【インタビュー】MICOソロプロジェクト・SHE IS SUMMER完結「また“出会ってしまえたら”」
YouTubeでの再生回数を伸ばし続けている「とびきりのおしゃれして別れ話を」や、海外でスマッシュヒットを記録した「CALL ME IN YOUR SUMMER」など、日本国内に限らず、ここ数年はアジアを中心とする海外からの注目度も高かったSHE IS SUMMER。2014年にふぇのたすのボーカル“みこ”としてメジャーデビューを果たし、その後2016年に“MICO”のソロプロジェクトとしてスタートさせたのがこのSHE IS SUMMERだが、始動から丸5年となる今年4月をもってプロジェクトを完結させることとなった。
その経緯についてはオフィシャルブログにて自身の言葉で語られているが、今回は3月24日リリースの3rdアルバム『DOOR』、4月15日に行われるラストワンマンライブなどの話を中心に、これまでのことやこれからのことについてもインタビュー。4月にリリースされるビジュアルアーカイブブックもぜひ手に取っていただき、SHE IS SUMMERというプロジェクトのフィナーレを見届けてほしい。
◆ ◆ ◆
■次の入り口になる
──SHE IS SUMMERとしての活動が5年と聞いて、体感としてはもっと長かったように思っていました。MICOさん自身はどう感じていますか?
MICO:どうなんだろう?でも(以前やっていた)ふぇのたすとしての活動を2年も上回ったのかって考えると、驚きはありますね。そんなにやってたんだなって。
──ふぇのたすからSHE IS SUMMERへ移行する時期の感覚って、まだ覚えてます?
MICO:はい。最初はひとりで、シンガーソングライターを目指して小さなライブハウスで活動していたんですが、なかなか芽が出ず。そこから誰かに自分をプロデュースしてもらう、つまり意志を持ってプロデュースされるっていうことをふぇのたすでやってみました。そのフェーズを経て、SHE IS SUMMERはその中間と言いますか、自分で考えて自分自身もプロデュースするし、ものすごく自分ではあるけど、ある側面ではすごく誰かから見た私としてアウトプットされているみたいな、そのバランスが新しい挑戦だったなということは鮮明に覚えていますね。
──意志を持ってプロデュースされるって、自分自身の核となるものがないと逆にできないことかなとも思います。
MICO:自分の体験したことがない領域でどれだけ伸ばせるのか、というのをやってみたかったんですよね。
──だから初めてのことにもたくさん挑戦できたんですね。
MICO:本当にたくさんの経験をさせてもらいました。新しい挑戦をさせてもらえたっていうこともすごくあったと思うし、形態として、そもそも今まで一度もやったことがないソロプロジェクトという形をとったことも大きかったと思います。
▲1st E.P.『LOVELY FRUSTRATION E.P.』(2016年8月)アーティスト写真
──どうしてソロプロジェクトとしてやろうと思われたんですか?
MICO:あれ、なんでそうなったんだっけ(笑)?…そういえば最初、とにかく新しい挑戦がしたかったからガールズバンドをって話もあったんですよ。シンガーソングライターでも、ふぇのたすのような音楽グループでもない形態を取りたかったから。それでメンバーを探して、実際にスタジオに入ったりもしたんだけど、音楽性としてどういうものがやりたいかっていうことや、自分自身のブランディングみたいなものも固まっていなかったから「バンドにできるほどの強力なコンセプトが、私の中にはまだないよね」という話に行きついたんです。そこから、じゃあ育っていく中で必要であればメンバーを入れられるプロジェクトという形にしよう、みたいなことだったと思います。よかった、思い出しました(笑)!
──(笑)。何かに挑戦したい気持ちになっている時って、とりあえず動いてみるっていう前のめりな感じがありますよね。システムは後から考えればいいというか。だからSHE IS SUMMERを始める時も心境として全然ビビっていなかったんだなって、今話を聞いていて思いました。
MICO:失うものはもうないというか、失い切った後だったから(笑)。何も怖いものはなかったですね、そういう意味では。ソロプロジェクトでスタートできたのは、すごく“余白”がある感じだったなと思います。
▲2nd E.P.『Swimming in the Love E.P.』(2017年6月)アーティスト写真
──そこから5年。結局最後の1年はコロナ禍で世の中の状況が一変し、音楽の世界も大変な影響を受けましたが、SHE IS SUMMERとしては、アジア圏のアーティストとの交流や制作など、それこそ新しいことにもしっかりチャレンジをしながら発信されてきたような印象でした。
MICO:もともとSHE IS SUMMERというプロジェクトの特性として、あまり場所を選ばないというか、ライブハウスに限定せずに活動してきたので、そこは運良くと言ったら変な言い方になりますが、裾野の広いプロジェクトでしたからね。もちろんタイの夏フェスに出る予定だったのにとか、ライブという意味では停滞してしまいましたけど。でもネットに強いプロジェクトでもあったので、確かにあまりマイナスな要素は食らわなかったなって感覚はありました。
──最近また、海外でのチャートアクションが良かったというニュースもありましたしね。
MICO:そうですね。タイのPlastic Plasticの曲(「ร้อน(boiling) feat. SHE IS SUMMER」)で客演させてもらったものが結構よかったみたいで。
──自粛期間中に始められたMICOさん個人のYouTubeチャンネルからの発信も、毎回楽しみになりました。
MICO:ありがとうございます(笑)。あれがまさに私の日常で、これまではそのアウトプットが曲だけだったんですが、直接動画というアウトプットにしてみたのがあのYouTubeチャンネルという感じですね。
──あの動画で私達リスナーもMICOさんと日常を共にしてきたような感覚があるので、今回のアルバムをより身近なものとして捉える方も多いと思うんです。SHE IS SUMMERの締め括りを、みんなで一緒に迎えるような心持ちというか。
MICO:確かに、そうですね。私もそうしたいなとは思っていました。
──最後にアルバムを作ろうというのは、決めていたことだったんですか?
MICO:去年はずっと配信シングルを出していたので、その曲も溜まっていたし、コロナ禍で、配信してないけどMVだけアップした曲があったり。その他にも趣味として作っていた曲があったので、それらをまとめて、新曲も作って、アルバムにしようかって感じだったと思います。
──完結することが決まった上でアルバムを作るって、どんな感覚なのかあまり想像がつかないのですが。
MICO:別に深く意識はせず、そのままの自分が作りたいものを作れば完結になり、次の入り口になるという感覚でした。SHE IS SUMMERの完結だからこうしなきゃ!ではなく、SHE IS SUMMER自体が、昔よりどんどん私自身の心が反映されるものになっていたので、ありのままで作ったという感じでしたね。いいものになりますように、と願いながら。
──その辺りの気持ちが、完結を発表された時のMICOさんの文章にもつながっているということですね。
MICO:そうです、そうです。
──「どんどん私の心が反映されるものになった」というのは、もちろん自分のことでもありますが、どこか客観的でもあるなと思います。
MICO:自分らしく生きようみたいなテーマの広告やメッセージが、この世にすごく増えてきたなと思うんです。でも自分らしくって、すごく難しいことですよね。私もそれを、多分アーティスト活動を通して──アーティストっていうのはその人の個性だったり、その人のメッセージみたいなものを求められるし必要とされるので、それについてすごく深く考えた5年間でもあったと思うんです。自分で自分を知っていく作業でもあったわけで、そうやってどんどんわかっていったから、客観的に見えてしまう部分があるのかなと思います。
▲1stアルバム『WATER』(2017年11月)アーティスト写真
──今後はその個性やメッセージのアウトプットが、音楽だけに限らなくなると。
MICO:そのバランスを、今も考えているというか。これまでは音楽が主軸にあったのでバランスを考えなくてもよかったんですが、こうやって完結するということは、考えなきゃいけない状況に自分を追い込むということでもあって(笑)。そのバランスを見つけること自体、また次の自分らしさにつながると思うし、でもそれはやってみないとわからないことでもあるから、少し休憩時間と言ったら変だけど、考える時間をちゃんと持ちたいなと思っているんですよね。そのためには行動をして考えたいので、実際にSHE IS SUMMERを終わらせて、次のことをいろいろとやっていく中で、答えがまた出てくるのかなと思っています。
──「DOOR」は、そういう気持ちの流れの中から生まれたキーワードだったりするんでしょうか。人生における決意とか決断、転機のようなことを象徴するアイテムでもあるなと思います。
MICO:そうですね。すごく象徴的なアイテムだなと思って、ぴったりだと思いました。最初は仮のタイトルだったんですが、あまりにもしっくりきて、そのままタイトルになりました。
▲SHE IS SUMMER/『DOOR』
──今作のリード曲は、先行配信もされていた「HOLY HOUSE」ですね。
MICO:この「DOOR」という言葉自体を象徴する曲でもあるかなと思っていて。みんなにとっても心のHOMEというか、「HOLY HOUSE」を作っていくべきだと思うっていう、そういう曲になっています。
──アルバムはインストの「Where is my DOOR?」から「HOLY HOUSE」という流れで幕を開けます。曲順に関してはどんなイメージだったんですか?
MICO:歌詞の流れも若干ありますが、それよりもアルバム全体として聴き心地がよく、最後まで聴いた後にもう一度聴きたくなる。そういう観点で選びました。
──ラストに収録されている「夕暮れのキャンプファイヤー」は、これまでにないタイプの曲でとても驚きました。リスナーやオーディエンスなど、こんなにも“一緒に歌っている人たち”の顔が見える曲はなかったなと思って。
MICO:あぁ、なるほど!でもこれ、SHE IS SUMMERを完結するって決めて当て書いた曲じゃないんですよ。コロナ禍で、SHE IS SUMMERの初期から一緒に曲を作っているevening cinemaの原田夏樹くんと、暇だから曲でも作ろうって(笑)、緊急事態宣言中に作ったものなんです。
──まさかの、暇だから(笑)。
MICO:そう(笑)。自粛期間中の一番厳しかった時期って、みんなそうだけどずっと家にいたじゃないですか。私は落ちていく夕陽を見ることがものすごく癒しになっている時期があって、その気持ちを書きたいと思ったんです。それで原田くんに、夕陽はキャンプファイヤーみたいなものだと最近思っているんだって話をして。自然学校みたいなものの最後のキャンプファイヤー、その火をみんなで見つめながら自分の思いみたいなものを投影したりして、また明日ねって笑顔で別れる。夕陽も、この社会においてそういう役割を毎日担ってくれている、素晴らしい存在だなって思ったんです。コロナ禍に思った気持ちを残しておきたいので、そういう懐かしい気持ちが書けるような、何かお祭りの最後に歌う儀式としての歌みたいなメロディーを作ってくれませんかって言って、上がってきたのがこのメロディーだったんです。だけどこうなった今、すごくピッタリだなと思ったので、最後にこの曲を収録したんですよね。
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