【インタビュー第三弾】FANTASTIC♢CIRCUSが語る未来、「この3人でまた新しい音源を出したいって」
元FANATIC♢CRISISの石月努(Vo)、kazuya(G)、SHUN.(G)といったフロントマン3人によるユニットFANTASTIC◇CIRCUSが5月14日、日比谷野外音楽堂にてワンマンライブ<転生-TENSEISM- FtC 30th ANNIVERSARY>を開催する。同公演はタイトルどおり、“FtC”結成30周年を記念して行われるものであり、生まれ変わりを意味する“転生”には、彼らの現在、過去、未来が宿るに違いない。
◆FANTASTIC♢CIRCUS 画像 / 動画
日比谷野外音楽堂ライブ開催を発表した3人の現在について語ってもらったインタビュー第一弾、疾風怒濤の勢いで駆け抜けたFANATIC♢CRISIS当時と解散後のそれぞれが赤裸々に語られたインタビュー第二弾、そして第三弾インタビューはFANTASTIC♢CIRCUSの未来がテーマだ。<転生 TENSEISM>と名付けられた30周年記念公演について、その先のFANTASTIC♢CIRCUSについて、3人に語ってもらった連続インタビュー完結編をお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■ファンの皆さんの思い出を
■汚すようなことは絶対にしたくない
──第一弾インタビューで、2022年5月14日の日比谷野外大音楽堂公演<転生 TENSEISM>は2019年のディナーショウとは違うものになるとお話していただきました。つまり一夜限りのFANTASTIC♢CIRCUSではなく、新たなユニットとしての心構えを持っているということだと思うのですが。
石月:そうですね。今回、また3人で一緒に演るにあたって、ライブタイトルに“転生”という言葉を使ってるんでよ。やっぱり5人でFANATIC♢CRISISだったわけだから、当然FANATIC♢CRISISではない。その中のフロントマン3人が、FANATIC♢CRISISからFANTASTIC♢CIRCUSに転生した、というような感覚ですね。
──なるほど、転生には生まれ変わりという意味があります。
石月:一度終わったものは、終わったことに間違いないと思うんです。それが時を経て転生した。形は変わったけど、楽曲もみんなの想いも残っている。つまり、“新しい形なんだよ”っていうことを伝えたいんですけど、だとしてもファンの皆さんの思い出を汚すようなことは絶対にしたくない。
──その言葉を聞いて安心するファンの方々も多いと思います。
石月:インタビュー第二弾で「昨日、ミュージックビデオの撮影をした」と言ったじゃないですか。それはFANATIC♢CRISISの楽曲「火の鳥」を2022年バージョンとしてリメイクしたもので。
──新アレンジですか?
石月:すべて録り直して、ミュージックビデオも新たに撮りました。“転生”というキーワードと「火の鳥」という楽曲の持つ物語が紐づいたという。
──まさに、“生まれ変わったトキも きっと見つけ出すから 君の事を”という歌詞どおり。不死鳥ですね。「火の鳥」という1998年発表の代表曲を20数年後の今、リメイクしたことで、なにか感じたことはありますか?
kazuya:「火の鳥」の土台は僕が作ったんですけど、“このコード進行と転調が当時から好きだったんだな、俺は”っていうことに改めて気づくことができました。特に転調は、今もよく使う形と一緒でしたからね。好きなことが一貫しているというのは、自分自身、面白い発見でした。プレイ的には難しいことをしていたんだなと思いましたね。
──ということは、ある程度原曲に忠実なアレンジとプレイということですか?
kazuya:他のバンドのリメイクとかを聴いたりすることもあるんですけど、そこでヘンに上手くなってたり、音が良くなってたりすると、僕、萎えてしまうんですよ。
石月:わかるわかる。
kazuya:若さゆえの荒々しさとか込みで良かったわけですから、プレイも音もガチガチにしないほうがいい。そういうところを意識して、今の環境下で当時の感じを再現しました。そういう挑戦も面白かったですね。
SHUN.:実はコード進行も微妙に変えようとしたんですけど、変えられなかったんですよ。理論的に正しいコードを試してみても、なんか気持ち悪い。だからあえて当時のコードのまま弾きましたね。
kazuya:最初、俺のパートを弾いたよな? “なんか聴いたことあるギターフレーズだなぁ……って、それ俺のパートじゃね?”ということになり(笑)。
──SHUN.さん、ご自分のパートを覚えてなかったんですか?
SHUN.:ところどころ自分のパートを弾かずにkazuyaのパートを弾いていたっていうのは、FANATIC♢CRISIS当時もそうだったんです(笑)。
──わかるようなわからないような話です(笑)。
SHUN.:これはあくまでも個人的に思ってることなんですけど、原曲を超えるリメイクってあまり存在しないんですよ。そういう意味では、当時よりワンランク上がったものになってればいいなっていう気持ちで再現してみて。そうしたら、やっぱり原曲が耳に残っていて、それがkazuyaのパートだったという。
石月:ははは。僕もふたりと一緒で。原曲とリメイクを比べても、“あれ? これどっちだっけな?”っていうくらい、聴感上はあまり変わらないかもしれないんだけど、よく聴き比べてみるとハイブリットになってるという形が望ましいと思っていましたね。
kazuya:そうそうそう!
石月:当時ライブで数百回と演った曲じゃないですか。体にこびりついてるものがあるから、その感じを意識して歌いましたね。テイクを重ねることもほとんどなかったし。ライブバージョンじゃないけど、ライブを意識したレコーディングではありました。
──リメイクバージョンには過去と現在が詰まっているわけですね。“転生”という言葉からは未来も感じるんですよね。つまりリメイクのみならず、FANTASTIC♢CIRCUSが新しく生み出す楽曲にも期待してしまうのですが。
石月:未来は感じてもらいたいと思ってますよ。まだどうなるかわからないですけど、「この3人でまた新しい音源を出したい」っていう話もしてるんですよ。
──それは、嬉しいニュースです。
石月:新曲の母体みたいなものを僕が数曲作っていて。すでに2人にも聴いてもらっています。それが本当の意味での第一歩になると思ったので、やっぱり3人で一緒に、その音源を聴きたいじゃないですか。それでいくつかのイヤホンをひとつにまとめて繋ぐことができるタコ足のような分配器を見つけて、“これはいい!”って買っておいたんです。で、「今度会うとき、イヤホンを持って来てね」ってメッセージしておいたのに、持ってこない人(kazuya)と、持ってきたはいいけどピンの形状違いでハマらない人(SHUN.)がいて(笑)。まぁ、このふたりらしいですよね(笑)。
Kazuya:僕はワイヤレスなんでね(笑)。ただ、この感じが石月 努なんですよ。僕だったら先に音源データを送っちゃって、それを元にやり取りすると思うんですけど。わざわざ「聴かせたいものがある」って飯を兼ねて呼ぶという(笑)。
──効率よりも感情を優先したところが石月さんらしいです。石月さんは3人で気持ちを共有したかったんですよね?
石月:そうなんですよ! 今はそういうモードですね。一緒に一喜一憂したいっていう。
kazuya:結局、イヤホンのタコ足が使えなかったんで、努のイヤホンで回し聴きしましたけど(笑)。
──ははは。FANATIC♢CRISISの石月さんぽい曲でしたか?
kazuya:それはやっぱり、そう思いましたよ。
石月:ギターサウンドに近しいシンセは入れてるにしろ、めちゃめちゃ伸び代がある状態の音源を聴かせたので。あとは好きにやってほしいなって。僕はそれがどう仕上がっていくか、楽しみでもあります。
──新たなアーティスト写真の衣装もFANATIC♢CRISIS当時を彷彿とさせるところがあります。
SHUN.:それは石月君だけじゃないですか(笑)? 僕も見たときに思いましたもん。昔の努やん!って。
石月:いや、実際にはああいう服を着たことないんですけど、印象としてはありますよね。当時のテイストは残したいと思っていたので、そこは大事にしていますね。
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