【インタビュー】KISAKI、30年の音楽人生──『Eternally』、そして『破戒』

ポスト

2023年、関西インディーズヴィジュアル系の雄・KISAKIがバンド活動30周年を記念した活動を行ってきた。

◆撮り下ろし写真

彼が久しぶりにベーシストとしてステージ立つライブ、豪華ゲスト陣を迎えたアルバム三部作のリリース、過去のレーベルメイトとのフィーチャリングなどなど、さまざまな活動を行ってきた。近年のKISAKIの活動において、もっとも充実した1年だったと言えるのではないだろうか。

そして、30周年プロジェクトの最終章となるミニアルバム『Eternally』を12月27日にリリース。さらにシングル「破戒」もリリースされる。《永遠》という意味の『Eternally』、そして対の意味を持つ『破戒』の2作で、この30周年が締めくくられることとなる。

彼のアーティスト人生30年は決して順風満帆とはいえない。さまざまな苦難もあった。それをひとつにまとめたこの30周年を締めくくるタイミングで、KISAKIは何を思うのだろうか。改めて30年の軌跡を振り返りつつ、このひとりのアーティストに迫ってみたいと思う。

   ◆   ◆   ◆

◾️これが僕が最後に出した答え

──今年2023年はKISAKIさんの音楽活動30周年のアニバーサリーイヤーでした。今年の活動は、音源リリース、イベントと凄まじいボリュームでした。

KISAKI:すごく頑張りました。30年って、生まれた子どもが30歳になるほどの時間ですよね。その間、僕は泥水をすすりながらずっと夢を追い続けてきた。最近は、僕の音楽を聞いてバンドをはじめたという人もいて、そんな若い世代の人と、同じステージで一緒にやることもあります。そんな時、純粋にこの30年というのは自分にとって意味のあることだったと思えるんです。

──まず、音源としては三ヵ月連続でフルアルバムのリリースがありました。

KISAKI:このアイデアの起点はコロナ禍から始まっていました。コロナでライブが全くできなくなったときに、曲を作りためていたんです。そこで、2023年は30周年だから新曲を30曲作ろうと。

──過酷なミッションを自分に課しましたね。

KISAKI:それで、その曲を収録したフルアルバムを三ヵ月連続でリリースするアイデアも同時に浮かんだんです。ただ、僕は正式なバンドを組んでいるわけではないし、自分はボーカリストでもない。どうやって音源を制作するかと考えたときに、いろんな人をゲストに入れて、制作するのは面白いんじゃないかと思ったんです。それで、いろんな方に声をかけて、みなさん気持ちよくOKしてくれて、自分が予想していた以上のクオリティーで発表することができました。


──そして12月27日にはアルバム『Eternally』がリリースされます。こちらも豪華ゲストが参加されています。

KISAKI:苑くん(摩天楼オペラ)、藍くん(DEATHGAZE・DARREL)、AKIRA(MIRAGE・RENAME)を始めたくさんの方がゲストに参加してくれています。この作品は前3部作から繋がっていて、その時に制作してリリースできなかった楽曲も含んでいます。

──制作にあたってのコンセプトはありましたか?

KISAKI:コンセプトは“これまで自分が影響を受けたものをダイレクトにアウトプットしよう”です。僕がX JAPANを初めて聴いた時の衝動を、自分なりに表現しました。だから、激しくかつシンフォニックなメタル曲が多いです。全体的に疾走感のある楽曲が多いのですが、激しさのなかにも美しい情景が見えるアルバムになっています。凄腕のゲストに参加してもらっているので、楽器を演奏する方に聴いてもらっても楽しめると思いますよ。また、90年代のヴィジュアル系が好きな人にも、純粋にカッコイイと言ってもらえるような作品になっています。すごくKISAKIらしい作品になりましたね。

──そして、シングル「破戒」もリリースされます。

KISAKI:「破戒」はLa:Sadie's(KISAKIが以前所属していたバンド)でやっていたような2ビートの“ザ・ヴィジュアル系”ともいえる攻撃的な曲。激しいというより“痛い”曲です。でもサビのメロディーはしっかりしていて。アルバム『Eternally』は美しく終焉を迎えるというイメージですが、この「破戒」では、その美しく構築されものを破壊(破戒)するという。この2作品は僕の音楽人生をそのまま、体現したような作品になっています。

──12月31日には「Re_REQUIEM〜FINAL MIX〜」のMVがオンライン配信されるそうですね。

KISAKI:以前SEとして制作した「REQUIEM」という曲に今回、女性の語りをRAMIちゃん(Aldious・Raglaia・RAMI THE REQUIEM)に入れてもらい、再ミックスしたのが「Re_REQUIEM〜FINAL MIX〜」。そしてMVを制作して配信します。この映像は30周年のエンディング、映画でいったらエンドロールのようなものです。サプライズ的な内容もあるかもしれないので、ぜひ、チェックしてほしいです。イメージモデルとして参加して貰ったLILLYちゃんも(Little Lilith)すごくいい感じにハマってます。

──「Re_REQUIEM」の語りのリリックは儚く悲しい情景で、記念すべき30周年の最後の作品と考えるとギャップを感じる気もしたのですが。

KISAKI:ありがとうという言葉を伝えることもできたけれど、これが、僕が最後に出した答えなんです。“僕がいつ消えても、君たちとの出会いは忘れないよ”という意味も込めているんです。ですから悲しい言葉の中にも、いろいろな感情を感じてもらえると思います。

◆インタビュー(2)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報