必然の出会い 普遍的POPSへの願い

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原石の持つ限りない可能性…それを見極めるのは、経験に基づいた審美眼だ。
バンドマジックを生み出すための方程式など存在しない。

しかし、これから起こりえるだろう予測できない化学反応を嗅ぎ取り、
まだ見ぬサウンドに武者震いする三人がいる。
naja(ネイジャ)である。

バンドの魅力からユニットの自由さへ

1st Single

「火の鳥」

COCA-15457 1,050(tax in)
2003年2月19日発売

1. 火の鳥

2. 青い林檎
3. 火の鳥(カラオケ)





najaからビデオメッセージが届いています



click!


オフィシャル・サイト

http://columbia.jp/~naja/

najaのサウンドはアナログとデジタルを融合したキャッチャーなメロディーラインを基盤とするロックテイストある楽曲が基本。アコースティックギターとエレキギターの組み合わせ、生ドラムと打ち込みグループの組み合わせにより、独自のサウンド感を描き、YURIが「葛藤、希望」などを表現した歌が一体となり、このユニットでしかありえない世界観が広がりだした。あくまでも歌とドラム、アコースティックギターという変則な3人編成にこだわったユニットであることも、上記コンセンプトを表現するための必然であり、3人の出会いであった(オフィシャル・サイトより)

JUDY AND MARY解散後、五十嵐公太は、常々“いいヴォーカリスト”を探していた。エネルギーのある型破りな若い連中とロックしたいとも公言していた。そんな五十嵐がYURIと出会う。自分の出口を模索し苦しんでいた蒼きヴォーカリスト“YURI”と五十嵐は、五感で反応し合った。そこに横山達郎のアコースティックギターという触発のエネルギーが注ぎ込まれた。najaというスパークが煌いた。2月19日「火の鳥」のリリースである。

――お約束ながら、まずはバンド結成に関するお話を…

YURI(Vo):
バンドというより…ユニット、です。

――ユニットとバンドは、どう違うんですか?

横山達郎(A.G 以下、横山):
これという定義はないかもしれないですけど、バンドは、そのメンツだけで何かひとつの作品を完結できるというふうに僕は受け捉えていて、そういう意味ではnajaはもっと自由度があるというか…。

――この3人形態であることに大きなこだわりと強い意志があるとお聞きしていたのですが、“ユニット”であることにポイントがありそうですね。

横山:
すごく自然にこういう形でスタートしたということもあるんですけど、バンド・スタイルに関してはRAZZ MA TAZZで一応自分なりのやり遂げた感もあって、今は凄く色んな刺激が欲しいっていうか。

――そういった意味では五十嵐さんも同じですよね?

五十嵐公太(Dr 以下、五十嵐):
ユニットであることへのこだわりは凄くありますよ。要はそのポジションですから。…バンドっていうのは各メンバー個人が出す音が固まって独自のものができるわけでしょう? で、いい意味でそれが個性になるんだけど、同時にすごくメンバーに縛られる…つまり、メンバーがそれぞれどういう音を出すかで、その枠というものが必然的に決まってくる。

――良くも悪くもそうですね。

五十嵐:
そういった意味でバンドはJUDY AND MARYでもう十分満喫したんで、今回はそういう枠組みを全部取っ払って、もっと自由に…例えば「この楽曲に対してこういう音が欲しい」とか「こういうグルーヴが欲しい」と思ったときに、その楽曲に一番合うようなスタンスがいつでもとれるフットワークの軽さが欲しかった。

――だからこそのユニットなんですね。同時に、ギタリストとドラマーというプレイヤーでありながら、作品を創作するクリエイター/プロデューサー的なアプローチもnajaに持ち込んでいるということは言えますか?

横山:
そうですね。プレイはもちろん大前提としてあるんですけども、「バンドのイメージというものに自分が制約を受けてしまう」というバンド縛りみたいなもの、そういう枠はnajaにはありませんから、そういう意味ではいろんな曲を書いていきたいですね。

――そんな中でのYURIさんですが、これまでバンド経験というものは…

YURI:
全くないですね。

――そこがnajaの面白いところなんですよね。

YURI:
こうやってnajaができる前は、自分に何ができるんだろうって「?」ばっかりだったんですね。ただ(詞を)書くことは好きだったので、普段の日常の中で言えなかったこととかを、がーって書いていたものとかはたくさんあって、こういった自分が思っていることが誰かに届くといいなぁとは思っていました。

――そういえば、YURIさんは高校の時にいきなりアメリカへ飛び出しちゃったんですよね?

YURI:
なんか違うところが見れるといいなって思ったのが留学を決めたことなんですけど。なんかね、急につまんなくなっちゃったんです。このまま就職…何になりたいというのもなく。

――その時、今の姿というのを思い描けてはいないんでしょう?

YURI:
高校の時はなかったですね。

――YURIが自分自身を模索していた時代、JUDY AND MARYとRAZZ MA TAZZはバリバリ演っていましたよね。百戦錬磨の二人とピュアでフレッシュなYURI…この出会いはお互いにものすごい刺激でしょう?

横山:
なんか忘れてたものっていうとオヤジくさいですけど、YURIって「感覚のみ」なんですね。僕は前のバンドでバンマス(編集部註:バンドマスターの略。いわゆるリーダー)だったんで、トータル・プロデュース的な、バジェットがどうのこうのキャンペーンをやるの、だからスケジュールがどうの…といったことも要素にあって、どうも頭でっかちになるきらいがあったんですね。歌詞にしても「ここで韻を踏んで、ここでどうのこうの」とか(笑)。だからYURIの、そういうことを全く無視して言いたいことを言ってくる感覚が、とても新鮮というか、よく考えたら当たり前なんですけど「あ、ちょっと忘れてたかな」っていうのがありますよね。

――なるほど、もちろんそれも大事な経験ですけどね。その点、五十嵐さんはYURIさん同様、天然キャラということで…。

五十嵐:
うるさいなぁ、ほっといてよ(笑)。ま、基本的に頭ん中、高校生ですからね。いやね、もちろん分かるんですよ、いろんなことは。分かってるんですけど、割とどうでもいいなっていうのもあって、とりあえず今考えていることと言ったら「何があったら今自分が一番面白いかな、楽しいかな」ってことしかないから(笑)。YURIと俺が一番似ているところは、前いろいろやってて、ふと今の自分がつまんなくなっちゃって、で、もう一回リセットしようみたいなとこなのかな。

――ある意味、ミュージシャンの鑑ですな(笑)。

五十嵐:
もちろん趣味で演ってる訳じゃないんで、それなりの答えというのは出さなきゃいけないという、大きなお題は自分の中であるんですけど!

――今、レコード会社さん同席だからって、カッコつけなくてもいいっすよ(笑)。

五十嵐:
実は、何も考えてないっす(笑)。

心に残る曲、皆が歌える曲を

――可能性が360°広がっているnajaですが、najaサウンドの基本キーワードはありますか?

五十嵐:
もちろんYURIの歌がいちばん生きる世界っていうのかな。ただやっぱり、いくらなんでもこういうことをやりたいからっていって、せっかく集まったこの3人が全く活きないような音楽性をやろうとは当然思わないし、その中でいい音楽を作りたいよね。自分にとってはね、これはちょっと自分の中で封印してたアメリカンロックがもう一回できるかもしれないと思ったよ。そこに、実に日本人的な、憂いのある湿ったYURIの歌が乗ったら凄く面白くなるんじゃないかっていうのがあったから。

――ほうほう。

五十嵐:
もちろん、ベーシックにアコギがあって、わりとかっちりしたループで打ち込んだサウンドの上にYURIの歌を乗せたら面白くなるんじゃないかなとか、そういう、はずせないnajaサウンドの核はあるんです。俺も生でドラムを叩くというこだわりはいったんちょっと置いてあるし。その上で、「火の鳥」に関してはナマで全部叩いて、後から切ったり貼ったりとかしてね、今までやってきたこだわりとは別の部分で組み立ててったらどういうふうになるかなみたいな、ベーシック部分の延長線でどれだけこう膨らませていけるかなっていう楽しみはあるよね。

――いっそ素直に生で叩いた方が楽でしょうに。

五十嵐:
でも全部ナマっぽく聞こえるでしょ? すっげぇ時間がかかってる(笑)。

YURI:
時間かかってるよねぇ。

――完成されたときの最終イメージを実現するための作業と言うんでしょうか。

五十嵐:
今までドラムは必ず一発録りで、その瞬間をポンとパッケージングしてきたけれども、もう少し先を見てやったらどうなるんだろうなって。

横山:
何でもできると言うと変ですけど、自分のポジションはアコギなんで、いかにドラムのカナモノ系と絡んでいくかとか、あったか味とか空気感とか奥行きとかを足していけるかとか、そういう部分にちょっと命賭けてますよ。曲のボトムを作りだす上で、曲の場所ごとにいろんなことをやっていますから、僕も今までみたいにアコギ一発って訳にはいかないですね。ドラムもすごい緻密に録っているし。

――ユニットとしてはnajaは新人なんですが(笑)、YURIのヴォーカルがあって、その存在があって、その世界観をどうつくり、その曲をどう広げていくかに全てのスタートがある…その卓越したアプローチこそ、特筆すべきポイントだと思うんです。

横山:
結局、歌がちゃんと届かなかったら総崩れっていうか…ギターがどれだけ良くたって無駄というか、結局歌をちゃんと届ける…それが大前提です。その後ろでいかに自分がマニアックに楽しむかが、ここ最近の基本姿勢にありますね。

――五十嵐さんも昔から「歌ありき」と言っていましたよね。

五十嵐:
歌ものはね。

横山:
もちろん、エゴがぶつかってぶつかってサウンドが構築されていくパターンという、いわゆるバンド・サウンド…それはそれですごく面白いですよ。

五十嵐:
そう。だから「火の鳥」に関してはこういうアプローチをしたし、これから先全部こうしていこうとも思ってないしね。

――なるほど、面白そうですね。

五十嵐:
それが自由度であってね。だからね、俺とYURIが「誰を入れようか」っていろんなギタリストに声をかけてみたりしたんですけど、その、…「持っていかれる」んですよね、当たり前のように。各ギタリストみんなカラーがしっかりしてるから、その世界にガッと持っていかれる…それがいやだった。それは過去の経験っていうか、今そうしたくないという思いかな。その色が欲しいときはサポートでお願いすればいいだけだから。そんな中で、ヨコタツ(横山)の弾くアコースティック・ギターは、凄く暖かくて、すごいグルーヴがあって、これは絶対「najeサウンドに必要だ」「ベーシックに、これは絶対流れてないとダメだ」と思ったんだ。

――出会い方にもドラマがありますよね。五十嵐+横山がヴォーカリストを探してできたユニットです!という順番だと、このサウンドにはならなかったのかもしれない。

横山:
公太さんも俺も、今までずっとヴォーカルを探していたんですけど、やっぱり出会わなかったですね。いいヴォーカリストって滅多にいないなぁ。

――できあがったサウンド「火の鳥」「青い林檎」は、実に癖になりますね。何度も何度も反芻するように聴いているんですけど、第一印象にいろんな匂いが上塗りされてくるんです。不思議な不思議な感じがあって、熱いのか冷たいのか…。

五十嵐:
でしょ? 第一印象じゃないんですよ、このユニットの曲って!

――ジワジワと胸をつかまれる感じとでも言うか…。これは是非、音楽を深く聴きこんでるヘヴィーリスナーにも、小中学生にも聴いてもらいたい。で、感想を訊きたい(笑)。

五十嵐:
音楽って計算して出せるもんじゃないし、結果こういうものが生まれましたっていうことでしかないと思うんですけど、すごく大事にしたいなぁと思うのは、いい意味で歌謡曲にしたいという想い。自分が育ったときに入ってきたPOPS、バラエティあふれる歌謡曲のように、みんなが歌える…心に残る曲がいっぱいできたらいいなと思います。

――気の早い話ですが、「火の鳥」「青い林檎」たった2曲じゃ辛抱たまらんってことで、次期リリースの予定は?

五十嵐:
今、テンパってますね。

横山:
妥協はしたくないから。曲はね、もう、いっぱいあるんですけど、でもまだこれだ!というところまで来れなくてもがいてます(笑)。

――早くお願いします(笑)。

五十嵐:
まずは「火の鳥」を(笑)。

YURI:
自分の中で、死んじゃっていない、心の中でずっと思い続けていることがあって「火の鳥」という言葉が出てきたんで、そういう言葉が響いて届いてくれればいいなと思っています。

――これからに期待しています。ありがとうございました。

取材・文●烏丸哲也

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