【速レポ】＜REDLINE＞PEDRO、「またみなさんとどこかで音楽で遊べますように」

SOUL STAGEに登場したのは元BiSHのアユニ・D（Vo, B）によるパンクプロジェクト、PEDRO。

◆ライブ写真

現在9月からスタートした全国25都市27会場をめぐるワンマンツアー＜ラブ＆ピースツアー＞の真っ只中ということもあって、田渕ひさ子（G）、ゆーまお（Dr）との3ピースの歯車ががっちり噛み合ったアンサンブルで「ラブリーベイビー」から、ザクザクとしたノイジーなギターサウンドと、エモーショナルなボーカルを響かせる。


「PEDROです、よろしくお願いします」。その簡単な挨拶から突入した「吸って、吐いて」からはグッと演奏のアクセルを踏み込んで、スピードも音量も上げていく。ときに気持ちを破裂させるように叫びを上げながら、荒々しいブレスで歌い、全身を使うようにしてオーディエンスに歌をぶつけるアユニ・D。サポートであるふたりのメンバーも叫びをギターやビートに変えて、豪快にサウンドを編み上げる。遠慮のない音のぶつかり合いに、オーディエンスは圧倒されながらも、コブシを上げる。

さらにパワフルに「祝祭」でぐいぐいと熱を上げると、ドシャメシャにノイジーなイントロから「グリーンハイツ」へとなだれ込む。体を震わせるような爆音に低音が轟いて、鋭くもキャッチーなギターフレーズと自由奔放に放たれるメロディに歓声が沸く。音に塗れるようにアグレッシヴにプレイする3人には、拍手が送られた。前半から、息もつかせぬ怒涛の展開だ。


「改めまして、PEDROです。＜REDLINE＞15周年、この15年という長い歴史にPEDROとして交わることができるのは光栄です。この時間、今この瞬間をお守りに、最後まで歌います。どうぞよろしくお願いします」と、ひとつひとつの言葉を伝えるように語ったアユニ・D。ここからの後半は、爆裂なパワーで駆け上がっていった前半とは打って変わって、心からこぼれたままの、詩的で内省的な歌を紡いでいく。

センチメンタルなメロディに、甘く淡いアユニ・Dのボーカルが冴える「hope」。そして大きく息を吸い込んで歌いだした「春夏秋冬」では、叙情的な濃度を高めながらドラマを描いていく。伸びやかな歌の裏で紡がれる田渕ひさ子の骨太で渋みのあるギターフレーズが、グッとくる。


「今日はどうもありがとうございました。また、みなさんとどこかで音楽で遊べますように」（アユニ・D）。そんな言葉を添えてラストに演奏したのは、「アンチ生活」。3人それぞれがスポットライトのもとでじっくりと音を奏で、アユニ・Dは体をよじるようにして歌い、力強くベースをプレイする。渾身のパワーで、その声をどこまでも遠くまで飛ばす姿に応えるように、フロアではたくさんのコブシが上がっていく。優しくて強い歌声と3人の熱量の高いアンサンブルに、興奮の声と拍手とが重なった。

文◎吉羽さおり
写真◎小杉歩