【インタビュー】WANDS、復活第一弾シングルに黄金期の風格「新曲が聴ける感動を共有したい」
1990年代の音楽シーンを牽引したWANDSは、羊の皮をかぶった狼のようなロックバンドだった。心に響くキャッチーなメロディーと、誰もが好きになってしまいそうな耳障りの良い歌声でミリオンセラーを連発していたが、その実、LAサウンドを礎にした鉄壁なアレンジメントによってポップフィーリングを創出するという、野心的な手法が採られていた。カリカリに研ぎ澄まされた最新鋭なサウンドは、ハードながらも繊細なトーンで構築され、そのサウンドを紡ぐメンバーの演奏スキルも世界レベルに達するものだった。圧倒的な表現力をもって1990年代ヒットソングのセオリーを自ら描き出し、その高いクリエイティビティは、アーティストのエゴをまるで感じさせない領域にまで昇華していた。
◆WANDS 画像
そんな伝説のWANDSの電撃的な再始動がアナウンスされたのが2019年11月、メンバーは柴崎浩(G)と木村真也(Key)に加え、そこには上原大史という新たなボーカリストが起用されていた。かつてのWANDSの魅力を全くスポイルさせないその完成度は、第5期にして黄金期WANDSにそのまま重ね合わせてしまうような刺激的な出で立ちとなっていた。
◆ ◆ ◆
■どんな曲を歌っていても
■“カッコいい” “渋い”というルール
──WANDSの再始動、驚きました。そして何より上原さんのボーカルが衝撃的で。
柴崎:新たに制作した新曲を歌っている上原の歌を聴いたとき、“WANDSを残したいな”という思いがすごく強くなりました。僕自身が“WANDSの新曲を聴ける感動”みたいなものを感じたんです。
──まさにそれ、ですね。
柴崎:それを他の人と共有したいなっていう気持ちがすごく大きかったです。
▲上原大史 (Vo) |
──ええ。
木村:それに尽きるんじゃないですかね。
──改めて、上原大史のWANDS加入への経緯をお聞きしたいのですが。
上原:1年くらい前に、長戸大幸(プロデューサー)さんとエレベーターですれ違ったときに「WANDSやろうよ」みたいな、軽い感じで。長戸さんにはいろんなプロジェクトでお世話になっていたんです。
──長戸大幸は、“上原大史はWANDSだ”って思ったんでしょうか。
上原:わからないです(笑)。最初冗談だと思ってましたから信じてなかったんですけど、ここ半年ほどで急に話が進んでメンバーと会うことになり、大島さんと柴崎さんと実際に会って“あ、ほんとにやるんだ”って思いました。それが第四期になるんですけど。
──いきなり現実味を帯びてきたわけですね。
上原:嬉しい気持ちよりも、不安のほうが(笑)。
──責任重すぎる、みたいな?
上原:そうですそうです、だってWANDSですから。みんなが知ってる、あの伝説のバンドと言われてるレジェンドのバンドで、僕も子どもの頃に聴いていたバンドのボーカルを“俺がやんの?” “無理でしょ”って感じでした。
柴崎:オリジナルメンバーで再現するのならそれは懐かしんでもらえると思いますけど、それが難しいのであればWANDSをやることは諦めたほうがいいのかと思ったし、WANDSが過去に作った曲を好きでいてくれている人がいる以上、それを残すことに価値があるんじゃないかとか、いろんな葛藤もあったんです。けど、新しい曲を上原が歌っているのを聴いたときに、やりたい気持ちがより強くなりました。最終的に、WANDSという名前を残して新しい楽曲もどんどんやっていきたいと思いました。
▲復活第一弾シングル「真っ赤なLip」 |
上原:「WANDSだ!」って言われてスタートしているので、WANDSの新曲って感じです。“WANDSっていうのはカッコいいもの”と思っていたので、どんなポップな曲でもどんな曲を歌っていても“カッコいい” “渋い”というルールがある。そう思って“カッコよく歌いたい”って思いました。
──「これがWANDSだ」というポイントって何なんでしょう。
柴崎:……何でしょうね。明確なものはないんですけど、上原の歌は形成する一部としてWANDSっぽいとは思います。歌のテイストっていうのはWANDSを形成する上ではすごく大きいです。たまたま上原は、上杉昇が歌った風味・テイストを持ってて、すごくいけると思ったけど、全然違うテイストだったらWANDSをやるっていう気持ち、そういう勇気を持てたかどうかはわからないですね。でも、当時からギターの演奏に関しては何かを意識することもなく“自分がカッコいい”と思ったことをやってきただけなので、僕の演奏も要素を形成する一部ではあるよねって思ったり。
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