KISAKI、バンド活動30周年プロジェクト 最終章へ

今年活動30周年を迎え、年初めから勢力的な活動を行なっていたKISAKI。 1月には1夜限りの豪華メンバーを揃えたTHE LOCUSの結成と30周年記念公演＜KISAKI BANDWORKS 30TH ANNIVERSARY LIVE「BEYOND THE KINGDOM -TOKYO-」＞を開催。

そして春には、ジャンルを超えた豪華なゲスト陣を交え新曲30曲を制作、3枚のアルバムとして連続リリース。さらに、10月にはなんと16年ぶりにKISAKI PROJECT feat.樹威が復活。この時代にまたお目に掛かることが出来るとはと、ファンは胸を熱くしたことだろう。また、先日11月5日には拠点でもある大阪で＜BEYOND THE KINGDOM -OSAKA-＞を開催。この日も長年の親交のあるバンドが集まり、満員御礼となる特別な1夜となった。

さて、2023年も終盤へと差し掛かろうとしているこの時に、KISAKIが新たなレコーディングをしているという情報をキャッチした。なんと、30周年プロジェクトの最終章としてミニアルバム『Eternally』を12月27日にリリースするのだという。

そして、シングル「破戒」のリリースも発表。アルバムには新曲も含めた全6曲が収録、豪華トールケース仕様となっているどのこと。制作陣には共にジャンルを超えた豪華ゲストが今回も集結。制作の中で、作詞に苑(摩天楼オペ ラ)、藍(DEATHGAZE・DARREL)、AKIRA(MIRAGE・RENAME)が加わっているというところも注目だ。

《永遠》という意味の『Eternally』、そして対の意味を持つ『破戒』──。 楽しい時間、日々というのは永遠に続けば良い、続いて欲しい......。はたまた、儚く終焉を迎える からこそ今この時が愛おしく美しいのだろうか......。『Eternally』では今年ステージでも共演したHIZAKI (Versailles)をはじめとしたこれまでの戦友達が制作に携わっている。KISAKI自身のこれまでの想いの詰まったアルバムだ。 かわって、「破戒」は30周年の終わりとして、今またリセットの意味合いを持つと語るKISAKI。「破戒」にはブチ壊すというわけではなく、《いましめを破ること。》という意味がある。

THE LOCUS《軌跡》から始まったこの2023年、次々に巻き起こるKISAKIの壮大なストーリー に我々は目まぐるしくも心躍らされていた。まざまざと魅せられたこのストーリーは彼自身の生き様で、まさに原点回帰。そして、原点であり頂点であると言えるだろう。これまで1年かけて過去の様々な楽曲、戦友ともいえる仲間たちとの交流を通してKISAKIの音楽人生を派手に振り返ってきたが、今ここで潔くも残酷な終焉を迎えるというところにKISAKIの美学が感じられる。我々の手に音源が届いたその時には、是非にその儚さを愛おしく噛み締めて堪能しよう。


また、12月31日にはプロジェクトの締めくくりであるENDING MV『Re_REQUIEM~FINAL MIX~』が映像配信予定。こちらもLILLY (Little Lilith)をモデルとして迎え、VoiceにRAMI (Aldious • Raglaia • RAMI THE REQUIEM)を迎えた贅沢な仕上がりとなっている。通常楽曲とはまた違った仕上がりで、映像と共に強いメッセージ性のある作品になるという。

KISAKIはこの30周年プロジェクトが始まる以前、1度は「引退宣言」をしていた人物であり、 2度とあの衝動と出会うことは出来ないのかと思われていたのだが、2022年にMIRAGEで、そして今年2023年にはKISAKI30周年プロジェクトとしてまた表舞台に帰ってきた。荒々しくも艶やかにステージを駆け巡り、奏でる重低音は美しきメロディとボーカル陣の華やかな歌声を身体へ打ち込んでいく。

やはり、このヴィジュアル系という世界に彼なしではいられないと改めて思わされた2年間 であった。 そこへ再びの終止符を打つ『Re_REQUIEM~FINAL MIX~J』。 まるで壮大な映画を観ていたかのような日々にまさしくエンドロールとして放たれる。寂しげなメロディラインと共に届けられる最期のメッセージ、見逃さずしっかりと受け取ってほしい。

KISAKIという人物がどれ程に濃い人生を歩んできたか......。様々に聞くエピソードのみならず、30年という思いの丈は我々には到底計り知れないものであろう。この1年、ステージだけでなく制作期間も含めれば寝る間も惜しんだ日々であったと彼はいう。それでも、音楽というものを愛し、我々に与え続けるその姿。今この瞬間だからこそ、手に取り、目の当たりにしようではないか。彼の最期と共に。

文◎茉奈佳