【ライブレポート】イーグルス、最高品質のサウンドとパフォーマンスにスタンディングオベーション

ウエストコーストロックの代表的バンドであるイーグルス。歴史的名盤である『ホテルカリフォルニア』を知る人は多いだろう。現在の彼らは<The Long Goodbye>というフェアウェルツアーを遂行中だ。ここラスベガスの巨大球体シアター、スフィアで行われるレジデンシー公演は、おそらく彼らのショウの中でも最高のサウンドシステムで楽しめるものだと思う。
まず、「後ろの観客の視界を妨げないよう着席したままでお願いしたい」というメッセージがスクリーンに表示されるのも納得するオーディオヴィジュアル体験だった。「Hotel California」「One of These Nights」はセットの最初に位置付けられ、非常にクリアな映像とともに彼らの歴史的な名曲たちをこれまでとは違う形で味わう事ができた。イーグルスは自らを「ハウスバンド」と言い、特別なパフォーマンスがあるバンドではない。メンバーがステージ前方に並び、只々、純粋に素晴らしい楽曲を素晴らしいコーラスハーモニーで聴かせてくれる。




観客は静かな中でも歓喜しているのがわかる。全てが楽曲にまつわる映像なわけではないが、みなそれぞれの想いを馳せているのだろう。ステージ自体は至ってシンプル、現ツアーのメンバーは、ドン・ヘンリー(Vo, G)、ジョー・ウォルシュ(G, Vo)、ティモシー・B・シュミット(B, Vo)、ヴィンス・ジル(G, Vo)、そしてグレン・フライの息子であるディーコン・フライ(Vo, G)だ。フロントには6人が並んでいたので、もう一人ツアーメンバーのギタリストとドラムとキーボードもツアーメンバーだ。



グレン・フライやドン・フェルダーは居ないけれど、ディーコン・フライの歌声は父親譲りで「Peaceful Easy Feeling」「Already Gone」「Take It Easy」などグレン・フライの代表曲では堂々としたリードヴォーカルを正確に披露していた。
そしてセットリストのすべての楽曲が一般的にも認知されているような名曲であり、ドン・ヘンリーが「ここには164,000個のスピーカーがあるから、会場の全員にほぼ同じようにサウンドは聴こえるはずだ」との事。しかしそのたくさんのスピーカーはこのシアターではひとつも目に見える事はない。イーグルスは本来の音楽を、歌を聴かせるコンサートを目的としているが、ここでのコンサートは映像を見る事にとても忙しい(笑)。


球体スクリーンがステージを包み、「The Boys Summer」や「Rocky Mountain Way」は、まるでディズニーランドのアトラクションのような視覚体験だ。そして彼らの感情が伴った音楽は、50年以上もファンの為に演奏されてきて、またその伝説を続けられた理由のひとつとしてディーコン・フライを紹介していた。


終始、落ち着いた雰囲気の中で曲によっては歯切れ良く、またしなやかさも緊張感もあり、個人的にはアンコールでの「Desperado」は特に格別だった。この後、着席で観ていた全ての観客はスタンディングオベーションとなり、18,000人にとって新たなメモリアルになった。イーグルスは今後もまだスフィアでのレジデンシー公演が予定されている。
文・写真◎Sweeet Rock / Aki
<THE EAGLES ~ The Long Goodbye 2025~>
1.Hotel California
2.One of These Nights
3.Lyin' Eyes
4.Take It to the Limit
5.Whichy Woman
6.Peaceful Easy Feeling
7.Tequila Sunrise
8.In the City
9.I Can't Tell You Why
10.New Kid in Town
11.Seven Bridges Road(Steve Young cover)
12.Best of My Love
13.Life's Been Good
14.Already Gone(Robb Strandlund cover)
15.The Boys Summer
16.Life in the Fast Lane
Encore
17.Take It Easy
18.Rocky Mountain Way
19.Desperado
20.Heartache Tonight