【ライブレポート】<貴ちゃんナイト>でLOW IQ 01、大木伸夫、noodlesが共演「あ・ば・れ・ろー!!」

ポスト

ラジオパーソナリティ中村貴子によるイベント<y’s presents「貴ちゃんナイト vol.12」>が2月8日(土)、東京・下北沢 CLUB251にて開催された。同公演のオリジナルレポートをお届けしたい。

◆<貴ちゃんナイト vol.12> 画像

<貴ちゃんナイト>は中村貴子のリスナーが集うDJイベントとして岡山にて2011年に第1回目をスタート、第2回目から中村貴子本人が受け継いだイベントである。“大好きなミュージシャンを迎えて、いちオーディエンスとして見たい組み合わせにこだわる”を主旨として、“vol.12”となる今回はLOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS、大木伸夫(ACIDMAN)、noodlesの3組が出演した。これまでもジャンルを問わない組み合わせで行われてきたイベントではあるが、特に今回の顔ぶれは秀逸。各アーティストのファンや中村貴子のリスナーは、おもちゃ箱のような組み合わせに心を躍らせていたはずだ。




開場したフロアではLOW IQ 01が選曲したSEと共に、中村貴子が来場者を迎えた。チケットはソールドアウト。オーディエンスが一気に会場を埋め尽くし、ステージに寄せる期待が高揚感となって広がっていた。

トップバッターはnoodlesだ。中村貴子とは、the pillowsの山中さわおがDELICIOUS LABELを設立した当時からの付き合いで、中村貴子のリスナーにとっても満を持しての登場である。yoko(Vo&G)とikuno(B)の2人体制になっての初作品『I’m not chic』を2019年にリリースし、オルタナティヴロックなバンドサウンドをより強固に昇華させた。



ライブはタイトなドラムが牽引する最新曲「I’ll be a sensitive band tomorrow」でスタート。緩やかに身体中へ染み込んでいくバンドサウンドと、魔法をかけたようなメロディが織り成す世界観は唯一無二だ。2020年初ライヴだというが不安定さは一切ない。2012年リリースの『Funtime』から「warning you」を奏でる頃には、既に会場にいる全ての人がnoodlesの世界観に魅了されていた。

「ラジオで話す貴ちゃんの声が好き。音楽をやっていなかったらラジオパーソナリティになりたかった」とyokoが楽しそうに語った。気づけば、今はなきサンフランシスコのスタジオを思い歌われた「965」まで全9曲を披露。noodlesの演奏に合わせて各アーティストのファンがリズムを取る光景は、とても温かかった。


続いては大木伸夫の登場だ。結成20年を超えたACIDMANのボーカル&ギターが、この夜はアコースティック弾き語りスタイルでのソロ演奏。椅子へ腰を下ろし、ギターから奏でられたのは「FREE STAR」だった。歌声とギターだけというミニマムなスタイルが故、情景を想起させる言葉たちが深く突き刺さる。その感覚がとても心地よい。

「バンドとバンドの間に挟まれてる寂しさがある」とMCで会場の笑いを誘いながら、「赤橙」ではボサノヴァ調アレンジをまとわせ、北野武作詞・玉置浩二作曲の「嘲笑」をカバー。“名曲を歌い繋いでいきたい”という大木の想いと、星へ馳せる想いが重なり合った。そのまま、「自分のために歌いたい」と「世界が終わる夜」へ。叙情性を増幅させたイントロが何処までも広がっていく夜空を描き、“また此処で笑い合おう”という言葉をライヴハウスで聴けたことが何よりも嬉しかった。



ラストは椅子から立ち、ハンドクラップに包まれて「Your Song」を披露。「下北沢 CLUB251のステージはインディーズ以来、19年振り」というこの夜。アコースティックスタイルで観客の心を掴みきったステージだった。

トリはLOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSだ。SEが鳴り響くと一気に前方へ観客が詰め寄り、イッチャンから「あ・ば・れ・ろー!!」の一声。ライブは「Delusions of Grandeur」からスタートした。会場の空気が一変し、フロアの後方まで拳が上がった「Hangover Weekend」ではフルカワユタカが超絶ギターリフで観客をまくし立てる。




最新アルバム『TWENTY ONE』収録曲「Every Little Thing」にてフロアの勢いがさらに増し、<貴ちゃんナイト>で過去に感じたことのない熱狂を生み出した。バンドサウンドに乗せて届けられるエモーショナルなメロディだけが、この熱狂を巻き起こすことができる。

また、骨折中だったイッチャンだが用意されている椅子に座ることはない。通常通り立ったままでステージに挑む気迫に、凄まじいほどの熱が宿る。そんな姿に「今日が(LOW IQ 01を観るのが)初めて」という観客も踊ったり跳ねたりしたくなってしまうようだ。



一転、「So Easy」では極上のメロディに包まれ、その後も聴かせる名曲の数々を披露。MCでのイッチャンの破壊力は凄まじく、気づけばその笑いに完全に引き込まれてしまった。

ラストの「WHAT'S BORDERLESS?」まで熱を帯びたまま途切れることなく、イベントのトリを圧巻のステージで飾った。




鳴り止まない拍手に迎えられてアンコールへ。LOW IQ 01、yoko、フルカワユタカの3人がステージに登場、THE BLUE HEARTSの「青空」がセッションカバーされる。続いて、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSに大木伸夫が加わり、LOW IQ 01 TRIBUTE盤『HELLO! LOW IQ 01』にACIDMANが参加した「DISTANCE」へ。プレミアムなセッションの後は、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSによる「T.O.A.S.T」で、笑顔の大円団を迎えた。

この3アーティストを組み合わせられた奇跡に、会場から惜しみない拍手が向けられた。ラジオパーソナリティという音楽の媒介者=中村貴子だからこそ成し得た対バンに、リスナーは「音楽を好きでいて良かった」と心から思えたはずだ。

取材・文◎辻 敦志
撮影◎俵 和彦

■y's presents<貴ちゃんナイト vol.12>

2020年2月8日(土) 下北沢 CLUB 251
open17:30 / start18:00
▼出演者
・LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS
・大木伸夫 (ACIDMAN)
・noodles
MC:中村貴子
▼チケット

この記事をポスト

この記事の関連情報