【インタビュー】20年かけて培ってきた等身大の倖田來未

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倖田來未が9月に大阪・大阪城ホールからスタートし、自身のデビュー20周年記念日にあたる12月6日の東京・国立代々木競技場第一体育館公演まで駆け抜けたアリーナツアー<KODA KUMI 20th ANNIVERSARY TOUR 2020 MY NAME IS…>を12月6日に完遂した。

◆ライブ画像

なぜ彼女はこのコロナ禍のなか、日本人としては初となるアリーナ規模の有観客ライブ開催に踏み切ったのか。その裏側に隠された倖田の本音、音楽、ファンへの想い。20年間の倖田來未、その活動を支えてきたテーマとはいったいなんだったのか。

これを紐解くため、倖田來未にメールインタビューを実施した。未来へ向かう彼女の熱い気持ちに触れてみてほしい。

  ◆  ◆  ◆

──まずは20周年、おめでとうございます。

倖田來未:ありがとうございます!

──ここまで続けられると思ってましたか?

倖田來未:デビュー当時は20年間歌い続けられるとは正直思っていませんでしたね。

──改めて考えると、ここまで続けられた理由はなんだったと思いますか?

倖田來未:ファンの皆さん、スタッフの皆さん、家族や友達のお陰だと思います。自分一人では絶対にここまで来られなかったと思うので、支えて下さった皆さんに本当に感謝してます。

──ここからは先日千秋楽を迎えたばかりのアリーナツアーに関して質問していきたいと思います。ツアーを完走してみていかがですか?

倖田來未:今回、コロナ禍での開催ということもあり、ファイナルまで無事に完走できるのかという不安も正直あったんですが、演者・スタッフだけではなく、ファンの方もガイドラインやマナーを守って下さったお陰で完走できたと思うので、本当にみんなで“一致団結”したからこそ完走できたツアーでした。リスクがゼロではないなかで、ライブに来て下さったお客さんからも「本当に楽しかった」、「来てよかった」というメッセージも頂いて、パフォーマンスを通してみなさんに恩返しできてよかったなと思ってます。

──千秋楽には歴代のダンサーたちが集結するという逆サプライズで、倖田さんが感動して涙を流すシーンがありましたが。

倖田來未:涙が溢れちゃいましたね。逆サプライズに関しては、周年や誕生日のときにケーキが出てきて祝って頂くことは過去にもあったんですが、今回はまさかの歴代のダンサーズが20人以上集まるというサプライズだったので、本当に驚きました。そのなかには初めてツアーをやった2005年に一緒に踊ってくれたダンサーまでいて。各ダンサーとの思い出が一気に蘇ってきて、感慨深かったです。


──倖田さんが今回、この有観客でのアリーナツアーを成功させたことは音楽シーンへの大きな功績だと思ってるんですが、たぶん周りにはリスクを考えて反対する意見もあったと思うんです。そのなかでこの決断をソロだから自分一人で下した訳ですよね? それって、怖くはなかったですか?

倖田來未:正直、本当に怖かったです……。

──ですよね。それでもやろうと思った1番の理由、その決断を後押ししたものはなんだったんですか? 20周年だったから?

倖田來未:いや、20周年だから開催したいというよりは、不安な状況が続く中で、私自身音楽を通してこれまで皆さんに助けられたことがたくさんあったので、音楽・エンタテインメントを通して、勇気や希望、思いを伝えられたらいいなと思ったのが一番です。有観客にしたのは、リアルでしか体感できないことってあるんですよ。それは、お客さんとのアイコンタクトで伝わる思いや熱量もそうですし。演者だけではなく、目の前にお客さんがいて成立する。それがライブだと私は思っているので、有観客開催を決断しました。あと、まだまだ他のアーティストさんのライブが中止や延期になっていたので、そこに携わるスタッフさんたちの生活を守りたいという思いもありましたね。

──そこもかっこいいです。そういうなかで迎えたツアーだからこそ、開幕したときの心境もいままでとは違ったのではないでしょうか?

倖田來未:開催を決めて以降も日々状況が変わり、毎日「どうなるのかな?」という心境で過ごしていたので、ツアー開幕の前日は怖くて、初めて自分の気持ちを整理するために新幹線の乗車を2時間ぐらい遅らせてもらったんですよ。

──うわぁ…それだけプレッシャーがあったってことですよね。

倖田來未:初日は、いろいろな状況で会場に来られないファンの方がいるのも知っていたので、来られない人たちもライブ会場にいるようなパフォーマンスをしようと思ってライブに挑んで。ツアー開幕までは私だけではなく、いろいろな思いを背負って涙ぐみながらこの本番を迎えていたスタッフさんもいたんですね。なので、本当にこのチームのみんなと一緒に開催できてよかったと思いました。

──今回はソーシャルディスタンスを守るためにお客さんの収容人数を40%にして、その分1日2公演にして公演時間を2時間におさめるなど、ライブに対する様々な新しい取り組みが行われたツアーでもありました。

倖田來未:時間制限があったので、今回は間の映像を1回にしたり、アンコールをなしにしてステージ上で着替えたり。結果、2時間ほとんどステージにいましたね。

──ツアーのコンセプトも新しく考え直す必要があったんじゃないですか?

倖田來未:今回は5年振りのアリーナツアーということで温めていいた演出もあったんですよ。でも、ウイルス感染予防対策の一環で換気をしなければいけなかったり、スタッフさんの人数も最小限にしたり、リハーサル日数も限られていたので、今できる100%の演出で、私自身の歌とパフォーマンスで魅せる、今できる形での“DO MY BEST”で挑ませて頂きました。

──そのなかでも、今回倖田さんがもっともこだわった部分は?

倖田來未:「Dance in The Rain」からの「Moon Crying」ですね。「Dance in The Rain」は雨の中でも踊り続ける、辛い状況の中でも私は諦めないというメッセージ性のある楽曲で、これを火花の雨の中で歌うという部分にこだわりました。そして、この次の「Moon Crying」という楽曲で、強いと自分では思っている部分もあるけれど、ときには弱いところもあるというのを歌で届ける。迫力のある演出、その次にボーカルで魅せるというこの2曲の流れにはこだわりました。


──では、この2曲に関してもう少し詳しく聞いていきます。「Dance in The Rain」は5年前、びしょ濡れになりながらエアリアルパフォーマンスを行なった曲で、今回はその雨がまさかの火花になっていたので、あそこは驚愕でした。

倖田來未:「Dance in The Rain」は、あんな風に歌いたい、こんな演出を入れたいと色々演出が浮かぶ楽曲で、今回は火花を雨に見立ててやりたいと思ってチャレンジしました。

──実際にやってみてどうでしたか? 熱くはないんですか?

倖田來未:これが熱いんですよ(笑)。本番でやってみたらあの火花が想像以上に熱くて。衣装もベロア生地だったので少し焦げたり、傘も穴が空いてしまうくらい火花が飛んでくるので「熱い!」と思いながら歌っている日も、実はありました(笑)。でも、あそこは倖田來未らしい演出になったのではないかと思います。

──こんな状況下でも、ショーアップしたライブ演出で魅せてくれるところは倖田さんならではだなと思いました。そこからの「Moon Crying」。これは恋愛にも、倖田さんとファンとの絆ソングにもとれる歌ですが。このとき溢れていた涙の理由は?

倖田來未:この曲は、私が音楽を辞めようと思ったタイミングに出会った曲なんです。それでも「やっぱり歌い続けたい」と思って、私のその想いをファンの方に向けて書いた楽曲でもあるので、この想いが少しでも伝わっていれば嬉しいなと思いながら歌ってるんですけど。歌いながらファンの皆さんを見ていると、一緒に歌ってくれてたり優しい眼差しで私を見てくれていたりするので、それに感動して涙が溢れてくるんです。

──毎回ファンに泣かされてる訳ですね。

倖田來未:ええ。私が悲しい思いをしている時は一緒に悲しんでくれて、笑顔でいると一緒に笑ってくれて。ファンの皆さんと私は本当に“以心伝心”していると気付いた楽曲でもあるんです。

──そんな倖田さんにつられてファンも涙するという感動的なシーンもありながら、「puff」のランニングマシーンの演出は、可愛いルックスも含め大好評でした。「腹筋痛いわ」と曲中におっしゃってましたけど、実際にやりながら歌うとどんな感じなんですか?

倖田來未:いやー、あれは本当にキツくて(笑)。普段基本的に仕事がない日は家事を終えてゴロゴロしながら韓国ドラマを観て、ゲームしたりと運動とは無縁な私なので、走りながら歌って踊ってというこの曲は、横腹も痛くなるくらいすごくキツかったです(笑)。


──あの「痛いわ」は本心から出た言葉だったんですね。

倖田來未:そうです! でも「この演出好きです」とファンの方もいって下さっているので、楽しみながら頑張れました。

──そういうファンの方々の存在、パワーなしでは今回のツアーの成功もあり得なかったと思います。ソーシャルディスタンスを保ちながら、声も出せずマスク姿で応援するファンが会場に来てくれたこと。また、会場に来られなくても配信を通してエールを送ってくれたファンがいてくれたこと。改めてファンの存在について思ったこと、感じたことがあったら教えてもらえますか?

倖田來未:ファンは友達、家族みたいな存在です。本当にいい人ばかりで、嬉しいことがあると一緒に喜んで下さったり、悲しいことあると励ましてくれたり。今回ソーシャルディスタンスで隣の座席は1席以上開けてたんですけど。その空いた座席に過去のペンライトを自宅から持ってきて置いて下さったり、ペンライトを何本も買って全力で振り回して下さってた方もいらっしゃったり。配信を見ている方はコメントでずっとメッセージを送って下さってたんですね。そんななかで「walk」という曲が始まると、この曲は最後に“一つだから”と歌う歌詞があるんですけど。そこで会場にいる方は一斉にペンライトを掲げて、配信を見ている方は一斉にハートマークを送ってくれてたんです。“どんな形であれ私たちは繋がっている”、そういうことを改めて感じたツアーでした。

──ではこのツアーを通して、倖田さんがファンに一番届けたかったメッセージとは?

倖田來未:ライブの日までのワクワクと、ライブが終わってからの余韻も楽しんで頂けるようなライブになるといいなという思いで臨んでいたので、一人でも多くの方がもし現実に辛いことや苦しいことがあったなら、少しでもそれを忘れられる時間になって「楽しかった」、「行ってよかった」、「観てよかった」と思えるライブになっていたら嬉しいです。


──このライブの終演後に映し出された「知らない、と言われるより嫌われていたい」という言葉は、この20年間の倖田來未のアティテュードが痛いほど刻みこまれたメッセージだと感じました。このフレーズに込めた思いを聞かせてもらえますか?

倖田來未:この20年間の倖田來未を振り返ったとき、ピンチをチャンスに変えてきたのが「知らない、と言われるより嫌われていたい」だったんですよ。倖田來未を知らない人が多いなかで「知って欲しい」と考えたとき。そのためには人とは違うことをして群を抜かなければいけない、こっちに目を向けて貰わないと知ってもらえないし、その奥にある私の音楽さえ聴いてもらえないというのがあったので、自分自身いつも度肝を抜くような演出や、人を「あっ!」といわせるようなファッション、ミュージックビデオを作ってきたんですね。

──だからこそ、倖田來未は常に攻めなスタンスであり続けなきゃいけなかった訳ですね。やってきた音楽も、ポップスもありますけど、けして万人ウケするだけの音楽ではないですし。

倖田來未:そうなんです。だから、倖田來未の20年を表現する言葉として「知らない、と言われるより嫌われていたい」という思いで闘って、歩んできていたなとすごく思ったんですよ。嫌われてでも自分の信念を貫き通すという思い。それが、倖田來未の20年歩んできたテーマだったと思います。


──最後にひとつ。20年目を迎えて「WALK」からさらに「RUN」しようというパワーさえ感じる倖田さん。このあと、倖田來未はどこに向かっていこうと考えているのか。2021年の抱負も含めて、ファンにメッセージをお願いします。

倖田來未:私、38歳になったんですが、年々ライブの内容的にはハードになってきてまして(笑)。いつまでこの感じでやっていくのかな? と、スタッフさんと話すこともあるですけど、まだまだ倖田來未は動けるので答えは出なくて(笑)。なので、走れる限りは走り続けたいと思います! 倖田來未、20 年やってきて色々経験もしてきているので、私を信じてついてきて下されば私が皆さんを導いくという気持ちでいますので、ぜひ皆さん、私を追いかけてきて頂けると嬉しいです! 一緒に走り続けましょう!

文◎東條祥恵
写真◎田中聖太郎・渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)

アルバム詳細

発売日:2020年12月2日(水)
タイトル:『angeL × monsteR [MY NAME IS...]』
購入リンク:https://avex.lnk.to/kkangelmonster

収録内容
■angeL [MY NAME IS...]
01. Alarm
02. I’m Lovin’
03. for...
04. RUN
05. puff
06. Lucky Star

■monsteR [MY NAME IS...]
01. Killer monster
02. WORK IT!
03. FliCky
04. No One
05.Sing the truth
06. XXKK

DVD(Blu-ray)
puff (Music Video)
XXKK (Music Video)
Killer MonsteR (Music Video)
RUN (Music Video)

■『angeL + monsteR [MY NAME IS...]』
形態:Mini AL(CD2枚組)+DVD
品番:RZCD-77196~7/B
価格:6,600円(税込)
・Disc−1[CD] angeL [MY NAME IS...] 全6曲収録
・Disc−2[CD] monsteR [MY NAME IS...] 全6曲収録
・Disc−3[DVD] MV(4作品)


■『angeL [MY NAME IS...]』
形態:Mini AL
品番:RZCD-77198
価格:2,750円(税込)
・CD:全6曲収録


■『monsteR [MY NAME IS...]』
形態:Mini AL
品番:RZCD-77199
価格:2,750円(税込)
・CD:全6曲収録


■『angeL × monsteR [MY NAME IS...]』 ※ファンクラブ限定盤
形態:Mini AL(CD2枚組)+DVD(2枚組)
品番:RZC1-77200~1/B~C
価格:11,000円(税込)
・Disc−1[CD] angeL [MY NAME IS...] 全6曲収録
・Disc−2[CD] monsteR [MY NAME IS...] 全6曲収録
・Disc−3[DVD] MV(4作品)
・Disc−4[DVD] メイキング映像
オリジナル写真集、特殊パッケージ

■『angeL × monsteR [MY NAME IS...]』 ※ファンクラブ限定盤
形態:Mini AL(CD2枚組)+Blu-ray
品番:RZC1-77202~3/B
価格:11,000円(税込)
・Disc−1[CD] angeL [MY NAME IS...] 全6曲収録
・Disc−2[CD] monsteR [MY NAME IS...] 全6曲収録
・Disc−3[Blu-ray] MV(4作品)、メイキング映像
オリジナル写真集、特殊パッケージ

◆倖田來未 オフィシャルサイト
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