【サマーソニック】駆け足の2日間…、観どころ圧巻のパフォーマーは?

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駆け足の2日間…、観どころ圧巻のパフォーマーは?

セット・チェンジの時間が短い時で30分というタイトなスケジュールの割にはそれ程、遅れもなくオン・タイムでショーは進行。

セット・チェンジの間にトイレに行き、フードコートで飲みものや食事を買ったり、うっかりのんびりしていると次の演奏が始まってしまうという慌ただしさ。まぁ、逆に言えば、重点的にライブ・パフォーマンスを楽しむにはいいかもしれない。

その意味ではフェス全体を、のんびり楽しむフジ・ロック・フェスティバルと、一個一個のアーティストのパフォーマンスに集中して楽しむサマー・ソニック、差別化はきっちりされていたんでは。

ただ、千葉に住んでいる僕は片道4時間半。都市型フェスティバルと謳うには、富士急ハイランド・コニファー・フォレストは、正直、遠すぎる。

というわけで、ライヴ・レポートを駆け足で紹介すると……。

ある意味、それぞれ自分達のやりかたで黒人音楽にアプローチしているアーティスト達が鎬を削ったSUMMER SONICの第一日目、STAGE 1 の後半戦。

Arrested Development
まず、再結成したヒップホップ・グループ、アレステッド・ディヴェロップメント。単なるラップに止まらない、ダンサーを含む、ちょっとミュージカル風にも思えるパフォーマンスは観客を大いに沸かせていた。スライ&ザ・ファミリー・ストーンのカバーに加え、新曲も演奏。9月6日には新作『DA FEELIN'』もリリースされる。

続くドラゴン・アッシュはヘヴィな激音でスタート! いきなりすげぇ気合入っている。やはり後ろにJBが控えているからか? いや、それともジョンスペか!? ハードコア・サウンドとサンプリングを交え、日本語を駆使したラップで煽る。そして途中、オーバーヒート寸前の観客をレゲエ・ナンバーで和ませ、メロウな歌で観客の気持ちを鷲掴みに…硬軟使い分け、巧みに盛り上げたステージはラッパ我リヤが乱入した「DEEP IMPACT」で一気に沸点に達した。その堂々たるパフォーマンスと降谷建志のカリスマチックな佇まい(+ベーシスト、馬場育三の面妖なルックスとけれんみ溢れるパフォーマンス)は圧倒的だった。

Dragon Ash
そしてラストはメロウな「VIVA LA REVOLUTION」 。青臭いほどに生きる希望を歌いあげた、この曲に僕は感激。ちょっと涙が出そうになってしまった。

そして、ジェイムス・ブラウン

サマー・ソニックに来るロック・ファンにJBはもったいない! と考えているJBファンもいたときくが、それってどうなの? 確かにエンターテイメントに徹したステージ、50年かけて作りあげた伝統芸、そしてこの世にオレ様以外のファンなど存在しない、とアピールする存在感には、さすがに感心させられたけれど、正直、総勢20人のバンドを率いて行う、ソウル・レビュー・スタイルのパフォーマンスはこういうフェスティバルには合わない、が僕の結論。果して予定の時間を40分もオーバーして演奏する意味はあったんだろうか?(聞くところによると大阪ではもっと長かったらしい)

Jon Spencer Blues Explosion
JBが終わり、セット・チェンジしていると突然、大粒の雨。ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンのライブは激しい雨の中、スタート。以前見た時よりもロック色濃い性急な演奏が緩んだ空気をピシリとひきしめる。御大が、じっくりと演奏した為、50分弱のステージになってしまったけれど、ジョンスペは完全燃焼した。いつの間にか雨も止み、演奏終了とともに花火が打ち上げられた。

さて、二日目。

STAGE 1 に辿り着くと、ちょうどアット・ザ・ドライヴインが演奏を終えたところで、自分達で機材を片づけるメンバーの姿が印象的だった(笑)。

Living End
次いでオーストラリアのトリオ、リヴィング・エンドが登場。グリーン・デイストレイ・キャッツの出会いなどと評された演奏は前回の来日時よりもロカビリー色はずっと希薄になり、ギター・プレイに見られるヘヴィ・メタルの影響など(後日、インタビューしたら、メタルの影響は否定していたけど)、多彩な要素をクロースオーバーさせたユニークな楽曲を連発。

中でも10月に出る新作にも収録されるポップな新曲「PICTURES IN THE MIRROR」を聴くかぎり、最早、グリーン・デイとストレイ・キャッツの出会い、つまりパンカビリーという言葉はこの連中には当てはまらないだろう。

楽曲の多彩さに加え、振り回したり、馬乗りになったりするウッド・ベースの曲芸など、広いステージを目一杯使ったパフォーマンスも見応えたっぷりだった。

その後、スネイル・ランプトライセラトップスと日本勢が盛り上がりを受け継ぎ、イギリスの4人組マンサンがアルバムよりもロック・バンド然とした演奏で一層、観客を盛り上げる。

Weezer
そして、突然の活動休止、マット・シャープの脱退、解散の噂など、ネガティブな話題ばかりでファンをやきもきさせてきたウィーザーが、ついにステージに現れる。サマー・ソニックの一番の目玉はある意味、このウィーザーかもしれない。

しかし、ステージに立ったからと言って、手放しでは喜べない。ステージに立つからには現在進行形のバンドであることを証明してくれなければ、困る。いや、別に困らないけれど、単に過去の楽曲を演奏するだけでは懐メロ・バンドと変わらない(そりゃ、やっぱり曲はいいなあ、と思ったけれど)。果して!?

結論。ウィーザーの演奏は、まぁ満足できるものだった。新加入のベーシスト、マイキー・ウェルシュもマットに負けないバカ・キャラで存在をアピールしていた。そして何よりも新曲も3曲演奏してくれた。その新曲もけっこう良かった。

というわけで今回、温かく迎えてくれた日本のファンの好意に甘えずに彼らには、いいアルバムを作ってほしいと思う。そのアルバムが本当にいいアルバムだったら、僕もウィーザーのことを見直そうと思う。

by Tomoo Yamaguchi

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