【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.100「Temple Ballsインタビュー:なんとLOUDNESSからインスパイア受けた曲が」

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2017年デビューアルバム『Traded Dreams』を発売した年にLOUD & METAL MANIA 2017にて初来日!その後2019年にセカンドアルバム『Untamed』をリリースしたフィンランドのメロディアス・ハード・ロックバンドTemple Ballsから今年4月3作目となるスタジオアルバム『Pyromide』がリリースになった!バンドの本拠地はフィンランド北部のオウルなもののヘルシンキ在住のヴォーカルのアルデがヘルシンキ市内で取材に応じてくれました。


──3作目となるサードアルバム『Pyromide』がこの春発売になりましたが、アルバムタイトルを聞いた時Google探索で Pyromide を探索したけど出てこなかったんですが、そのあとであなたたちのベーシストのイミが作り上げたタイトルだと聞いたのですが、どうやってこのタイトルに決まったのですか?

アルデ:フィンランド語と英語の単語で遊んでみるのが好きなイミがピラミッドとダイナマイトを取り出してきて、合体させて作り上げた単語を繰り返し始め出来上がった単語があって、それを聴いたプロデューサーのヨナ・ティー(H.E.A.T.)が、それアルバムのタイトルにぴったりだ。キープしとけってことで、特にほかのタイトルを考えることなく最終的にそれがアルバムタイトルに決まったんだ。

──このサードアルバムは前作と同じスタジオで同じプロデューサーH.E.A.T.のヨナ・ティーを迎えてレコーディングされていますが、これはもうすでに前作をレコーディングした時点で、よし次もこれでいこう!と思っていたのですか?

アルデ:セカンドアルバム『Untamed』のレコーディングが終わった段階で決めてすぐ聞いてみた。『Untamed』のレコーディングが終わり、ミキシングが始まった時点ですぐ次のアルバムの曲のデモを作り始めてその時に。慣れたスタジオで寝泊まりもできるしヨナともとてもうまくいってお互いよい友達にもなったし。

──レコーディングは去年の夏でしたが、その時特にスウェーデンは新型コロナの状況がフィンランドよりかなり深刻だったと思うのですが、スウェーデンからヨナが来ることに問題なかったのですか?

アルデ:入国するときに特別の許可がいったんだ。そのあとはずっとスタジオにこもっていたから同時に隔離ができたことになったんだ。テラスで食事したけどスタジオにこもってたよ。

──レコーディングと自主隔離が同時にできたってことですね。

アルデ:あぁ、そういうことになる。途中イリは体調崩して検査にいったんだ。週末オウルに帰る用事があって、そのあとスタジオに戻ってきてから2日ほどして偶然体調崩してね。ついにきたか!って感じで皆そのあと2週間追加でスタジオで隔離になるかと思ったよ。幸いにただの風邪だった。3週間半スタジオにこもってたけど、俺も途中1度ちょっと風邪気味になったけど幸い1日でよくなった。イリもすぐに治ったし。

──このサードアルバムの曲は簡単にできましたか?

アルデ:できたのとそうでなかった曲もあるけど最終的には簡単にできたと思うな。メンバーそれぞれ違うとは思うけど自分にとってはこれまでの2作に比べたら簡単にできたと思う。ただ他のメンバーは違う意見かもしれないけど(笑)
歌詞は結構出来上がってきていて、デモを作る段階でそれほど変える必要もなかった。イミとニコは同じようにはいかなかったみたいだ。う~ん、わからないけど、3作目のプレッシャーってのがあったかもしれない。いいアルバムを作ってみせなきゃならないっていうような。歌詞と歌詞のメロディは大体できてて、イミとニコの手助けもあったし「Unholy Night」は最初っから最後までニコが主に作った。それからもちろんヨナも大きくかかわっていたよ。

──このアルバムには1曲バラード曲「If Only I Could」が収録されていますね。個人的にハードロックアルバムに収録されてるバラード曲ってすごく好きなんですよ。何曲もじゃなくて1曲だけバラードってのが。

アルデ:だんだんと俺たちのサウンドがヘヴィーになってきたから、バランスをとるってのにもバラードを入れたのはよかったと思う。収録曲が全部同じようなのばかりだと聴いてる側も飽きてくるかもしれないし、お前ら他にできないのかって思われるかもしれないし(笑)

──この曲を聞いた時、ステージにあなたとヨナの2人がいて、この曲が始まり途中で他のメンバーがステージに上がってきて演奏という光景が目に浮かんだんですが、、、

アルデ:ライブでそういうことができたらすごくいいだろうなと思う。ヨナであったり他のキーボードプレイヤーだったりでも。

──この曲のデモヴァージョンではArionのメンバーがキーボード弾いたという話もみかけたのですが?

アルデ:あぁ、そうなんだ。デモではArionのアルットゥ・ヴァウフコネンがキーボード弾いたんだ。ニコがキーボードのアイデアを思いついたんだけど自分では思うように弾けなかったからアルットゥが弾いてくれた。

──最終的にレコーディングではヨナが弾いたんですよね?

アルデ:そうなんだ。アルットゥが都合で来れなかったのか、ヨナが自分で弾くよってそうなったのか詳しくは思い出せないんだけど。

──秋にH.E.A.T.と一緒にツアーが予定されていますよね。ツアーが実行できたらその時にステージで共演できたらいいですね。

アルデ:できたら素晴らしいよ。ステージにキーボードが置かれてるし。あとはタイムテーブルとか技術的な面で可能かどうかわからないけど、共演が実現できたら素晴らしいな。まずその前にどの曲がライブでプレイするのにいいかリハーサルを何度かしてみる必要があるけど。

──ソーシャルメディアでセットリストのリクエストをきいてましたよね?

アルデ:どんな曲をライブで聴きたいかきいてみたんだ。みんなが聴きたい曲を取りいれたいからね。中に多数のリクエストがあった曲があるからそういう曲は入れるよう考慮しようと思う。ただ曲によってはライブでやるにはどうしてもうまくいかない曲もこれまでにもあって、そういう場合は別の曲を入れたりして調整している。

──1曲「Bad Bad Bad」はヨナ・ティー、エリック・グロンウォール、スウェーデンのソングライターフレデリック・トマンダーとの共作になっていますが、なぜこの曲には彼らが参加しているのですが?

アルデ: 偶然そうなったんだ。以前にヨナがその曲の元になるものをどうかと提供してきていて、デモでやってみたけど、どうもいまいちピンと来なくて、特にオリジナルの元の曲はもっとポップで俺たちには合わないんじゃないかってことだったんだ。出来上がった今でも他の曲とは少し違うと思うんだけど、ちょっとヘヴィーになってオリジナルはほんとにもっともっとポップでサマーヒットみたいな感じだったんだ(笑)でもそこから行ったり来たりしながら俺たちの曲と言えるぐらいに変化した。もしLOUDNESSがこの曲をプレイしたらどういう感じになるかとか考えて、彼らからインスパイアを受けた曲なんだ。

──日本のバンドのLOUDNESSですか? イミがファンだというのはきいてましたが。

アルデ:そう。日本のバンドのLOUDNESSだ。イミはすごいファンで、イリもすごいファンなんだ。デモを作った時に、どこからかこれってちょっと軽いヴァージョンのLOUDNESSっぽくないか?という話になって、じゃこの曲をLOUDNESSっぽくしたらどうなるか?ってことでLOUDNESSを何度も聴きながらできた曲なんだ。LOUDNESSにはとってもヘヴィなリフがあるしメローなグルーヴとのコンビもあって、いろいろ試してたら俺たちの曲らしく聴こえてきたんだ。

──去年の冬にはフィンランドのバンドSonata ArcticaとアメリカのバンドEdge of Paradiseと一緒にヨーロッパツアーがありましたが、大きな赤いツアーバスでツアーしてましたよね?そのツアーで一番思い出に残った楽しかったことはなんですか?

アルデ: いっぱいあるな。もちろん全てのライブ。いろいろなシーンが浮かんでくるよ。その時のフィーリングとか観客の反応とか。ツアーバスをシェアしたEdge of Paradiseのメンバーたちと知り合いになったこととか、いろんな都市を訪れて時間があれば観光にも行ったし、あ、それから彼らにフィンランド語を教えたんだ。フィンランドに来て叫ばないほうがいいフィンランド語をね(笑)一緒にトランプしたり、音楽の話もしたし、他にもいろんな話ができてとても楽しかった。それとSonata Arcticaのメンバーやクルーともとても気が合って、途中アンッティ(ドラマー)の誕生日があって、たまたまヴェネツィアに一部Sonata Arcticaのメンバーと訪れることができてピザとワインを楽しんだ。ちょうど2日前にすごい洪水で道にそって渡し板ができてたよ。それはとっても印象に残ってる。それからブルガリアのソフィアのライブがとっても印象に残った。会場満員で、たぶんその中に俺たちのバンドのこと知ってる人は誰もいなかったと思うけど、すごく温かく受け入れてくれ盛り上がったんだ。ちょうど日本でそうだったようにね。とってもいい感じだったよ。

──そのあとヨーロッパで新型コロナの感染が拡大しはじめた頃Shiraz LaneとBlock Busterとヨーロッパツアーがありましたよね。同じくヨーロッパツアーしていたOne Desireのメンバーは新型コロナに感染してしまったという記事を目にしたのですが、あなたたちはどうでしたか?心配になりましたか?

アルデ:One Desire は俺たちとほぼ同じ時期にヨーロッパツアーしてて感染した話は聞いた。俺たちもニュースは毎日チェックしてて、一部公演をキャンセルしなきゃならないかって心配だったんだけど、何とか全公演することができた。俺は40℃以上熱が出てすごくしんどかったんだけど、ツアーメンバー全員コロナ検査受ける必要があって受けたら陰性だった。今までこんなにしんどかったことなかったので感染したかと思ったよ。イリもちょっと病気になって、なぜか俺たちいつも一緒に病気になるみたいだ(笑)ちょうどツアーで訪れたドイツの都市がパンデミック宣言をして、そこを訪れて帰国した人は全員コロナ検査に行かなきゃならなかったんだけどね。帰国して検査を受けた日か翌日だったかに世界的なパンデミック宣言が出された。ギリギリ何とか免れた感じだった。短いツアーだったし途中でキャンセルとかにならなくてよかった。

──あなたとニコはヘルシンキ在住でバンドの本拠地は他のメンバーがいる北部のオウルですが、どのくらい頻繁にオウルに行ってるのですか?

アルデ:月1回ぐらい。2回行くこともあるな。月初め、平日か週末、だいたい3日から5日間ぐらいだったり、月の終わりに3日から5日間ぐらい。今は2か月ぐらい行ってないな。ニューアルバム出て、セットリストをまず個人個人で練習して6月初めに皆集まって朝から夜までぶっ続けで練習予定だ。3日~5日、または1週間ぐらい続けることもある。もちろん間に皆で楽しんで、サウナ休憩もあるよ(笑)

──ヘルシンキからオウルまで遠いですが、普通何で行くのですか?

アルデ:いろいろだけど、コロナのパンデミックが始まってからは1度だけスケジュールの都合で飛行機でいったけど、電車かバスが多いな。電車だと足がのばせるし食堂車があっていいけど、コロナの制限がはじまってからのったら食堂車閉まってて水1本さえも買えなかったよ。今また開いてるのかどうかわからないけど、バスで行くことも多い。俺たちまだそんなにメガバンドじゃないし、バスは安いしね。バスだと8~9時間ぐらいかかる。

──このサードアルバムはUKやヨーロッパに限らず北南米、オーストラリアやニュージーランド、もちろん日本も含めワールドワイドにリリース情報が報じられてるのに気が付きましたが、これまでのハイライトはなんでしょう?

アルデ:今回のアルバムリリースでちゃんとしたPRデーがあって、インタビューを受けたメディアも大きくなってきてて、例えば今回初めてスウェーデンロックマガジンのインタビューを受けたのはクールだったよ。個人的に雑誌ならBURRN!誌とスウェーデンロックマガジンに載るってのは一種の目標達成ともいえる。これ以上達成することはないってぐらいにね(笑)インタビューは英語で受けたんだけど雑誌にはスウェーデン語で載ってて、スウェーデン語がそんなに得意ってわけじゃなかったけどスウェーデン語で載ってる自分のインタビューをもう1度スウェーデン語を学びながら読むのは楽しかったよ。とにかくインタビューをいっぱい受けて、メディアやファンからのフィードバックがすごくよかったのにくわえて、ソーシャルメディアを皆みてくれたり、Spotify再生回数やApple Music、CDの売り上げをチェックしたりするのもよい数字でとても興味深かった。とにかく自分たちの音楽に興味持ってもらえたってことがすごくうれしく感じるんだ。自分が好きなものを他の人も好きで聴いてくれる!ってのがね。ノックオン効果(連鎖反応)でもうすぐ世界中に広がるといいな。まだ俺たちのこと知らない人にもね。

──最後にBARKSの読者にメッセージをもらえますか?

Greetings from Arde "Temple Balls" to the readers of BARKS!


アルデ: ハロー、BARKSを読んでくれてるみんな!
Temple BallsのArdeだよ。今ここお天気よくて風の強いヘルシンキにいる。
俺たちのアルバムを買ってくれて、ストリームしてくれ、ミュージックビデオを観てくれたみんなにお礼を言いたい。
みんな安全で元気でいてくれることを願う。
もうすぐ新しいオンラインショップがオープンするから待っててね。
(注:アルデの後ろに白鳥がいます!)

お天気いいので外で取材しようってことになり近くのトーロ湾を散策。アルデからのメッセージにもあるように晴れててお天気いいのに立ち止まってると強風で震えるぐらいかなり寒かったので初夏にヘルシンキに行かれる方はお気を付けください。Temple Ballsからはもうすぐ新しいオンラインショップがオープンとのことで、バンドのソーシャルメディアをチェックしておいてくださいね。2017年の来日がすごく印象に残っているようで、コロナが収まったらまたぜひ来日したいと言っていたので、Temple Ballsのライブ観てみたいな!って方は日本のプロモーターにぜひリクエストしてみてください。再来日実現するといいですね。

このニューアルバム『Pyromide』から先行シングルでリリースされた2曲「Thunder From The North」と「T.O.T.C.」のミュージックビデオと「What Is Dead Never Dies」のリリックビデオが公開になっています。




Temple Ballsのニューアルバム『Pyromide』日本盤はボーナストラックが付いてワードレコーズより好評発売中!


トラックリスト:
1. Thunder From The North
2. Long Ways, Long Lies
3. T.O.T.C.
4. Fallen Youth
5. Bad Bad Bad
6. What Is Dead Never Dies
7. Unholy Night
8. Heart Of A Warrior
9. You Better Run
10. If Only I Could
11. Something To Die For
12.You Better Run *(アコースティック・ヴァージョン)
(* 日本盤限定ボーナストラック)

鹿児島のラジオ局FMぎんが 『Rock To TheFuture』にて、不定期にですが”Hiroのもいもいフィンロック”コーナー登場します。6月15日(火)午後8時~オンエアーの番組は丸々フィンランド特集で、6月17日(木)午後8時~からと2回にわたりTemple Ballsを特集!アルデが選んだニューアルバムからの8曲を本人のコメント付きで紹介!この番組は全国どこからでもPC、スマホで無料で聴くことができます。(こちらから https://fmplapla.com/fmginga/ )


聴ける方はぜひ聴いてみてくださいね。

なんとこのBARKS【連載】Hiroのもいもいフィンランドおかげさまで今回100回目を迎えました!これまでの記事読んでいただいた皆さんありがとうございます。これからもフィンランド現地からフィンロック情報発信していくつもりですので、今後ともどうぞよろしく!

文:Hiromi Usenius

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