【対談インタビュー】WING WORKS×Ricky、自身のスタイルと世界観

ポスト

WING WORKSが2月3日リリースの2ndアルバム『ENTITY』の発売を記念して開催するツーマンシリーズ<機密の花園>。本日はその締め括りとなる3月8日のツーマンの相手・Rickyを迎えての、スペシャル対談をお届けする。

2001年にDASEINのボーカリストとしてデビューを果たし、以降R*A*PやRIDER CHIPS、ソロ・プロジェクトDotto.~独人~など、現在はHYPER NEO SOLOISTという肩書きのもと様々な形態で意欲的な活動を行っているRicky。秀でた歌唱力を備えたうえで“宇宙生まれの埼玉育ち”と自称し奇抜なコスチュームを纏う彼と、『ENTITY』で独特なフューチャー感とファンタジック感が融合したコンセプチュアルな世界観を確立したWING WORKS RYO:SUKEは、お互いに以前からシンパシーを感じていたようだ。2人がじっくり話をするのは今回の対談が初めてだったそうだが、それを感じさせない親密さが溢れていることが印象的だった。

   ◆   ◆   ◆

■RickyさんのMVを見て、ボーカリストとしての所作や佇まいに、すごくグッとくるところがあったんです(RYO:SUKE)

――お二人は、どんなふうに知り合ったのでしょう?

RYO:SUKE:初めてちゃんとお会いしたのは、去年の頭にRickyさん冠のニコ生の番組に僕を呼んでくださった時です。若輩者の僕をなぜ呼んでくれたんだろうという思いがありつつ、すごく楽しい1日を過ごさせていただきました。その場で、RickyさんがWING WORKSの音楽の近未来的な世界観とエンターテインメントな部分を大事にしているのが面白いよねとおっしゃってくれたのがとても印象的だったんです。

Ricky:それはもう、僕はRYO:SUKE君のことをリスペクトしていますから(笑)。

RYO:SUKE:そんな風に言って頂けて、本当に光栄です。僕ももちろんRickyさんのことはずっと昔から存じていたし、その日の番組で流れたRickyさんのMVを見て、ボーカリストとしての所作や佇まいに、すごくグッとくるところがあったんですよ。それで、もっとご一緒したいというところで、今回のツーマンシリーズ<機密の花園>にオファーさせていただきました。

Ricky:僕は少女-ロリヰタ-23区の頃のRYO:SUKE君は、全然知らなかったんですよ。彼がWING WORKSを始めた時のデザインとか、アートワークとかを見て、すげぇなと思ったんです。すごくセンスがいいなと。僕も宇宙人なのでDASEINの頃からサイバーなアプローチはしていたけど、優に軽く、スタイリッシュに超えられたなと思って。それで、RYO:SUKE君に興味を持つようになったんです。僕はTHE MICRO HEAD 4N'Sをやっていた時に、WING WORKSと対バンしているんですよ。名古屋E.L.Lで、上から見た覚えがある。

RYO:SUKE:『ViSULOG』のイベントですか?

Ricky:そう。その頃のRYO:SUKE君はすごく尖っていたから、僕のことなんか全然眼中になかったと思うけど(笑)。

RYO:SUKE:あの頃の僕は尖っていたというか、バリアを張っていたと思っていて。

Ricky:バリア?

RYO:SUKE:はい。あの頃は自分自身に対して、“俺がやっていることをみんなが笑ってバカにしているんだ”と思って勝手に壁を作っていたんです。対バンをすると、対バンのお客さんが僕の演出とかを見て笑うんですよ。それも“インタレスト”の意味ではなくて、“ファニー”の意味で。どんな受けとめ方をするかは人それぞれだけど、僕はそれを受け入れられなかった。WING WORKSを始めた1年目からわりとそういう感じで、自信をなくしていたんです。

Ricky:WING WORKSを始めた頃は、かなり振り切っていたもんね。

RYO:SUKE:振り切っていました。

Ricky:僕もRYO:SUKE君の気持ちはわかるよ。自分もDASEINの頃は、受け入れられなかった部分もあったから。自分としてはスタイリッシュにいきたかったけど、ダサ面白い路線になって、衣裳とかも奇抜で、僕自身が途中で“なんで、俺はこんなの着てるんだろう?”と思ったから(笑)。周りからはいろいろ言われていたし。いわゆる決め事……たとえば、「命を燃やせ!」みたいなことをやると、クスッと笑う人っているよね。それで心が折れそうになるのはわかるけど、僕らはキャラクターとして、それを武器にしてきたというのがあって。「Rickyビーム!」とかね。それが受け入れられるまで続けたんだ。

RYO:SUKE:僕も今でも続けています。

Ricky:そう、続けることが大事だと思う。そこに音楽に対する自信とか、伝えていることのメッセージ性とかがちゃんとあれば、笑われてもガマンできると思うから。そこが中途半端だと、折れちゃうよね。

RYO:SUKE:まさしく、今はそう思えます。実はRickyさんが見てくれた『ViSULOG』のイベントの後、僕はサイバー感とか、フューチャー感みたいなものは一回やめてしまったんです。

Ricky:それは、和の方向に行った後に?

RYO:SUKE:そうです。よくご存じですね。

Ricky:いや、本当に好きだから、よく見ているんですよ。

RYO:SUKE:本当にありがとうございます。その時は“和サイバー”というか、海外の人から見た時の“ジャパニーズ・フューチャー”みたいなところを意識していたんですけど、それを最後にコンセプチュアルなことは一度全部やめたんです。そういう方向性で続けていくことに自信がなくなったというのもあるし、それだけじゃなくて、“ボーカリストとして、こうありたい”というのが、コンセプトとはまた別の部分で生まれたんです。ボーカリストとしてはリアルな自分の内面を見せていきたいという思いがあって、そこの部分を伸ばしていくうえでコンセプトがちょっと邪魔かもしれないと思ったんですよ。それで、フューチャリスティックな世界観は取り除いたフェーズに入っていったんです。

Ricky:今もそうなの?

RYO:SUKE:いえ。そこからさらに変遷がありつつ2017年に元々やっていたバンドの少女-ロリヰタ-23区が復活したんです。それで、2017年から2018年の半ばまでWING WORKSと少女-ロリヰタ-23区を同時進行でやっていたんですね。それを経て、今はWING WORKSが元々持っていたフューチャーな世界観と少女-ロリヰタ-23区で築いたファンタジックな世界観をジョイントさせるというモードになっています。

Ricky:去年の秋に出した「ACID CASTLE」のミュージックビデオは、ファンタジックですよね。女の子が出てきて。

RYO:SUKE:えっ? 見てくださったんですか?

Ricky:うん。いや、僕は本当に結構チェックしているんですよ(笑)。

RYO:SUKE:嬉しいです!少女-ロリヰタ-23区の復活期間でやり残したことをWING WORKSとして形にしたいという思いがあって、久しぶりにああいうミュージックビデオを作ったんです。それを経て、次のミュージックビデオは、本来のWING WORKSを進化させたもっとフューチャーの要素を入れようと思っています。(2019年1月1日に公開された「SiLiConE」)

◆インタビュー(2)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報