「デジタルの時代だからこそカタチに残したい…」再び注目を集めるダウンロードカードの可能性を模索する<DOWNLOAD CARD SUMMIT>

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▲ミュージックカード「M∞CARD(エムカード)」by ダイキサウンド株式会社


▲スマホ用音楽カード「SONOCA」by クリプトン・フューチャー・メディア株式会社

音楽がデータの形で流通されるようになって久しく、オーディオ機器は売れなくなり、ついにCDドライブを搭載したPCまで姿を消そうとしている。しかしそんな中、音楽の脱・モノ化に戸惑いと違和感を覚える世代と、そうでない世代の橋渡しを担うような音楽メディアが、にわかに注目を集めている。「ダウンロードカード」と呼ばれるものだ。

そんなダウンロードカードを制作する、ダイキサウンド株式会社とクリプトン・フューチャー・メディア株式会社が、<DOWNLOAD CARD SUMMIT 2019>というイベントを、タワーレコード渋谷店にて1月12~19日に渡り開催。ダウンロードカードの周知を目的にタッグを組んだ両社の担当者2名にインタビューを行った。


▲左:クリプトン・フューチャー・メディア株式会社 笹原さん、右:ダイキサウンド株式会社 栗原さん

■<レコード・ストア・デイ>みたいなことをやりたかった
2017年に行われたあるイベントで、たまたま隣同士の展示ブースだったという両社。思いっきり競合他社であるがゆえに、最初は少々気まずい思いをしたという。

「せっかくの機会なのでとご挨拶をと思い話したのがきっかけ。お互いの名刺や資料を交換して話していたら意気投合し、情報交換兼ねて後日飲みに行きましょう、という話になりました(笑)」(栗原)

「競合ではあるけど、考えていることや課題は同じ。ダウンロードカードの認知度を高めていくには手を取り合わなければという流れで、<レコード・ストア・デイ>みたいなイベントをやれたら良いですねって話になり、盛り上がりました。それが<DOWNLOAD CARD SUMMIT>という形で実現に至ったわけです」(笹原)

■ようやく時代が追いついた!? 意外に長いダウンロードカードの歴史
ダイキサウンドが手がけるM∞CARDが商標登録されたのは、実に14年前のこと。当初はガラケーに着メロや着うたをダウンロードする目的で作られたが、あまり長くは続かなかったようだ。

「弊社の創業社長が作ったM∞CARDですが、思うように業績が伸びず、ちょうど僕が入社してすぐのタイミングでクローズしてしまいました。その後、2014年に再スタート。世の中にスマホが普及してインフラが整い始めたことがその理由です。他にもダウンロードカードを提供する企業が増えてきた中でした。モノとデジタルの間を埋めるもの、それがダウンロードカードじゃないかなと。データ音源を聴きながら、カードというモノとしても手元に残せる。コレクター欲をくすぐるツールでもありますよね。カードに複数の絵柄を入れて目隠ししたり、当たりを仕込んでおけるオプションをつけたりすることで、野球チップスとかビックリマンのような楽しみ方もできます」(栗原)

■アーティストに寄り添い、音楽に貢献したい


ダウンロードカードの利点は、ユーザーだけではなくアーティストサイドにもある。通常音源だけでなく、画像や動画といったデータも収録でき、カードの絵柄や材質もカスタム自在。M∞CARD とSONOCAで仕様は異なるが、どちらも様々なオプションを組み合わせることで、その可能性を大きく広げることができるという。

「M∞CARDは電子書籍・VRコンテンツも収録できます。また、例えばライブ会場で配布して、後日ライブの動画や音源を追加することも可能。ライブで披露した音源や映像を後日配信する、といった事例も多いですね」(栗原)

「SONOCAはiOS/Android/PCでダウンロードでき、24時間オンラインからの注文もできます。あと弊社は初音ミクなどのキャラクターライセンスを所有しているので、収録楽曲のタイトルやアートワークなどに同人の範疇であればロイヤリティフリーで利用頂ける、というメリットも。ボカロPにも喜ばれていますね」(笹原)


最後に、この度開催される<DOWNLOAD CARD SUMMIT>について聞いてみた。

「サブスクがメインになりつつある現状で、オフラインの場で販売できマネタイズできるツールであるというのは、アーティストにとっても大きなことだと思うんです。エンドユーザーへの認知はまだまだですが、今回のイベントなどを通して、ダウンロードカードの存在とその将来性を多くの方々に知ってほしいですね」(笹原)

「デジタル化という時代の流れを受け止めながら、アーティストやクリエイターにきちんと還元できるようなモノを作っていく、というのが僕らの音楽に対する貢献だと思っています。CD世代にも親しんでいただけるよう、今回のイベントで展示する商品はパッケージにもこだわりました。ぜひ手に取って頂きたいです」(栗原)


▲期間中は、タワーレコード渋谷店にてリリース作品を展開



▲CDジャケットのようなリリース作品のパッケージ


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