【インタビュー第一弾】FANTASTIC♢CIRCUSが語る現在、「一夜限りではなく、始まりでした」
元FANATIC♢CRISISの石月努(Vo)、kazuya(G)、SHUN.(G)といったフロントマン3人によるユニットFANTASTIC◇CIRCUSが5月14日、日比谷野外音楽堂にてワンマンライブ<転生-TENSEISM- FtC 30th ANNIVERSARY>を開催することが発表となった。同公演はタイトルどおり、“FtC”結成30周年を記念して行われるものであり、生まれ変わりを意味する“転生”には、彼らの現在、過去、未来が宿る。
◆FANTASTIC♢CIRCUS 画像 / 動画
2005年5月14日の東京ベイNKホール解散ライブから17年。その間に、石月努は空白期間を経て2012年より音楽活動を再開、音楽活動を継続していたkazuyaとSHUN.は2011年にTHE MICRO HEAD 4N'Sを結成した。そして、FANTASTIC◇CIRCUSなるプロジェクト名にて3人が集結、ディナーショウを実施したのが2019年11月9日のことだ。一夜限りであることが予めアナウンスされていた公演だったが、2021年8月6日、FANTASTIC◇CIRCUSが再びアクションを起こした。その詳細と<転生-TENSEISM- FtC 30th ANNIVERSARY>開催発表までの伏線はこのインタビューと同時公開したニュース記事に記したとおりだ。
BARKSは、石月努、kazuya、SHUN.の3人に接触。“現在、過去、未来”をテーマに全3回の連載インタビューを実施する。その第一回は、日比谷野外音楽堂ライブ開催を発表した彼らの現在について。果たして、FANTASTIC◇CIRCUSとは? 再集結の理由と 野音実現の経緯は? 現在の心境は? 3人がじっくりと語ってくれた。
◆ ◆ ◆
■FANATIC♢CRISISは
■僕の青春そのものでした
──2021年8月6日、FANTASTIC♢CIRCUSオフィシャルTwitterに突如、“20220514”という文字が表示されました。“0514”と言えば、FANATIC♢CRISISが解散した日ですから、これは何か起こるだろうと。そして、<転生-TENSEISM- FtC 30th ANNIVERSARY>を2022年5月14日に日比谷野外大音楽堂で開催することがTwitterで正式発表されたのが2022年の幕開け、1月1日でした。
石月:僕がFANATIC♢CRISISを結成して、2022年で30周年なんです。FANATIC♢CRISISは僕の青春そのものでした。ただ、こんなこと言ったらファンの皆さんがどう思うかわからないですけど、実は、僕の中でやり残したことがあったんです。解散の理由も正式に自分の言葉で伝えていなかったし。時間が経つにつれて、自分の中で引っかかってるものが大きくなっていって。
──2019年11月9日に新宿京王プラザホテルで開催したFANTASTIC♢CIRCUS名義による一夜限りのディナーショウ<REIWA GANNEN SPECIAL PROJECT ONE NIGHT DINNER SHOW 2019「FANTASTIC◇CIRCUS」>は、その引っかかりを解消するために実施したものだと思いますが、当時に遡って実施の経緯を教えていただけますか?
石月:はい。まさにその、“引っかかりを解消する機会を僕に与えてもらえないか?”と、FANATIC♢CRISISのメンバー全員、それぞれに僕から話をしたんです。その時すでに、リズム隊のふたりであるRyujiと徹は表舞台から退いていて、一夜限りの再結成も難しいということでした。一方で、今も音楽活動を続けているkazuyaとSHUN.が快諾してくれて。サポートメンバーを入れて、通常とは異なるディナーショウという形であえて開催したんですね。
──FANATIC♢CRISISというバンド名は使わず、FANTASTIC♢CIRCUS名義というのは?
石月:当時のメンバー全員が再び集結したわけではないし、ファンの皆さんがイメージしているFANATIC♢CRISISではないかもしれない。だから、もちろんこちらは本気なんですが、シャレみたいな感じでFANTASTIC♢CIRCUSという名前で。
──完全内容非公開のディナーショウだったゆえに、当日のレポート等は存在しないわけですが、ご自身の手応えはいかがでしたか?
石月:まず、会場のキャパの問題もあって、ご来場いただいた皆さん限定のクローズドなものになってしまったわけですが、僕自身、ずっと心に引っかかってたことを伝えることができた。仲間みたいなファンの皆さんに久しぶりに会えて、本当に演ってよかったと思っています。
──そして、その“引っかかりを解消”を解消するためのプロジェクトだったFANTASTIC♢CIRCUSは、結果、一夜限りのものではなかったということになりますね。
石月:はい、始まりでした。以降、kazuyaやSHUN.とプライベートで会う時間も増えたんです。その中で、2022年はFANATIC♢CRISISが結成30周年という節目の年だし、僕から2人に「なにかやらない?」と話をしたんですよ。
──やはり解散ライブを行った“5月14日”という日程、それと“日比谷野外大音楽堂”という場所にもこだわりが?
石月:「5月14日にどこかの会場を押さえられませんか?」とイベンターさんに話をしたら、「希望の会場は?」と聞かれたんですね。やっぱり僕らの中で日比谷野音は聖地みたいなところがあって。きっとファンの皆さんもそうだと思うんです、年に一回は必ず演っていたので。でも日比谷野音のブッキングって、本当にくじ引き抽選で決めるじゃないですか。応募数も多いということは聞いていたので、正直難しいだろうなと思ってたんですよ。そうしたらなんと、運のいいことに5月14日が取れたという。
──天が味方してくれたような。
石月:はい。運命に導かれているんじゃないかなと思いました。皆さんが制限された日常を送ってるコロナ禍を打破するために、僕たちを後押ししてくれる風が吹いた気がして。3年前のディナーショウのときは、そのアクション自体を“FANTASTIC♢CIRCUS”と命名したんです。だけど、5月14日の日比谷野外大音楽堂に関しては、FANTASTIC♢CIRCUSというユニットとして演ろうっていう話を3人でしました。
──「FANATIC♢CRISISにはやり残したことがあった」と冒頭で努さんがおっしゃってましたけど、kazuyaさんとSHUN.さんも、そういう気持ちがあったんですか?
Kazuya:いや、全くなかったですね。僕がずっとファンの皆さんに言ってるのは、「今を生きます」っていうことなんですよ。だから過去がうんぬんとか振り返ることがない。キツイ言い方をすると、東京に来てからあまりいい思い出がなかったので、むしろ蓋を閉じてる部分もあったんです。でも、それは自分が未熟だったからということも後々考えてわかっていたし。
──前を向き続けているから、消化できた部分もあるかもしれませんし。
Kazuya:今、僕とSHUN.がやっているTHE MICRO HEAD 4N’Sも、2021年で結成10年が経ちまして。会社規模は小さいですが、そのトップとしてマネージメント、プロデュース、作曲を手掛けたり。そういう活動の中で僕はメンバーやスタッフ、ファンの皆さんから自信というものをいただいたんですね。だからこそ、約2年前のFANTASTIC♢CIRCUSのディナーショウも、今回の日比谷野音も、フラットな気持ちでできると思えて、再び集まることを快諾したんです。つまり、俺の中では大ごとではなくて、飲みに誘われたくらいの感覚なんですよ。過去にやり残したことがあるからということではなくて、今だからできることだと僕は思ってます。逆に、5年前に誘われたら間違いなくやってなかっただろうから。
──タイミングが重要でしょうし、あまり重く考えすぎると踏み切れない部分もあるかもしれないですね、再集結は。開催までTHE MICRO HEAD 4N’Sの活動と併行することも考えなければなりませんし。
Kazuya:そもそも僕、バンドの復活っていうものに賛成派じゃないので。状況にもよりますよ? たとえば解散したくないのに、そうせざるを得なかったバンドなら、“復活して良かったな”って思うんです。だけど、そうじゃないバンドの復活って、“ふ〜ん”って思っちゃうんですよね。客観的に考えちゃうというか。
──ということは、FANATIC♢CRISISは前者だと?
Kazuya:“バンドが復活するという立場に自分が置かれたら、どんな気持ちがするんだろう?”っていう疑問に対する答えを知りたい、ということが大きいかもしれない。それに、止まることなく続けてきた現在、当時よりも音楽レベルが上がってるはずだから、“今の自分がFANATIC♢CRISISを演ったらどうなるんだろう?”っていう興味もあったんです。2019年のディナーショウのときは、ほぼ原型がなくなるくらいまで当時の楽曲をリアレンジしたので……、まぁそれは置いといて(笑)。そのときはファンの皆さんがめちゃめちゃ喜んでくれたから、答えが出せたんですよね。“ああ、こういうのっていいことなんだ。やってよかったな”って。そう思ったからこそ、今回もここに至ったという感じですかね。
──SHUN.さんはいかがでしょう? FANATIC♢CRISISにやり残したことがありましたか?
SHUN.:僕もkazuyaと一緒で、そういうのはなかったですね。解散ライブ終演直後は、東京ベイNKホールの楽屋で泣いてましたから(笑)。
石月:そうだったんだ(笑)?
──その涙はどういう?
SHUN.:“やり切った感”ですよね。でもね、振り返ると、“バンドをやめようかな”と思ったとき、 “もし、あのまま FANATIC♢CRISISを続けてたらどうなってたんだろう?”って、ふと考えたこともあったんですよ。
──やり切ったとは思いつつも、未練みたいなものも?
SHUN.:まぁ、そう思ったことがあったというだけで、まさかこんな風にFANTASTIC♢CIRCUSとして動き出すなんて未来は、考えてもみなかったし。
石月:それは“Me too”です(笑)。
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