あいみょん、アリーナツアーでファンとの再会を約束「私はいつでも待ってます」
あいみょんの全国アリーナツアー<AIMYON TOUR 2020 “ミート・ミート”>が、12月27日に福岡・マリンメッセ福岡で最終日を迎えた。
◆あいみょん画像
当初、同ツアーでは全国12会場で計24公演が行われる予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて日程を変更し、規模も縮小しての開催に。11月30日の大阪・大阪城ホールを皮切りに、5都市で計10公演が行われた。以下、12月13日に開催された埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演のオフィシャルレポートをお届けする。
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場内が暗転し、一人スポットライトに照らされたあいみょんが歌い始めたのは、アルバム『おいしいパスタがあると聞いて』でも一曲目を飾っていた「黄昏にバカ話をしたあの日を思い出す時を」。今回のツアーからバンドメンバーが6人に増え、この曲ではマンドリンやアコーディオンを用いて楽団のような雰囲気が作り上げられていく。《もっと刺激を もっと混乱を もっと人生を》と歌う、音楽に対する決意表明のようなオープニングに続いて、序盤は「ハルノヒ」や「満月の夜なら」など、軽快な楽曲でステージが進んでいった。
最初のMCでは、さいたまスーパーアリーナに立てたことの喜びを語り、歓声が上げられないオーディエンスと拍手でコミュニケーションを取ると、「今日はみんなが声出せへん分、私が一生懸命歌います」と呼びかけて、迫力のあるアカペラからインディーズ時代の楽曲「どうせ死ぬなら」を熱唱。「ふたりの世界」ではお馴染みのSEXコールの箇所で一旦演奏を止めて、囁きバージョンをリクエストするユーモラスな一幕があり、「シガレット」や「マトリョーシカ」ではそれぞれの曲に合わせた映像演出で魅了したりと、ショーとしての完成度がさらに高まっていることを感じさせる。
11月30日にメジャーデビュー4周年を迎えられたことへの感謝を伝えつつ、「大きい会場でやればやるほど、過去の自分のことをめちゃめちゃ考えるんです。あの頃があったから今があるって、ほんまに思いたくて」と語って披露されたのは、当時住んでいた日当たりの悪い部屋で悩みながら書いた曲だという「風のささやき」。弾き語りから始まって、途中でバンドが入ってくるドラマチックな展開が感動を呼ぶと、今年のあいみょんを象徴する一曲になった「裸の心」へ。アコギを置いて、マイクスタンドをギュッと握りしめながら、情感たっぷりに歌われるメロディーが実に素晴らしい。部屋で一人過ごすことが多かった2020年、この曲に救われた人がどれほどいただろうか。
ステージに一人残ったあいみょんが弾き語りで「憧れてきたんだ」と「from 四階の角部屋」を歌った後は、バンドメンバーを紹介して、アコースティックセットを披露。後ろで手を組んで歌うあいみょんの姿がキュートな「ポプリの葉」も、タブラやボコーダーを用いた音の遊びと、火花を全面に映し出した映像が印象的な「二人だけの国」も、ギターを増やし、パーカッションを加えた今回の編成ならではの演奏だったと言える。
イントロでスライドギターをフィーチャーした「チカ」からはファンキーな曲調を続け、「朝陽」と「愛を伝えたいだとか」で場内の温度がさらに高まると、「マリーゴールド」ではサビでオーディエンスが一斉に手を振り、演奏が終わるとともに大きな拍手が巻き起こった。さらに、この日限りのスペシャルメンバーとして、ホーン隊の3人を迎え入れると、ソウル/AOR色の強い新曲「スーパーガール」を初披露。「真夏の夜の匂いがする」でもそのままホーン隊が残り、華やかな特別バージョンで演奏された。
「マシマロ」からの終盤戦ではさらにもう一段階ギアを上げて、バンド全体が熱のこもったパフォーマンスで盛り上げると、「夢追いベンガル」ではあいみょんが広いステージの両端を駆け回り、場内の熱気が最高潮に達したところで、「君はロックを聴かない」が届けられる。きっと誰もが心の中で一緒に歌い、会場に一体感が生まれる中、《また会いに来てね》という歌詞の「漂白」がしっとり歌われると、ここまでの満足感とライブがもう少しで終わってしまうという寂しさが同時に去来して、何とも言えない心地になった。
「さいたまの2日間を間もなく終えるわけですけど、ほんまに一段と、自分がシンガーソングライターになれた気がします」と語り、シリアスな「さよならの今日に」を歌い上げ、スケール感のあるアウトロを鳴らし終えたバンドメンバーがステージを去ると、一人残ったあいみょんが「そんな風に生きている」を歌い、全25曲が終了。「そんな風に生きている」の途中から感極まった様子のあいみょんは、最後に「初めてのさいたまスーパーアリーナはほんまに大きかったです。今の自分の力じゃどうにもできないと思うくらい大きかったけど、何とか2日間終えられてよかった」と涙声で話す。さらに、「また必ずみんなと、当たり前に会えて、当たり前に歌が歌えて、一緒に話せる時が来るんです。私はいつでも待ってます」と再会を約束して、盛大な拍手に包まれる中、充実の一夜が幕を閉じた。
文◎金子厚武
撮影◎永峰拓也
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