【インタビュー】WANDS、『名探偵コナン』主題歌にロックとバラードと踊れるリズム「寄り添いたかった」
WANDSが11月3日に通算19枚目のシングル「YURA YURA」をリリースする。「真っ赤なLip」に続いてTVアニメ『名探偵コナン』のオープニングテーマとしてオンエア中の表題曲は、バラード、ロック、ダンスビートの要素が1曲の中に詰めこまれた華やかなサウンドとWANDSらしいメロディの強さ、キャッチーさが絶妙なバランスだ。上原大史のボーカルと聴き手に寄り添う歌詞が第5期WANDSに新たな彩りを与え、柴崎浩の多彩なギターワークが曲の場面を次々と変えるフックとして絶大な効力を発揮している。
◆WANDS 動画 / 画像
カップリングには第2期WANDSの「MILLION MILES AWAY」と配信ライブで披露された「Jumpin' Jack Boy」を第5期バージョンとしてセルフカバー。オリジナルがあるからこそ、悩みに悩んだという上原の心情も語られたインタビューでは、世代も性格も違うからこそ想像を超えた化学反応が生まれるWANDSのリアルタイムが浮き彫りになった。
上原大史による歌詞、柴崎浩による作曲が提示した最新WANDSサウンドについてじっくりと訊いたロングインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■デモを聴いて大人っぽい印象を受けた
■社会人の背中を押すような応援ソングです
──アニメ『名探偵コナン』のオープニングテーマでもあるシングル「YURA YURA」はメロディアスで躍動感があり、前作「カナリア鳴いた頃に」とは違うテイストの曲です。上原さんの作詞、柴崎さんの作曲の共作ですが、どんなふうに生まれた曲なのか教えていただけますか?
柴崎:アレンジを『名探偵コナン』に合わせて少し変えたりはしましたけど、もともとあった曲なんです。タイアップの時はいつも3曲ぐらい提出して先方に選んでもらうんですが、その中の1曲ですね。
▲上原大史(Vo)
──どんなイメージがあって作った曲なんでしょうか?
柴崎:自分の中ではバラードとロックと踊れるリズムが合わさったようなイメージでした。そこからイントロでキメを作ってみたり。頭のサビはもう少し長かったんですが、短くして全体的に派手な感じにしてみました。
──サウンドは華やかな印象を受けましたし、それでいてグルーヴが心地いいなと思いました。
柴崎:そうですか。第3者の感想を聞くのは今日が初めてなんですよ。華やかな感じになったらいいなと思っていましたし、気持ちいいノリを出そうとドラムやベースは気を遣いましたね。
──上原さんが曲を聴かれた時の印象というと?
上原:ベタですけど、シンプルにカッコいい曲。それと『名探偵コナン』に合いそうだなと思いました。候補が何曲かあった中で、いちばん“コナン”っぽいイメージだなって。
柴崎:先方もそうおっしゃってくれて。
上原:アニメのオープニングにナレーションが入るんですけど、いちばんハマる感じがして大人っぽさもあり、いいバランスの曲だと思いました。
▲柴崎浩(G)
──出だしの“気ままに YURA YURA と揺れながら”という歌詞が曲調にピッタリなんですよね。
柴崎:確か、歌詞はワンコーラスと途中の英詞の部分が先にできたんじゃなかったっけ?
上原:そうですね。最初のワンコーラスだけ先に書いたんですよ。さっきお話ししたように大人っぽい印象を受けたので、社会人の背中を押すような内容になっています。応援ソングですね。
──“週末のプレゼンどうしよう”というフレーズが出てきますものね。“何も考えないでいよう あの高い空に浮かんだ雲のように”と歌っているところが印象的ですが、どんな想いを込めたんでしょうか?
上原:昔、新宿に週5日でバイトに通っていたことがあったんですが、毎日行っていると考えなくてもいいことを考えたりして、煮詰まってたんですよね。コンクリートだらけの街って精神衛生上よくないなって。そういうことを思い出して書きました。
──確かにビルに囲まれていると閉塞感がありますよね。
上原:抱えている問題をより重苦しく感じたときには、ちょっとのんびり空でも見るかって。具体的に悩みを話さなくても、何も喋らずにボーッとそういう時間を過ごすだけでまた頑張れることもあるよねって。恋愛の要素も入っていますが、友達でもいいし。
──そんな上原さんの実体験も踏まえた今の時代に向けたメッセージですか?
上原:メッセージというより、寄り添いたかった歌詞です。
──タイトルを「YURA YURA」にした決め手は?
上原:“気ままに YURA YURA と揺れながら”ってサビを書いたときから、アルファベットにしてたんですよ。自ずとこれしかないなって。
柴崎:歌詞はいつも、語感とか核になるものが音にマッチしてて、いいなって。この曲を聴いて気分が変わったり、楽になってくれたらと思います。押しつけがましくなくて優しさが感じられますよね。
──アレンジは飽きさせない展開で、歌とギターだけになったり、鍵盤がフィーチャーされたり、セクションによって音の押し引きが全然違いますよね。
柴崎:いつも構成は悩むんですよ。サビが多いもんね。
上原:過程でいろいろアレンジが変わりましたね。
──先ほどおっしゃっていたようにバラード調のセクションもあるし、踊れるセクションもあり、多面的ですが、最初からそういう曲を作ろうと思っていたんですか?
柴崎:バラードとハードな要素を入れたいとは思っていたんですが、アレンジしていくうちに“これも合うな、あれも合うな”って。
──今作が2人体制になっての初音源ですが、それもあって歌とギターだけで始まる構成にしたとか?
柴崎:そこは作る時点では意識してなかったですね。2人体制になっていてもキーボーディストが居るグループとして取り組むってことは変わらないんだけど、今はボーカリストとギタリストという体制なので、2人で始まるのがいいかなっていうのは、後から思ったぐらいです。今回、アレンジでいちばん変わったのは真ん中の英詞のセクションですね。今の倍のサイズだったから。
上原:英詞の歌の後ろにギターソロをかぶせるとか、いろいろアイディアがあったんですよ。
柴崎:プロデューサーからも提案があっていろいろ試してみたんですが、歌とソロはやっぱり分けたほうがいいかなって。曲の中でいちばん音がうるさい箇所だと思うんですが(笑)、同じリズムパターンのまま勢いで弾いてみたら、意外とそのほうがいいかなって。
──リズムが変わる英詞の部分はビートルズっぽいテイストでキメが入って、またサビに戻るのがポップだなと思いました。
柴崎:曲のサイズを長く感じるか短く感じるかって世代によって異なると思うんですけど、僕は感覚として場面が多いほうが好きだから、盛りだくさんになっちゃうんですよね。最終的に気に入ったアレンジになりました。
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