【連載】Vol.132「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」
[10年ぶりの復活!!日本の新旧ブルース・ファンで盛り上がったTOKYO BLUES CARNIVAL 2022】
以下ライヴ・ショット=Pic. by Fujiyama
1986年以来多くの国内外のブルース・アーティストが出演してBluesの魅力を提供してくれていたジャパン・ブルース・カーニバル、その後2006年からはジャパン・ブルース&ソウル・カーニバルとしてR&Bフリークからも大いに注目されてきた。そして2022年にM&Iカンパニー主催のビッグ・イベントが10年ぶり“TOKYO BLUES CARNIVAL 2022”として5月29日 に日比谷野外大音楽堂で盛大に開催された。
オープニングは新作『GOT to BLUES”ブギブギ ブギで乗り切ろう!』を発表したばかりの三宅伸治&The Red Rocksだ。
ブルージーなアルバム・タイトル・チューンからこの日のブルース・ナイト(オープニング時はまだ夕方だったけど……笑)で開幕した。僕の大好きな三宅のブルース・フィーリング溢れるプレイ、KOTEZのハープを中心にThe Red Rocksがグルーヴを作る。その一瞬でUS南部ツアーなのだ。「ブギシンジ」「It’s Alright」……新作からのナンバーをライヴでしっかり味わう。5曲目には「ベートンベンをぶっ飛ばせ」、メンバー紹介を交えながらロックンロールだ。
そしてここでゲスト、鮎川誠がジョイン。第一回ブルース・カーニバルにシーナ&ザ・ロケッツが出演していたのを僕は思い出す。マコちゃんが大シャウトする「Boom Boom」、ジョン・リー・フッカーの名作だ。
そしてシナロケ代表作「レモンティー」がグルーヴ感あふれる展開で披露される。
そしてファイナルは三宅が忌野清志郎と共作したあの「JUMP」だ。エキサイティングにオープニング・パートがクローズした。
続いては大分県日田市出身の“弁ブルース”、コージー大内の登場だ。アコースティックなブルースを独自のスタイルでたっぷり聴かせてくれる。「おいどんは九州男児たい」で始まる。
早くもライトニン・ホプキンスを彷彿させる。彼の代表作「パンチdeデート」を久しぶりに楽しんだ。そう言えばコージーは野音初体験らしい。続くミディアム・アップのブギ・ナンバー「おんぼろトレイン」、日田彦山線を歌っているという。コージー大内のドキュメンタリー映画『ブルースんどれい』ぬこのナンバーも収められている。機会をみつけてこの映画を観たいと思う。
彼のラストは自らの体験を歌い上げる「大鶴村のサイレン」。心にしみるハートフルなブルースだ。もっともっとコージー・ライヴを聴きたし・・・そんな気持ちにさせてくれたステージだった、僕は心から感激した。
三番は“blues.the-butcher-590213”の登場、永井ホトケ隆が率いる素晴らしいブルース・バンドだ。
そういえばホトケは僕と同じ年齢、WEST ROAD BLUES BANDからファンさせて貰っている(Mike’s CollectionのWRBBアルバム/BMC -3001、サンプル盤はホトケも持っていないのとのことで狙われている、笑)。
From Mike’s Collection
このグループには勿論ハープでKOTEZもジョインしていることはよく知られている、KOTEZご苦労様!先ずはリロイ・カーはじめ多くのアーティストで知られるスタンダード「Blues Before Sunrise」、パワフルでブルージーなサウンで観客をぐいぐい引っ張り込むのだ。エルモア・ジェームス を彷彿させる。2曲目は「Tramp」。イントロにのってメンバー紹介、そして早くもゲストがステージに勇姿を現す、“fromニューオリンズ、山岸潤史!”。
ホトケのヴォーカルと山岸のGTRが絡みあう。KOTEZハープがそのムードをよりヒートアップさせていく。ローウェル・フルソン(67年、Billboard/R&Bチャート5位)は勿論のこと僕はオーティス・レディング&カーラ・トーマスでも楽しんだ。このナンバーはWRBBファースト・アルバムA面一曲目を飾ったのだ。
そして「In The Night」「First Time I Met The Blues」と続く。前者はニューオリンズを代表するピアニスト、プロデューサー・ロングヘアーの70年近く前の作品。後者はWRBBファースト・アルバムB面二曲目に収められていた(ホトケと山岸は半世紀くらい前から演奏していたそうだ)。勿論バディ・ガイ・ヴァージョンで披露した(オリジナルはリトル・ブラザー・モンゴメリー)。バディを彷彿とさせながらドラマティックなブルースをホトケは実にパワフルにシャウトする。この山岸のGTRは凄みを感じさせるのだ。そしてKOTEZ ヴォーカルのスリム・ハーポ作品から「Te-Ni-Nee-Ni-Nu」、68年BB誌R&Bチャート36位。ドキドキするくらい素晴らしい出来栄えだ。
再びホトケが歌うブルース・スタンダート「Mannish Boy 」。これぞBlues、マディ・ウォーターズの名作だ、BB 誌R&Bチャート5位。
そのままこれまた名作、ハウリン・ウルフの「Killing Floor」へと突入していく、ブルースらしさを満喫出来る歌詞だ。そしてホトケたち最後のナンバーは再び御大マディで著名な「Got My Mojo Walking」、アップ・テンポのシガゴ・ブルースをしっかりと満喫した。時代がどんどん進んでもCBのこのスタイル&グルーヴは永遠なのだ。
お帰り山岸選手、君がニューオリンズに行く前だったけど六本木で朝まで一緒に飲んだくれた時代を想い出す…汗。
TOKYO BLUES CARNIVAL 2022トリ、吾妻光良&The Swinging Boppersだ。
彼らのステージも三宅、鮎川、ホトケ、KOTEZ、山岸と同様何度も楽しませて貰っている。そういえばローリング・ストーンズ初来日前後、僕はNTV/11PMによく出演させて貰ったけどその時ピンマイクを僕に付けてくれたのが吾妻だった、笑。吾妻光良&The Swinging Boppersはスウィンギーなジャズ・スタンダート(デューク・エリントンで知られる)「Things Ain’t What They Used To Be」で開演。そのままメドレーで吾妻のヴォーカルが加わって「T. Town Blues」、アーニー・フィールズ・オーケストラで知られるグルーヴ感あふれる絶品が早くも登場。そして「最後まで楽しもう」、これぞ吾妻の生き様をダイレクトに表現している楽曲だと僕は思う。『Seven & Bi-decade The Great Victor Masters 2003-2006』収録。
そして吾妻の大好きな「Come On Let’s Boogie」、吾妻光良&The Swinging Boppersのライヴでしばしば取り上げられるゴリー・カーター&ヒズ・ロッキング・リズム・オーケストラからの楽曲だ。楽しさいっぱいのジャンピング・ソング!
その後ゲスト・シンガー伊東妙子from T字路sが加わり「Silent George」が始まる。『Seven & Bi-decade The Great Victor Masters 2003-2006』に収められている。
ラッキー・ミリンダー楽団の70年以上前の作品だ。そして伊東がもう一曲、ベッシー・スミスで知られる「Send Me To The Electric Chair」を披露した。ダイナ・ワシントンも歌っていて、このステージ・ヴァージョンの日本語歌詞は伊東自身だという。実に味わいある雰囲気が醸し出されていた。この夏にはT字路sはフジロックフェスティバルに出演する。
吾妻光良&The Swinging Boppersがもう二曲。先ず「On The Sunny Side Of The Street」、吾妻もMCで語っていたけど最近のNHK-TV朝ドラでルイ・アームストロングで話題になった楽曲。吾妻はルイ・ジョーダンでこの楽曲を気に入り1979年から演奏している。この日の譜面も勿論同年ヴァージョンだという。吾妻節を僕らは満喫、大きな拍手だ!
続く“明るい表通りで”、元々は100年近く前のブロードウェイ・ミュージカル楽曲だ。最後はバスター・ベントンの「Spider In My Stew」にインスパイアされて吾妻が書いた「俺のカツ丼」、『Sqeezin' & Blowin'』収録だ。
そしてフィナーレは吾妻光良が音頭をとって三宅伸治、KOTEZ、鮎川誠、山岸潤史、永井ホトケ隆、伊東妙子、コージー大内らがジョインして「The Blues Is Alright~Sweet Home Chicago」(リトル・ミルトン~ロバート・ジョンソン)。
♪Sweet Home Tokyo♪………“TOKYO BLUES CARNIVAL 2023”でまたみんな会おう!
For Mike’s Collection
☆☆☆☆☆
【推薦アルバム】
◆ カーラ・オルソンのミック・テイラーとの共演名作アルバムが装いも新たに登場!2枚組CD『Sways : The Best Of Carla Olson & Mick Taylor』(BSMF RECORDS/BSMF-7664)
提供:BSMF RECORDS
ストーンズ・ファンにもその名を知られるカーラ・オルソン。彼女のミック・テイラー共演アルバムが未発表ヴァージョンを加えてリリースされた。そういえばこの二人の初来日公演はTOKYO BLUES CARNIVAL主催のM&Iカンパニーだった。このアルバムは1990年3月4日@ザ・ロキシーでのカーラ&ミックのライヴのレコーディング・ナンバーが中心。素晴らしい出来栄え、レアなステージが楽しめる。収録曲は………
DISC 1
1. Never Wanted To Try
2. Remember That Moon
3. Who Put The Sting On The Honeybee
4. Slow Rollin’Train
5. Trying To Hold On
6. Rubies & Diamonds
7. See The Light
8. You Can’t Move In
9. Broken Hands
10. Sway
11. Hartley Quits
12. Midnight Mission
13. Silver Train
DISC 2
1. Remember That Moon*
2. Rubies & Diamonds*
3. See The Light*
4. Sway*
5. You Gotta Move
6. Justice
7. Within An Ace
8. The Ring Of Truth
9. Winter
10. Ventilator Blues
11. Think I’m Goin’ Mad
12. Sway*
(*previously unreleased)
アルバム・リリース前のインタビューでカーラはミックとの出会いについて僕にこう語った、「ミックと知り合ったのは83年に私がボブ・ディランのPV”Sweetheart Like You”に出演したのがきっかけ。その時ボブはミック、イアン・マクレガンとベーシストのグレッグ・サットンと一緒にヨーロッパ・ツアーをしてたの。その後80年代中期ミックはテクストーンズのコンサートを何度も観に来てくれたの」。
カーラ&ミック 提供:カーラ・オルソン
DISC 2最後の「Sway」は特に注目、91年10月11日Slim’s(サンフランシスコ)でのライヴからだ。カーラとミックによるストーンズ・スタンダードは本家同様とても気なってしまうくらい良い仕上がりなのだ。
☆☆☆☆☆
【ライヴinfo 】
◆来日60周年!ベンチャーズ ・ジャパン・ツアー2022
今年1月22日に惜しまれながら88年の生涯を閉じたベンチャーズ の創始者ドン・ウィルソンがグループを結成したのは1959年。翌60年に「Walk Don’t Run」を大ヒットさせた。このシングルはBillboard誌HOT100で同年7月18日付88位★で初ランク・イン、その後39位★→18位★→7位★→5位→3位と急上昇、8月29日付で最高位2位を記録した。
▲『Joel Whitburn Presents The Billboard HOT100 The Sixties』60年8月29日付 from Mike’s Library
このシングル、本邦では同年秋にビクターからリリースされたが当時のグループ表記はザ・ベンチュアース。そして1962年4月には我が国で初めてアルバム『カラーフル・ヴェンチャーズ』が登場した、東芝音楽工業(その後、東芝レコード→東芝音楽工業→東芝EMIと会社名が変わった)からの発売。アルバム・タイトル&グループ表記がまだ戦後……という感じだ。同社は5月にドン・ウィルソンとボブ・ボーグルを我が国に招いた。これがベンチャーズ初来日である。
香港公演後の二人はボビー・ヴィー、ジョー・アン・キャンベルと共に新宿コマ劇場でオン・ステージ。東芝主催のプロモ・イベント〈リバティ・レコード日本発売記念/日米ロック・ツイスト合戦〉を行った。これにはリバティ・アーティストのベンチャーズ、ボビー、ジョー・アンの他に東芝所属の弘田三枝子、スリーファンキーズも出演した。2日で三回公演だったという。MCは湯川れい子さんでこれがれい子先生の初MCだったとご本人から伺った。
ドンは僕にその当時の想い出をこんな風に語ってくれた、「ボビー・ヴィーとジョー・アン・キャンベルと一緒でした。ジョーが映画『Hey, Let’s Twist!』に出演していたこともあって彼女がトリ(ヘッドライナー)でした。当時、日本ではベンチャーズは誰にも知られていなかったのです。赤坂のコパカバーナというクラブでも演奏しました」。彼らは赤坂のナイト・クラブコパカバーナ”や立川米軍基地でライヴ、そしてNTVの「あなたとよしえ」(水谷良重が司会)にも出演した。
ということで今年はベンチャーズ来日60周年にあたる。我が国に音楽を演奏する楽しみを広く浸透させ文化向上にも大いに貢献したベンチャーズに旭日章が授与されたことはよく知られている。政府が発表した功労概要には“我が国の音楽文化の向 上・発展及び日米両国 の友好親善に寄与”と記されている。
現在のメンバーは………
リオン・テイラー/DS
ボブ・スポルディング/GTR
イアン・スポルディング/GTR
ルーク・グリフィン/BS
このライン・アップで既に2018年、19年に日本公演を行っている。ベンチャーズといえば夏の風物詩、毎年全国をであのテケテケを堪能させてくれていたけど、一昨年、昨年とコロナ禍のため已む無くライヴ・イン・ジャパンは実現しなかった。
そして2022年夏、3年ぶりにベンチャーズのジャパン・ツアーが再開されるのだ、待ってました!永遠のエレキ・サウンドを伝承するベンチャーズ、久しぶりにそのエキサイティングな世界を堪能しよう。
◆2022年ベンチャーズ公演
7月23日 埼玉県/越谷サンシティ
7月24日 群馬県/新田文化会館
7月25日 東京都/サンパール荒川
7月28日 栃木県/黒磯文化会館
7月30日 埼玉県/朝霞市民会館
7月31日 千葉県/多古町コミュニティ
8月3日 静岡県/沼津市民文化センター
8月4日 愛知県/知立市文化会館
8月5日 三重県/伊勢市観光文化会館
8月6日 兵庫県/加古川市民会館
8月7日 大阪府/東大阪市文化創造館
8月10日 札幌市/カナモトホール
8月11日 北見市/北見市民会館
8月14日 滋賀県/野洲文化ホール
8月15日 京都府/京都劇場
8月16日 石川県/津幡町文化会館
8月21日 鹿児島県/宝山ホール
8月25日 岡山県/岡山市民会館
8月26日 広島県/さくらぴあホール
8月27日 佐賀県/佐賀市文化会館
8月28日 熊本県/熊本市民会館
8月30日 福岡県/福岡市民会館
9月2日 茨城県/大昭ホール龍ケ崎
9月3日 愛知県/新城文化会館
9月4日 東京都/中野サンプラザ
https://www.mandicompany.co.jp/TheVentures/tour.html
ドンさんと筆者のラストショット・・・
☆☆☆☆☆
【湯川れい子 洋楽裏話 千夜十夜 with Mike Koshitani “第四夜“ エルヴィス・プレスリー!】
音楽ファン永遠のアイドル&スーパースター、20世紀最高の偉大なるアーティスト、エルヴィス・プレスリー!第四夜ではザ・キングの魅力、素晴らしさを徹底して語り尽くします。我が国エルヴィス伝承者最高峰、湯川れい子が徹底熱弁。乞うご期待です。
ゲストは音楽&トークでエルヴィス のカッコ良さを伝え続けるシャウター、ビリー諸川!ビリーのエルヴィス 50年代オン・ステージは世界中で大人気。おだてたらひょっとしてのって2~3曲歌ってくれるかも……。日本人でジェイムズ・バートンやチャーリー・ホッジ、グレン・D・ハーディン、D・J・フォンタナとサン・レコードでレコーディングした唯一の人物、それがビリー諸川です。
”エルヴィスTCBバンドに加えてドラムスはD・Jフォンタナって、歴史上も無いんじゃないの!?そんなビリーさんの歴史的録音についても詳しく語ります“(Reiko Yukawa)。
ナビゲーターはMike Koshitani。生まれて初めて体験した海外コンサートは1972年11月ハワイでのエルヴィス ・オン・ステージ。れい子先生監修の『ワークス・エルヴィス』著者……。
そしてこの日の三人は1980年代から20年、エルヴィス ・プレスリー・ファン・クラブ主催“エルヴィス生誕祭”で共演していたのです。そして7月1日公開の映画『エルヴィス 』についてもしっかり紹介します!!
アルコールのいける人はお好きなお酒を手に。飲めない人はソフトドリンクで。お食事もありますヨ。そうそう「今のうちに聞いておかないと、損するよ!!」とれい子さんが言っていま~す。
もちろん今回もプレゼント・タイムが待ってます!
◆ゲスト:ビリー諸川 https://ameblo.jp/billy/
◆ナビゲーター:湯川れい子 @yukawareiko Mike Koshitani https://www.barks.jp/keywords/mikes_boogie_station.html
◆日時:2022年6月26日 日曜日
OPEN 12:30 / START 13:00
◆入場料:予約¥3000(+お飲み物¥600 アルコールもご用意してあります)
▲お食事もございます
◆予約サイト
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft9/213453
◆お問い合わせ:LOFT9 Shibuya
TEL:03-5784-1239(12:00~22:00)
◆「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」まとめページ
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