌詞をちゃんと調べると思うんですよね。 ──アルバムを聴いてみて生音とエレクトロニック・ミュージックの融合を感じたのですが、実際にこの配分はどうやって決めているんですか? OLIVIA:最初曲を作るときはエレクトロニックは全然入れないんですよ。曲ができてから決めるんですよね、エレクトロニックを入れるとか、入れないとか。 ──一方で、ミクスチャー・ロックの要素も強かったのですが、今回こういったテイストを取り入れたのは? OLIVIA:そういう音楽もよく聴くから。 ──たとえば? リンプ・ビズキットとか? OLIVIA:あたしは、スニーカー・ピンプスとか。リンキン・パークとかリンプ・ビズキットはちょっと違うかもしれない。 ──どちらかというと、ミクスチャーの曲に関してはリンキン・パークやリンプ・ビズキットに近いものを感じたのですが。 OLIVIA:あー、それは弟のギターがあるからかな……。あたしはレディオヘッドなら『ザ・ベンズ』とか、スマッシング・パンプキンズのギターが好きだから。でも自分たちの(ミクスチャーの)曲は好きですよ。 ──作曲するときはギター? キーボード? OLIVIA:両方。でも、もしアレンジも自分で100%やったら、そういうリンプっぽいところは無くなるかも。ふふ(笑)。 ──ソングライティングの部分でアルバムの制作前と比べて成長したと感じますか? OLIVIA:イエス……でも、もっと上手くならないといけないと思ってる。 ──ヴォーカリストOLIVIAとしてはどうですか? OLIVIA:駄目です。聴けないもん、自分でこれ。オー・ゴッド……。すごいスケジュールだったんですよ。曲を作って、スタジオ入る。ドラム、ベース、ギター……あたしはずっといるんですよ。ずっと! 全部終わってから、はい歌詞、はいヴォーカルって。一番疲れてるときにヴォーカル。それが去年ずーっと。結構きつかった。 ──歌詞に絶望的な内容が多いのはそのせいですか? OLIVIA:そうですね。あたしは結構プレッシャーに弱いから。クレイジーになると、悪いことしか見えなくなる。 ──ラップ風の早口な歌い方やヒーリング・ミュージックっぽいヴォーカルなど、いろいろな歌い方にチャレンジしていますが、どのようにバリエーションを広げるのですか? OLIVIA:歩いているときに思いついたりするんですよね、“こういう歌い方がいいなぁ”とか。 ──とくに聴いて欲しい点はありますか? OLIVIA:前のアルバムとすごくテイストが違うじゃないですか? “あたしはこうだ!”みたいな。本当の自分を見せようって思ったんですよね。 ──さまざまなアーティストのエッセンスを感じるアルバムでしたが、レコーディングを通じて聴いていたCDやアーティストはありますか? OLIVIA:全然ないね。疲れてた。とくに『The Return Of The Chlorophy ll Bunny』と『Comatose Bunny Butcher』の頃は全然CDも買ってなかった。スタジオに入れば“ジャーン、ジャジャーン”(ギターの口真似)だから、サイレンスが欲しかった。たまに弟と妹が聴いてるのが聴こえてくるくらいで。 ──弟はどんな音楽を聴くのですか? OLIVIA:ジェフはいろんな音楽聴いてる。最近だとプラッドってエレクトロニック・バンドにはまってる。ほかにスクエアプッシャー、ルーク・バイバート。あとはレディオヘッド、ビョークも聴いてる。あたしと弟は好きな音楽似てるんですよ。クレイジーでダークな感じ。 ──歌詞はパーソナルな内容が多いのですか? OLIVIA:そうですね。ちょうど作っている時期に思っていることを。昔のこととか、フューチャーのことじゃなくて。 ──トラックがハイクオリティな反面、曲のアート性が高まることによって、ポップさや分かりやすさが失われる心配はありませんでしたか? OLIVIA:あった(笑)。あたしとジェフはいろいろクレイジーな曲がやりたくて。イントロだけで2分の曲とかあったんだけど、ディレクターに“あ、これはちょっと”とか言われて。しょうがないから、みんなが理解できそうなものを作ったんですよ。本当はもっとクレイジーに行きたいんですよ(笑)。 ──アルバムを作る前に決めた目標はありますか? OLIVIA:マニアック過ぎないように、ポップ過ぎないように……バランスをよく取って。だからディレクターがいてよかった。彼がいないとズレちゃうんだよね、自分たちの世界に入って。 ──アルバム全体としては自分で満足していますか? OLIVIA:ノー。 ──点数を付けるとしたら何点ですか? OLIVIA:オー・ゴッド。40点って感じ。でもいいアルバムだと思う。いろんなアーティストを超えたと思う。けど、あたしたちならもっとできるはずだと思うから。 ──次回作の方向性は? OLIVIA:ナイン・インチ・ネイルズとビョークが一緒になったようなのをやりたい。でもちょっと綺麗なゴシックって感じで。 取材・文●編集部 | |