【和楽器バンド インタビューvol.3】蜷川べに「これからは、ありのままの自分で」

ポスト
no_ad_aritcle

◼︎自分にとっての第1ステップ

──そして、こんな前向きになったべにさんのいまの状態でこのベストアルバムを作れたことって、すごく大きい意味があったんだと思いました。ここからは楽曲の話も聞いていきたいんですけど、新曲「GIFT」についてはどんな印象をお持ちですか。

蜷川べに: 私、どの楽曲でもそうなんですけど、1番歌詞に注目するんです。お客さんや聴いてくれる人へ向けて、メッセージがきちんと届くかどうかが一番大事だと思ってるので。そういう意味では「GIFT」はとても率直で、今までの10年間支えてくれたファンの皆さんに対しての、感謝の思いを伝えられてる楽曲なんじゃないかなと思います。無期限活動休止っていうのは私たちにとってはネガティブなことではなくて、前向きに考えた上で、これからもっともっとパワーアップしてまたみんなに会いに行くよっていう思いもしっかりそこに入っています。この1曲を聴いてもらったら、私たちの今の思いは大体伝わるのかなって思ってますね。

──活休で悲しんだ人も、いろいろな不安を抱えていた人も、この曲を聴けば「これが全てじゃん」って思える気がしました。

蜷川べに:全てです。集約されてます。なので、この曲をちゃんとライブで伝えていって、お客さんには泣いてもらおうかなって思ってます。

──特に好きなフレーズは?

蜷川べに:やっぱりサビですね。ゆうこさんの曲ってオブラートに包んでる歌詞が多いんですけど、この曲はとても率直で。《何度でも立ち上がって》から《もうこの笑顔のまま》までを、聴いてー!って感じです。あとは絞りきれないんですけど、《だからさよならは言わない ありがとうを君に 変わらない絆で また会おう》とかも、言いたいのはそれだけなんです!っていう。


──このアルバムは、リレコーディングの曲から始まり、それから歴史をたどるように曲があって、「GIFT」でメッセージを受け取って、そして「八奏絵巻」へという流れも完璧だなと。

蜷川べに:リリース順に曲が並んでるんですよ。リレコーディングした曲は6曲あるんですけど、やっぱりやりがいが1番あったのは「千本桜(Re-Recording)」かな。

──なんといっても、べにさんの三味線から始まりますしね。

蜷川べに:原曲の「千本桜」は、いきなりバンドインして歌にいきますけど、和楽器バンドバージョンは、歌に入る前に4小節空いていて。私がレコーディングするときにはそこに黒流さんの太鼓が入ってて、「じゃあここに三味線っぽい音もなんか入れてみようか」「好きな音入れてみて」みたいな軽いノリだったんですよ。で、じょんからっぽい感じでゆう子さんの歌に繋がるのってこんな感じかな〜くらいに考えてできたのがあのフレーズだった。こんなことになるとは(笑)。将来何億回と再生されるなんて誰もがきっと思ってなかったので、もっと音のバランスとか、音がシャリシャリして浮いてるなっていうとことかを直したいなってみんな思ってたはずです。それがようやくここで、全部の音と全楽器のフレーズが聴こえて、ゆう子さんの歌もちゃんと前に出てる、最高の「千本桜(Re-Recording)」が実現できました。

──アレンジは一緒ですか? 変えてるのかなと思うくらい印象が違いました。

蜷川べに:一緒です。ミックスの仕方で聴こえ方は全然変わりますよね。変えたところと言えば、黒流さんの和太鼓のチューニングを曲によって変えてたかな。和楽器って天候とか湿度とかによってピッチ感とか音の張り方とか変わってくるんですが、最初のバージョンでは和太鼓のチューニングを変えるってことはしていませんでした。

──リレコーディング曲は本当にどれもすごく音が良くて。

蜷川べに:ありがとうございます。特にやっぱり「六兆年と一夜物語(Re-Recording)」「千本桜(Re-Recording)」「華火(Re-Recording)」「起死回生(Re-Recording)」この辺りは古い楽曲なので、 やりがいがありましたね。すごく相性のいいエンジニアさんも見つかったし。三味線も低音から高音までしっかりと録ってくれる素晴らしいエンジニアさんでした。初期のレコーディングとは、マイクの立て方1つ取っても全然違いました。 「雨のち感情論(Re-Recording)」は新しい方の曲ですが、それでもライブをこれだけやってくると、結構手癖が変わるんですよ。

──そういうものなんですね。

蜷川べに:レコーディングではこう弾いてたけど、ライブで弾くとこっちがいいよねみたいなのとかがあったりして。大きくアレンジは変えてはないんですけど、実は手癖が変わってたりとかはあるんです。「細雪(Re-Recording)」はガラッとアレンジを変えてますけど、それ以外の楽曲でも同じように見えて弾き方を変えてるところはあります。さすがにアレンジを大きく変えちゃうと、せっかくベストアルバムを出したのに「前の方が良かったよね」とは言われたくないので。そこは慎重に、当時出したときのアレンジで行こうねって話しました。

──そして、最後の「八奏絵巻」にはもうびっくりしちゃって。

蜷川べに:この曲は、さすがまっちーだなと。まっちーの神経質な性格じゃないと、このまとめ方はできないです。「1拍だけこの曲が入ってるんだよ」とか、演奏してる私たちですらわからない音が入っていたり。ファンが1番欲しかった曲なんじゃないかな。新曲2曲収録するってなったとき、感謝の気持ちは「GIFT」で伝えきってるじゃないですか。そこでどうするかってことをすごくまっちーは悩んで、“感謝の次にファンが喜ぶことはこの10年間の歴史や軌跡をたどれるものなんじゃないか” ってところにたどり着いたんじゃないかな。ファンも私たちも「こんなんあったよね、あんなんもあったよね」って喜べる楽曲だから、やっぱり「八奏絵巻」は最後の曲にぴったりかなと思っています。

──ここはこの曲かなっていうのを全部メモしてきたんですけど……。

蜷川べに:え、見せて見せて。

──でも、黒流さんに見せたら抜けがあるって教えてもらいました(笑)。多分、全然曲数足りてないです。

蜷川べに:何回聴いても「気づかんかったけど、ここにこの曲入ってるんだ」って発見があると思いますよ! 私から1曲教えると、「白斑」が足りてないですね(笑)。“ダダッ”って音だけが入ってますよ。

──えっ、そんな一音だけとかもあるんですね!

蜷川べに:まぁ全部ネタバレするのはやめときましょう(笑)。後からみんなで答え合わせしていくっていうのもいいなって思いますし。

──そうですね、お楽しみにということで。

蜷川べに:このベストは、ファン投票の曲も入れた上での全18曲、かなりレベルの高いものができたんじゃないかと思っています。1曲目から全部、曲順やストーリを考えつつ決めているので、本当に完成度が高くて。最後のマスタリングに行って、通して聴いてみたら、「GIFT」でグッときて、うるっときて、八奏絵巻では「あぁ…」って余韻に浸るっていう。 全部聴き終わってしばらくは呆然としてました。「よかった……よかった……ちょっと泣いたわ……」みたいな。

──私も、言葉を失いましたよ。いや、本当にすごい作品でした。みんなに聴いてほしい。そしてこのアルバムを掲げてツアーに。それが終わると、いよいよ活動休止となります。次また和楽器バンドで集合するときは、どんなベにさんになってたいと思いますか?

蜷川べに:さっき言ったことと被るんですけど、 この10年間って皆さんにあらゆる全てのことをお膳立てしていただいてステージに立たせてもらってるっていうことが多かったので、活動休止に入ったら、泥臭い現場というか、もっと自分でいろんなことをやらなきゃいけない現場、もっと自分で考えなきゃいけない現場を増やしていこうと思っています。和楽器バンドで学んだことを活かして、これからは自分自身で考えたことを選んで、その選択に責任を持って仕事を進めていきたいと思います。ちょっとめんどくさいなって思うことも進んでやっていくっていうことを、 あえて選んでやっていこうと思ってるので、 そういう意味では、場数を踏んで戻ってきたいなと思っています。もっと経験を積んで、大人になって帰ってきたいです。

──楽しみです。

蜷川べに:メンバーから教えてもらったことも学んだことも多いし、 助けてもらったことも多くて。これからも各々がいろんな活動をしていくと思うんですけど、その中でそれぞれに新しい出会いや経験が増えていくので、きっと違った姿で帰ってこれるんだろうなと思っています。



──総括すると、和楽器バンドって、べにさんにとってどんなものでしたか?

蜷川べに:間違いなく、人生を変えてくれるものでしたね。さらに私個人として言うなら、第1のステップですかね。

──おぉ、このキャリアで第1ステップ。

蜷川べに:上京してこのバンドに入って本当にいろんなことがとんとん拍子に進んで、おかげさまですごくいろんなこと勉強させてもらったし、世界の見え方も変わったし。まさか音楽で、このメンバーで、海外ツアーを回れるなんて、本当に貴重な体験でした。自分にとっての第1ステップとして、 大きな経験をさせてもらったな、人生を変えさせてくれたバンドだなって思います。メンバーに感謝したいですね。本当に有能なメンバーばっかりなんで、全員リスペクトしてますし、このメンバーだからこそ努力できたし、頑張ろうって思えたし。めちゃくちゃ大変な時もありましたけど、それでも食らいついていこうって思えたのは、このメンバーやったからっていうのはあります。

──いい話! そしてちょうどメンバーの話が出ましたが、SNSでもちょっと先出しした通り、ベストアルバムのタイトル『THANKS』にかけて、それぞれメンバーさんへのメッセージをもらって締めたいと思います。べにさんからは、いぶくろ聖志さんへ。

蜷川べに:長くなるぞ。手紙1枚書けるぞ(笑)! ……きよぴーはいつも橋渡し役みたいなとこやってくれてたからな。和楽器隊って、バンドの中でも「こういうのしんどいよね、ああいうのしんどいよね」って分かり合える部分が多いんですけど、大変なときに一番話を聞いてくれたのはきよぴーだし、弱音を聞いてくれるのもきよぴーだった。心のよりどころというか、理解してくれてたなって思います。

──いぶくろさんらしいですね。

蜷川べに:8人で集まって話し合いしたりするときも、バランサーの役割を担ってくれてましたね。みんな個性強めの発言をしていく中で「それならこうしたらいいんじゃない?」とか、きよぴーがうまく角の立たないような形でまとめてくれるんです。しかも誰がお願いしたわけでもないのに、話し合いの書記もしてくれてたんですよ。和楽器バンドに必要不可欠な存在です。感謝してます。

──いい話が聞けて嬉しいです。では、次はツアーでお会いしましょう!

蜷川べに:ぜひ! 読んでくださったみなさんも、ぜひツアーに遊びにきてください。

取材・文◎服部容子

『ALL TIME BEST ALBUM THANKS 〜八奏ノ音〜』

2024年10月9日(水)発売
詳細:https://wagakkiband.com/musics/15508
CD購入:https://wgb.lnk.to/2024_al_cd
配信リンク:https://wgb.lnk.to/thanks_digital

◆商品形態
初回限定LIVE盤(CD+Blu-ray)税込¥8,500/UMCK-7253
初回限定Document盤(CD+DVD)税込¥5,280/UMCK-7254
CD Only盤(2CD)税込¥4,290/UMCK-1778

◆収録曲(全18曲)
01.六兆年と一夜物語(Re-Recording)
02.千本桜(Re-Recording)
03.華火 (Re-Recording)
04.起死回生(Re-Recording)
05.雨のち感情論(Re-Recording)
06.細雪(Re-Recording)
07.Ignite
08.情景エフェクター
09.Singin’ for... 
10. 日輪
11.月下美人  ※NHK「みんなのうた」2020年10月・11月度放送曲
12.Sakura Rising with Amy Lee of EVANESCENCE
13.Starlight(I vs I ver.) ※フジテレビ系⽉9ドラマ「イチケイのカラス」主題歌
14.生命のアリア  ※TVアニメ「MARS RED」オープニングテーマ
15.ブルーデイジー
16.The Beast  ※アニメ『範馬刃牙』2期オープニングテーマ
17.GIFT(新曲)
18.八奏絵巻(新曲)

◆各形態収録詳細
【初回限定LIVE盤】(CD+Blu-ray)税込¥8,500/UMCK-7253
初回プレス封入特典:トレーディングカードVer.A 全9種類の内1枚ランダム封入
CD:ベストアルバム『ALL TIME BEST ALBUM THANKS 〜八奏ノ音〜』
Blu-ray:10th Anniversary Best Live Selection
※初商品化となるライブ映像を含む、10周年のライブから厳選された楽曲を収録
収録曲
1. 千本桜 from 2014.1.31 at clubasia   
2. 戦-ikusa- from 2015.5.23 METROCK2015  ※初商品化!
3. 反撃の刃 from 2015.9.10 NHK Eテレ 「Rの法則」  ※初商品化!
4. 起死回生from 2016.8.13 RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016  ※初商品化!
5. 雨のち感情論 from 2017.9.13 NHK 「シブヤノオト」  ※初商品化!
6. 千本桜 from 2018.9.22 イナズマロックフェス2018 ※初商品化!
7. 暁ノ糸 from 2019.11.23 和楽器バンド Japan Tour 2019 REACT〜新章〜 FINAL
8. 儚くも美しいのは from 2020.2.16 Premium Symphonic Night Vol.2〜ライブ&オーケストラ〜 in 大阪城ホール
9. Ignite from 2020.8.16 真夏の大新年会2020 横浜アリーナ〜天球の架け橋〜  
10. Starlight from 2021.5.14 NHK 「SONGS OF TOKYO」 ※初商品化!
11. 吉原ラメント from 2022.1.9和楽器バンド大新年会2022 日本武道館〜八奏見聞録〜
12. 生命のアリアfrom 2023.9.7 和楽器バンド Japan Tour 2023 I vs I  ※初映像化!!
13. 細雪 from 2023.9.7 和楽器バンド Japan Tour 2023 I vs I  ※初映像化!!
14. The Beast from 2024.1.07和楽器バンド大新年会2024 日本武道館 〜八重ノ翼〜

【初回限定Document盤】(CD+DVD)税込¥5,280/UMCK-7254
初回プレス封入特典:トレーディングカードVer.B 全9種類の内1枚ランダム封入
CD:ベストアルバム『ALL TIME BEST ALBUM THANKS 〜八奏ノ音〜』
DVD:本作品レコーディングのBEHIND THE SCENEを収録したドキュメンタリー映像

【CD Only盤】(2CD)税込¥3,850/UMCK-1778
初回プレス封入特典:トレーディングカードVer.C 全9種類の内1枚ランダム封入
CD:ベストアルバム『ALL TIME BEST ALBUM THANKS 〜八奏ノ音〜』
CD DISC2: このアルバムのためにレコーディングされた新曲を含む全8曲のInstrumental をDisc 2に収録
※Instrumental収録はCD Only盤のみ

◆チェーンオリジナル特典
・UNIVERSAL MUSIC STORE:B5クリアカード(絵柄A)
・Amazon.co.jp:B5クリアカード(絵柄B)
・楽天:B5クリアカード(絵柄C)
・TSUTAYA:B5クリアカード(絵柄D)
・タワーレコード:B5クリアカード(絵柄E)
・HMV:B5クリアカード(絵柄F)
・アニメイト:B5クリアカード(絵柄G)
・その他一般店共通:B5クリアカード(絵柄H)

LIVE Blu-ray『和楽器バンド 大新年会2024 日本武道館 〜八重ノ翼〜』​

2024年10月9日(水)発売
詳細:https://wagakkiband.com/musics/15545
購入:https://wgb.lnk.to/2024_bd_dvd

■初回限定盤 Blu-ray(本編 DVD 付き)
¥12,100(税込) / UMXK-9042
ライブCD (2枚組み)+60P フォトブック

■通常盤Blu-ray(本編DVD付き)
¥8,800(税込)/ UMXK-1117

『和楽器バンド 大新年会2024 日本武道館 〜八重ノ翼〜』
[Blu-ray/DVD収録内容]※Blu-ray/DVDは、内容共通
Overture〜八重ノ翼〜
愛に誉れ
雨のち感情論
天樂
フォニイ
いーあるふぁんくらぶ
月下美人
細雪
雪よ舞い散れ其方に向けて
生命のアリア
虚無
破邪の儀

吉原ラメント
オキノタユウ
The Beast
ドラム和太鼓バトル〜対決武道館
ベノム
星の如く
暁ノ糸
<Encore>
BRAVE
千本桜

※特典映像
BEHIND THE SCENE of 和楽器バンド 大新年会2024 日本武道館 〜八重ノ翼〜

<和楽器バンド Japan Tour 2024 THANKS 〜八奏ノ音〜>

11/22(金) 東京・LINE CUBE SHIBUYA ※SOLD OUT
11/23(土祝) 東京・LINE CUBE SHIBUYA ※SOLD OUT
11/28(木) 大阪・オリックス劇場 ※SOLD OUT
12/8(日) 愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール ※SOLD OUT
12/10(火) 東京・東京ガーデンシアター

【チケット料金】
VIP指定席:前売 ¥15,000 当日 ¥16,000(税込/VIP席専用オリジナルグッズ付き)  ※SOLD OUT
VIP着席指定席:前売 ¥15,000 当日 ¥16,000(税込/VIP席専用オリジナルグッズ付き)  ※SOLD OUT
一般指定席/着席指定席:前売 ¥10,000 当日 ¥11,000(税込)

【企画/制作】イグナイトマネージメント/LIFE

ツアー詳細はこちら:https://wagakkiband.com/contents/765648


この記事をポスト

この記事の関連情報