【インタビュー】ナゴヤ・ディビジョン「.Bad Ass Temple」発売。榊原優希「十四くんの独り立ちの喜びと、大人になっていくことの少しの寂しさと」

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『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』(以下『ヒプマイ』)。が、7ヶ月連続でディビジョン別CDをリリースしている。その中から、11月13日にナゴヤ・ディビジョンBad Ass Templeの「.Bad Ass Temple」がリリースされた。

◆撮り下ろし写真

「.Bad Ass Temple」に収録されるのは、波羅夷 空却(CV葉山翔太)が歌う「終端」、四十物 十四(CV榊原優希)が歌う「Continued」、天国 獄(CV竹内栄治)が歌う「Heartache」の3曲。さらに、3人の新規エピソードとなるドラマトラックも収録される。

BARKSでは、CVを務める葉山翔太、榊原優希、竹内栄治にそれぞれインタビューを実施。連載2回目となる今回は、ナゴヤ・ディビジョンの最年少、四十物 十四役を演じている榊原優希にインタビュー。十四の成長を感じられる楽曲に喜びつつ、同時に寂しさも感じているというその胸中を語ってもらった。

   ◆   ◆   ◆

◼︎こんなカッコいいふたりに導かれ、守られ、
◼︎十四くんもこうして前に進めるんだな


──新曲「Continued」の仮歌を聴いた感想からお伺いできますでしょうか。

榊原:最初に聴いたときは、「はっ! こうくるんだ!」って衝撃がすごくあって。明確にどんなものがくるという予想があったわけではないんですけど、ただ「なるほど、十四くん。君は今回、“素”の状態で、ひとりで立つんだね」って。素は素でも、今までの弱い部分ではなく、辛い過去にも向き合って、まだ葛藤もあるけれど、それでも少し前に進んだ十四くんというか。そんな姿が脳内に描かれるような楽曲で。ただ弱いだけの十四くんでもなければ、カッコつけている十四くんでもなく、どちらとも違う、ちょっと透き通ったような新しい彼。そんな彼を見られた気がして嬉しくて。でも同時に、「君はもう、歩き始めたんだね」みたいな、そんな気分です。なんていうんでしょうね、この感情は。

──寂しい、ですか?

榊原:寂しさっていうんですかね……?「そうか十四くん、君は大人になるんだね」っていう感覚というか。独り立ちの喜びと、悲しいともまた違うんですけど、哀愁のような……親目線のような感覚もあったのかもしれません。



──今までの十四くんの楽曲とは歌い方もかなり変わってきたのではないでしょうか?

榊原:そうですね。十四くんの楽曲は“カッコつけてるモード”のほうが多いと思うのですが、今回は“素の彼”なので全然アプローチが違いました。しかも、今までの素の彼ともちょっと違っていて。彼が“乗り越えた”部分もあると感じて……彼自身が強くなったからこそ、落ち着いて自分の過去や弱さを見つめられるようになった状態での“素の彼”だと感じました。そんな気持ちをいかに表現しようかと悩みながら収録に臨みました。

──レコーディングに向けて、ご自身のなかではどのようなプランで臨もうと思われていたのでしょうか?

榊原:“素の彼”を俯瞰して歌ったほうがいいのか、それとも等身大の心も残しつつ、先に進んでいくその過程の状態がいいのか、悩みました。ドラマトラックと同系列なのか、ドラマトラックの時系列が終わった後に「ふふ」っと笑いながら見ている感じがいいのか……。両方を想定しながら心を作っていきましたね。

──結局どちらになったのでしょう?

榊原:要所要所、「ここはこれくらい透明感があっていいんだろうな」というパートもありつつ「ここはドラマCDで彼が叫んでいたような激情もちょっと欲しいな」と調整しつつ。結果としてどちらかに偏るわけではなく、バランスよく仕上がったと感じています。


──レコーディングのときの苦労や意識した点など、エピソードを教えてください。

榊原:苦労というか、そのバランスを微調整するのが大変だった気がしますね。「今ちょっと大人びすぎたな」とか「もう少し等身大の彼でいたいな」「なんか俯瞰しすぎたかもな」とか。なかでも、《満たされるわけでもないのに》で歌い始めるブロックは、ほかのパートよりも激情が混ざっていて。その熱量は保ちつつ、彼が独りで立てるようになった様も表現できるようにバランスを調整するのは苦労しましたね。

──葉山さんが、《先へ進もうかな》で音が一気に高くなるところがすごいとおっしゃっていました。

榊原:個人的にカラオケで凛として時雨さんをよく歌ったりしているので、あそこはむしろ「わ~気持ちいい! 楽しい!」って感じで。

──そうだったんですね。

榊原 :そういう技法的な部分でいうと、意外と息継ぎポイントが難しくて。そのハイトーンへの繋がりも、呼吸するタイミングがないんです。ハイトーンの前で既に空気を使っている状態でさらにハイトーンを伸ばすのは、確かに「はっ、はっ、息が大変や!」となりましたね。ほかにもそういう息継ぎなく繋がっているパートが全体的に多くて。いつもと比べると激しさは控えめなように見えて、実は「息継ぎ!!」ってなっていましたね(笑)。


──ほかのナゴヤのおふたりの楽曲の感想もお聞きできますか?

榊原:空却さんにも獄さんにも言えることですが、ほんとにみんな進んでいるんだなって。もちろん変わらない部分もありつつ、進んでいくことへの物寂しさもありつつ……。でもやっぱりいちばん最初に思ったのは、なによりカッコいいって思いましたね。こんなカッコいいふたりに導かれ、守られ、十四くんもこうして前に進めるんだなと思えて、とてもよかったですね。



──獄さんの曲も大人でムーディーな雰囲気でした。

榊原:もともと大人の色気のある獄さんですけれど、それがより一層強調されていて。「わぁ……! このこの!」って思いましたね。空却さんも、よりいろんなものを乗り越えたゆえの説得力が増していて。あと、竹内さんと葉山さんが、獄さんと空却さんと一緒に過ごし、いろんなライブを超えてきたなかで、きっとおふたりのなかにも「もっとこうできたんじゃないか」といった葛藤もあったと思うんです。それを乗り越えたゆえの深み、みたいなものもあるのかなと思って。僕ら3人と彼ら3人、この6人で彼らの世界線を過ごし、そして僕たちの世界線も過ごして、そして超えてきたんだなっていうことを、ふたりの曲を聴いているとついつい感じてしまいました。



──声優と役柄、合わせて6人で乗り越えてきたという感覚はとても興味深いです。役とお人柄がリンクしているような感覚でしょうか?

榊原:そうですね。この感覚難しいな。でもやっぱり、十四くん、空却さん、獄さんも、CVを担当させていただいた僕たちもそうだけど、時間は進んでいくし、それとともに自分たちも変化して、そして成長していくんだなっていう、不思議な哀愁。と同時に喜びでもあるんですけど。なんか「はぁ……こうして進むんだな……」っていう。この感情、なんでしょうね。正しい日本語が思い浮かばないな。

──ドラマトラックでも、3人それぞれが少しずつ歩みを進めていく様子が描かれていましたね。シナリオを読んでいかがでしたか?

榊原:いや、もう……! 「あんなに泣いていた君がこんな……いい男になって!」みたいな。なんだろうな、さっきからずっと言っている成長や時の流れをドラマトラックを録っているときにも感じましたし、完成した状態で改めて聴いても、染み渡りましたね。



──獄さんが十四くんに向かって「いつか必ずその境地にたどり着いてみせる」と言っているセリフもありましたね。

榊原:そうなんですよ。皆さん聴いてくださいました!? 今までふたりに守られ導かれ、彼らと並び立つために十四くんは歩みを進めてきたように思っていたのですが、気が付けば彼が獄さんを導こうとしていて。獄さんに対しても空却さんに対しても影響を与えられる彼に「そっか、今まで君が成長しているのを何度も見てきたけれど、気が付けばそんなに大きくなっていたんだね」と思いました。

──それがちょっと寂しさにも?

榊原 そうですね。寂しい気持ちがあるのかもしれないです。

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