【ライブレポート】鬼龍院翔、心はファンと共に「お互い元気でまた会いましょう」

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2020年12月19日(土)「ニコニコ生放送」及び「ABEMA PPV ONLINE LIVE」にて、<鬼龍院翔 単独公演「ひとりよがり6.5」>が生配信された。

◆ライブ画像

<ひとりよがり>は、鬼龍院が2011年から不定期で開催しているソロ公演シリーズ。普段、アップテンポなナンバーを中心に行われるゴールデンボンバーのライブでは、ボーカルの鬼龍院以外のメンバーはやることがなくなってしまうため、バラードはあまり披露されることがない。そんなバラードを披露する場所を作るべく、作詞・作曲担当の鬼龍院の単独公演としてスタートしたのが<ひとりよがり>だ。今回、<ひとりよがり6.5>と題し、初めての無観客有料オンラインライブとして行われることとなった。

開演前に「ニコニコ生放送」にログインすると、「待機してます!!」「よがり初参戦!楽しみ!」といったコメントが続々と寄せられた。開演時間の20時を過ぎると、「この公演では普段のライブとは違いしっとりとした曲のみを歌います。とても暗い曲もあるので明るい性格の方は気分が悪くならないようお気をつけください…それでは誰もいない会場でひとり…よがってみたいと思います…」と文字が表示され、薄暗い画面の中、ひとりポツンと佇む鬼龍院が映し出されてアカペラで歌い出した。ゴールデンボンバー「女々しくて」のカップリング曲としてリリースされた「君がいない間に」だ。シックなジャケット衣装に身を包み、ヘアスタイルもセクシーにキメた鬼龍院にカメラが徐々にズームアップすると、ピアノの音色と共にサビで“君がいない 君がいない 君がいない”と切なく歌い上げる。2番では“君がいない間に世界は少し変わったの”との歌詞が、現実の社会とリンクしていた。ゴールデンボンバーのライブではあまり見ることができない、真摯なソロ・ボーカリストとしての姿に、早くもこのライブのスペシャル感が伝わってくる。壮大なストリングスに彩られて曲を終えると、続く「夜汽車」へ。3拍子のリズムに乗せた低音ボイスでミュージカルチックな世界観を聴かせた。

「こんばんは、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔です。この度はご視聴いただき、本当にありがとうございます。有観客ライブができない中、配信でもいいから<ひとりよがり>が見たいというファンの方の声をいただいて、この場を設けさせていただきました。今年世の中が大変な中、少しでもファンのみなさんが喜んでくれるならば、元気付けられるならばと、やってみたんですが、見てる人“これどうやって元気になるんだよ?”っていうぐらい、すげ〜暗かったね、今(笑)。でも最終的には元気がもらえるように頑張りますのでご心配なく」と第一声のMC。とある関東の会場からお届けしていることを告げると、カメラは客席を映し出す。最小限のスタッフ以外、観客はまったくいない。「過去最高にひとりぼっちな<ひとりよがり>です。ここからも暗い曲たくさんありますので、楽しんでください。僕も歌ってる間はひとりぼっちになって、自分の内面と向き合いたいと思いますので、みなさんもよかったら一緒にひとりでよがってください」と告げて、改めてライブがスタートした。

ノスタルジックな鍵盤の音に導かれて失恋を歌った「Neeeeeee!」では、サビで照明がステージ上の鬼龍院を照らすと、バックには綺麗な光が上下する演出も。ガラッとサウンドが変わると、強烈なビートに乗せた「腐男子」が飛び出した。“腐ったのは世界じゃなくて僕だ”と歌われる歌詞と派手なEDMサウンドのギャップが、激しく葛藤する内面を連想させる。「立て続けに聴いてもらいましたが、“これ聴いてどうやって元気出すの?”っていう、暗〜い感じでしたね」と自虐的にMCをしながら、タブレットでコメントをチェックする鬼龍院。「元気出たよって書いてある。変わってるねあなたがた(笑)。共感という癒しの作用が起きてるのかな?不思議な空間ですね、<ひとりよがり>。セットリストも、今やった4曲は<ひとりよがり>の定番といえば定番です。今日はあんまり演出とか入れてないんですよ。だから退屈かもしれませんが、お料理の片手間とかでもいいので見てもらえれば」と謙虚に言いつつも、「12月なんで、誰もいない会場って寒いな。しっとりした曲が多いから汗をかかないせいもあって。寒いな……」と呟いていると、背後からパチパチと音がして焚火が現れた。すかさず近寄って暖まるものの、しばらくして「あ、もう消していいよ」とスタッフに指示すると焚火はあっさりと消失。どうやら映像だったようだ。「演出といえばこれぐらいです(笑)。あとはドス暗い曲を……」と歌を続けた。

“曲調は暗くないけど、歌詞は暗い”と曲紹介されたアップテンポの「ウジ虫」でひとり悩む内省的な一面を聴かせると、ミディアムテンポの「HEN」、パンキッシュなナンバー「世界平和」と立て続けに曲を披露。バラードに特化したライブとはいえ、多彩なアレンジで楽しませるのはさすがは音楽業界屈指のエンターテイナーだ。「世界平和」では、画面に向かって手を振ったり指をさしてファンサービスを忘れない。続いて歌われたのは、今年3月にYouTubeで発表された新曲「ありふれたうた」。キラキラしたリフレインのイントロと歪んだギター、4つ打ちのドラムで曲が始まると、背後のスクリーンにはYouTubeでも使われていた新潟、信濃川のほとりの夜景が映し出された。力強い歌声と、画面に表示される歌詞、グッとくるメッセージが込められたセクションだった。


「次にやる曲は、「振動」という曲なんですけど、私が徹夜で練習したピアノで弾き語りしたいなと思っております!鳴りやまぬ拍手、ありがとう!」と誰もいない客席に感謝。ところがスタッフから報告が。「えっ?ピアノが運搬中にトラックのタイヤが外れて川を下ってっちゃった!?徹夜で練習した弾き語り、ピアノがなかったらできないじゃん!?」と、せっかく準備したピアノ弾き語りを諦めかけた鬼龍院。と思いきや、振り返るとステージ上にはしっかりとグランドピアノが置かれている。鍵盤を押さえるとちゃんと音が出る。これは映像でも段ボール製でもない。「エアーで弾く流れなのに、なんで用意しちゃったの?」とスタッフに憤り焦る鬼龍院。渋々ピアノを弾き出すが、子どものようなたどたどしい指さばき。「本当は練習してないんだよ……無理だよ……」とうなだれる。すると、突如ピアノが勝手に曲を弾き出した(自動演奏で)。「これは!全国の(ファンの)“生き霊”が集まって弾いてくれてる!」というわけで、ピアノの前に座りエアー弾き語りで「振動」を歌い出した。横からのカメラアングルだと本当に弾き語りしているように見えるからすごい。堂々たるピアニストぶりで、しかも曲は結構感動的だ。クライマックスでは人差し指ひとつでエア・グリッサンドをしたり、途中から熱がこもり過ぎて手がピアノから離れまくっていたものの、無事歌い上げた。「できたよー!生き霊、ありがとう!こんなことあるんだねー。良いことをしていると、奇跡が起きるんだなあ」と満足気。


「この日のライブで唯一の人様の曲」として披露された、MUCCの「ブリリアント ワールド」のカバーから、ライブは後半へ。この季節にピッタリのナンバーが情感豊かに歌われた。エモーショナルなギターソロの間奏からは、ステージ上に炎が登場して鬼龍院の回りを囲む。続いては、新曲「断末魔」が初披露された。アルペジオに合わせた静かな歌い出しから、徐々に盛り上がるドラマティックな曲で、炎が揺らめく中で左手を伸ばし何かを求めるようなアクションで、タイトル通りの叫ぶような歌声を聴かせた。表現力豊かなボーカルが発揮された新曲で盛り上がった後は、アコースティック・ギターの旋律に乗せた「ドンマイ」へ。包み込むような優しい歌声に癒される。間奏では「口笛吹こうか?」と、耳に手を当てて視聴者の口笛を聴く仕草。ストリングスとコーラスが重なる曲のエンディングでは、ミラーボールが回る中、両手を耳に当てて合唱を促してみたりと、画面の向こうにいるファンを意識したステージングで、曲が終わると右手でOKマークを作って笑顔を見せた。こんなところに、離れていてもファンと共にある鬼龍院の気持ちが感じられ、心が温かくなると共に、この配信ライブの意義を感じることができた。ライブは、スモークの演出の中で歌われた「広がる世界」が本編の締めくくりとなった。



アンコールでは、いつものタミヤTシャツ姿でステージに上がり、「みなさんが明るく過ごせるように。みなさんの席の近くに行こうと思います!」と、ステージを降りて客席へと歩を進める。「良く見えるよ、生き霊たち!」と言いつつ、「Love Days」を歌いながら客席を練り歩く鬼龍院。「みんな、真っ赤になっちゃって、照れすぎだよお」と、真っ赤な座席を愛でている。そのまま客席後方、さらに2階席にまで上がっていき、生き霊たちにファンサービス。ラストは、「らふぃおら」でミラーボールが回り、ステージバックのスクリーンにファンからの「ありがとう〜!」といったコメントが流れ、“Life is all right!”と、勇気づけられるメッセージを届けて、ファンとの一体感の中、多幸感たっぷりの明るいムードで大団円となった。


「みなさん、今日は<ひとりよがり6.5>ご清聴、ありがとうございます!またすぐに24日にゴールデンボンバーの配信ライブがあります。そのときはアゲアゲな感じでやろうと思います。また会いましょうね。24日までいったん失礼します。元気でいろよ!バイバイ!」と告げて、ステージを降りて行った鬼龍院。配信のエンディングでは、「次はまた同じ空間でひとり、よがれることを願っています。暖かくして、しっかり食べて、どうかお互い元気でまた会いましょう。メリクリ!」とのメッセージが画面に映し出され、心地よい余韻を残して、鬼龍院翔の初ソロオンラインライブ<鬼龍院翔 単独公演「ひとりよがり6.5」>は終了となった。

取材・文◎岡本貴之

セットリスト

<鬼龍院翔 単独公演「ひとりよがり6.5」>
2020年12月19日(土)
1. 君がいない間に
2. 夜汽車
3. Neeeeeee!
4. 腐男子
5. ウジ虫
6. HEN
7. 世界平和
8. ありふれたうた
9. 振動
10. ブリリアント ワールド
11. 断末魔(新曲)
12. ドンマイ
13. 広がる世界
EN1. Love Days
EN2. らふぃおら

アーカイブ配信情報

[配信サイト]
※アーカイブ視聴期間はどちらのサイトでも同じ期間(1ヶ月間)です。

◾︎ニコニコ生放送
https://live.nicovideo.jp/watch/lv328797986
※プレミアム会員の方は600円の割引き特典があります。
※視聴につきましては下記URLよりご確認ください。
https://qa.nicovideo.jp/faq/show/14589?site_domain=default

◾︎ABEMA ペイパービュー
https://abema.tv/channels/payperview-1/slots/AafZXfS4LWcGoH
※一部テレビでもご視聴いただけます。
対応テレビ、視聴方法は下記URLよりご確認ください。
https://help.abema.tv/hc/ja/articles/360045088511
※その他チケット購入・視聴方法は下記URLよりご確認ください。
https://programnews.abema.tv/posts/10537879

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