【インタビュー】Non Stop Rabbitの“天才論”
人気YouTuberであり、2020年のメジャーデビュー以降も精力的に音楽活動を展開しているNon Stop Rabbit(以下、ノンラビ)が、2ndシングル「無自覚の天才」をリリースする。
◆撮り下ろし写真
現在放送中のテレビアニメ『転生賢者の異世界ライフ〜第二の職業を得て、世界最強になりました〜』のオープニングテーマでもある本作は、主人公ユージの生き様と重なる視点から書き下ろされたというメッセージ性の強い歌詞に注目だ。ノンラビお得意のバラエティー感炸裂の名曲や切なすぎる珠玉のラブソングが納められたカップリングについてもじっくりと話を聞いた。
◆ ◆ ◆
■たまたま凡人が3人集まっただけでこうなれるんだよっていうのは、常に伝えたいこと
──2ndシングル「無自覚の天才」がいよいよ7月20日にリリースされます。今年3月のワンマンライブで、この曲がテレビアニメ『転生賢者の異世界ライフ〜第二の職業を得て、世界最強になりました〜』のオープニング主題歌になることを発表されましたが、お客さんの反応がすごかったですね。
達也(G,Cho):僕らも嬉しかったです。発表した時は、みんな喋っちゃいけないんだけど思わず声が漏れるみたいな感じで喜んでくれてて。
太我(Dr):僕も、嬉しさが目に出ちゃってた(笑)。
晴人(Vo,B):ついに発表できたからね。
達也:その後も「ずっと見てたやつだ!」って結構な反響があったりして、すごく嬉しかったです。
晴人:去年からずっと準備してたし、レコーディングも終わってたから、改めて実感が湧いたというか。喜びを噛み締める感じでした。
達也:去年の夏にはすでに納品してたからね(笑)。
──アニメのオープニング主題歌を担当出来ると聞いた時の気持ちはどうでした?
太我:いやもう、嬉しくて眠れなかったですよ。
晴人:以前、「静かな風」で『ドラゴン、家を買う。』エンディングテーマを担当したことはあったけど、オープニングは初めてだから感慨深いですよね。アニメって小さい時からみんな見てるから、僕らからすると憧れなんですよ。そこに自分たちの楽曲が…!って思うと震えますよね。
達也:僕は違う意味で震えてましたけどね(笑)。決まったら決まったで、(楽曲制作への)プレッシャーがすごかったんで。
──こういう感じで作って欲しいというリクエストみたいなものはあったんですか?
達也:何もなかったから怖かったんですよ。何も言われずに漫画だけ送られてきたんです。僕はそういう時、例えば5曲とか多めに提出するタイプではなくて1曲集中型で「これだ!」って決めて出すから、それに対して「No」って言われるともう無いんですよ。それくらい自信があるやつを出しているっていうことなんですけどね。でも案の定、一発でOKだったので良かったなと思って。
──心臓がいくつあっても足りないような話ですね(笑)。
達也:(笑)。でもさすがに、このメロディーで大丈夫かなって普段の曲作りの時よりも考えすぎて、わかんなくなったりもしました。すっげえ不安になった。
──ちなみにお2人も漫画は読まれたんですか?
晴人:はい、読みました。
太我:僕はアニメから入って漫画に行くタイプなんで、これからです。アニメで感動を味わいたいんですよ。
達也:それ何目線なん(笑)。
──入り口は人それぞれですからね(笑)。でも小説、漫画、アニメという入り口に加え、今回はNon Stop Rabbitの楽曲からという入り口も出来たわけで。
晴人:嬉しいです。
達也:僕はこの漫画を読んで、シンプルに面白い作品だなと思いました。自分が見てきた少年漫画というか、男が見境なしに好きな感じだなと思う。ドカーン、バーン、ワー!めっちゃ強い!みたいな(笑)。分かりやすくアクション漫画なのがいいですよね。
晴人:爽快感ある方が、男は好きだからね。僕はいろんなアニメを見ますけど、アクションって入りやすいし、わかりやすい。
太我:僕、バトル系とかすごく好きなんですよ。『ドラゴンボール』、『北斗の拳』、『はじめの一歩』とか。
達也:40代か(笑)。
太我:それと同じバトル系なんで、すごく期待してます。
達也:同じかな(笑)!?
晴人:全然違うよ(笑)。
──では具体的に楽曲について聞いていきたいのですが、この「無自覚」は原作でもポイントとなるキーワードですね。歌詞はどんな風に書き上げていったんですか?
達也:作品の中での主人公の生き様──本当にだらしなくて、やりたいことをやっているわけでもなく、ただただ毎日を過ごしている人が、転生して気付いたらめっちゃ強くなっていたっていうのは、割と僕らにも重なるなと思ったんですよ。路上ライブをして、お金もなくてみたいなところから色々試行錯誤して、YouTubeという世界でパーン!といった。僕ら3年くらいでこうやって取材をしてもらえるところまで来ているんですが、3年前の僕らはそれこそラジオとかどうやったら出られるんだろうとか、自分たちでお店に営業に行ってもCDを置いてくれないみたいな、そういうところからの今なんで、結構似てるなって。
──以前、何万人と人が集まる場所で自分たちのCDを配ったけど2人くらいしか受け取ってくれなかったっていう話がありましたよね。そういう歴史もこうやって今につながっているんですね。
達也:サッカーの日本代表の試合の時ですね。埼玉スタジアムで、受け取ってくれたのは5万人のうちの2人でした(笑)。そう思うと僕らも転生してるみたいなもんですから。そういうことをヒントにというか、フックに書き始めましたね。
──しかしこの「無自覚の天才」というタイトル、いろいろ考えさせられました。
達也:アニメを見ていてもそうなんですが、本人が自覚してないからこそ天才なんですよね。それをとにかく言いたくて。天才が自覚したら、それはもう慢心。どの一流も、自覚せずにやっている。いや自覚しながらも「天才なんかじゃないし」ってところから始まっている気がして。無自覚であることが一番大事だし、周りから言われ出したら本当の天才だなということを作品から読み取ったんですよね。すごいことをやっていても、やっている本人はそう感じてないからすごいんだっていう。
──でも無自覚すぎて自分の中の可能性とか素質を生かしきれないと、ただの残念な人で終わってしまう。奮い立たせないと始まらない場合もあるわけで、その塩梅が大事なんでしょうね。
達也:そうそう。今回の僕らの東名阪のライブツアーのタイトル、<無自覚とは言いつつ多少は自覚がある天才>がまさにそこを表していて。多少自覚があることが大事で、天才かもって信じてみよう、天才かもだから頑張ってみようって繋がっていくじゃないですか。「無自覚の天才」っていうタイトルは、曲が完成してから考えました。完成したデモを聴きながら、もう1回読んでみようと思って漫画を読んでいる時に「こいつって自覚してないから天才なんだな」ってパッと思ってそこから。無自覚無双、無自覚無双ってずっと言ってるんで、そこで「あぁ、これがタイトルだな」と思いました。
晴人:このタイトル、これしか無いんじゃ無いかっていうくらいハマりましたよね。曲とも漫画ともリンクしてるなって思うし。
──レコーディングはどうでした?
晴人:主人公というか、その一人称に自分がならないとなっていうのがまずありました。その上で歌うことで、より伝わりやすいというか、聴いている人がイメージしやすくなったり、語りかけるような部分の説得力が増したりするんじゃないかなって思うので。普段から心がけていることですけど、この曲もそういう思いというか、どういう言い回しがいいかなとかはすごく考えながらレコーディングしましたね。
──晴人さんの声は、言葉を真っ直ぐ飛ばしてくるようなイメージなんですよね。張り上げたりガナったりしなくても、伝えるべきものはちゃんと伝わってくるというか。
晴人:どの曲も、歌詞を見なくても聴き取れるようにしたいっていうのはあります。何言ってるかわからないっていう歌い方もあるけど、それはそれの良さがあるじゃないですか。でも僕の場合は、曲を聴いただけで歌詞がわかるくらい、ちゃんとはっきり届けたいなというのはいつも思っています。この曲もひと言ひと言を大切に、歌詞が聴こえるような発音で歌いました。
──サウンドの面では、ベースはど頭からブイブイ鳴っているし、ドラムも後半にかけてかなりカロリーを消費しそうな勢いがありますよね。
晴人:ライブでどうなるか、楽しみにしていてください(笑)。
太我:ドラムはかなり手数が多いんですよ。でも、爽やかでかっこいい。主人公のユージは余裕で倒すみたいな感じなので、あまり重くしすぎず、かつノンラビの良さである爽やかでメロディー重視みたいなドラムを叩くのは結構大変でした。ぶっ叩くのは結構簡単だけど、セクシーさとか、ユージ感を大切にするように心がけました。
──歌詞の中に「僕ら誰もが秘めたる力を持ったgenius」「誰もが無自覚の底力を内に忍ばせるモンスター」とありますが、みんなの中にある力をまずは肯定して、同じ目線から奮起させてくれるところがノンラビらしさであり、ノンラビの曲の魅力だと思います。
達也:僕ら、凡人だと思ってるので。たまたま凡人が3人集まっただけでこうなれるんだよっていうのは、常に伝えたいことですね。俺ら、心から普通の人間だと思ってるんで。僕らは3人で一生懸命持ち寄ってますけど、いるじゃないですか。圧倒的なボーカリストとか、圧倒的な俳優さんとか。まさしく誰が見ても天才だって人を見ると、俺らはそうじゃないもんな、だから頑張んないとなって思いますもん。
──ちなみに異世界ライフがあるとしたら、どんな風に生きてみたいですか?
達也:普通に生きてみたい。就職して9時〜5時で働いて、終わったら人目気にせず居酒屋とか行って帰るみたいなことがしたいですね。
晴人:僕もこの仕事にはつかないかなと思います。無い物ねだりですかね。“じゃないとしたら”っていうところでの、憧れっていうか。たぶん逆もそうで、9時5時で働いていらっしゃる方はこういう仕事がいいなって思うだろうし。だから来世では、二十歳とかで結婚して、子どもは男女の双子(笑)。そういう生活が送りたいです。
太我:僕ずっと昔から思っていたのが、女性として生まれ変わってみたいなというのがあって。女性は、男が格闘ゲームとかして盛り上がっているのを見て「何が面白いの?」みたいな感覚じゃないですか。僕からしても、タピオカの写真撮ってインスタに上げて楽しんでるのは何が面白いかわからないわけですよ。その性別になってみないと本能的に楽しめないことなのかなと思うから、お互いに一生わからない気がするんですよね。そういうのはちょっと経験してみたいなって思います。
晴人:女の人になったら、何の仕事したい? ケーキ屋さんとか?
太我:難しいな。
達也:女になってみたいだけだもんな。
太我:そうそう。
晴人:いや、仕事しないと生きていけないやん。
達也:リアルすぎんねん(笑)。双子とか仕事とか(笑)。
太我:イケメンで優しい人の奥さんになる(笑)。
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