【速レポ】<中津川ソーラー>THE BACK HORN、「太陽光発電による素晴らしい音」
2017年以来、2度目の出演となるTHE BACK HORN。あのときは「冬のミルク」や「グローリア」を演り、何より岡峰光舟(B)の髪がびっくりするほど短かった。そしてREDEMPTION STAGEのアクトだったのが、今回は最大規模のREVOLUTION STAGEだ。前後はNothing's Carved In Stoneとストレイテナーに挟まれ、トリにACIDMANが控えるなど、盟友だらけのブッキング。しかしそれは、この世代がシーンに築いたものの大きさを証明する事実でもある。
◆THE BACK HORN 画像
ライブは「声」よりスタート。まず感じたのは、いつもと音が違うということ。太陽光発電による出音は、普段耳にするものより膨大な情報量を帯びている。菅波栄純(G)の初号器が湛える枯れ感、岡峰光舟の6号器が放つバキバキの元気さが際立っていて、もうそれだけでこちらのテンションはブチ上がり。続いて、ギラつく太陽のおかげで火照った頬を撫でるように吹き抜ける風に乗せて「コバルトブルー」を投下。歪んだ爆音なのに胸の奥がぎゅっと締めつけられ、涙が滲んでくる。そんな切ないメロディをロックへ昇華させることこそ、彼らが20年以上磨きあげてきた持ち味なのだ。
「ほんとにステキな天気、太陽光発電による素晴らしい音、そしてみんなの音楽を楽しむ気持ちで、最高の<THE SOLAR BUDOKAN>2日目にしていきたいと思います! みんなの気持ち、たくさんステージにぶつけて下さい!」という松田晋二(Dr)のMCを経て、鳴り響いたのは8ビート。ジャム的イントロから「コワレモノ」へとなだれ込む。人間の業を吐き出す山田将司(Vo)は、顔をぐじゃぐじゃに歪めながら、積み重ねて、とにかく積み重ねてきた過去の全部を今に解放する。それは毎日を越えるほどに深く、重く、デカくなる。だから彼の歌はいつだってフレッシュだし、それこそが生きていくということなのだと思う。
曲間の静寂……それを切り裂く同期サウンドが流れると、菅波栄純が目を閉じ、拳を掲げた。直後、和旋律が響き渡り、「心臓が止まるまでは」が始まる。“今もあの頃のまま イキルサイノウなどないけどさ/だけどさ 自分の魂ぐらいはてめえで救ってやるさ”。心臓が動くということ、時計が秒を刻むこと、曲が拍を進めること、それらすべてをつなげるような歌に、会場は地鳴りのような盛り上がり。
お次はイントロの和音ベースが鮮烈な「美しい名前」へ。冷たくもやさしいメロディを染み渡らせると、再び松田が語り出す。
「今日のメンツは同世代がたくさんいて。そんななかに呼んでいただいてありがたいですね。ほかにもこの中津川ならではのブッキング、ステキだと思います」
そして「この天気にぴったりだな」(山田)と「太陽の花」へ。ダンスミュージック的手法を採り入れ始めたここ数年の曲のなかでも、ライブをドッと沸かせるパワー、心の底のタガを外すような力が図抜けたナンバーだ。その流れのまま「シンフォニア」へ突入すると、山田はステージ左右の柵へ身をねじ込み、できる限り観客の近くで声を届けようとする。ラストはやはり「刃」。大地を揺るがすような大合唱をもって、疾風怒濤のアクトを締めくくった。最後に「また生きて会おうぜ!」と山田は言った。
取材・文◎秋摩竜太郎
撮影◎上山陽介
【THE BACK HORN セットリスト】
02. コバルトブルー
03. コワレモノ
04. 心臓が止まるまでは
05. 美しい名前
06. 太陽の花
07. シンフォニア
08. 刃
■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>
9月29日(日) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ
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