【ライブレポート】WANDS、東名阪ホールツアー<BOLD>に勇敢なバンドサウンド「前進しているっていう気持ち」

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WANDSがシングル「大胆」リリースに伴って、6月25日から7月8日にかけて東名阪ツアー<WANDS Live Tour 2024 ~BOLD~>を開催した。

◆WANDS 画像

TVシリーズ特別編集版『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』のテーマソングに起用された新曲「大胆」(=BOLD)をタイトルにフィーチャアしたツアーであり、今回はWANDS第5期にとって初のホールツアーということもトピック。愛知、大阪公演のソールドアウトに続き、ツアーファイナルとなった東京ガーデンシアターは、最大8,000人を収容する大ホールが、当然ながら最上階後方までオーディエンスでギッシリ。注目度の高さがうかがい知れるというものだ。


また、開演前の場内を見渡すと幅広い年齢層のリスナーが集まっていて、’90年代からWANDSを応援しているであろう方々に加えて、若い世代も確実に巻き込みつつあることが分かる。初期の名曲から第5期の最新曲までのレパートリーのなかで、どんなセットリストで幅広いファン層を楽しませるのか、ライブへの期待を一層高めていると、場内が暗転して幻想的かつアバンギャルドなオープニングSEが流れた。

オーディエンスが一斉に総立ちとなり、柴崎浩(G)が奏でるソリッドなギターリフと上原大史(Vo)の力強い歌声が響く。客席から大歓声が湧き起こり、ライブはパワフルかつスタイリッシュな「We Will Never Give Up」から始まった。ドラムセットのさらに後方上段に立って伸びやかなボーカルを聴かせる上原とステージ中央のライザー上でホットなギターソロを決める柴崎。強い存在感を発する二人の姿に加え、WANDSならではの勢いと安定感を併せ持ったバンドサウンドに、オーディエンスも1曲目から華やかなリアクションを見せ、ライブは最高の滑り出しとなった。


「やれるよな、東京!!」という上原の言葉が客席のボルテージを高め、柴崎の7弦ギターによるヘヴィなギターリフとキャッチーさを巧みに融合させた「GET CHANCE GET GROW」へ。さらにラグジュアリーなサビやブルージーな柴崎のギターソロをフィーチュアした「David Bowieのように」を続けてプレイ。深みのあるローボイスから突き抜けるようなハイトーンまで幅広い声域を使いつつ、常に男っぽい色気を湛えている上原のボーカルは聴き応え十分。リズムの正確さやテクニカルなフレージングの1音1音の発音の良さが光る柴崎のギターワークにも耳を奪われた。

また、WANDSサウンドは、“WANDSの二人+バックのリズム隊”という雰囲気ではなく、ベースの二家本亮介とドラムの神田リョウが、それぞれが持つ個性を存分に発することで、強固なバンド感が生まれているのも実にいい。オープニングから一気に盛り上がった場内の熱気はライブが進むに連れて、さらに高まっていった。これら3曲聴かせたところでMCへ。


「こんばんは! 楽しんでいますか、WANDSです。本日は<WANDS Live Tour 2024 ~BOLD~>へようこそ! 沢山の人が来てくれております。最近めちゃくちゃ暑いじゃないですか。その暑さの中、皆さん“えっさほいさ”とわざわざ来てくださったわけですよ。ありがとうございます! 一番前の列から一番後ろの端から端まで、皆さんで同じようにバーン!と盛り上がっていただきたいと思っていますので、最後まで、なにとぞよろしくお願い致します!」──上原大史

飾ることなく、屈託のない明るい表情で話す上原のMCに客席からは何度となく笑い声や歓声が上がり、場内の空気感は和やかなムードに。

続くブロックでは、大人っぽい妖艶さを纏った「賞味期限切れ I love you」やクールなA/Bメロとパワフルなサビのコントラストが印象的な「Secret Night ~It's My Treat~」、抒情性を湛えた「空へ向かう木のように」などが届けられた。表情の豊かさと上質さを兼ね備えた楽曲も、各曲のエモーションをしっかり伝える秀でた表現力もさすがの一言。曲が始まると同時に雰囲気がパチッと変わり、そこからどんどん世界観を深めていく流れの連続は絶妙で、深く惹き込まれた。


ライブ中盤では、「皆さん、ストレス発散には声を出すのが良いらしいですよ! BOLDのように勇敢になってもらいましょう!」という上原アジテーションと共に演奏された「SHOUT OUT!!」では客席から大合唱が起きた。また、上原のシャウトと柴崎のギターフレーズによるブルージーな掛け合いでオーディエンスを大いに沸かせた「honey」、間奏で楽器陣がテクニカルなソロまわしを披露した「真っ赤なLip」など、プレイヤーとしての力量が発揮された場面は圧巻。圧倒的な歌唱力を誇る上原のボーカル、テクニックと歌心を両立させた柴崎のギターを筆頭に、サポート陣も含めてプレイ面の観どころが多いこともWANDSのライブの魅力といえる。同時に、ただ単にテクニックを見せつけるのではなく、楽曲のカラーをより深めるためにポテンシャルの高さを活かす形になっていることも心に残った。

「木村(key)君を含めた3人でWANDS第5期を始動してから4年半くらい経つんですけれども。本当にちょっとずつちょっとずつ、みんなが“WANDSいいね”と言ってくれるようになってですね。ゆっくりゆっくり、今日まで歩いてきた感じです。どの時期から好きになってくれても、皆さん1人1人のおかげで今日を迎えられたと思っています。皆さん、ありがとうございます」──柴崎浩


柴崎のじんわりと心に染みるMCに続いて、爽やかな「もっと強く抱きしめたなら」や温かみのあるアーバンテイストを纏った「時の扉」、煌びやかな「愛を語るより口づけをかわそう」といった往年のナンバーが続けて披露された。曲が始まるたびに客席から“おおっ!”という歓声が起こり、曲が終わると大きな拍手が贈られたことからは、オーディエンスが様々な思いを楽曲に重ねて聴き入っていることが伝わってきたし、'90年代の楽曲たちが全く古びて聴こえないことも印象的だった。

「あなたのことが大切ですと上手く伝えられたらいいなと思って作りました」という上原の曲紹介に続いて、「愛を叫びたい」へ。情熱的に歌い上げるボーカルと柴崎のテイスティーな泣きソロを配したバラードは絶品。そしてライブ後半は、大胆な転調や静と動の対比などを活かした緻密なアレンジを鮮やかに聴かせる新曲「大胆」、光や希望を感じさせるミディアムチューンの「WONDER STORY」が届けられた。心に強く響く「愛を叫びたい」「大胆」「WONDER STORY」を3曲連続で聴かせて本編を締める辺りも実に見事。メンバーがステージから去った場内は感動的な余韻に包まれて、全てのオーディエンスがカタルシスを得られたことが如実に感じ取れた。



盛大なアンコールに導かれて再びステージに現れたメンバーはツアーTシャツ姿。「MILLION MILES AWAY」に続く最後のMCでは、WANDSのこれまでが総括されるような感動的で力強い言葉が語られた。二家本はホールツアーを経たことで、「進化の幅が増した。高みに行っている」と手応えを語り、神田はライブ後の反省会に感じる一体感を「仕事の付き合いではなく、バンド感がある」と形容した。そして柴崎と上原は二人の言葉を受けてこう語った。

「'90年代に僕がいたWANDSは、1回しかツアーやっていなかったんです。でも今回、第5期として3回目のツアー。それも、前回より前進しているっていう気持ちがあって」──柴崎浩

「皆さんがいてくれたからこそなんです。最初の頃はくじけそうなこともたくさんあって。だけどスタッフやメンバーが励ましてくれたし、ライブで皆さんの表情を見て頑張ろうと思えました。だからWANDSに留まることができた。5年間続けさせてもらったのは、みなさんの功績だと思います」──上原大史


「カナリア鳴いた頃に」「世界が終るまでは…」を披露して、初のホールツアー<WANDS LIVE TOUR 2024~BOLD~>は大成功で締めくくられた。ハイクオリティーな楽曲や高度なミュージシャンシップ、そして柴崎、上原の柔らかみのある人柄に溢れる彼らのライブは、独自の魅力に満ちている。また、'90年代に多くのヒット曲を生み出した存在でいながら、当時の楽曲をライブのアクセントに、第5期楽曲をメインに据えたライブでオーディエンスを満足させたことも見逃せないポイントだ。

今回のライブを観て、現在のWANDSは自身の過去に頼ることなく、進化し続けて新たなファンをどんどん獲得しているバンドだということを実感できた。東京ガーデンシアターという大ホールでさえ、やや狭く感じさせる壮大なスケール感を放っていたことも含めて、今後のWANDSがさらなる飛躍を果たすことを予感させるライブだった。

取材・文◎村上孝之

■<WANDS Live Tour 2024 ~BOLD~>7月8日@東京ガーデンシアター SETLIST

01. We Will Never Give Up
02. GET CHANCE GET GROW
03. David Bowieのように
04. 賞味期限切れ I love you
05. FLOWER
06. Secret Night ~It's My Treat~ [WANDS第5期ver.]
07. 空へ向かう木のように
08. SHOUT OUT!!
09. honey
10. 真っ赤なLip
11. RAISE INSIGHT
12. Burning Free
13. もっと強く抱きしめたなら [WANDS第5期ver.]
14. 時の扉 [WANDS第5期ver.]
15. 愛を語るより口づけをかわそう [WANDS第5期ver.]
16. 愛を叫びたい
17. 大胆
18. WONDER STORY
encore
19. MILLION MILES AWAY [WANDS第5期ver.]
20. カナリア鳴いた頃に
21. 世界が終るまでは… [WANDS第5期ver.]

▼TOUR SCHEDULE
6月25日(火) 愛知県芸術劇場 大ホール
7月02日(火) 大阪国際会議場 グランキューブ大阪 メインホール
7月08日(月) 東京ガーデンシアター
https://wands-official.jp/


■<WANDS Live Tour 2025>

4月18日(金) 宮城・仙台サンプラザホール
open18:00 / start19:00
(問)GIP https://www.gip-web.co.jp/t/info
4月22日(火) 北海道・カナモトホール(札幌市民ホール)
open18:00 / start19:00
(問)WESS info@wess.co.jp
4月25日(金) 新潟・新潟県民会館 大ホール
open18:00 / start19:00
(問)FOB新潟 025-229-5000
4月30日(水) 香川・レクザムホール(香川県県民ホール) 大ホール
open18:00 / start19:00
(問)DUKE高松 087-822-2520
5月02日(金) 福岡・福岡サンパレス
open18:00 / start19:00
(問)キョードー西日本 0570-09-2424
5月16日(金) 愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
open18:00 / start19:00
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
5月19日(月) 大阪・大阪国際会議場 グランキューブ大阪 メインホール
open18:00 / start19:00
(問)サウンドクリエーター 06-6357-4400
5月21日(水) 広島・広島上野学園ホール
open18:00 / start19:00
(問)キャンディープロモーション 082-249-8334
5月30日(金) 東京・東京ガーデンシアター
open18:00 / start19:00
(問)H.I.P. 03-3475-9999
▼チケット
全席指定 8,500円(税込)
※3歳以下入場不可/4歳以上はチケットが必要
2025年2月15日(土)10:00~


◆柴崎浩 機材インタビューページへ
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