【対談インタビュー】WING WORKS×DAMY、過去と今
WING WORKSが2月3日リリースの2nd Album『ENTITY』の発売を記念して開催するツーマンシリーズ<機密の花園>。今回はその4本目となるDAMYの椋(Vo)を迎えての、世代を越えたボーカリスト同士の対談をお届けする。
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<機密の花園>に唯一の新世代バンドとして出演するDAMY。やや意外な顔合わせという印象を受ける人も多いかと思うが、RYO:SUKEの中にはDAMYに対する熱い思いが溢れているようだ。DAMYの椋とRYO:SUKEの対談は、それを随所で感じさせる場となった。(註:今回の対談はDAMYが解散をアナウンスする前の2018年末に実施されたもの)。
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■イジメられてオラオラ系に、そしてヴィジュアル系へ
――RYO:SUKEさんは、椋さんとどんなふうに知り合ったのでしょう?
RYO:SUKE:自分がいろんなバンドを見ていく中で、DAMYが好きになったんです。一番いいなと思ったのは、椋くんの声だった。俺はローミッドが豊かな声で歌う人が好きで、椋くんはまさにそういうタイプのボーカリストで。それに加えて、DAMYは他の若いバンドとはちょっと毛色が違うというか、絵本の中の世界みたいな雰囲気があってただの黒系ではないところがすごくいいなと思っていた。そうしたらツアーが一緒になったんだよね?
椋:そうです。2018年の<ZEAL LINK TOUR>。
RYO:SUKE:それでDAMYと一緒にライブができるんだ、嬉しいなと思っていて。そのときに俺はWING WORKSでちょっといつもと違うことをしたくなって、<ZEAL LINK TOUR>の主催者の方にDAMYのメンバーにWING WORKSのサポートをして欲しいとお願いしたんです。それで<ZEAL LINK TOUR>の名古屋、大阪公演でギターの空くんに参加してもらうことになって、そこで椋くんと颯熾くん、海青くんとも初めて会った。そのときにDAMYというバンドがますます好きになったんです。今の俺は色んなことを経験してひと山超えた人達と一緒に音を出すし、そういうバンドと対バンすることが多くて、テンション感だったり、音楽と向き合う姿勢が似ている。だけどDAMYには若いバンドならではの新鮮さをやワクワク感が溢れていて、さらにDAMYが好きになった。それで今回の<機密の花園>に誘わせてもらうことにしたんです。
椋:こんなにDAMYを褒めてくれるのは、RYO:SUKEさんくらいですよ(笑)。もう、世間の俺らに対する評価はボロクソですから(笑)。だからすごく嬉しいです。僕がRYO:SUKEさんのことを始めて知ったのは17~18才くらいの頃で、昔『Vの流儀』というテレビ番組がありまして。深夜の放送だったけど、すごく楽しみで毎週観ていたんですよ。RYO:SUKEさんはその番組に出ていたし、少女-ロリヰタ-23区の「WHITE BLADE.」がエンディングテーマでしたよね?
RYO:SUKE:うん。懐かしいね。
椋:それで、少女-ロリヰタ-23区のCDも買ったんです。RYO:SUKEさんは雲の上の人みたいな感じでしたから、初めて対バンするときはすごく緊張するし、ワクワク感もあって“ああ、どうしよう…”みたいになった(笑)。実際にお会いしたら、すごくいい人でしたね。対等な感じで接してくれるのがすごく嬉しくて、いろんな話をさせてもらいました。それ以降プレイベートでも親しくさせてもらっているんですけど、RYO:SUKEさんはいつも新鮮というか、常に新しいことを考えていますよね。目の前のことで手一杯になっているんじゃなくて、次の展開とかを見据えている。音楽の流行りとか、シーンの状況とかにも常にアンテナを張っていて、すごく視野が広い人だなという印象があります。
RYO:SUKE:そう感じてもらえているなら嬉しいな。なぜ今日の対談に椋くんを指名したかというと、名古屋で最初に対バンしたときにステージ上の椋くんのイメージと普段着のイメージが全然違っていて意外だったんだ。楽屋で初めて会ったんだけど、タンクトップでストレートキャップを後ろ向きに被ってカーゴパンツで…。
椋:湘南乃風の人みたいだった(笑)。
RYO:SUKE:そう(笑)。怒らせたらまずそうなヤツがいるなと思っていたら、声が椋くんでビックリしたという。それで“なぜ、このB系が、ああいうスタイルのボーカルをやっているんだ?”というところで椋くん個人に超興味が湧いたんだよね。
椋:僕も昔は『SHIBUYA 109』のCIVARIZEとかを着ていた時期があるんですよ。高校生の頃はVネックとか尖った靴とかドクロのTシャツとかを着ていたんです。でもちょっと自分に合わないなと思っていて、地元の友達のファッションとかを見てそっちのほうがいいなと思ったんです。僕は渋谷が地元だから友達はみんなストリート系なんですよ。今はヴィジュアル系の人達もストリート系を着るようになったけど、僕は全然昔からそういう服を着ていて、そっちがデフォルトみたいになっているんです。
RYO:SUKE:なるほどね。でもそういうカルチャーの中で10代を過ごした人が、なぜ少女-ロリヰタ-23区を聴いて、なぜ『Vの流儀』を観るんだろうとと思っちゃって、そこが謎なんだよ。
椋:僕は中学生の頃からヴィジュアル系が好きだったんです。でも、生々しい話ですけど、僕は小~中学の間イジメられていたんですよ。ずっとイジメられていた。で、高校に進学することになったときにすごくバカな高校に入ったんです。だから高校でもまた絶対にイジメられると思って、それが嫌すぎて『クローズ』という映画の主人公の髪形で入学式にいったんですよ。要するにヤンキースタイルですよね。そうしたら本物のヤンキーがいっぱいいて、その中でやっていかないといけなくなって。それで偽物ヤンキーとしてがんばっていて、本当はヴィジュアル系が好きだとか言いだせなかった。中学でイジメられているときにずっと聴いていたのがPlastic Treeとかで音楽番組を観ていたし、お母さんの化粧道具を勝手に使ってメイクしたりしていたんです。
RYO:SUKE:いいねえ。
椋:でも、これが自分の個性だといって学校でそういうところを見せたらまたイジメられるから、絶対に出せないと思っていたんです。隠していたけど一度噂になってしまって。春休みに1人で原宿デビューしたんですよ。やっぱり自分は本当の自分で生きたいと思って通販で買った燕尾服を着て原宿にいったんです。そうしたら怖い部活の先輩に見られてしまって、またイジメられたんです。それでこんな思いは二度としたくないと思って、高校に入るタイミングで髪の毛を短髪にしてオールバックにして2ブロックにして、オラオラ系で高校にいったんです。
RYO:SUKE:武装して高校にいったんだね。高校を卒業するまでの3年間ずっとそうだったの?
椋:それがですね、ヤンキーというのは大体1年のときに喧嘩したり悪いことをして捕まったりして、学校をやめるわけですよ。バンバンやめる。それでヤンキーは僕1人になっちゃったんです(笑)。そうしたら周りのみんなは今さら誰もヤンキーとは関わり合いたくなくて、また1人になってしまった。でも隣のクラスにインディーズのヴィジュアル系が好きな子が1人いて、その子と仲良くなったんです。そこで短髪2ブロックだった男がまたロン毛になったという(笑)。隣のクラスの子はずっとロン毛で見るからにヴィジュアル系が好きそうな子だったけど、自分がそういう格好にするとまたイジメられると思ってやめていたんですよ。でもその子は堂々としていたんです。ヤンキーとかに「おい、キモロン毛」とか言われても動じないのがカッコいいなと思って。それで自分もヴィジュアル系が好きなことを隠さないようになりました。
――いい出会いが、ありましたね。
椋:本当に。その子のおかげでヴィジュアル系が好きなことを恥ずかしがらなくなって、10代の頃はギャ男活動をしていました。ヴィジュアル系のCDを買って、サイン会とかにもいっていた。SCREWの鋲さんがCIVARIZEとコラボした服を買ったりとか。じゃあなぜ今そういうファッションをしないのかというと、自分がDAMYの椋として存在しているからだと思います。バンドをやることでDAMYの椋とプライベートの自分がポンと別れたんですよね。ヴィジュアル系が好きなギャ男として大切にしている自分と、ヴィジュアル系シンガーとして自分の闇や人生を歌っているDAMYの椋という2人の人間が自分の中にいるんですよ。それで、オン/オフという状態になっているんです。
RYO:SUKE:そうか。今日話をして超よかった。椋くんのことがやっと理解できてきたよ。
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