【対談インタビュー】WING WORKS×Ricky、自身のスタイルと世界観
■もし僕が普通にカッコいい路線でいっていたら、今よりファンはいない気がする(Ricky)
Ricky:そもそもWING WORKSを立ち上げた時のアートワークとか衣裳とかのアイディアは、どういうところから出てきたの?
RYO:SUKE:十代の頃になにが好きだったのかという話になりますけど、僕はアニメの『新世紀エヴァンゲリオン』と『少女革命ウテナ』が自分の深いルーツなんです。『少女革命ウテナ』は『ヴェルサイユの薔薇』のようなヨーロッパ調でクラシカルな世界観を’90年代の解釈で再構築したアニメで、一方『新世紀エヴァンゲリオン』はロボットが出てくる近未来の世界観をベーシックに宗教や精神世界という領域まで踏み込んだ作品ですよね。僕『エヴァ』と『ウテナ』の両方がすごく好きで、少女-ロリヰタ-23区を結成した時は、その時のシーンの状況や自分のモードを投影して『少女革命ウテナ』から影響を受けてきた感性を前面にアウトプットしていたんです。バンドのスタイルがその世界観で確立されたことで、僕の中のSF的な感性はあまり表に出ることはなかったんですが、その後少女-ロリヰタ-23区が終わることになって、いろいろ考えてソロ・アーティストでやっていこうとなった時に、今までやってこなかったSFの要素を強く出そうと決めたんです。“少女-ロリヰタ-23区の人”として見られたくないという思いもあったし。そこから始まって、いろんな変遷があって、今に至っています。Rickyさんはご自身のスタイルや世界観は、どんなふうに作られたんですか?
Ricky:僕は、全然ミーハーですよ(笑)。元々自分はデビューするところまではいけないと思っていたんです。JOEさん(ex.SEX MACHINEGUNS)がDASEINを結成するにあたって、たまたま僕のテープを見つけてくれて、一気に駆け上がったという。本当にジャパニーズ・ドリームという感じだった、3年で終わったけど(笑)。で、僕は別に顔がいいわけでもなかったし、なにかキャラクターづけしないと…というのがあって。それで、サングラスを“ガーン”として、金髪で頭を大きくして、さらに宇宙人キャラ……キャラではなくて宇宙人なんですけど(笑)、そういう方向でいこうと。で、ドラムはカッコいいというギャップの面白さで売っていきましょうということになったんです。ずっとそれでやっていたから、サイバー感というのは常にありましたよね。それを継承して、その後結成したR*A*Pは“宇宙人3人組”というコンセプトになったんです。
RYO:SUKE:Rickyさんのキャラクターをベースにしたんですね。
Ricky:そう。その時はまだDASEINのプロデューサーが見てくれていたというのもあったし。そのプロデューサーはキャラクターづけが得意で、アイドルがやるような自己紹介とかもやろうということになって。それで、「いつもキラキラ光りモノ宇宙人ボーカルのRickyです!」とかもDASEINから引き継いでやっていた。でも、R*A*Pの途中でRYO:SUKE君と同じように、キャラが邪魔になる部分が出てきたんですよね。曲の世界観を宇宙とか宇宙人に寄せていくことに不自由さを感じてしまったというか。それで、ソロをやることにしたんです。ソロでは普通にいい曲、特にバラードを歌いたかったから、イロモノっぽい要素は全部排除しようと思って。普通の歌い手として認知されたくて、Rickyという名前も改名して“Dotto.~独人~”という名義で活動していたんです。当時は和製ビョークになりたいとか思って、すごくマニアックな方向にいってしまって、1曲7分あったりしたんだよね。でも、途中で自分が飽きちゃったという(笑)。
――とはいえ、その時期にDotto.~独人~をやられたのは、いいリフレッシュになったと思います。
Ricky:そうですね。その頃にやっていた音楽は、今でも気に入っているし。それに、Dotto.~独人~を経て、バラードもロックもヒーローソングも全部歌える自分が強いんだと、いい意味で開き直ることができた。だから、今はもうなんでもやるというスタンスです。
RYO:SUKE:宇宙人キャラも否定せずに、それでやっていこうと?
Ricky:うん…だからキャラじゃないって(笑)。もし僕が普通にカッコいい路線でいっていたら、今よりファンはいない気がするんですよ。みんながカッコつけていく中で、僕は歌はマジメに歌うけど、キャラと見た目が面白いというところでインパクトはあっただろうから。で、そこで出会ったファンの方々に、今も支えられているんです。
RYO:SUKE:なるほどですね。僕はパートが変わったというのもあるし、だからこそ、今の自分は歌を磨かねばとすごく思うんです。今回僕が『機密の花園』にRickyさんをお誘いしたのは、“歌い人”で、ずっとソロ・アーティストでやってこられたRickyさんに胸を借りたいと思ったんです。僕はソロを始めるまで、本当に歌っていなかったし、歌もサウンドのひとつとして捉えていたんです。でも、そうじゃないんだな、歌というのは楽器とは根本的に違うんだなということが、ここにきてようやく感覚的にわかったんです。歌う時と楽器を弾く時とでは心の置き方が全く違うところにあるということに、やっと気づけた。
Ricky:それは、どういうこと?
RYO:SUKE:曲を作っているとか、打ち込みをするとか、ベースを弾くといったことは、僕の中でわりと地続きな感覚があるんですよ。でも、歌を歌うということは全く違う。それは、ずっと歌われているRickyさんにはわからないと思いますけど。
Ricky:うん、わからない。
RYO:SUKE:それが、羨ましいんですよ。Rickyさんは子供の頃から“歌い人”ですよね。だって、JOEさんの心を掴むものを持っていたわけだし、勝手な想像ですけど、特に歌の練習とかしていなかったんじゃないですか?
Ricky:してない。
RYO:SUKE:やっぱり。僕はそういうボーカリストが悔しくて仕方ない。
Ricky:アハハ(笑)。僕はボイストレーニングに通って、音楽専門学校に通って、自分は絶対歌い手になるんだという人ほどの熱意はなかったからね。でもそれなりに歌えてしまったし、メジャーデビューすることもできた。そういう意味では、僕に対してムカつく人は多いかもしれないね。でも、ソロになってから、自分はなにもしてないじゃないかと気づいたんです。ボクサーとかはメチャクチャ減量してリングに立つけど、僕は曲作りは別として、苦労らしい苦労はなにもしていなかったから。“そんなに簡単にステージに立っていいのか? よくないよな”と思って。と言いつつ、立っちゃっていたんだけど。でも、最近その罰が下ったのか、喉を壊して手術して4ヶ月休んだんです。2017年の6月に手術をして、すぐにきれいに歌えるようになるだろうと思っていたけど全然ならなくて。最近ようやく調子が戻ってきて、まだ波はあるけど少しずつ声をコントロールできるようになってきたかなと。だから、プロの歌い手としての厳しさみたいなものは今頃になって痛感しています。
RYO:SUKE:喉のことがあったとはいえ、Rickyさんは天賦の才を与えられた人だと思うんですよ。僕はそういう方達とは違うんだということを、やっと認められたんです。でも、だからこそ自分にしか歌えない歌があるんじゃないかなと思って。
Ricky:それは間違いない。僕から見るとRYO:SUKE君はちゃんといろいろできていて、できるが故に苦悩するタイプなんじゃないかなという気がする。WING WORKSに関わったことがある人を2人知っているけど、2人とも口を揃えて「いい意味で、あそこまでこだわりを持っているアーティストは見たことがない。彼は凄いですよ」と言っていたし。RYO:SUKE君は自分がやることに責任を負えてるし、自己プロデュースもできるわけだから、1人でやっていける能力を持った人だと思う。僕も2013年に事務所をやめて、1人でやっていくぞと決めたんですよ。そのためにはステージに立つだけではダメで、なんでもやらないといけないと思って、本を読んだり、セミナーにいったりしたんです。そんな中でRYO:SUKE君を見た時に、常に向上心や探究心を持って挑戦し続けてる人なんだろうなと思ったから、今回一緒にライブができるのはすごく嬉しい。実際、こっちから<SOLODIERS~ソロジャーに花束を~>という僕が主催しているイベントに誘ったこともあるし。
RYO:SUKE:そう。その時はちょうどアルバムを作っていて参加できなかったんです。あのイベントは、もうやらないんですか?
Ricky:もう少しブラッシュアップしたいなと思っている。フリーでも無名でもどこかに所属していてもRYO:SUKE君のように上を目指し挑戦し続けているソロイストはそれなりにいる。そういう志を持った人達が集まることで、他では生まれないものが生まれると思うから、僕はそれを形にしてみたいんです。そのために今大事なのはもっと宣伝して集客すること。例えばイベントのテーマ曲を作ってクラウドファンディングで資金を集めてMVを作ったりすることもやってみたいし。だから、いろんなソロ・アーティストをリサーチしていて、ぜひRYO:SUKE君にも加わって欲しいんです。
RYO:SUKE:それは、ぜひ参加させて欲しいです。Rickyさんのプロジェクトに参加させていただけるとしたら、本当に嬉しいです。
Ricky:それは、こちらこそだよ。
――今後の展開が楽しみです。それに先駆けて、お二人の競演の場となる3月8日の<機密の花園>では、それぞれどんなライブをされますか?
Ricky:今の僕はマニュピレーターとボーカルという2人スタイルと、そこにダンサーを入れたスタイルと、バンドでやるスタイルでやっているんですよ。WING WORKSはバンドでくるよね?
RYO:SUKE:バンドです。
Ricky:WING WORKSのバンドの強さは知っているので、今回は僕もあえてバンドでいきます。バンド形態で、4つ打ちの曲をメインにしたアッパーなライブにしようかなと思っています。もちろんバラード的なものも織り交ぜるだろうし。もう、“イイ曲攻め”でいこうと思っているので、WING WORKSのファンの皆さんにも期待していて欲しいです。
RYO:SUKE:うわぁ、楽しみだな! でも、怖い、怖いなぁ…(笑)。
Ricky:それは、お互い様だから(笑)。
RYO:SUKE:心して臨みたいと思います。あとは、さっきも話したように、今の僕はちゃんと歌を歌いたいという気持ちが一番にあって。そこを大事にしたいし、自然とそういうライブになると思います。それに、3月8日のライブは<機密の花園>の締め括りなんです。ヴィジュアル系のソロ・アーティストとして長く突き進んで来られたRickyさんでこのツーマン・シリーズを締め括れるというのは、僕にとってすごく意義があるんです。そういう思いが溢れたライブになることは間違いないですね。
Ricky:元々はこっちから誘った人から逆オファーがきたわけだから、僕も本当に嬉しい。RYO:SUKE君に負けないように、ちょっと体重を絞ってライブに臨まないと…と思っています。
取材・文◎村上孝之
<WING WORKS 2nd Album「ENTITY」リリース記念 2MAN LIVEシリーズ『機密の花園 with Ricky』>
OPEN 18:30 / START 19:00
[出演]
WING WORKS / Ricky
WING-MEN(LIVE MENBERS)
Gu.鈴木俊彦
Gu.オミ
Ba.YUCHI(sukekiyo)
Dr.匠
Mp.ryu(Lavitte)
[チケット]
発売中
イープラス
https://eplus.jp/sf/detail/2792700001-P0030001P021001?P1=1221
[企画制作]
G2TD records
[問]
四谷LOTUS:03-5315-4781
WING WORKS 2nd Full Album『ENTITY』全国流通盤
WGWK-10011 / ¥3,000(税込)
【二枚組】
[DISC1]
01.-W・W-Ⅱ [SE]
02.アヌンナキ
03.Welcome to TRICK DEATH LAND
04.SiLiConE
05.未完成サファイア
06.Burn your soul
07.INFERNO
08.El_Dorado?
09.ACID CASTLE [album edition]
10.Amadeus
11.Flower World.
12.ニライカナイ
[Disc2]
01.VAD†MAN
02.不死鳥-FENNIX-
03.FIXXTION BOY
04.メトロア3.0
05.RAVVE OF MY TRINITY
06.IKAROS
・GUEST ATRISTS
GAKU(FEST VAINQUEUR)/ Cazqui(ex.NOCTURNAL BLOODLUST)/奏 /椎名未緒(ユナイト/APPLIQUE)/ 鈴木俊彦 / Daisuke(SEVER BLACK PARANOIA)/ Daichi(ex.NOCTURNAL BLOODLUST)/ 村田祐一 / YUCHI(sukekiyo)/ YOW-ROW(GARI)/ 猟平(ex-CLØWD)※五十音順
発売元:G2TD records
販売元:ONG DISTRIBUTION
<WING WORKS 2nd Album「ENTITY」発売記念ONEMAN『天空庭園エンティティ』>
OPEN 17:00 / START 17:30
前売り 4,300円 / 当日 4,800円(D別)
[チケット]
2019年1月12日(土)10:00発売開始
Ricky ライヴ情報
2019年3月16日(土)渋谷REX
<Kuroninal Black DASEIN TOUR 2019「音仕舞会~オトシマエ~」~あばよ平成!こいや元年!~>
2019年4月20日(土)名古屋MUJICA
2019年4月21日(日)大阪Vi-code
2019年4月28日(日)目黒LIVE STATION
2019年4月29日(月・祝)目黒LIVE STATION
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