【人間椅子連載】ナザレス通信Vol.46「黄色」

マギー司郎さんの手品が大好きです。特に気に入っているのは、コップに入ったコーラが布をかぶせると醤油になるというやつで、何回見ても面白いから不思議です。外国からやって来た凝った仕掛けのイリュージョンとかには全く興味がありません。黄色いジャケットを羽織って、茨城弁でお客をいじる、あののほほんとした空気がたまりません。津軽弁でも関西訛りでもだめで、茨城弁だからこそ出る味わいです。ずっとぼけ通すと思わせておいて、最後に気の利いたマジックをさりげなく披露して締めるところがまたかっこいいです。

黄色いジャケットといえば、KING CRIMSONの「Three Of A Perfect Pair」は見た目とは裏腹に聴き応えのあるアルバムです。発売当初は「太陽と戦慄パートIII」が聴けるという期待があまりに大きく、その軟弱な音にがっかりもしましたが、よく聴くと他のどのバンドも作り出せない、やっぱり凄い音楽なのです。Adrian Belewのペケペケしたギターも慣れれば大丈夫で、この時期の個性だと受け取ることもできます。Tony Levinのベースだけは未だに納得がいかないのですが、もの凄く巧いので打ちのめされます。新譜のタイミングで来日したので和嶋くんと観に行きました。覚えているのは前の席に渡辺香津美さんが座っていらっしゃったのでクリムゾンのパンフレットにサインをもらったことです。今思えば大変失礼なことをしてしまいました。あ、もうひとつ黄色いジャケットのアルバムが浮かびました。QUEENの「Flash Gordon」がありました。映画のサントラなので仕方ないのですが、冴えないジャケットです。


今回おすすめするアルバムは、SUPERTRAMPの「Breakfast In America」です。全然ハードロックではありませんが、大好きなアルバムです。太ったウェイトレスさんがオレンジジュースを掲げて自由の女神のポーズで笑っています。制服とジュースの黄色がとても印象的なジャケットです。透き通ったボーカルと、このバンドにしかないメロディーがとても心地良く、懐かしいような優しい気持ちにしてくれます。最近ライブで爆音浸けになっているので、このアルバムを聴いて耳に安らぎを与えることにします。


マギー司郎さんと同じくらい好きなのが、ナポレオンズの首が回る手品です。いつかステージで自分もやってみたいと思ったりしますが、難しいのはあの箱を操る方だと思うので、和嶋くんがその役をやると言わない気がします。






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