【速レポ】<中津川ソーラー>DAY1、ACIDMANが飾った初日トリ「最高の景色です」

<中津川THE SOLAR BUDOKAN 2022>の初日、REVOLUTION STAGEのトリを務めるのは、<THE SOLAR BUDOKAN>に欠かせないバンドのひとつであるACIDMAN。登場した3人は頭から何度も「雨の中をありがとう」と、ひとりひとりに伝えるように感謝し、また雨のため通常よりも少し下がった位置での演奏になってしまうことを詫びて、「最高の1日にしましょう」(大木伸夫/Vo&G)とライブをスタートした。
◆ACIDMAN 画像
1曲目は「灰色の街」。大木がギターをつま弾きながら静かに歌いだす。佐藤雅俊(B)、浦山一悟(Dr)の音がそれぞれ重なり、歌の背景を色付けるようにエモーショナルなアンサンブルを紡いでいく。今日は、降りしきる雨も舞台装置で、淡々と、また激しくエネルギッシュにと、曲の世界に陰影をつけていく感覚だ。

続けて力強いドラミングから「FREESTAR」のキラキラとしたギターサウンド、そしてキレのいいビートとリフでスピードを上げる「Rebirth」へとなだれ込んでいく。観客は、高く手を上げ、またバンドのグルーヴに身を委ねる。このステージ最後のアクトであり、半ばやけっぱちでもあるのか、雨に濡れるのもかまわずめいっぱい腕を突き上げて楽しんでいる人も見受けられる。



「改めてACIDMANです、本当に雨の中ありがとう。こんなにいっぱい残ってくれると思ってなかったから嬉しい」と、大木は会場を見渡して笑顔を見せる。さらにこう続けた。
「<THE SOLAR BUDOKAN>にはずっと出させてもらっているんです。<中津川ソーラー>、このフェスはいつも晴れていて神様に愛されているんだなと思っていたけど、こういうときももちろんあるので。今、みんなしんどいと思う。でも当たり前ですけど止まない雨はないので。そしてハードな環境であればあるほど思い出に深く刻まれるので。僕たちはみなさんと同志でございますので。どこかで会って、“私、雨の中津川、いました!”って言ってくれたら、もうハイタッチだよね……それでは聴いてください、“雨の中津川”」──大木伸夫
と♪ジャラ〜ンとギターを奏でたりと、この場所を分かち合う人との時間を慈しむ。最後の最後まで全力でやりたいと言って続けた曲は、「赤橙」。ステージに灯ったオレンジの照明が雨に滲んで見えて、いつになくドラマティックだ。パワフルなドラムのキックと単音のギターから、サビで一気に爆音をバーストさせる「夜のために」や、前半のハイライトとなった物語的な「innocence」など、昨年リリースした12枚目のアルバム『INNOCENCE』の曲が演奏された。ドラム、ベース、ギターという3つのシンプルな音で、心にダイレクトに届け、あるいはどこまでも想像力の両翼を広げてくれるようなアンサンブルを聴かせる。このステージでは、その3人のアンサンブルによりフレンドリーな温度が感じられる。大木はMCで「最高の景色です」と語りかけた。

「なかなかこの場所に来れなかったけど、<中津川ソーラー>のみなさんは苦労しながらコロナ禍をサバイブしてきたと思います。僕らも早くこの場所に来たかったなと思ってます。音楽は、フェスは、ロックバンドは、不要不急じゃない。皆さんのひとりひとりの心の奥の奥、普通では得られない感動を届けられる気がしています。おこがましいかなと思うけど、僕はずっとそれを信じてます。この雨も思い出にもなるし、巡り巡って僕らの体の水分になるし、いろんなものすべてが美しいと思えるようなそんな世界を目指して」──大木伸夫
そう言ったかと思うと、結成25周年、メジャーデビュー20周年を迎え、今年11月に2デイズのフェス<SAI2022>を開催することもアナウンス。とにかく久々に会った<THE SOLAR BUDOKAN>の観客を前に溢れる思いが止まらないようで、「あまり長く喋るなって思ってるでしょ? 思ってるよ俺も」と笑って、次の曲「世界が終わる夜に」をじっくりと聴かせる。情感たっぷりに、アウトロの最後の一音まで物語が息づいているアンサンブルが美しい。



終盤は代表曲のひとつ「ある証明」でスパーク。疾走感の高いドラムに佐藤が力強くコブシを上げて観客を煽り、大木もまた観客がシンガロングなどができない分のシャウトで、会場の熱を上げる。時間の都合上、アンコールもぶっ通していくということで、ラストはもちろんこの曲、「Your Song」だ。
「この後もこのフェスがどんどん、どんどん盛り上がっていくように、もっともっと最高のフェスになりますように、タイジさんもありがとう!」──大木伸夫
と大木が高らかに声を上げて、雨の中津川に3人はパワフルなシンガロングを響かせ、笑顔でステージを締めくくった。ラストまで強い雨が降りしきっていたが、最後にあいさつに立った3人の姿には良い時間を過ごした清々しさが漂っていた。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎木村泰之
【REVOLUTION STAGE】セットリスト
02. FREE STAR
03. Rebirth
04. ⾚橙
05. 夜のために
06. innocence
07. 世界が終わる夜
08. ある証明
09. Your Song
■<中津川THE SOLAR BUDOKAN 2022>
会場:岐阜県中津川公園内特設ステージ
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