【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.64「Temple Ballsインタビュー:いい曲がぎっしり詰まったヘビーロックアルバム完成」
Photo by Ville Juurikkala
今月3月にセカンドアルバム『Untamed』を発売したフィンランドの若手ハードロックバンドTemple Ballsのアルバムリリースライブがフィンランドでのアルバム発売日にヘルシンキのThe Circusでありました。そのライブの前にボーカルのアルデ、ギターのニコ、ベースのイミがインタビューに答えてくれました。
──あなた達のセカンドアルバム『Untamed』が発売になったところですが、今の気分は?
アルデ:ちょっと緊張してるよ。
ニコ:その通り。新しい曲をライブで演奏するのは緊張する。
イミ:いいアルバムだし、うけもいいみたいで大丈夫だ。
ニコ:今日発売になったばかりだけど、今までのとことってもいい反応だ。
アルデ:日本は2日早く発売になったよ。
──あなた達のデビューアルバムはタイでレコーディングされたのに対して、このセカンドアルバムはフィンランド北部のStudio 57 でレコーディングされましたが、温度差と太陽の日差し以外に大きな違いはなんでしたか?
ニコ:フリータイムの過ごし方が違ったな。サウナのときとか、自分で水を沸かさないといけなかった。タイでは水があたたかかったから自分で沸かす必要はなかった。
イミ:スタジオの設備は同じ感じだったな。どちらのスタジオもよかったよ。ただ周りの風景がもちろん違ったので、受けるインスピレーションは違ったな。
ニコ:フィンランドだと暗くて陰鬱なヘヴィーになるな(笑)。
──じゃ、その暗さはこのニューアルバムに反映してますか?
アルデ:あぁ、もちろん少しは反映してると思うよ。
ニコ:もちろん違うポイントからみてね。
──このニューアルバムのプロデューサーはスウェーデンのバンドH.E.A.Tのヨナ・ティーですが、以前から知り合いだったのですか?
アルデ:俺たちのファーストアルバムでヨナは何曲かキーボード弾いてて、バッキングボーカルもやってるんだ。それで知り合ったんだ。
イミ:このセカンドアルバムではもうちょっと大きい役割にしてみたんだ。
──セカンドアルバムのエンジニアがSonata Arcticaのパシ・カウッピネンでしたが、彼とも知り合いだったのですか?彼がこのスタジオのオーナーでもあるんですよね?
アルデ:そうなんだ。オーナーの一人で、とってもいい奴だよ。
イミ:仕事も素晴らしいし。ファーストアルバムに収録されている「Hell and Feelin' Fine」もこのスタジオでレコーディングしたんだ。
──このセカンドアルバムのレコーディングで一番楽しかったことは?
アルデ:みんなで一緒に過ごして2階で寝泊まりしたことかな。
──スタジオで寝泊まりもできるのですか?
アルデ:あぁ、そうなんだ。2階で寝泊まりできるんだ。2回行って、そこに泊ってたよ。
イミ:サウナじゃ連続で水かけてじゅわじゅわ蒸気だしてメタルを爆音で聴いて、ソーセージ焼いて食べたり。
ニコ:それからエクストリームなダーツをして楽しんだ。的にひもを付けて揺らしたり、的を空中に投げて狙ったりとか、自分達で新しいルールを考え出して5種類ぐらいのダーツを楽しんだよ(笑)。
──ニコは南部のヘルシンキ在住で他のメンバーはフィンランド北部のオウル在住ですが、二コはどのくらい頻繁にオウルに通っているのですか?
ニコ:少なくても1か月に1回、1週間ぐらい。必要に応じて頻繁に行くこともあれば少ないこともある。
イミ:アルバム制作の時はもっときてたな。
ニコ:3回ぐらい行くこともあったな。だいたいは電車で行くんだけど、2度ほど飛行機で行ったこともあるよ。電車だと片道7時間。飛行機なら1時間だ。
──以前曲作りにはメンバーみな参加するといってましたが、それは今も変わってませんか?
アルデ:あぁ、今もそうだよ。
ニコ:みんな意見を出し合い、それぞれを助け合いながら曲ができてくるんだ。よくイミと一緒にやることがある。場所は離れててもWhatsAppとかで、こんなのはどうだい?みたいに連絡とりあったりしてね。
イミ:曲が出来上がったらメンバーみんなのアイデアや意見が反映されてるってことだ。
──ヨナ・ティーも参加してるのがあるんですよね?
アルデ:あぁ。3曲に参加している。
──じゃ新しい曲は簡単に生まれましたか?
アルデ:いや。簡単ではなかったな。
ニコ:何度もデモ・セッションをしてやり直したよ。今回捨てた曲もあるけど、もしかしたらそのうち日の目を見るってこともありあえるかもしれないけど。いろんなタイプの曲があったけど最終的にアルバム全体を通してぴったりくる曲にした。いろんなタイプの曲がつまったものではなく1枚のアルバムとしてまとまった曲を選んだんだ。
──曲はできていたけどデビューアルバムの時に収録されなかった曲とかはなかったのですか?
アルデ:完成してる曲はなかったな。
イミ:例えば「Pauline」のリフは前作の時にできていたけど、まだ初期の段階でデビューアルバムに収録まではいかなかった。
アルデ:今回練習キャンパスの通路でジャムセッションして出来上がった。それに歌詞を付けて曲ができあがったんだ。
──このアルバムにはプライベートなことから生まれた曲はありますか?
アルデ:多からず少なからずすべての曲にいえるな。一番プライベートな曲は「Ball And Chain」だな。それから「Pauline」。「Infinity」もそうだな。
ニコ:作曲面にしても、例えばその曲を作ったときの状況とかがサウンドに反映してたりもあるよ。なのでプライベートは曲に影響を与えると思うな。
──デビューアルバムとこのセカンドアルバムで大きな違いは何ですか?
アルデ:サウンド的に前作よりヘビーになってる。歌詞もそうだな。それからメロディアスにもなってると思う。
イミ:どちらかというとロックよりヘビー色の方が強く出てるかもしれないな。ヘビーロックだ!
ニコ:ヘビーだけどロック!特定のジャンルに当てはめるのが難しければ、俺たちだけのジャンルを作ったらどうかな。
アルデ:そうだな。テンプル・ボールズってジャンル。テンプル・ロックってのはどうだい。
──2017年にLoud & Matal Mania で来日しましたが、ステージから見て観客の印象はどうでしたか?
アルデ:自然にワイルドでまさに俺たちのニューアルバムのタイトル『Untamed』(飼い慣らされていない、野生の、自然のままの、抑制されていない,自由ななどの意味)だったよ。
ニコ:あぁ、その通り。俺たちのアルバムタイトル通りだった(笑)。礼儀正しく素晴らしかった。盛り上がっててもセキュリティの問題もなく、お酒の力に頼らず、純粋に音楽を楽しむって感じがした。観客もそうだったと思うけど、演奏する側からしてもいい気分だったな。
アルデ:ステージに立つ側として、ビール飲みながらでなくても観客がついてくるってとても意味があることに感じたよ。
ニコ:もちろんビール飲みながら楽しんでくれることが悪いって言ってるわけじゃないけどね。
アルデ:あぁ、もちろんだ。飲みたきゃ飲んでいい(笑)。
ニコ:とにかく満点の観客だったよ。
イミ:10点満点に+ もつける。
ニコ:また日本にいけることを願ってるよ。
──では来日で一番印象に残ったことはなんですか?
ニコ:プレゼントもらったり、街歩いてて俺たちのこと知ってる人がいたり、箸や文字、でも何といってもファンが素晴らしかった。ライブができてファンが素晴らしかった!それが一番だ。信じられない気分だったよ。そのあとフィンランドに帰ってきたらなんかちょっと寂しかったな。
アルデ:まずやっぱりライブと素晴らしい観客。それからファンに会えたこと。しかもたくさんファンがいてくれてちょっと驚いたよ。それから高尾山に登ったことはすごくよかった。いい体験ができた。それから新宿もよかったな。とにかく他にもいっぱいあったな。
イミ:北に住む俺たちから見ると、大きな場所で、これまでに見たことのない高層ビルがすごかった。
ニコ:ホテルでさえ17階もあったし。高層ビルとライト。ホテルのエレバーターがガラスの壁で外がみえたり。
──高尾山に登ったアルデから何か一言ありますか?
アルデ:もしまだ登ったことがなければお勧めするよ。痛みや二日酔いがふっとぶ(笑)。素晴らしい体験ができた。
──もしまた日本に行くことがあれば行ってみたいとことかありますか?
ニコ:聞いた話で、興味深かったのが日本のカラオケルーム。プライベートな部屋でドリンクも好きなだけオーダーできるってきいた。そこに行ってみたいな。
アルデ:何で前回行かなかったんだ。俺も行ってみたいな。
イミ:俺は東京ドーム!そこで演奏出来たら最高だよ。
アルデ:そりゃ素晴らしいよ。
ニコ:次の目標はそれにしよう(全員爆笑)。もちろんLoud & Metal Maniaみたいなライブもすばらしいよ。
イミ:日本のファンのみんなにお願いだ。地元のプロモーターに俺たちの来日をリクエストしてくれたらうれしいな。
アルデ:ラジオにもリクエストよろしく。また来日できたら最高だ。
──ではあなた達のニューアルバム『Untamed』を買わなきゃならない理由を3つ挙げてください。
ニコ:まずいいアルバムだから。とってもいいヘビーロックアルバム!
アルデ:アルバム1枚の中にいい曲がぎっしり詰まってるから。
イミ:このアルバムが良くて売れれば、次のアルバムも作りやすくなる(笑)。
では最後にBARKSの読者にメッセージをもらえますか?
この日ヘルシンキのThe Circusにて、Rockin’Scandinavia 2019 が開催され、The Night Flight Orchestra、One Desire、とTemple Ballsが出演。トップバッターだったTemple Ballsですが、パワーあふれるエネルギッシュなライブを披露してくれました。
再来日実現するといいですね。
文と写真:Hiromi Usenius
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