【インタビュー】J、3年3ヶ月ぶり13thアルバム『BLAZING NOTES』に日々の記録「燃え上がる瞬間で全てを埋め尽くす」

■俺たち自身が時限爆弾みたいだなと
■そう考えたらいろんなことが見えてくる
──リード曲の「TIME BOMB」はライヴでも相当な起爆力がありました。どんなふうに生まれてきた曲なのですか?
J:原曲はギターのmasa(masasucks)がつくってくれて、そこをスタート地点に、彼のアイデアと俺のアイデアとをマッシュアップしてつくっていきました。ただ、彼の世界観がほとんどもう出来上がっていたので、それを研ぎ澄ましていく作業のほうが多かったですね。一緒にバンドをやってもう長いので、俺やバンドが行くべき場所を全て理解しているギタリストだと思うから、外さないですよね。
──Jさんから「こういう方向性にしたい」と言葉でディレクションなさることも特になかったですか?
J:今回は本当に少なかったですね。ツアーをやっている段階でその次へのヴィジョンは話さなくてもメンバーと共有し合えるものなんですよ。「俺たちが生きてきた時間の中で触れ合ってきた“カッコいいもの”を今の自分たちの中から出していく存在でありたい」とか「ずっと生き続けていくような熱さのある音を、俺たちの中から生み出していけるはずだ」という想いをね。
──ライヴの音の説得力も凄まじいですよね。登場してジャーン!と最初に鳴らしただけで“本物だ”と伝わります。
J:メンバー全員、それぞれが本当に強烈なミュージシャンですからね。彼ら全員がストリートの熱を吸収しては吐き出して音楽をやってきたような、野生のミュージシャンだと思うので。時代の空気もそうだし、人々の熱もそうだし、もっと言えば、いろんな活動をしていく中でメジャーの熱もアンダーグラウンドの熱も知っている。俺自身、彼らの全てのそんな情熱を借りてライヴできるので、とんでもないものにしないといけないですよね。

──「TIME BOMB」は歌詞もスリリングで、タイムリミットを意識して先延ばしにせず生きていくんだ、という覚悟が感じられました。
J:まさにそういったイメージで歌詞を書いていました。いろいろなことをここ数年で経験していく中で、“時間というものは有限なんだ”と改めて感じることが多かったですよね。コロナのことも含めて、先送りにしたって明日があるかどうか分からない。もちろん、仲間や先輩ミュージシャンとの悲しい別れもあった、日常でもいろいろなことがあるし…。よくよく考えてみたら、実はそんなことばかりがある世の中に僕らは今生きてる。だから、全てにおいて、やはり決意を持って向かっていくべきものがたくさんあって。“いつもずっとあるもの” “当然あること”なんて、ある日を境にパツンと無くなることだってあり得る世の中になっているわけじゃないですか。これは世界的な情勢も含めて。
──痛切にそう感じる昨今です。
J:そんな状況もそうだし、もしかしたら俺たち自身が”時限爆弾みたいだな”と思って。みんなタイムリミットがあとどれくらいなのかなんて分からない。だけどそう考えたら、逆に前向きにいろんなことが見えてくるなと思ったんです。だから決して他人事じゃない。“あ、それを歌にしたいな”って思ったんです。何かのために仕掛ける爆弾じゃなくて、お前自身がもう爆弾だぞっていう。
──“運命に火をつけて”という一節は、自分の中に宿っている定めや、やるべきことをやれ、というニュアンスでしょうか?
J:そう捉えてもらっていいと思います。誰かに火を点けてもらうものではない気がするんですよ。外側から受ける影響や、きっかけみたいなものは当然存在しますけど。それもこれも全部エネルギーに変えて、自分自身で盛り上がっていくことを、そのエネルギーを共有/表現できたらいいなと思ってて。楽しみながら言葉を選びました。
──人生は有限である、というシリアスなメッセージを爽快さと共に届けていくのが素敵です。hideさんにも通じるアティテュードではないかと思うのですが、音楽に身を任せていると、ふとメッセージが自分の考えとして入ってくる、というような。そういう提示の仕方は、あえて意識されているのでしょうか?
J:そうですね。意識しているとすれば、ある時期を境に、自分が作る曲に関して、音楽と言葉の距離をすごく近くしたくなった時期があって。“伝えたいこと、伝えたいこと……”とばかり考えてしまうと、音楽から離れていってしまう感覚がものすごくあったんですよ。言葉が硬くなってしまったり、説明っぽくなってしまったり。でも、“俺がやりたいことってそうじゃなかったな”と。“四の五の難しいこと言ってねぇで、最終的にはみんなで盛り上がろうぜ!”ってところがルーツだった気がするから。
──それこそ“'80年代、'90年代、2000年代、2010年代を生きてきたミュージシャンがやる音楽”というか。
J:俺自身、初めてロックを聴いた頃に、すごい音楽に触れた時とかって、自分自身が何にでもなれるエネルギーをもらえた気がしたんですよ。それはやっぱり失くしたくはないなって思ったから。だから、今「ふとメッセージが自分の考えとして入ってくる」と言ってくださったように、耳の中に何の抵抗もなく自然に入っていって、“もしかして、これってこういう意味?”と気付くみたいなもののほうがクールだな、というのは正直あります。そのバランスはとても難しいものなんだけど、歌詞を何遍も自分でつくっては聴いて、“これはダメだな” “これはこういうふうに聴こえるな” “こういうふうに響くな”というのを繰り返して完成させてたりするんですよ。
──なるほど。
J:やっぱり俺は、たとえテーマがシリアスだったとしてもネガティヴなことを全部ぶち壊していくようなエンターテインメントをつくりたい。音楽を聴いて考え込んじゃうようなものはではなく、どんなことがあっても、“どうでもいいじゃんよ”と全部笑い飛ばせるような、矢印が前に向いているものでありたい。そういう意味では、hide兄の曲もまさにそうかもしれないですよね。
──Jさんが継承なさっていると強く感じました。
J:そう言われると恐れ多いですが、根本的な考え方が似ていたのか、だからこそ影響を受けたし、だからこそあれだけ可愛がってもらえたのかもしれないですし。そういう意味では、音楽に対する想いが似ているのかもしれないですね。本当におこがましいですけど。
──いえいえ。「TIME BOMB」のミュージックビデオはシンプルな演奏シーンを中心としながら、プロジェクションマッピングのようなレーザー演出がクールでした。
J:ミュージックビデオに関しては最近、自分自身のヴィジョンを先にあまり言わないようにしているんです。いつも一緒につくっている監督と話をして、「どんなことをイメージするかな?」「どんなことを形にしようとしてるかな?」という話を聞くことを楽しみたいんですよ。もちろん、明らかに全然違うものだったら「そうじゃなくて」という話にはなるんですけど。その楽曲に何をイメージしたか、どういう映像を、どういう角度で、どういう温度で撮るのか、みたいなところは委ねたい。そうじゃないと、自分の頭の中だけだと狭いものができてしまう気がして。だから、これも一つの音楽的なセッションなんですよね。いいミュージックビデオになったと思いますよ。
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